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ゲーム配信をもっと身近に。初心者にもおすすめの機材、Roland「BRIDGE CAST X」に込められたこだわりを訊く

2024/04/10 18:00
Jun Fukunaga
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PHOTO: 溝口裕也
音楽機材メーカーのRolandは2023年にゲーム配信用オーディオミキサー「BRIDGE CAST」を発売し、ゲーム業界に参入した。音楽機材メーカーとして知られる同社がなぜゲーム業界に参入したのか、また同社ならではの他にはないこだわりとは何なのか。その答えを探るべく、開発者への深堀りインタビューを実施した。

「ゲーム配信、やってみたいけど機材のセッティングとか難しそう…。」そんなあなたに朗報だ。

音楽機材メーカーとして知られるRolandが、2023年にゲーム配信用の機材「BRIDGE CAST」を発表し、ゲーマーの間で話題を呼んだことは記憶に新しい。そして今年、同社は最新機材「BRIDGE CAST X」を発表し、再びゲーム配信者の間で注目を集めている。

ただし、ゲーム配信をこれから始める人にとっては、その魅力やすごさをすぐに理解するのは難しいかもしれない。そこで今回、block.fmでは、そもそもRolandがなぜゲーム業界に参入したのか、BRIDGE CAST Xこだわりの機能やおすすめしたいユーザーについて、開発に関わったRolandの渡邊正和氏、大場民樹氏、加藤泰生氏の3名に話を聞いた。

左から大場民樹氏、渡邊正和氏、加藤泰生氏

複数のゲーム機やPCへの接続がよりシンプルに。気軽に高品質な配信を可能にする「BRIDGE CAST X」

ーー最新の「BRIDGE CAST X」には、先行モデルの「BRIDGE CAST」にはなかったビデオキャプチャー機能(ゲーム機の映像を取り込む機能)が追加されたことが特に注目を集めていますよね。

渡邊:ビデオキャプチャー機能の搭載によって、ゲーム配信が初めてという方でも簡単にセットアップできるようになったことが大きいと思います。これにより、配信準備のハードルが大幅に下がりました。Rolandは「音」に特化したブランドと思われがちですが、実はプロが使う映像系の機材も開発しているんです。その技術を活用しているので、複雑なセッティングなしに高品質な映像と音を配信することができます。

ーー機材に慣れていない人でも簡単にクオリティの高い配信ができるのは嬉しいですよね。BRIDGE CAST Xには6つのパッドも新たに搭載されました。

渡邊:このパッドには効果音やOBS(ライブ配信に使用するソフト)など、様々な機能を割り当てられるので、自分好みにカスタマイズすればよりスムーズな配信が可能になります。「ゲーム配信者のデスク紹介」などを観ていると、多くの方が音声調節用の機器とは別に、ゲームの切り替えなどに使う別の装置を使用されているんですよね。ビデオキャプチャー機能とパッドの搭載によって、「BRIDGE CAST X」を使えばデスク上の機器の数を減らし、配線もスッキリさせることができます。導入された方からは「デスクが広く使えるようになった」という嬉しいお声もいただいています。

ーーゲーム配信をすでに経験している人からは、2PC配信ができるようになったことも注目されているようでした。

渡邊:2台のPCを使って配信する方も多いと思いますが、NDI(ビデオとオーディオのストリームをネットワーク経由で送受信する技術)やビデオキャプチャーを使用する方法は必ずしも簡単ではないんですね。そこでより手軽に2PC配信をするための方法として、BRIDGE CAST Xに2台PCの接続機能を搭載したんです。

ーーどのようなユーザーにBRIDGE CAST Xはおすすめですか?

渡邊:複数のゲーム機を持っていて、配信をしたい方におすすめです。プレステやSwitch、PCでもゲームをする方は、BRIDGE CAST Xを使えばより簡単に配信ができると思います。あとは先ほど言ったように2台のPCを使って配信したい方にもおすすめですね。

加藤:これからゲーム配信を始めようと思っていて、まだ機材を買い揃えていない方にも知っていただきたいです。これ一つあれば様々な機能が使えるので、より簡単にクオリティの高い配信ができると思います。ハイエンドモデルでもあり、エントリーモデルでもあるのがこのBRIDGE CAST Xです。

ーー配信の初心者から上級者まで、どんなレベルの人にもおすすめできるんですね。他にもこだわった機能はありますか?

