アニメの実写化だけでなく、アトラクションの映画化企画を積極的に進めるディズニー。映画化を進める背景と今後予定されている作品を紹介。

黒人プリンセスが誕生した背景を紐解きながら、アリエルを演じたハリー・ベイリーの実力を紹介。

<p>Text：バフィー吉川</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Halle - Part of Your World (From &quot;The Little Mermaid&quot;)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/kf7Dss2gCe0?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>6月9日から公開中の『リトル・マーメイド』は、ディズニーのアニメ映画低迷期を救った『美女と野獣』『アラジン』などといった、「ディズニー・ルネサンス」と呼ばれる黄金期の第1作目となった1989年の同名作品を実写化したものだ。</p>
<p>『シカゴ』(2002)や『NINE』(2009)、『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014)といった、傑作ミュージカル映画を多く手掛けてきたロブ・マーシャルが監督を務めていることもあって、ミュージカル演出の数々は素晴らしく魅力的なものが多い。また『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(2011)も手掛けているだけあって、水の表現もお手の物だ。</p>
<p>出演者もR&amp;Bシンガーのハリー・ベイリーにジョナ・ハウアー＝キング、スペハビエル・バルデム、メリッサ・マッカーシー、ジェイコブ・トレンブレイなど個性豊かな面々が集結した。</p>
<h3>■アップデートの中で葛藤するディズニー</h3>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/06/22115026/%E3%80%8E%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%80%8F%E3%82%B5%E3%83%96%E2%91%A1-scaled.jpg" alt="THE LITTLE MERMAID" />(L-R): Scuttle (voiced by Awkwafina), Flounder (voiced by Jacob Tremblay), and Halle Bailey as Ariel in Disney's live-action THE LITTLE MERMAID. Photo courtesy of Disney. © 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.</p>
<p>ディズニーは近年、原作となる童話などの著作権がフリーになっていることで、他社によって「シンデレラ」や「美女と野獣」、今回の「人魚姫」を下敷きした作品が世界中で大量に制作されている事情をふまえて、そういった作品のイメージの分散を避け、世界中に再び“ディズニー”のイメージを強く残すために、大量に実写化やリメイク企画を実現させてきている。</p>
<p>ただ問題となってくるのは、作品の内容が当時だからこその価値観や概念といったものが強く反映されており、多様性がうたわれる現代に合っていないものが多いこと。</p>
<p>ディズニーの近年の作品観ても、昔ながらの王子様などの男性優位構造は崩壊しつつあり、『アナと雪の女王』(2013)や『モアナと伝説の海』(2016)、『ラーヤと龍の王国』(2021)、『ミラベルと魔法だらけの家』(2021)など、もはや男性よりも女性の強さを描く作品が増加。今作の中でもエリックの役割はアニメ版と比べてかなり変化している。</p>
<p>ところがLGBTQに関しては頭を悩ませているようだ。というのも国によっては、そのような要素を含ませると上映ができないという事態に発展してしまうからだ。</p>
<p>『美女と野獣』(2017)の中でもガストンとル・フウの関係性が同性愛を連想させると評価され、実際にル・フウも同性愛者という裏設定になっていたことから、宗教上の都合などで同性愛に対して保守的な態度をとる国によっては、上映が禁止されてしまった。</p>
<p>この点に関しても将来的な解決方法を探っているといった印象を受けるが、直ちにというのはやはり難しいよう。その分、人種の尊重や女性主体の作品に力を入れており、ヒロインのリイマジンを常に行い、人種が白人だけに偏らないようにローテーションを繰り返していることから、ラテン系やアジア系のヒロインも多く誕生してきている。</p>
<p>それに加え、ディズニーとしては『プリンセスと魔法のキス』(2009)以降、黒人プリンセスが1人しかいないこともネックになっていた。</p>
<p>実は2019年のリメイク版『ライオン・キング』でもそれを行っており、主要キャラクターはドナルド・グローヴァーやビヨンセ、キウェテル・イジョフォーなど黒人俳優がキャスティングされていたのだが、あくまで動物のアニメキャラクターを通してであったため伝わりづらい部分があった。だからこそ、今作では思い切ってアリエルが黒人という設定になったわけだ。</p>
<p>また、例えば『ムーラン』や『アラジン』の場合、作品の舞台や設定上、人種がある程度固定されてしまっている。「白雪姫」の実写版「スノー・ホワイト」はラテン系のレイチェル・ゼグラーが主演を務めるし、今後制作予定の『ヘラクレス』もおそらくラテン系になるはずだ。となると、特に実写作品としては黒人プリンセスを出すタイミングが今作しかないというのもあったのだろう。</p>
<p>ちなみに、ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作として2023年12月15日に公開される『ウィッシュ』も主人公が黒人の設定である。</p>
<p>ただ一方、そういった多様性に配慮したリイマジンを良しとしない層も一定数いるのは紛れもない事実で、キャスティングが発表になると当然のように人種論争が巻き起こった。それはやはり主人公のアリエルを演じるのが、黒人のR&amp;Bシンガーのハリー・ベイリーだったからだ。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Part of Your World - The Little Mermaid Live!" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/eBY5a2CENwk?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>ディズニーが長年発信し続けてきてしまったステレオタイプなイメージに、ディズニー自身が本当の意味で向き合った作品が今作だと言えるだろう。また、ディズニープリンセスの中でも歌姫というイメージの強いアリエルにはソウルフルなシンガーをキャスティングしたいというのは、映画化企画が発表される前から決まっていたようにも感じられる。</p>
<h3>■主演のハリー・ベイリーって誰?</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Chloe x Halle - Forgive Me (Official Video)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/Bc9Y58TeZk0?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>アリエルが黒人であることへの論争が足を引っ張ったものの、歌唱シーンのクオリティの高さには、多くの観客が心を動かされたのではないだろうか。</p>
