ヒップホップフェスでも“地蔵問題”が勃発?ベテランラッパー、Method ManがNYの大型フェスに「もう出ない」と発言し波紋

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フェスでの“地蔵問題”がヒップホップシーンでも?
ニューヨークのヒップホップラジオ局、HOT97が主催する夏直前の風物詩イベント「SUMMER JAM」が今年も開催された。このイベントでは毎年アップカミングなラッパーからベテラン、サプライズゲストまで登場し、さすがはニューヨークのトップラジオステーションだと日本からも楽しみにしているファンが多い。
しかし今年、注目を集めたのはメインアクトを務めたSexyy Red(セクシー・レッド)やDoja Cat(ドージャ・キャット)ではなく、ニューヨーク、スタテンアイランド出身のベテラン、Method Man(メソッド・マン)の「ジェネレーションギャップが大きすぎる」という投稿だった。
「もう出演することはないだろう」
始めに断っておくが、これはイベントに対して不満がある上でのコメントではない。Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のリードMCとして歴史に名を残し、盟友Redman(レッドマン)と共に当日のステージで素晴らしいパフォーマンスを見せたMethod Manは、「俺たちの観客ではなかった。主催チームには感謝しているけど、もう戻ることはないだろう」といった内容のコメントをSNSに投稿した。
“ジェネレーションギャップ”による観客の地蔵問題。これはあらゆるジャンルに起こることだが、「SUMMER JAM」では毎年のようにレジェンド枠が用意されている。レジェンドのパフォーマンスが観られることは、ファンとしてはありがたいし、ヒップホップシーンのためにも今後も続けて欲しいが、今年の観客はMethod Manが望む雰囲気ではなかったのだろうか。
ラインナップに対する疑問も
昨年、ヒップホップの50周年でも再認識されているが、ニューヨークはヒップホップの生誕地だ。その中でHOT97がフェスを続けることは大きな意味がある。かといって、ニューヨークのアーティストばかりを呼ぶわけにもいかないことも理解できるが、今年のラインナップには疑問を感じているファンも多かったようだ。
フライヤーに大きく載っている出演者はDoja Cat、Offset(オフセット)、Sexyy Red、Sleepy Hallow(スリーピー・ハロウ)、Davido(ダヴィド)、41、Tee Grizzley(ティー・グリズリー)で、Method Man & Redmanの名前はその間に小さくクレジットされていた。
このフライヤーから「ベテランに対するリスペクトが欠けている」と開催前から指摘されていたが、実際のパフォーマンス中に白けている観客がいたことから、開催後は「誰でもステージに上げてしまって、このラインナップはSNSのトレンドを追っているだけだ」とコメントするファンも。
集まった全ての観客を満足させることは難しいとは思うが、Method Manの「もう出ることはない」というコメントも踏まえ、来年以降のラインナップの方向性について改めて考える必要があるのかもしれない。
今年はコーチェラでもBlur(ブラー)のDamon Albarn(デーモン・アルバーン)が観客の反応の薄さに苛立ちを示していた。大きなイベントになるほど出てくる“地蔵問題”。規模や人数で話題を集めるだけではなく、アーティストやそのファンがお互いに満足できる環境作りに、より配慮が必要となると感じる。
また、フェスはお目当てのアーティストだけでなく、新たな音楽やアーティストと出会える場所でもある。知らない曲やアーティストに対してもオープンマインドで接することで、新たな感動に出会えるのがフェスの醍醐味だということも忘れずにいたい。