渡邊:配信によく使用されるShure「SM7B」などのマイクは高いゲインが求められます。Rolandにはプロ用オーディオミキサーを開発してきた技術もあるので、そういったマイクでもしっかりとサポートできるマイクプリアンプが搭載されていて、高音質な音声を配信できます。

ーー開発者だから語れるBRIDGE CAST Xのおすすめの使い方はありますか?

渡邊:「iPad OS17」のアップデートで、iPadに別のデバイスからの映像を映し出すことができるようになりました。つまり、BRIDGE CAST XとiPadを接続すればゲーム機からの映像をiPadに送信できます。これで、配信用のアプリを使えば、PCを使わずにSwitchのゲームをiPadで配信するといったことが可能になります。この機能はまだあまり知られていないので、ぜひ多くの人に使ってみてもらいたいです。

大場: BRIDGE CASTシリーズはMacにも対応しているので、プレステなどのゲーム機を持っていてゲーム配信を始めたいMacユーザーにもおすすめですね。USB端子も2つあるので、音楽はMacで、ゲームはWindowsで、など2台のPCを柔軟に使い分けることも可能です。ゲームだけでなく音楽など様々なコンテンツを配信したい方のセットアップもスムーズになると思います。

BRIDGE CAST X本体の接続端子

渡邊: 配信中に音楽が途切れないようにしたい時も、そういった使い分けはPCの負荷軽減にもなりますね。

ーー先行モデルの「BRIDGE CAST」と比較したいユーザーもいると思うんですが、どのように選ぶといいでしょうか?

渡邊:基本的にPC1台で配信する人はオリジナルの「BRIDGE CAST」、複数のゲーム機を持っている、あるいはパッドを使って手元で色々と操作をしたい方は「BRIDGE CAST X」がおすすめです。

ーーBRIDGE CASTシリーズと一緒に使うと便利なRoland製品はありますか?

加藤: V-MODAブランドのヘッドホンと取り外し可能なマイク「BOOMPRO X」を組み合わせると、ゲーム配信に最適なヘッドセットを作れます。

V-MODAのヘッドホンとBOOMPRO Xのマイクカバーでカスタマイズを楽しむのもおすすめです。

さらに配信のクオリティを上げたい方には、プロ仕様の「AUDIX」マイクなどもご提案できます。

AUDIXのマイク「A131」

渡邊: BRIDGE CASTには、外部から音を入力できるAUX端子も搭載されています。これにAIRA Compactシリーズなどの電子楽器を接続すれば、配信に様々な音を加えることができます。また、SP-404MKIIのDJモード機能を活用すれば、DJ配信も可能になるなど、組み合わせ次第でよりクリエイティブな配信もできると思います。

AIRA Compactシリーズ

Rolandが追求する、ゲーム配信での「音へのこだわり」

ーーRolandから出たゲーム配信機材ということで、やはり「音」についてのこだわり部分も詳しくお聞きしたいです。

渡邊:ゲームを良い音で楽しむことと、配信を観る人にとっても視聴しやすい音であることの両立を目指しました。

まずは良い音でゲームができるという視点で言うと、最近はAPEXなどのFPSゲーム(一人称視点シューティングゲーム)をやる方が増えています。BRIDGE CAST Xでは敵の足音などゲームのポイントとなる音を持ち上げて聴きやすくするよう、EQをかけることもできます。

加藤:BRIDGE CAST XはHDMIの7.1chに対応しており、実際に7つのスピーカーを設置したときの音と比較しても遜色ない音になるようにチューニングされています。僕自身もFPSをよくプレイするのですが、BRIDGE CAST Xを使うと実際に自分が戦場に立っているかのような臨場感のある音が体験できて、開発側ながらすごく感動しましたね。

大場:BRIDGE CAST Xならどんなヘッドホンでもバーチャルサラウンド化できるので、お気に入りのヘッドホンをそのまま使いながら、臨場感ある音でゲームを楽しめます。

渡邊:Rolandには独自の立体音響技術「RSS」があるのですが、このバーチャルサラウンドにはその技術を応用しているんです。

ーー長年培ってきた技術がゲームの分野でも活かされてるんですね。配信の視聴者にとっての音という点ではどうでしょうか?

