レコードが届かず、現地調達でプレイ!?海外のDJ現場ならではのトラブルをKen IshiiとRISA TANIGUCHIが語る


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TJOがナビゲートする、DJによる、DJのためのプログラム「IN DJs WE TRUST」。
第7回目は“東洋のテクノゴッド”ことKen Ishiiと、ベルリンで「Rave The Planet」に出演したことも話題となったRISA TANIGUCHIが登場!日本国内はもちろん、海外で活躍の場を広げる二人の貴重なトークが飛び出した。
ヨーロッパをはじめ、世界中を飛び回る2人だからこそ聞きたい「DJならではのトラブル&体験談」について語ってもらった。
ラジオ番組のアーカイブ視聴はこちらから。
テクノがメインストリーム!海外フェスの「今」
TJO:「海外フェスの裏話」ということで、まずKenさん、最近行った海外ってどこですか?
Ken:最後に行ったのはスペインですね。それも2週間前。(編集注:収録は2024年10月下旬)
TJO:本当に最近ですね。なにかのフェスですか?
Ken:テクノとハードテクノのフェスティバルでした。あとはブレイクスとかダブステップ、ステージが4つぐらいあったのかな。スペインのグラナダで開催されているフェスティバルで、2回か3回行ったことがあるんですが。初開催は確か3000人ぐらいだったんですけど、今は15000人ぐらいになってて。成長してるフェスティバルでしたね。
TJO:RISAちゃんがなにかのインタビューで言ってましたけど、最近の海外のフェスでは本当にテクノがメインストリームになっていると。
RISA:そうですね。もうテクノありきで、さらに“どんなテクノをやっていくか”みたいな感じになってる印象がありますね。
TJO:そのスペインのフェスが、今は15000人以上集まってるっていうのは、今の時流も含めてという風にも感じますか?
Ken:はい。今は、テクノ好きじゃなかったお客さんが「テクノがいい」と言ってる感じがしますね。
TJO:それについてどう思われますか?
Ken:基本はいいと思いますよ。お客さんが増えるのはいいことなので。ただ、好きな人がたくさん集まってるが故の気持ちよさとはまたちょっと違う。テクノなんだけど、ちょっとアウェイ感を感じる時もあるし。
TJO:やっていて勢いがついてきたなと感じたのはいつ頃ですか?
Ken:パンデミック以降にがっつり変わった感じがしていて。さっき言ったフェスティバルもそうなんですけど、大きいステージが2つあって、ひとつはすごくBPMが速いハードテクノのステージで、年齢層は若め。僕らがやったステージは、DJもお客さんも年齢層が少し高めで。DJは全部ヴァイナルオンリーのステージ。CDJ自体一切置いてないですし、ターンテーブルが4台バーンとあって、みたいな。最近は、そういう棲み分けがひとつのフェスティバル内でもあるような気がします。
TJO:ヴァイナルオンリーって頻度的にどのぐらいあるんですか?
Ken:ほとんどないんですけど、やっぱり今のテクノシーンは、特に若い子を中心にすごくBPM的に速いものを求める傾向があって。それが嫌だと言ってるお客さんもどんどん増えてきています。だから、オールドスクール系のものをリクエストされることが結構多くて。僕もキャリアがだいぶ長くなって、そういう時期に来てるのかもしれないんですけど、「BPM的にそんな速くしないでくれ」みたいな。といってもテクノなので、それなりに元気はいいんですけど。だからその辺を差別化してくれという意見は出てきてますね。
TJO:RISAちゃんが最近出演した海外フェスについても聞かせてください。
RISA:8月にベルリンの「Rave The Planet」という「Love Parade」の後継イベントとして開催されたものですね。
TJO:裏話はありますか?
RISA:私もそのパレード自体初めて行ったので、本当に映像でしか見たことがない光景だったんですけど。トラックの上でDJをするんですね。動いてるか動いてないかわからないぐらいのスピードなので、全く気にしてなかったんですけど、いざ自分がトラックの上に乗ると、半端じゃない揺れを感じたんです。足が本当にグラグラしてる中で、踏ん張りながら、CDJの縁とかを触りながらバランスをとって。それぐらいグラグラしていて、それが意外に大変だったなと(笑)。
あのパレードってすごくクレイジーなイメージだったので、もっといろんなことが起きるかなと思ってたんですけど、やっぱりみんなラブ&ピースの人たちなので、そのモットーのもとでみなさん本当に品よく遊ばれていましたね。
ロストバゲージしたらどうする?海外でのトラブル話
TJO:さっきヴァイナルの話がでたんですが、ヴァイナルセットと言われた時点で持っていけるものが限られるから、その世代のことも考えてちょっと懐かしい曲をかけようか、みたいなことも考えて持っていくんですか?