<p>それもそのはず。アリエル役に抜擢されたハリー・ベイリーは、日本ではあまり馴染みのないアーティストかもしれない。</p>
<p>もともと子役として活躍していたハリーは、姉のクロイと共に出場したラジオディズニーのオーディション番組NBT(The Next Big Thing)シーズン5の優勝者として話題となり、ビヨンセのレーベル「パークウッド・エンターテイメント」からプロデビューを果たした姉妹デュオ「クロイ&amp;ハリー」として活躍している、グラミー賞にも5回もノミネートされた経験をもつ、注目の若手アーティストである。</p>
<p>そのため歌唱力に対しての不安などは全くなく、ハリーがアリエル役に抜擢されたと聞いただけで、ソウルフルなミュージカルシーンが完成することは必然であった。</p>
<p>また、スティーヴン・スピルバーグによって制作されたアリス・ウォーカー原作の『カラーパープル』(1985)のミュージカル版で、今年公開予定の『The Color Purple』にもH.E.R.やファンテイジア、シアラといったアーティストと共に出演するなど、今後の活躍にも期待できる女優/アーティストだ。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="PRAISE THIS | Official Trailer" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/NGGwYIbyDNo?start=30&feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>ちなみに「クロイ&amp;ハリー」として共に活動する姉のクロイ・ベイリーもピーコックで4月に配信された映画『Praise This』(日本未配信)では、主演を務めている他、ドラマ「キラー・ビー」(2023)や『ジョイフル♪ノイズ』(2012)といった作品で幅広い役を演じている。</p>
<p>2021年からはソロ活動も行っており、黒人女性が抱える繊細な問題を伝える歌詞も話題となっている。それぞれ違った道に進みつつあるクロイとハリーだが、姉妹揃って目が離せない存在であることは間違いない。</p>
<h3>■『リトル・マーメイド』を支えるアーティストたち</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Daveed Diggs, Cast - The Little Mermaid - Under the Sea (From &quot;The Little Mermaid&quot;)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/Wbv_huklr5E?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>オリジナル版『リトル・マーメイド』の作中曲「アンダー・ザ・シー」といえば、第62回アカデミー賞において歌曲賞を受賞し、ディズニーアニメとしても、ミュージカルとしても歴史に残る名曲だ。</p>
<p>そんな「アンダー・ザ・シー」を含め、オリジナル版の音楽の数々を手掛けたアラン・メイケンの音楽に新たな命を吹き込んだのは、映画化もされた「イン・ザ・ハイツ」や「ハミルトン」、ディズニー作品としては『ミラベルと魔法だらけの家』や『モアナと伝説の海』も手掛けてきたリン＝マニュエル・ミランダである。</p>
<p>リンといえばブロードウェイミュージカルのヒットメイカーでありながら、近年は「RENT」の劇作家ジョナサン・ラーソンの自伝的作品『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』(2021)の映画化を手掛けるなど、その才能を映画界でも惜しみなく発揮。</p>
<p>古典はもちろん、ラテンポップ、ヒップホップなど、多ジャンルを取り入れることが得意なリンが参加していることで、ソフルフルでありながらも、どこかラテンの風味が漂う独特のミュージカルシーンが完成したのだ。</p>
<p>また、出演者にも注目してもらいたい。ハリー・ベイリーは間違いない歌唱力であるが、今までの作品の中であまり歌うシーンがなかった俳優たちが起用されていることもあって心配な部分はあったものの、エリック役のジョナ・ハウアー＝キングも、アースラ役のメリッサ・マッカーシーも歌唱シーンでは見事な歌声を披露している。</p>
<p>ただ残念なのは、トリトン王役のハビエル・バルデムは渋い歌声の持主だというのに、今作にはハビエルの歌唱シーンが用意されていないということ。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="LYLE, LYLE, CROCODILE – &quot;Take A Look At Us Now&quot; Sing-Along" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/v3QYFsNJyRs?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>ちなみにハビエルの歌唱シーンが観たい場合は、3月に日本でも公開された『シング・フォー・ミー、ライル』がおすすめ。</p>
<h3>■『リトル・マーメイド』作品情報</h3>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/06/22115036/%E3%80%8E%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%80%8F%E3%82%B5%E3%83%96%E2%91%A2-scaled.jpg" alt="" />Halle Bailey as Ariel in Disney's live-action THE LITTLE MERMAID. Photo courtesy of Disney. © 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.</p>
<p>【ストーリー】<br />
美しい歌声をもち、人間の世界に憧れている人魚アリエル。掟によって禁じられているにも関わらず、ある日彼女は人間の世界に近づき、嵐に遭った王子エリックを救う。この運命の出会いによって、人間の世界に飛び出したいというアリエルの思いは、もはや抑えきれなくなる。そんな彼女に海の魔女アースラが近づき、恐ろしい取引を申し出る。それは、3日間だけ人間の姿になれる代わりに、世界で最も美しい声をアースラに差し出すことだった……。<br />
<img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/06/22115300/%E3%80%8E%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%80%8F%E6%9C%AC%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC.jpg" alt="" /><br />
【作品情報】<br />
原題:The Little Mermaid<br />
監督:ロブ・マーシャル<br />
音楽:アラン・メンケン&amp;リン=マニュエル・ミランダ<br />
出演:ハリー・ベイリー、メリッサ・マッカーシー、ジョナ・ハウアー=キング ハビエル・バルデムほか<br />
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン<br />
© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.</p>


