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ラップバトルはさらに過熱? Kendrick Lamarが新曲「euphoria」でDrakeにアンサー。強烈なディスだけではないリリックを読み解く

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PHOTO: Drake / Kendrick Lamar Facebook
激しいディスの中に感じる知的な愛情表現とは?ビーフの流れを振り返りつつ、スキルフルなラップ・コンペティションの行方を見守る。
2024/05/03 18:30
BsideNews
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Future(フューチャー)とMetro Boomin(メトロ・ブーミン)、そしてKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)による「Like That」に端を発する、現在USのヒップホップシーンを揺るがすビーフ。その標的はDrake(ドレイク)だ。

現在までの“主な”流れをおさらいすると、「Like That」以降、まずはDrakeと共にディスの標的となっていたJ. Cole(J・コール)がサプライズリリースしたアルバム『Might Delete Later』収録の「7 Minute Drill」でKendrick Lamarに反撃。しかし直後に後悔の念と共に謝罪し、ここで戦線離脱。

その後Drakeは「Push Ups」をリリースし応戦、さらに続けて「Taylor Made Freestyle」を発表。直後にKanye West(カニエ・ウエスト)が「Like That」のリミックスに参加しDrakeをディス。そして今回、Kendrick LamarがDrakeへのアンサーソング「euphoria」を発表した。

強烈なディスの中にも愛を感じるリリック

タイトルの「euphoria」とはフワフワとした高揚感を意味し、根拠のない幸福感など意味する言葉。そして、Drakeがプロデューサーの1人として参加している、アメリカHBOで放送されているドラマのタイトルでもある。6分を超える曲の中で、イントロはスポークンワードのような落ち着いた入りだが、その中身はディスが満載だ。

「The famous actor」とDrakeが役者上がりであることをイジると、「お前はラップ・アーティストではない」「俺は刺激的な音楽を作るがお前は落ち着いた曲ばかりだ」と続け、アーティスト性を否定している。

その後バースに入り「We ain't gotta get personal, this a friendly fade, you should keep it that way」とラップしている部分。これは「個人的な話はやめにしよう、フレンドリーな(同じレコード会社でもあることから)争いなはずだろ。俺の家族の話はするべきじゃなかった」とDrakeにアドバイス。ここで感じたのは、Kendrick Lamarはビーフにありがちなギャング争いなどではなく、あくまで知った顔同士のラップ・コンペティションとして扱っているということだった。

続く「It's always been about love and hate, now let me say I'm the biggest hater」でもKendrick Lamarは、自分の気持ちが愛と憎しみの間にあるものだとしつつ、自分が彼ら(DrakeとJ. Cole)の最大のヘイターであることも自認していることに愛情すら感じられる。

1バースの後半「I like Drake with the melodies, I don't like Drake when he act tough」。この前にはDrakeの嫌いな点を並べてディスしているが、結局なところ「メロディーは好きだよ。イキがっているのが嫌いなだけだ」とポイントをまとめている。

フィーチャリングの依頼も? そしてやはり触れてきたゴーストライター疑惑

2バース目に入って驚いたのはKendrick Lamar曰く、Drakeからフィーチャリングの依頼があったということ。実現していれば...と想像してしまうが、これを蹴ったのは昔からDrakeが暗にKendrick Lamarをディスしているリリックを曲にしていたからで、「You know that we got some s*** to address」と「その前に話すことがあるだろう」と返している。

さらに「Let's speak on percentage, show me your splits」で「お前のパーセンテージについて話そうか、分け前を見せてみろ」と、Drakeが先に触れてきたKendrick Lamarのレーベルとの過去の契約関係についても、「お前はどうなんだ」とレスポンス。こうしたディスの応酬では、MCバトルのように相手の言い分をうまく使うこともスキルのひとつで、わかりやすい。

そして「お前はLike Thatが好きじゃないのか?」としつつも「俺はBack to Back好きだったけどな」とDrakeが過去にMeek Mill(ミーク・ミル)とビーフしていた時の曲を“like”とまで言っている。

Drakeとビーフになる相手が、ほぼ全員が触れていること。それがゴーストライター疑惑。Kendrick Lamarもまた「I gotta smack n—as that write with you」と、「お前とリリックを書いている奴もまとめて相手してやるよ」と、その存在がいるかのようにラップしている。

愛を感じると言っても全体的には激しいディスであることには変わりない。しかし個人的にKendrick Lamarの知性的な言い回しには優しさも感じる。

DrakeはSNSですでに反応も

「euphoria」を受けてすでにDrakeはInstagramにて、1999年のコメディ映画『10 Things I Hate About You』のシーンを使って反応を見せている。Drakeの嫌いな部分を並べて、Kendrick Lamarに対して「お前のディスはこういうことだろ」と挑発的かつ嘲笑っているかにも取れる投稿だ。

この感じを見るとDrakeもまだまだアンサーを返す余力はあるだろう。アメリカのニュースサイトやSNSのコメントではKendrick Lamarの曲は「ジャブとしては素晴らしいが、ノックアウトするレベルではない」という見方もされている。

今回のビーフの流れで1人違う角度からDrakeをディスしているRick Ross(リック・ロス)は「熱くなりすぎるな、時間を置くんだ」となぜかDrakeに対してアドバイスを送っているが、果たして...。

「euphoria」のアウトロでKendrick LamarはKanye West「Get Em High」をサンプリングしていると注目されているが、これはKendrick LamarがKanye Westとも共闘するという意志の現れなのだろうか。まだまだ読めない部分の多いこのビーフ。ラップ巧者はKendrick Lamar、数字はDrake? 多くの意見が飛び交う中、一種のスポーツとして楽しみたいとも思う。

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