Ken:そうですね。本当に大人向けで。
RISA:私はDJをCDJから始めた世代なので、聞いていてすごく気になったのが、海外にヴァイナルを持って行く時は預け入れ荷物にするのかな、とか。そういう細かいところが気になっちゃいました。ロストバゲージで一回トラウマになったことがあるんですよ。
Ken:今回は全部スーツケースに入れて。昔は僕も届かなかったことが結構ありました。フランスの国内を移動していた時に届かなくて、調べてみたら「今アルジェリアにレコードがある」って言われたこともあります。
RISA:えぇ!それなら動かさないで欲しかったですよね。
Ken:そういうこともあるから怖いんだけど、もう腰痛とか…(笑)。昔のDJはみんな腰痛で。あれにはもうなりたくないから、できるだけ持ちたくない。健康第一ということですよね。
TJO:そのロストバゲージした時、しかもヴァイナルが届かなくて、どう対処したんですか?
Ken:最初の時はどうしたらいいかわからなかったので、「僕、もうDJできません」って言ったんですよ。それこそCDJもない時代だったから。そうしたらプロモーターから「今から友達のレコード屋を開けさせるから、買いに行ってくれ」って言われて、夜中の1時に。
RISA:マジですか!?すごすぎる。
Ken:その場で20枚ぐらい買って、3時からプレイしました。それを一度経験してから、最低限のCDを持っていくとか、あとはヴァイナルの時でもCDJがなかったら、10枚ぐらいは現地で購入して最低限できるようにしてました。
マルタかどこかのフェスティバルの時も届かなかったんだけど、Luke Slater(ルーク・スレーター)が僕の出番の前だったんですよ。本当は2時間だったんだけど、たまたま彼と知り合いだったので、彼に長くやってもらうようにお願いして。彼が3時間やって、自分が1時間。それで、自分が持ってるヴァイナルだけでプレイしたこともありました。
TJO:世代的にまだ若い方はヴァイナル時代のトラブルって体験したことないから、想像できないですよね。
Ken:他にも面白いエピソードがありますよ。初めて中国に行った時、ヴァイナルだけだったんですが、税関で「これはなんだ?」という話になり。見たらレコードだと分かるんだけど、全部で100枚ぐらいあるものを、1枚1枚スリーブから出して。さらに全部のレコードの両面を見たんですよ。
結局何も悪いものは入ってないという話だったのに、その後なかなか返してくれなくて。どうしたのかと思って外にいるプロモーターに聞いたら、法律上全部課税しないといけないと。その当時、無税のレコードは数枚しかなかったらしく、それ以外は全部持ち込むだけで課税されるという話になり。後から聞いたら、1ヶ月の給料分ぐらい払ったって。今で言うと多分2、30万円ぐらい払わされたんです、持ち込むだけで。2000年頃の話ですね。
TJO:そう考えると、今のUSBはめちゃめちゃ助かりますね。
Ken:最高ですね。テクノロジー万歳ですよ。
TJO:それをKenさんが言ってくれると一番心強いんですよ(笑)。やっぱり最近はUSB1個で済むということも含めて、トラブルはほとんどないですか?
Ken:移動のトラブルはありますけどね。飛行機が飛ばなかったとか。でも、ダメなプロモーターは減りましたよね。
一同:(笑)。
TJO:それはすごく聞きたい!
Ken:昔は本当にめちゃくちゃなレイヴプロモーターとかがいましたね。以前、ドイツのドレスデンで大きいフェスティバルに出演したことがあって。その前の年はThe Chemical Brothers(ザ・ケミカル・ブラザーズ)がプレイしたと聞いていて、ローカルとインターナショナル含めて100組くらいアーティストが呼ばれてたんですよ。
ただ、ホテルに着いても自分のプレイ時間がわからない。何もわからないまま「連絡するから」と言われて、そのまま部屋でスタンバってたんだけど、誰も来ない。こっちからいろんなところに電話したけど、誰も出なくて、そのうち寝ちゃったんですよ。それで、電話がかかってきて起きたら、もう昼。しかもプロモーターからじゃなくて、エージェントからの電話だったんですよ。
で、「プレイした?」って聞かれて、「誰も来ないし、してない」と答えたら、「逆に良かったかも」って。どういうことか尋ねると、前日にプレイしたDJは全員お金をもらっていなかったらしく、フェスティバル開催中に首脳陣が全員逃げたと。残っているのはバイトくんだけ。インターナショナルのDJはみんなホテルにカンヅメ、ということがありましたね。
RISA:どうして飛んじゃったんですか?
Ken:持ち逃げというか、多分払いたくなかったんじゃない?DJや機材屋に払いたくないから、チケット代全部入ったところで逃げた、みたいな。
RISA:どうして呼んだの?って感じですよね。
Ken:もう赤字が決定していたんじゃない?少しでも現金を持って、本当にトンズラっていうか。そういうことは90年代の終わりにありました。
TJO:結構、波瀾万丈ですね、そう考えると。
【番組情報】

IN DJs WE TRUST
40年前に誕生した「DJ」という表現。機材やプレイスタイルが進化する中で、DJたちはどんなことを考え、何を感じているのでしょうか?
この番組では、時代を築いてきたDJたちの思考とプレイの裏側に迫ります。
MC:TJO
配信日時:金曜日21:00~
番組ページ:https://block.fm/radio/idjwt