ディズニーアップデートの背景から誕生した黒人アリエル。圧巻の歌唱力を披露したR&Bシンガー、ハリー・ベイリーとは

新アルバム『Endless Summer Vacation』をリリースしたMiley Cyrus。彼女の根底にある作品『ハンナ・モンタナ』から、マイリーのアーティストとしての歩みを振り返る。

<p>3月10日に新アルバム『Endless Summer Vacation』(日本盤は3月29日)がリリースされたマイリー・サイラス（Miley Cyrus）。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="マイリー・サイラス -「フラワーズ」 | Miley Cyrus - FLOWERS  (日本語字幕ver)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/t5Xq2uJ0mLc?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>最近はドラマや映画への出演がほとんどなく、ドラマは『ブラック・ミラー』の1エピソード、映画は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)のキャラクター吹替えが最後。女優業としては成功したとは言えないが、マイリー・サイラスというアーティストの根底にあるのは、間違いなくディズニー・チャンネルドラマの『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』だ。</p>
<p>マイリーが女優としてデビューしたのは、実の父親でもあるカントリー歌手で俳優のビリー・レイ・サイラス主演医療ドラマ『Doc』である。つまり歌手より女優としての経歴の方が古い。</p>
<p>そして運命を変えたのが、2006年にディズニー・チャンネルで放送開始された『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』だったというわけだ。</p>
<p>同作で世界的に知られる存在になり、日本でも彼女のことを多くの人が知るきっかけとなった。</p>
<p><module-adv></module-adv></p>
<h3>日本におけるディズニー・チャンネルの知名度を上昇させた立役者</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Hannah Montana - The Best Of Both Worlds" width="500" height="375" src="https://www.youtube.com/embed/uVjRe8QXFHY?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>ディズニー・チャンネルが日本に上陸したのは2003年。開局から数年はチャンネルの知名度が伸び悩んでいた時期であり、この頃に放送されていたヒラリー・ダフ主演ドラマ『リジー&amp;Lizzie』やレイブン・シモーヌの『レイブン 見えちゃってチョー大変!』など、アメリカでは人気があっても日本ではいまいち波に乗れなかった作品も多かった。</p>
<p>そんな中で2006年になってテレビ映画『ハイスクール・ミュージカル』が話題となり、メディアや地上波でも取り上げられ、ザック・エフロンやヴァネッサ・ハジェンズなども来日するまでの人気となった。</p>
<p>このムーブメントによって、日本におけるディズニー・チャンネルの知名度が一気に上昇。その温まった空気感の中で放送開始されたのが『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』だったのだ。同作は若い世代を中心にカルト的人気となった。</p>
<p>海外ドラマの映画化作品は劇場公開自体が難しい中(特にティーンドラマの場合は)、劇場版『ハンナ・モンタナ ザ・ムービー』(2009)だけではなく、コンサートツアーを収録した『ハンナ・モンタナ ザ・コンサート 3D』(2008)も公開されるまでに至たり、一部のシーズンではあったもののテレビ東京系列の地上波でも放送された。ディズニー・チャンネルのドラマが地上波で放送されること自体が、当時としては異例であった。</p>
<p>『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』という作品は、主人公が普通の中学生でありながら、実は世界的トップスターという少女漫画のようであり、シットコムやティーンドラマとしても王道的。正直言って、ストーリーはそこまでスバ抜けておもしろいとは言えないものだった。だとしたら何をそこまで視聴者を魅了したのか……。</p>
<p>それは間違いなく主演のマイリー・サイラスのアイドル性に加えて、使用楽曲がどれもキャッチーなものばかりだったことだ。シーズン1の頃はまだまだ手探り状態ということもあってドラマ要素の方が強いが、シーズン2からは音楽要素を本格的に取り入れていった。</p>
<p>ディズニー・チャンネルのドラマには、音楽シーンが入るミュージカル要素の強い作品がそれまでにもいくつかあったものの、どれもイベント的に挿入されることが多く、『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』のように頻繁に歌唱シーンが挿入されるドラマ自体が珍しかったといえるだろう。</p>
<p>この試みは、後番組でもあり、ゼンデイヤとベラ・ソーンを一躍有名にしたドラマ『シェキラ!』にノウハウとして受け継がれている。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="シェキラ！／ミュージックビデオ｜オリジナルサウンドトラック" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/9T_WRCCMKlg?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<h3>フィクションとリアルによるメディアミックスの成功</h3>
<p>しかしドラマや映画版だけでは、社会現象にまではならなかっただろう。では何がそうさせたのかというと、ハンナ・モンタナという存在がドラマから抜け出し、実際にコンサートツアーを行うことでメタ的なアイドルとしても活躍していたからだ。</p>
<p>これはディズニーが『ハイスクール・ミュージカル』や『キャンプ・ロック』のツアー公演などの経験で培ってきた、フィクションとリアルとのメディアミックスが下敷きとしてあったからである。ちなみに当時はディズニーではなかったが『Glee』もコンサートツアーなどにも影響を与えたといえるだろう。</p>
<p>また2007年にはマイリー・サイラス名義での初アルバム『Meet Miley Cyrus』もリリース。2008年に『Breakout』、2010年には『Can't Be Tamed』……とドラマと並行して、マイリー名義の歌手活動も行っていたことで、幅広い層に知られ、絶大な人気を誇るアーティストになって行った結果、20歳以下で、5枚のアルバムで全米1位を獲得した唯一の女性アーティストとなった。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Miley Cyrus - Party In The U.S.A. (Official Video)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/M11SvDtPBhA?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>2009年にリリースされたミニアルバム『Time Of Our Lives』の中の楽曲「Party In The U.S.A.」も世界中から注目されるヒットソングとなった。</p>
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<h3>マイリーがハンナ・モンタナから脱皮</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="Miley Cyrus - We Can&#039;t Stop (Official Video)" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/LrUvu1mlWco?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>そして2009～10年にかけてはハンナ・モンタナからマイリーが完全に脱皮する期間だったといえるだろう。2010年頃まではまだディズニーアイドルの余韻を持ったポップシンガーといった印象が大きかった。</p>
<p>それもそのはずでマイリーのアルバムをリリースしていたのは、ディズニー傘下の音楽レーベル「ハリウッド・レコード」だったからだ。ディズニー色が強いのは必然ともいえるだろう。</p>
<p>2010年に『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』がフィナーレを迎えたこともあって、ハリウッド・レコードから2013年に「RCAレコード」に移籍。そこからリリースされた『Bangerz』はディズニー色が完全に消え、新たなアーティストとして出発することになった。</p>
<p>ロングヘアーをばっさり切ったのもそんな心情と音楽性の変化によるものだったのではないだろうか。</p>
<p>だからといってマイリーにとって、ディズニーアイドル時代は決して黒歴史ではない。過去にハンナ・モンタナを演じたことで自分を見失ったと発言したこともあるが、デミ・ロバートやセレーナ・ゴメス、ヒラリー・ダフなどもそれは同様である。</p>
<p>デミのように人気になり過ぎてしまったがゆえに、そのプレッシャーからドラッグ依存になってしまう者もいた。実際にマイリーも一時期はドラッグ依存者であった。ハンナ・モンタナが終了したのもドラッグが原因だと騒がれたほどだ。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="reclaiming power : Dancing with the Devil" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/6FW-glAaTKU?start=4&feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>『キャンプ・ロック』や『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』が成功した影で、撮影とツアー、ファンサービスでプライベートは一切なし、ディズニーアイドルという商品として消費されるモデルケースとなっていたのも事実で、今思えばなかなかブラックな稼働状況であっただけに、人気絶頂＝順風満帆ではなかったのだと、つくづく理解できる。</p>
<p>ディズニー・チャンネルも最近は大規模なメディアミックスをあまりしなくなってきたのは、そういった問題が明るみになったからだろう。</p>
<p>それでも良くも悪くも今のマイリー・サイラスというアーティストを作ったのはディズニーアイドル時代の経験があってこそだというのは間違いない。</p>
<p>ハンナ・モンタナの続編に出演して欲しいと言われたとしたら、きっとマイリーは断るとは思うが、現在のところディズニーとは決して悪い関係性ではない。それを示すかのようにDisney+では新アルバム『Endless Summer Vacation』のリリースにあわせて、プロモーション的なドキュメンタリー『エンドレス・サマー・バケーション（バックヤード・セッションズ）』が配信されており、さらにその中で『ハンナ・モンタナ ザ・ムービー』(2009)の楽曲「The Climb」を披露しているのだ。</p>
<p>この楽曲は映画の中でハンナ・モンタナ(マイリー)が新たな道に進むことを表した曲でもあることから、ハンナ・モンタナの存在に対して、心境の変化もあったのではないだろうか。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="The Climb | Miley Cyrus – Endless Summer Vacation (Backyard Sessions) | Disney+" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/jzJNyutbGzM?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>とはいえ、表向きはそうでも本当のところはマイリー本人にしかわからないが……。</p>
<h3>【リリース情報】</h3>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/03/30151649/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9_%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%99%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%99%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3_%E3%82%B7%E3%82%99%E3%83%A3%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E5%86%99%E7%9C%9F.jpg" alt="マイリー・サイラス_エンドレス・サマー・バケーション_ジャケット写真" /><br />
Miley Cyrus | マイリー・サイラス<br />
最新アルバム『ENDLESS SUMMER VACATION』｜『エンドレス・サマー・バケーション</p>
<p>配信リンク：<br />
<a href="https://MileyCyrusJP.lnk.to/EndlessSummerVacation">https://MileyCyrusJP.lnk.to/EndlessSummerVacation</a> </p>
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マイリー・サイラス 新アルバムリリース記念!　ディズニー・チャンネル黄金期を支えたドラマ『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』を再評価

