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“知っている人には懐かしい、知らない人には新しい”。今、00年代のテイ・トウワがDJプレイしそうな音楽がゴリアツい

2023/04/27 18:30
Jun Fukunaga
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PHOTO: PeacedelicNakano​​ YouTube
2020年代生まれの"NEO TOWA TEI"な音楽について、提唱者である音楽ライター本人が解説。

昨年あたりから“Y2Kリバイバル”なる現象がポップカルチャーシーンの至るところで見られ始めている。

Y2Kとは2000年代前後のことを指す言葉だが、ここ2〜3年の間に音楽シーンでも、その時期に流行したポップパンク人気が復権を果たしたほか、00年代のエモ/ポップパンク系のバンドやR&B、ヒップホップ系のアーティストが一挙集結する"あの頃をもう一度"的なフェスの開催が注目を集めるなど、“Y2Kリバイバル”的な動きが見られるようになって久しい。

近年、Y2Kや00年代の音楽に見られたテイストがリバイバル傾向にある

2023年はその傾向がさらに加速してきた印象を受けるが、筆者は80年代生まれのY2K期に青春を過ごした1人であり、その頃に盛り上がりを見せたDaft Punkらに代表されるフレンチタッチを始め、NYのエレクトロクラッシュ、SNSの先駆けである「Myspace」とそこを起点に世界中に広がっていった00sエレクトロやブログまとめサイトから派生したブログハウスといった音楽カルチャーにどっぷりハマっていた口だ。それだけにY2Kや00年代のポップカルチャーがリバイバルするこのムーブメントに対する想いは当然ながら人一倍強い。

ちなみにY2Kリバイバルの起源に関しては諸説あると思うが、個人的にメインストリームの音楽シーンやクラブシーンでそのような動きが目に見える形でちらつき始めたのは2020年だったと考えている。

もちろん、それ以前からY2Kカルチャーに特化した情報を発信する2000sのようなSNSアカウントなどは存在したが、例えば、この年にDua Lipaは"00年代風の80sリバイバル"を思わせる野心的なアルバム『Future Nostalgia』をリリースし、それに呼応するかのように00年代初頭に再ブレイクを果たしたことで知られるKylie Minogueも近しいコンセプトのアルバム『Disco』をリリース。加えてLady Gagaは、事もあろうに当時としてはもはや"古の音楽"化していたフィルターハウスを感じさせる「Rain On Me」(渡辺直美のカバーも話題になった)をアルバム『Chromatica』に収録するなど、こういった現象が起きたことで、リアルタイムでY2Kを通過してきた、あるいは後追いでその頃の音楽カルチャーに想いを寄せていた人であれば、少なくともなんとなくはY2Kリバイバルのことを意識させられたはずだ。

またその後、メインストリームの音楽シーンでは、ラッパーのMachine Gun KellyやWILLOWがY2K期に一世風靡したポップパンクリバイバルを打ち出し成功を収めているが、それがさらに加速したのは2022年のコーチェラだと筆者は考えている。このときは00年代のインディーロックの名曲のひとつであるThe Killers「Mr. Brightside」がDJでプレイされたり、カバーされたりしたのだが、その様子を見て、筆者は近いうちに本格的なY2K/00sリバイバルが到来すると確信。2023年現在は、その確信が現実となり、このムーブメントは見事に現行のポップカルチャーシーンを席巻している。

ちなみに日本の音楽シーンにおいても今年は、東京を拠点に活動するアーティスト/クリエイターによるコレクティブのbalaが先述のフィルターハウス要素を取り入れた楽曲「barla」をリリースしており、今後、日本の音楽シーンでもY2Kリバイバルはさらに加速していくことが予想される。

あの頃のテイ・トウワがDJでプレイしそうな2020年代生まれの音楽=「NEO TOWA TEI」

今、挙げた例はあくまでメインストリームの音楽シーンの話だが、実はこのような傾向はよりアンダーグラウンド、もしくはマイナーなところでも確かに見られるのだ。そういった現象を反映したジャンルの細かい名称や明確な定義などはおそらくまだない。そして、仮にこれを言葉で表現するのであれば、大きな括りで"Y2K/00sリバイバル"としか言いようがないが、そのひとつの要素/ジャンルのカテゴリーとして、最近筆者は"NEO TOWA TEI”というものを提唱している。