渡邊:例えばYouTubeでゲーム配信を観ていても、視聴者から「音が小さい/大きい」とコメントされているケースを見かけたりしますよね。ボイスチャットをしながらゲームする人も多く、音量調整やミュートの操作がクイックにできることがかなり重要になっています。そういったケースで「音の調整をできるだけ失敗しない」ように考えて開発しています。

BRIDGE CASTシリーズには、配信者と視聴者が聴く音を別々に調整できる機能もあります。ゲームをプレイする側は音量を大きくしたいけれど、配信を観る視聴者にとっては不快な音量になってしまう、といった問題を解決できるんです。

加藤:その切り替えを手元のボタンですぐに行えるんですね。配信側と視聴者側の音量差のバランスを変えず、単純に音量だけを上げるといった操作も可能です。

大場:BRIDGE CASTシリーズはライン出力を搭載しており、モニタースピーカーに出力することもできます。スピーカーとヘッドホンの音量を独立して調整できる機能も便利ですね。

ーー様々なシチュエーションを想定した機能が搭載されているんですね。

渡邊:そうですね。BRIDGE CASTには専用チップによる音声処理機能があるため、エフェクト等もかけられます。また10バンドイコライザーによって、足りない音域を補正するなど細かく調整可能です。ここまで音にこだわったゲーミングDACは他にはないと思いますよ。

加藤:音の設定はBRIDGE CASTに保存しておけるのと、自分が保存した設定をファイルとして出力し、友達などと簡単に共有もできます。

Rolandのボイスチェンジャー「VT-4」と同じようにユーザーの声を変える機能もあります。今、アメリカでは『グランド・セフト・オート』というゲームのプレイ中だけ自分の声を変えるのが流行っています。そういったニーズもあるので、ゲーム実況中に手軽にボイスチェンジャーが使えると便利だなと考えたことがきっかけで搭載されました。

渡邊:ボイスチェンジャーには歌用とVTuber用の2種類があります。アプリを使うことでその設定を数値で調整できるため、好きなVTuberの設定が分かれば似せた声を作ることもできますよ。

大場:VT-4 の場合は、ミキサー機能がなく別途オーディオミキサーと組み合わせて使う必要があります。入力した音声が一度アナログに変換されるため、どうしても音は劣化してしまいます。でもBRIDGE CASTシリーズでは、音声はデジタルのままなので、音質が劣化することはありません。

ーーAI生成の著作権フリー音源を使用できる「BGM CAST」もRolandならではですよね。

加藤:はい。長時間ゲーム配信する場面などで使用できる、BGMを提供するサービスです。

既存のアーティストの音源を使用すると著作権侵害になってしまいますが、BGM CASTではAI生成の著作権フリー音源を使用するため、そういった心配はありません。ムードやジャンルを選ぶだけで、長時間のゲーム配信に適した曲が次々と再生されますし、お気に入りの曲を集めたプレイリストの作成や編集も可能です。

さらに効果音ライブラリも使用できます。BRIDGE CAST Xのパッドには効果音やBGM CASTの再生/停止、プリセットの切り替えといった機能の割り当ても可能です。無料でも使用していただけますが、サブスクリプションプランに加入していただくとより多くの曲が使用できるようになります。

専用アプリでのBRIDGE CAST Xのパッドの編集画面

楽器作りのノウハウを活かしたユーザー視点の機材設計

ーー音楽制作機材メーカーとしての印象が強いRolandがゲーミング・オーディオミキサーに参入した経緯を教えてください。

大場:Rolandとゲーム音楽には、ミュージ郎(DTMシステム)をPC98パソコンに導入してゲームの音質を向上させたり、ドラクエシリーズの音楽を手掛けたすぎやまこういちさんにDTMコンテストの審査員を務めていただくなど、実は昔から繋がりがあります。とは言え、ゲーム音楽の作り手側には製品を使ってもらってきたものの、エンドユーザーとの関わりがあまりなかったため、Rolandはゲームの文脈ではあまり認知されていませんでした。

渡邊:楽器を使う人以外にもRolandを知ってもらうきっかけを作りたいと考えていました。盛り上がりを見せているゲーム業界は、音楽との親和性が高く、Rolandが持つ音だけでなく映像面の強みを活かせるチャンスがあると考えたのが参入のきっかけですね。

海外の販売会社でもゲーミングデバイス市場の伸びを把握していましたし、社員の中にもゲーミング・オーディオミキサーを作るアイデアを長年温めている人がいたという経緯もあり、2023年にその第一弾として発表されたのがBRIDGE CASTです。

ーー開発にあたって大切にしていたことはありますか?