続々と映画化を控えており、ひとつのトレンドとも言えるおもちゃ映画について、これまでを振り返りつつ、今後の動きについて考察する。

<p>Text：バフィー吉川</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="映画『バービー』日本版本予告 2023年8月11日（金）公開" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/BgVqM_LE0pE?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>現在公開中のハリウッド映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』と『バービー』。この2作品が共通するのは、原作がおもちゃということ。</p>
<p>ハリウッドでは特に2000年以降、ネタ切れ状態問題が勃発。続編、リメイク、コミックとゲームの映画の企画が連発されるなかで、おもちゃの映画化企画というのも大量に企画されていた。</p>
<p>スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮、マイケル・ベイが監督を務めた実写シリーズの第1作目『トランスフォーマー』(2007)の成功が拍車をかけたと言っても過言ではないだろう。</p>
<p>また同年には、日本では未公開となっているが、バービーのライバルとも言われた人気ファッションドール・シリーズの映画化『ブラッツ』(2007)も注目を集めた。</p>
<p>そこに『G.I.ジョー』(2009)や『バトルシップ』(2012)なども後に続き、『LEGO® ムービー』(2014)、『プレイモービル マーラとチャーリーの大冒険』(2019)、日本ではほとんど知名度がない『マックス・スティール』(2016)といった作品が今までに制作されている。</p>
<p>今年公開された『ダンジョンズ&amp;ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』もゲームやアニメ化もされていて、おもちゃを元に映画化しているとは言い切れないが、もともとはテーブルトーク・RPGが元となっている。</p>
<p>今後も「ホットウィール」「爆丸」「ベイブレード」「ファービー」「ベアブリック」といったおもちゃが映画化を控えており、先日も、2007年から企画があったものの実現に至らなかった「モノポリー」の映画化企画が本格的に動き出すという発表があった。今、おもちゃの映画化というのは映画業界内において、ひとつのトレンドともなっていることは間違いない!!</p>
<p><module-adv></module-adv></p>
<h3>■『トランスフォーマー』の成功がもたらしたハリウッド内でのおもちゃ&amp;ロボット映画化ムーブメント! しかし障害も?!</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="映画『トランスフォーマー／ビースト覚醒』本予告（字幕版）" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/tEOmoJxJM_E?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>トランスフォーマーの場合は、おもちゃの映画化というだけではなく、ロボットアニメ、コミックの映画化企画も多く影響をもたらしており、「ロボテック」(日本では『時空要塞マクロス』や『機甲創世記モスピーダ』)、「ボルトロン」(『百獣王ゴライオン』や『機甲艦隊ダイラガーXV』)、『機動戦士ガンダム』、『フルメタル・パニック!』などの映画化企画も進めることとなった。</p>
<p>ちなみに『新世紀エヴァンゲリオン』も「ロード・オブ・ザ・リング」や「アバター」シリーズのデザインを手掛けるウェタがコンセプトアートを実際に作成していたが、結局実現しなかった。</p>
<p>話をおもちゃの映画化に戻すと、例えば日本でも社会現象を巻き起こし、定期的に新作が発売されるなど今でもコアなファンを抱える「ファービー」の場合は、2016年11月に開催されたアメリカン・フィルム・マーケットの中で 「ディメンション・フィルムズ」レーベルの新作企画として具体的に発表されており、『パディントン』(2014)のように実写とCGIを融合させた作品となる予定だったが、ハーヴェイ・ワインスタインの性加害に対する告発事件影響で、ワインスタインの傘下でもあった「ディメンション・フィルムズ」自体が危うい状態となってしまったため、企画が譲渡されずに消滅した可能性はある。</p>
<p>また現在、ハリウッドでは全米脚本家組合と俳優組合が64年ぶりとなる同時ストを行っている。これによって撮影等が中止になっている作品もあるが、消滅する企画もいくつか出てくる可能性もありそうだ。</p>
<p>予想できないようなイレギュラーな事態による企画消滅もあるのだが、何度も会議を重ねた結果として、実現化が不可能という決断からの消滅、保留というのも大量に存在しているだけに、企画が発表されたからといって、最後まで油断ならないのも、おもちゃの映画化企画の特徴だ。<br />
<img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/08/31122842/0009.jpg" alt="" />©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO</p>
<p>最近では新たな試みとして、マーベルとDCなどの、いわゆる「ユニバース」化も取り入れようと、ハズブロは「トランスフォーマー」と同じく自社の作品である「G.I.ジョー」「ROM」「マイクロノーツ(日本では『ミクロマン』)」といった作品の世界観を共有するプロジェクトを企画しているが、その1弾となる予定であった『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021)が全く「ハズブロ・ユニバース」には触れない内容となっていたことからも企画倒れになっていたかと思われていたが、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のなかで、それを連想させるようなシーンがサプライズとして盛り込まれていた。</p>
<p>「トランスフォーマー」と「G.I.ジョー」は、コミックでは何度も共演しているだけに待望のクロスオーバーともいえるだろうが、実現するかはわからない……。</p>
<h3>■『バービー』のアプローチは圧倒的に可能性を広げる?!</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="映画『バービー』バービー・ザ・アルバム 発売中！" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/qTYqBPLn1io?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>おもちゃに設定された世界観を拡張させる映画化やオリジナルビデオ作品というのは多く制作されてきたが、あくまで“おもちゃ”という立場をメタ的な視点を取り入れながら描いた作品としては、『LEGO®ムービー』(2014)が有名といえるだろう。</p>