そう言うときっと「"NEO TOWA TEI"とは一体なんぞや?」ということになると思うので、ここで説明しよう。

要はY2Kや00年代頃のテイ・トウワが“DJでプレイ”しそうなテイストを持つ2020年代生まれのエレクトリックミュージックのことを筆者は"NEO TOWA TEI"的な音楽と呼んでいる。つまり、テイ・トウワ作品でいうと、1999年のアルバム『Last Century Modern』やSweet Robots Against The Machine名義での『TOWA TEI』、あるいはテイ・トウワ監修のコンピレーション『Motivation』に収録されているようなお洒落さとクラブミュージック要素が融合したエクレクティックな音楽性を持つ現行の音楽を"NEO TOWA TEI"なものとして、定義しているわけだ。

筆者が考える"NEO TOWA TEI"的な音楽とは、具体的に言えば、ムーディーで洒落たラウンジ感のあるドラムンベースを始め、ジャングル、UKガラージ、2step、ハウス(特に乙女感のあるもの)、ブレイクビーツのことを指す。

しかし、そう言ってもイメージがつきにくい人もいると思うので、さらにわかりやすく説明するために筆者が公開しているプレイリスト『NEO TOWA TEI(style 2 modern stylish)』での選曲を例にどういった楽曲が"NEO TOWA TEI"的なものなのか見ていこう。

NEO TOWA TEIを構成する3つの柱

例えば、Spotifyの人気プレイリスト『planet rave』では、ハイパーポップ経由のトランスやコンプレクストロな曲から洒落たジャングルやガラージ、プラスチックなエレクトロポップなどがセレクトされている。そういったプレイリスト、あるいはそこに選出されるようなアーティストの楽曲の中から、先ほど説明したテイ・トウワっぽい楽曲をサルベージし、再定義したものがNEO TOWA TEIを構成するひとつめの柱になっている。

続いて、PinkPanthress以降の流れを汲んだ"インディポップxドラムンベース"、インディxUKガラージ"といえるような曲をNEO TOWA TEIを構成するふたつめの柱としている。こういった曲の多くは主にTikTokを起点にZ世代の間で人気となり、先述の「planet rave」のようなプレイリストにセレクトされることでその認知度が広がっている。

余談だが、そのような曲の中にはTikTokで人気の"sped up(早回し)"、"slowed+reverb(再生スピードを落としてリバーブをかける)"化している曲も少なくない。

閑話休題。

そして、NEO TOWA TEIを構成する3つめの柱としているのが、近年ニューヨークでにわかに盛り上がりを見せていると伝え聞く"ガラージ"の新たなサブジャンル「NYCガラージ(NYC Garage)」だ。

このジャンルを牽引しているのは、今年2月にデビューアルバム『Back In The Day』をリリースし、現在、大きなバズを呼び起こしているSwami Soundというプロデューサーなのだが、筆者はSwami Soundとその周辺にいるプロデューサーやアーティストたちの音楽性もまた"NEO TOWA TEI"と呼べるものだと考えている。

なかでもFiFi ZhangというNYを拠点とするアジア系アーティストの音楽性はNEO TOWA TEI感が強い。特に「So Beautiful So Lonely」という曲は、現代版テイ・トウワ「Butterfly」と表現しても差し支えないだろう(それくらいあの頃のテイ・トウワ感に溢れている)。

またSwami SoundやFiFi Zhangは、これまでにいくつかの有名アーティストの曲をガラージや2step化したリミックスをBandcampで公開している。

筆者は、これを知って00年代にテイ・トウワがここぞというときにDJプレイしていたNelly「Dilemma」のドラムンベースリミックスのことを思い出した。

このように"あの頃のテイ・トウワ"がクラブでプレイしそうな音楽が、最近になってまた新たに生まれ出している。そして、それらの楽曲はリアルタイムでY2Kや00年代を通過してきた人にとっては懐かしく、若い世代にとっては見知らぬ新しい音楽として聴こえるはずだ。

もし、"NEO TOWA TEI"のことが気になったのであれば、ぜひとも最近block.fmで公開された筆者の「NEO TOWA TEI DJ Mix」とプレイリストをチェックしてほしい。きっと筆者が言わんとすることが伝わるだ。

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