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ティーンエイジャーの繊細さとおバカな部分を強調した”新解釈”『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』

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PHOTO: © 2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.
世界中で愛される「タートルズ」の最新作公開を記念して、「タートルズ」の歴史や今までのコラボレーションを振り返る。
2023/10/13 17:30
Buffy Yoshikawa
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Text:バフィー吉川

世界中から愛されている亀のヒーロー「タートルズ」シリーズの最新作にして、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007)や『ソーセージ・パーティー』(2016)のセス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグがタッグを組み、さらに監督として『ミッチェル家とマシンの反乱』(2021)がアカデミー賞にノミネートされたこともあって世界が注目するクリエイター、ジェフ・ロウが監督を務めた『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』が9月22日から公開中だ。

今回の映画化ではティーンエイジャーという要素を拡張したものとなっており、ティーン特有の多感で繊細な部分、例えばマイノリティへの葛藤などを描くのと同時に、悪ノリや危なっかしさといったものも描いている。その点ではセス・ローゲンが関わっている影響が大きく反映されており、今までの「タートルズ」とは全く違ったものが完成したといえる。

現代のアニメーション技術を駆使し、全編がグラフティアートやコミックのような演出となっているのも特徴的。同じくコミックをそのまま映画化したような『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)とはまた違ったテイストというか、質感というか……。

ベースとなる技法は似ていても全く異なる作品が誕生してくると思うと、今後のアニメの発展にも希望が持てる。ただ最新技術を駆使するのではなく、どことなく懐かしいクレイアニメーションのような動きにもなっていたりして、ひとつのアニメ映画としても見所が満載だ。

「タートルズ」といえば、これまでにも90年代から現在にかけてコミックはもちろん、ドラマ、映画、アニメ、ゲームと様々なメディアで展開されてきた人気キャラクターであるのだが、そもそも「タートルズ」とは何なのか……ということは、あまり知られていなかったりもする。

「タートルズ」とは、いったい何なのか?改めて知ってもらうことで、今作をより楽しめることだろう。

■タートルズは血生臭いバイオレンスコミックだった?!

日本では「ミュータント・タートルズ」や「忍者タートルズ」などというタイトルで知られている「タートルズ」だが、正式名称は「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」、通称TMNT。

今作『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』で、ティーンエイジャー要素が新たなに組み込まれたわけではなく、もともと「タートルズ」は原題の通りティーンエイジャーという設定なのだ。その点では今作は忠実というよりも、ティーンエイジャーという設定を強調した“再解釈版”ともいえるだろう。

もともとマーベルコミックスのフランク・ミラー版「デアデビル」のバイオレンス性と「ニュー・ミュータンツ」の能力(マイノリティ)に悩む10代のミュータントたちの繊細なストーリーといった要素を、カメのキャラクターに落とし込んだパロディコミックがルーツである。

そんなコミック版は、ケビン・イーストマンとピーター・レアードのふたりによって、1984年に約3300冊が自費出版された同人誌。ミラージュ・スタジオという出版社を名乗っていたが、はじめは家のリビングをそう呼んでいただけだった。

キャラクターも「デアデビル」の要素が強く、フット団というのも「デアデビル」に登場する“ザ・ハンド”が原型にあったりするし、ケビンとピーターが崇拝する偉大なコミックアーティストのジャック・カービーにかなり影響を受けており、マーベルのパロディキャラが多く存在している。

ところが現代において「タートルズ」というと、コミカルで愛らしいキャラクターという印象が強い。それはなぜだろうか……。

それは同人誌版「タートルズ」があまりにもヒットしたことで、増刷、続編が出版され、人気を博していることに目を付けた企業によってフランチャイズ化されることになり、より大衆、とくに子ども受けするようにコーティングされていったからだ。

とくに87年から放送開始されたアニメ版(日本でも1991年から放送開始)はコミカルな要素を多く取り入れたものとなっており、そこから派生して映画や新たなアニメなども制作されるようになっていったことから、世間の「タートルズ」のイメージは、アニメやフランチャイズ化した企業の影響が強いといえるのだ。

バイオレンス色が強いままなら、今のような成功はなかったかもしれないと思うと複雑な心境になるものの、コミック版では、そういったオリジナルの要素を大切にしたいと思っているアーティストも多く存在しており、コミック版は割と大人向けな内容のものが多かったりもする。

今回はティーンエイジャー要素を強調していたが、バイオレンス要素を強調した作品というのも観てみたいものだ!!

■意外な共演! タートルズのフットワークの軽さに注目!!

現在「ストリートファイター6」とのコラボが期間限定で実施中の「タートルズ」ではあるが、アメコミといえば、同じ出版社のキャラクター同士が共演するクロスオーバー企画が度々行われており、タートルズも様々なキャラクターと共演している代表的なキャラクターだ。

IDWから出版された「Infestation 2」では、「トランスフォーマー」や「G.I.ジョー」などのキャラクターたちと共演したものや、出版社の枠を超えてDCコミックスのバットマンと共演した「バットマン/ミュータント タートルズ:ベインの逆襲」、またDCキャラクターたちによる格闘ゲーム「インジャスティス2」では、ダウンロード用コンテンツのゲストキャラクターとして登場している。

変わったところではドラマ「ストレンジャー・シングス」のメンバーと共演した短編シリーズ「Teenage Mutant Ninja Turtles x Stranger Things」も現在出版されている。

映像作品としては、ドラマ版の「ニンジャ・タートルズ ザ・ネクストミューテーション」を「パワーレンジャー」シリーズで知られるサバン・エンターテイメントが制作していた繋がりから、「パワーレンジャー・イン・スペース」(「電磁戦隊メガレンジャー」のリメイク)の第4話「敵はニンジャ・タートルズ!?」では、サブタイトルの通りタートルズとの共演エピソードがある。

そして2019年には、ついに「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー/ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」というタイトルで本格的に共演したコミックが出版されたことも話題となった。

『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』の作中にもアデルのコンサートに忍び込んだり、マシュー・ブロデリック主演『フェリスはある朝突然に』(1986)の本編が使用されていたりと、現実世界に存在するサブカルチャーとの繋がりも描かれているだけに、今後シリーズ化された際に、意外なキャラクターとの共演もあり得るかもしれない!!

■『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』作品情報

【ストーリー】
子供のころより‘危険な存在’である人間から隠れて暮らしてきたタートルズたち。'普通のティーンエイジャー'として彼らが住む大都市ニューヨークのみんなに愛され受け入れられたいーその願いを叶えるため、新たな友人エイプリルの助けを得つつ謎の犯罪組織との戦いに繰り出す。そんな彼らの前に現れたのはミュータント化した敵の大群だった……。

【クレジット】
監督:ジェフ・ロウ(『ミッチェル家とマシンの反乱』)
製作:セス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ、ジェームズ・ウィーバー(『ネイバーズ』)
<声の出演>
シャモン・ブラウン・Jr、ニコラス・カントゥ、ブレイディ・ヌーン、マイカ・アビー、ジャッキー・チェン、ジョン・シナ、アイス・キューブ、ジャンカルロ・エスポジート、ポスト・マローン、ポール・ラッド、マーヤ・ルドルフ、セス・ローゲンほか
<日本語吹替版キャスト>
宮世琉弥、齊藤京子、佐藤二朗、土屋神葉、戸谷菊之介、榊原優希、堀内賢雄、朴璐美、草尾毅、木内秀信、落合弘治、中村悠一、竹内順子、沢城みゆき、梶裕貴、長谷川カオナシほか
原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem
配給:東和ピクチャーズ
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