<p>レゴの場合も、「バイオニクル」や「ニンジャゴー」のように設定の世界観を拡張させたアニメシリーズなども制作されているし、映画やコミックヒーローといった版権キャラコラボ作品『LEGO®ジュラシック・ワールド:秘密の展示品』、『LEGO®スクービー・ドゥー:モンスターズ・ハリウッド』といったものも多く制作されている。</p>
<p>ところが『LEGO®ムービー』というのは「レゴ」そのもの扱うということで、決まった世界観を持ったシリーズを映画化するわけではないため、一から世界観を構築する必要が出てきてしまう。</p>
<p>そこで心配されるのが、映画化することによって世界観を崩してしまうのではないかということだ。</p>
<p>レゴの場合は世界観が無数に存在するため、逆にあって無いようなものでもあるからこそ良かったのもかもしれないが、ひとつの決まった世界観を持った作品の映画化で、メタ的な要素を盛り込むのはかなりリスクが高いといえるだろう。</p>
<p>企業の代表するおもちゃであれば尚更。失敗してしまうと、今後の商品ラインにも影響が出てしまう……。</p>
<p>それを考えるとマテル社の代表的なおもちゃであって、60年代以降のマテル社を支えていると言っても過言ではない、世界で一番有名なファッションドールの「バービー」の映画化は簡単ではなかったはずだ。</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="アシャンティ主演『ハニー・ガールズ　～夢への扉～』2022年2月2日（水）デジタル配信開始" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/7EFCXBJZW6Y?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p><module-adv></module-adv></p>
<p>そのままおもちゃの世界感を発展させた、おしゃれなガールズ・ムービーとしてであれば、それほど映画化が難しい作品とは思えない。</p>
<p>例えば「バービー」と同じくファッションドールの映画化でいうと、『ブラッツ』(日本未公開)や『ハニー・ガールズ ～夢への扉～』(2021)、パラマウントプラス配信用映画『モンスター・ハイ』(日本未公開)なども実写化されている。『モンスター・ハイ』に関しては、もともとの設定が日常的なものではないため除外するが、『ブラッツ』や『ハニー・ガールズ ～夢への扉～』は、なかなかストレートでディズニー・チャンネルの香り漂うティーンムービーであった。</p>
<p>あるいは、リンジー・ローハン主演の『スーパードール／パパが人形に恋をした』(2000)のように、人形が人間になってしまう物語という選択肢もあったはず。</p>
<p>実際に『バービーのくるみ割り人形』や『バービーと伝説の馬』といった長編アニメがいくつも制作されている。近年もNetflix映画として定期的に新作がリリースされており、「バービー」を映画という媒体に落とし込むこと自体はそれほど難しくないように思える。</p>
<p>ところが、そもそもの問題として、一部の年齢層をターゲットにしたような無難な作品を作るとなると、そもそも「バービー」を改めて実写映画化する意味がなくなってしまう……。</p>
<p>90年～2000年代であれば、そういったストレートな作品であっても良かったかもしれないが、近年は多様化に伴い金髪のアメリカ人女性が主人公のガールズ・ムービーとなると、どうも皮肉的な目で見られてしまう傾向にある。</p>
<p>「バービー」自体も時代のニーズや価値観にあったスタイルに変わってきたものであって、2016年の「ファッショニスタ」シリーズでは、様々な人種のバービーが多く発売され話題になったほか、車椅子のバービーやダウン症のバービーなど、単に女の子向けのファッションドールというだけではなく、常に価値観の変化を見つめてきたからこそ、ガールズ・ムービーにすることには抵抗もあったのではないだろうか。<br />
<img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/08/31122652/sub8-scaled.jpeg" alt="" />©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.</p>
<p>ちなみに日本でもテレビ東京系列で放送されている「バービードリームハウスアドベンチャー」もクローゼットの中に宇宙服が入っているなど、人形であることを認識しているかのような、多少のメタ的な視点も含まれていたりして、ストレートなものをあえて避けようとしているのが伝わってくる。</p>
<p>そんな間で葛藤していたからこそ、企画から完成までに14年以上もかかっているのだろう。</p>
<p>今回の映画版『バービー』の監督として抜擢されたのも、いわゆるガールズ・ムービー、ティーン・ムービーを得意とするマーク・ウォーターズやロバート・ルケティック、ケニー・オルテガではなく、『レディ・バード』(2017)や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)といったフェミニズム色の強い作品を手掛けてきたグレタ・ガーウィグ。グレタが監督務めるという時点で、すでにとがった作品になっていることは間違いなかったが、実際にそれを上回る作品となっている。</p>
<p>極端にフェミニズムが行き過ぎた世界を「バービーワールド」、一方で極端にマスキュリズムが行き過ぎた世界を「人間の世界」とすることで、真の男女平等というもののバランスをとることがいかに難しく、権力をもった側の独裁政治に傾くという皮肉も含んだ内容となっており、グレタが今まで作品を通して伝えてきたものを一旦俯瞰的に見ることで、自問自答しているような作品でもあるのだ。</p>
<p>今作を良かれと思って「フェミニズム映画」と書くメディアも多くあるが、フェミニズムとは何かを改めて問う作品だけに、「フェミニズム映画」というのはグレタ監督の趣旨に反しているような気がしてならない。</p>
<p>『バービー』は特殊な例かもしれないが、配給会社のワーナーにとって『ダークナイト』(2008)を抜いて、歴代全米興収1位という成績を残し、おもちゃ原作の映画であっても自由な世界観を取り込んでも成功できるという前例を作ったことには大きな意味がある。</p>
<p>全米俳優・脚本家組合のストライキの動向次第とはなるものの、今後、間違いなくおもちゃ原作映画企画が続々と挙がってくるに違いないだろう!!<br />
<img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/08/31123249/090990.jpg" alt="" />©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.</p>
<p><module-adv></module-adv></p>