渡邊:今までお話したように音や映像面の技術を活かしているのはもちろんなのですが、ゲーム配信機材としての使いやすさにもとことんこだわっています。

例えば、ヘッドホン端子やライン出力、各ツマミを操作の邪魔にならないように配置しています。機能を切り替えるボタンも比較的大きなものにすることで押しやすく、配信中に操作ミスが起こらないようにしています。また、あまりないかもしれませんが、ゲーム配信中に興奮して機材を叩いてしまったとしても壊れにくいようにとても丈夫な作りになっています。長年の楽器作りでも大切にしてきた「使いやすさ」をBRIDGE CASTシリーズにも反映していますので、使いやすく、長く使用していただける機材だと思います。

ーー「東京eスポーツフェスタ2024」への出展、ゲーム配信者グループ「オレ達の遊ビバ!」(以下オレビバ!)とコラボレーションした「BRIDGE CAST」もリリースされました。ゲーム分野での最近のRolandの動きに関しては、ユーザーからどのような反響があるのでしょうか?

大場:この1年でゲーム配信に限らず、ゲーム用オーディオインターフェースとしてBRIDGE CASTを選択肢に挙げてくださるユーザーが増えたように思います。また、今後のゲーム配信を見越して最初からBRIDGE CASTを選ぶ方も増えてきた印象があります。

加藤:オレビバのポップアップストアには多くの若いお客さんに来場いただけました。楽器を弾かない方はもちろん、視聴するゲーム配信のジャンルもそれぞれ違い、配信は見るけどゲームはやらない方など多様な方がいました。Rolandがこれまでアプローチできなかった層にもリーチできたことが嬉しかったです。

ーー最後にゲーム分野におけるRolandの今後の展望について教えてください。

渡邊:BRIDGE CASTのオリジナルモデルとBRIDGE CAST Xを発表したことでラインナップが出揃ったので、市場の反応を見ながら今後の展開を考えていきたいと思っています。

加藤:楽器同様、ゲーミング・オーディオミキサーに関してもユーザーレビューを集めて、現行製品のアップデートや次の製品開発に活かしていくことが重要だと考えています。

大場:BRIDGE CASTはパネル交換ができ、BRIDGE CAST Xはオリジナル作成用のアウトラインデータを公開しているので、ユーザーの皆さんにはどんどんカスタムしてもらいたいです。今後はお話があれば、企業コラボもやっていきたいと思っています。

***

音楽好きな筆者としては、Rolandというとやはり楽器メーカーという印象がどうしても強い。そんな名門楽器メーカーが新たにゲーム業界に参入する理由が以前から気になって仕方なかった。しかし今回のインタビューを終えて、その疑問が解決した。

音の可能性は、何も音楽の分野だけに広がっているわけではなく、当然BGMや効果音を使うゲームにも広がっている。しかも現在はゲーム配信という新たなカルチャーが普及したことで、音の活用の可能性はさらに高まっている。そのような需要があるのであれば、楽器開発を通じて音に強みを持つRolandが参入するのも非常に納得がいく。

さらに映像に関してもプロAV機器開発で培った技術を持っているのであれば、自社の技術の強みをフル活用したBRIDGE CAST Xのようなプロダクトが生まれたとしてもなんら不思議ではない。加えて、そこにハード機材開発で培われたモノとしての使いやすさへのこだわりもあるのだから、当然その面でも優れた機材になることに疑いはない。

そのようないくつものこだわりが詰まったRolandのゲーム配信機材は、今後もゲーム業界で存在感をさらに高めていくことだろう。これからゲーム配信をはじめる予定の人やすでに始めていて機材の乗り換えを考えている人は、ぜひRolandのゲーム配信機材も視野に入れてみてはいかがだろうか?

なお、BRIDGE CASTのユーザー同士のコミュニケーションを目的とした Discord サーバーも開設されている。その中にRoland スタッフもいるので何か質問や困りごとがある人はこちらへの参加が解決への近道かもしれない。

BRIDGE CAST_JP Discordサーバー:
https://discord.com/invite/FxVD58dp6P

【製品情報】
Roland BRIDGE CAST X:https://www.roland.com/jp/products/bridge_cast_x/

Roland BRIDGE CAST:https://www.roland.com/jp/products/bridge_cast/

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