『トランスフォーマー/ビースト覚醒』『バービー』など、おもちゃを原作にした映画が今熱い!!

Buffy 吉川

<p>映画評論家・ヒンディー・ミュージック評論家のバフィー吉川がインドエンタメの”今”を紹介します。</p>


ステレオタイプがぶっ飛ぶ 60分！！

バフィー吉川のI-POP IMPACT！

ANI（スチャダラパー）

セク山

KASHIF

<p>スチャダラパーからANIと、普段から交流の深いセク山がお送りする、題して「ANI &#038; セク山の京浜ネバーランド」！おやすみ前の素敵な音楽とおしゃべりでネバーランドにお連れします。<br />
京浜ネバーランドでは皆さまからのお便り募集中！採用された方には番組特性ステッカーをプレゼント！10枚GETでいいことがあるかも！住所・氏名・ペンネームを忘れずに明記の上、こちらのアドレスにお送りください→&#8221;<a href="mailto:keihinneverland@gmail.com">keihinneverland@gmail.com</a>&#8220;</p>


スチャダラANIとセク山のフリートークショー

京浜ネバーランド ~ネトフリとかゲームとか人生とか~

☆Taku Takahashi

<p>☆Taku Takahashi &amp; TJO が世界中から集めたまだ発売されていないエクスクルーシヴチューンや、これからのクラブフロアを賑わすであろう最新キラーチューン等を紹介、また注目のDJ/アーティスト達によるここでしか聴けないインタビュー等も数多くフィーチャーしているプログラム。</p>


世界中から集めた最新チューンをどこよりも早く紹介

TCY Radio

<p>Text：バフィー吉川</p>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="「ホーンテッドマンション」本予告編｜この館は最後の1人を待っていた｜9月1日（金）劇場公開！" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/SoqzSP3wWwg?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p>黒人アーティストのハリー・ベイリーが主演を務めたことでも話題となった『リトル・マーメイド』も記憶に新しく、『美女と野獣』や『ピノキオ』、今後も『白雪姫』『リロ&amp;スティッチ』、割と近年に公開された『モアナと伝説の海』などといった、ディズニーアニメの実写企画が進められている。</p>
<p>またその一方で、ディズニーはもうひとつの映画化企画を積極的に進めている。それは現在公開中の『ホーンテッドマンション』のような、ディズニーリゾート・アトラクションの映画化企画だ。</p>
<p>許可なしに撮影して問題となったダークファンタジーの『エスケイプ・フロム・トゥモロー』(2014)や、フロリダのディズニーリゾートと周辺に住む貧困層との格差を描いた『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)といった、ディズニーリゾートが出てくる作品はいくつもあるものの、オフィシャルに制作されたものは意外にも少ない。</p>
<h3>■アトラクションを映画化する意味とは?!</h3>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/09/27010526/h1.jpg" alt="" />© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.</p>
<p>ディズニーリゾート・アトラクションを映画化する趣旨としては、アトラクションにストーリー性を加えることで、より奥行をもたせるのと、またその逆パターンでストーリー性をもったアトラクションをより身近にすることが目的である。</p>
<p>もともとアトラクションを映画化する流れは最近になって始まったことではなく、「タワー・オブ・テラー」をキルスティン・ダンスト主演でテレビ映画化した『ホーンテッド・ホテル』(1997)なども制作されてきているが、一番前のめりになっていたと思われるのが2000年代に入ってからだといえる。</p>
<p>『ホーンテッドマンション』は2004年にもエディ・マーフィ主演で制作されている。ただ、この頃はエディの人気が低迷期で、出演するコメディがことごとく酷評されるというアウェーな空気感のなかでの作品だったことも重なり、案の定というべきか、酷評されてしまった。</p>
<p>アトラクションの映画化といえば、「カリブの海賊」を映画化し、クセ者俳優として知られていたジョニー・デップを一気にメジャーシーンに持ち上げた「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズはあまりにも有名であり、ヒットした作品ではあるものの、2004年版『ホーンテッドマンション』も含め、実は成功例があまりない。</p>
<p>「カントリーベア・シアター」を映画化した『カントリー・ベアーズ』(2002)も良い成績だったとは言い辛いもので、2000年代前半は『リロ&amp;スティッチ』(2002)など一部のヒット作で補われていた部分が大きく、ディズニーのアニメも実写も成績が伸び悩んでいた。</p>
<p>ドリームワークスに触発されて自虐的なネタを入れた『チキン・リトル』(2005)など、この頃のディズニーは、とにかく新しいもの、斬新なものを求めていた傾向が強い。</p>
<p>「パイレーツ・オブ・カリビアン」ヒット前後でもアトラクションの映画化は大量に企画されたが、結局のところ「パイレーツ・オブ・カリビアン」しかヒットしないという問題から、先送りを重ね、そのままお蔵入りになるというパターンを繰り返していた。</p>
<p>ドウェイン・ジョンソン主演で制作された『ジャングル・クルーズ』(2021)も、もともとはこの頃から企画されていた作品であり、アトラクションだけではなく、ジョージ・クルーニー主演でパーク内エリアの「トゥモローランド」を題材とした作品『トゥモローランド』(2015)が制作されるなど、試行錯誤が繰り返されていた。</p>
<p>ちなみにブレンダン・フレイザー主演で映画化され、その後フランチャイズ化もされた『センター・オブ・ジ・アース』(2008)は、東京ディズニーシーにもある「センター・オブ・ジ・アース」の映画化ではない。アトラクションの原作とされているジュール・ヴェルヌの1864年の小説「地底旅行」の映画化で、アトラクションを映画化したわけではなくディズニーは無関係というややこしい作品だ。また、ここにきて2023年にDisney+配信ドラマとして「センター・オブ・ジ・アース」が制作されているなど、さらにややこしい状況となっている。</p>
<p><module-adv></module-adv></p>
<h3>■マーベルを買収したことで誕生した「ディズニー・キングダム」シリーズ</h3>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/09/27011348/91k3GTL9C0L._SL1500_.jpg" alt="" /><a href="https://www.amazon.co.jp/Disney-Kingdoms-Thunder-Mountain-Railroad-ebook/dp/B08TKJ134C" title="Disney Kingdoms: Big Thunder Mountain Railroad">Disney Kingdoms: Big Thunder Mountain Railroad</a></p>
<p>「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの人気も落ち着き、2015年の『シンデレラ』からは実写化プロジェクトに尽力するようになっていくが、次のフェーズとして、お蔵入りになっていたアトラクションの映画化企画を復活させていくことになる。それを後押ししたのは、コミック界を驚かせたある出来事が大きく関わっている。</p>
<p>それは2009年にディズニーがマーベルを買収したことだ。</p>
<p>もともとディズニーはゴールドキー・コミックス、ブーム・スタジオズ、IDWといった出版社を通してコミック展開をしており、現在もマーベル以外にダイナマイト・エンターテインメントから「ディズニー・ヴィラン」シリーズを展開させている。しかし、マーベルを買収したことで安定した土壌が築きあげられたのは事実で、そこから映画やドラマという枠を飛び出して、コミックという媒体での大きな飛躍を狙った。</p>
<p>「ディズニー・キングダム」シリーズとして、「ビッグサンダー・マウンテン」や「ホーンテッドマンション」といった作品をコミックシリーズ化しただけではなく、未完成のままお蔵入りになったアトラクション「Museum of the Weird」を題材とした「Seekers of the Weird」なども出版された。</p>
<p>アトラクションに奥行をもたせる計画はまだ終わったわけではなかったのだ。これらのコミックシリーズが全体的に成功したかというと、ちょっと微妙な部分はあるものの、アトラクションを題材とした作品の企画が2010年代に入って徐々に表舞台に戻り始めた。</p>
<p>とはいえ『ジャングル・クルーズ』の完成までにはそれから10年以上かかっているわけだが、無事に『ホーンテッドマンション』も公開を迎えた。また、同作の監督ジャスティン・シミエンが、マイケル・ジャクソンが登場する立体アトラクション「キャプテンEO」の映画化を前向きに検討しているとも語っていることもあり、保留になったままの映画化企画が今後、本格的に動き出すかもしれない。</p>
<h3>■今後映画化される予定のアトラクション</h3>
<p><div class="iframe-wrap"><iframe loading="lazy" title="【公式】ビッグサンダー・マウンテン / Big Thunder Mountain" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/jR0Hgxvk5fw?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></div></p>
<p><strong>〇「タワー・オブ・テラー」</strong></p>
<p>東京ディズニーシーにもある人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」だが、もともとは「The Twilight Zone Tower of Terror」というタイトルのアトラクションで、ドラマシリーズ「トワイライト・ゾーン」を原作としたアトラクションだ。</p>
<p>「トワイライト・ゾーン」という作品からイメージを切り離す目的として制作されたのが1997年のテレビ映画『ホーンテッド・ホテル』だが、新たにスカーレット・ヨハンソンを主演に映画化する企画が浮上している。</p>
<p>『ジョジョ・ラビット』(2019)でもスカーレットとタッグを組んだタイカ・ワイティティが監督を務め、『トイ・ストーリー4』(2019)のジョシュ・クーリーが脚本を務めると2021年頃は言われていたが、現在のところどうなっているかは不明な状態だ。</p>
<p><module-adv></module-adv></p>
<p><strong>〇『スペース・マウンテン』</strong></p>
<p>宇宙をテーマとした屋内コースター型アトラクション「スペース・マウンテン」は、決まったストーリー自体が存在しておらず、自由にストーリーを構築しやすい部分がある一方で、今後のアトラクションのイメージを変える可能性もあるだけに、慎重になっている部分もあるだろう。</p>
<p>『トランスフォーマー ビースト覚醒』の脚本家であり、ハリウッド版「僕のヒーローアカデミア」の脚本を務めるとされているジョビー・ハロルドに、2020年の段階で脚本の執筆依頼があったとされているが、現在のところどこまで進んでいるのかは不明。</p>
<p><strong>〇『ビッグサンダー・マウンテン』</strong></p>
<p>「ビッグサンダー・マウンテン」は、カリフォルニア州の廃坑を舞台に暴走する鉱山列車に乗るという、ディズニー映画ではない、ジョン・ウェイン主演映画『西部開拓史』(1962)がモチーフとされたアトラクション。</p>
<p>2022年の段階では、『ダンス・キャンプ』(2016)や『トゥループ・ゼロ 夜空に恋したガールスカウト』(2019)を手がけたケイティ・エルウッドとアンバー・ティンプルモア＝フィンレイソンの女性監督コンビ「バート＆バーティー」と監督交渉を行っているとされていた。それに加え『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(2011)のミシェル＆キーラン・マローニーが脚本を執筆するという。</p>
<p>「バート＆バーティー」は、Disney+のマーベルドラマ「ホークアイ」でも演出を手がけているほか、「ビッグサンダー・マウンテン」のストーリー案のプレゼンテーションも実際に行われていたりと、一番実現化に近い企画ともいえる。</p>
<p>ところが、全米脚本家組合・俳優組合のストライキの影響やマーベルや「スター・ウォーズ」シリーズ作品が増えすぎていることによる調整の影響などもあって、実際に制作されるのか、またそれがいつになるのか……といった具体的な情報はまだ発表されていない。</p>
<p>そのほかにも、どうやって映画化するのかが気になる「イッツ・ア・スモールワールド」などもあったりと、今後も多くの映画化企画が控えている。</p>
<p>ディズニーランドやシーに行った際には、既存する作品はその作品を思い浮かべながら、まだ制作されていないものは「これを映画化したら、どんな感じになるんだろう」と思いながらアトラクションに乗ってみるのも、また新たな楽しみ方になるかもしれない。</p>
<p><strong>ホーンテッドマンション</strong></p>
<p><img src="https://img.block.fm/wp-content/uploads/2023/09/27011703/h2.jpg" alt="" /></p>
<p>2023年製作／122分／G／アメリカ<br />
原題：Haunted Mansion<br />
配給：ディズニー<br />
劇場公開日：2023年9月1日</p>
<p>ディズニーの人気アトラクション、あのホーンテッドマンションが実写映画化！<br />
ある親子が破格の条件で手に入れた、豪華すぎるマイホーム。だがそこは、999人のゴーストが住むという“呪われた館”だった。<br />
二人を救うため、かなりクセが強い4人の心霊エキスパート（心霊写真家、歴史学者、霊媒師、神父）が集結。<br />
果たして、この館に秘められた謎とは何か…？ “恐怖”と“笑い”がノン・ストップで押し寄せるアトラクション・ムービーが誕生する。</p>
<p>キャスト<br />
ロザリオ・ドーソン, オーウェン・ウィルソン, ダニー・デヴィート, ジェイミー・リー・カーティス, ジャレッド・レト</p>
<p>監督<br />
ジャスティン・シミエン</p>
<p>公式サイト：<a href="https://www.disney.co.jp/movie/hauntedmansion">https://www.disney.co.jp/movie/hauntedmansion</a></p>
<p>© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.</p>
<p><module-adv></module-adv></p>


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