TikTokがアメリカで利用禁止に!? 法案成立によるアーティストや音楽クリエイターへの影響は


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TikTokの利用がアメリカで禁止される?
4月24日(米国時間)バイデン大統領は、アメリカ国内でのTikTokの運営を禁止することを盛り込んだ法案に署名した。この法案は、TikTokの中国の親会社であるByteDanceに、アメリカでの事業を270日以内(大統領権限でさらに90日まで延長できる)に売却しなければ、アメリカ国内でアプリ配信を禁じるというものだ。違反した場合は、アメリカの利用者1人あたり最大5000ドル(約80万円)を上限とする制裁金が課されることとなる。適格な分離が期限内に完了しなかった場合も1人あたり最大500ドルの制裁金が課されるという。
アーティストや音楽クリエイターへの影響は?
近年TikTokからは多くのバイラルヒットが生まれるなど、同プラットフォームの音楽シーンへの影響力は非常に大きい。その恩恵を受けたアーティストには、今月アメリカで行われた音楽フェス・コーチェラでヘッドライナーの一角を務めたDoja Cat(ドージャ・キャット)のような現行音楽シーンを牽引する人気アーティストも挙げられる。
▼TikTokでバズを生み世界的人気を獲得したDoja Cat「Say So」
そんな現在のアーティストにとって、キャリアアップのために必要不可欠な存在となっているTikTok。もしアメリカでの利用が禁止された場合、どんな影響があるのだろうか?
禁止の影響を考える上で参考になるのが、TikTokから楽曲を削除したUMG(ユニバーサル ミュージック グループ)とUMPG(ユニバーサル ミュージック パブリッシング グループ)の問題だ。
2024年1月末には、ライセンス契約更新の合意が取れなかったことを理由に、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)やBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)など人気アーティストが多数所属するUMGが原盤権を持つ楽曲をTikTokから削除。さらに2月末にはUMGの出版会社であるUMPGに所属する作曲家、または共同作曲で作られた楽曲も削除している。
UMGによる楽曲引き下げの影響を調査したVarietyの記事によると、UMGおよびUMPGと契約する多くのアーティストやソングライターにはすでにその影響が出ているという。特にTikTokは音楽をプロモーションするための有力なツールだったため、新進気鋭のアーティストにとっては大きな痛手となっている。
例えば人気若手アーティストのConan Gray(コナン・グレイ)は、冗談半分で「キャリアが終わってしまうのではないか」と言及しているが、実際にTikTokで公開するために2万ドルを費やすも、自分の音楽を使った動画が削除されてしまったアーティストもいる。また、共同作業者の1人がUMPGと契約していたことで、ほとんどの曲がTikTokから削除され、収入を得る手段を奪われたと訴えているアーティストもいる。
このことを考えると、もし、このまま本当にアメリカでTikTokが禁止された場合、他のレーベルや音楽出版社と契約するアーティストや音楽クリエイターにも同様の影響が及ぶことが考えられる。また今のところ、日本ではTikTok禁止の動きはないものの、TikTokを通じてアメリカに向けて自分の音楽をプロモーションしている日本のアーティストや音楽クリエイターにとっても大きな痛手となることが予想される。
▼Conan GrayはTikTokから楽曲が削除されたことに対して、NMEのインタビューで「僕たちには選択の余地がなかった。自分の音楽を紹介するために、また新しい方法を考えなきゃね」とコメント。
なぜ禁止? TikTok側の反応は
現在、TikTokは1億7000万人のアメリカ人に利用されているという。イギリス・オックスフォード大学のアンドリュー・シュビルスキー教授は「若者の間では、3人に2人近くがTikTokのアカウントを持っている」と指摘するほど、若者の間では人気が高い。
それだけ多くのユーザーを抱えるTikTokの禁止法案は、なぜ可決されたのか。理由は、中国政府への情報漏洩の懸念からだ。以前より、中国当局がByteDanceにアメリカ人ユーザーのデータの引き渡しを強要したり、TikTokで特定のコンテンツを抑制、宣伝するなど、個人的な通信情報の流出、情報操作やプロパガンダの可能性があると、アメリカ側が懸念を表明してきた。
一方TikTokは、これに真っ向から反論。2022年以降はセキュリティ上の懸念に対処するため、テキサス州拠点の米ソフトウエア大手企業のOracleを介して、アメリカの全ユーザーのデータが管理されているとし、アメリカ側のデータは守られていると強調してきた。
今回署名された法案に対し、TikTokのCEO・Shou Chew(周受資)氏は、事実上のTikTok「禁止令」であると4月24日にTikTokに投稿した動画で非難。「この法案はTikTokを禁止するものであり、みなさんとみなさんの声を禁止するものなのです」「私たちは自信があります。法廷でみなさんの権利のために戦い続けます」などと述べている。
Our CEO Shou Chew's response to the TikTok ban: pic.twitter.com/l0RAPJMobK
— TikTok Policy (@TikTokPolicy) April 24, 2024
またTikTokも声明を出し、事実と法律は明らかに同社側にあるとの考えを表明。「私たちは米国のデータを安全に保ち、このプラットフォームを外部の影響や操作から守るために数十億ドルを投資してきました。この禁止令は700万もの企業のビジネスに打撃を与え、1億7000万人のアメリカ人の声を封じることになるでしょう。この違憲である禁止令に異議を唱え続ける」と主張している。
Our Statement on Enactment of the TikTok Ban:
This unconstitutional law is a TikTok ban, and we will challenge it in court. We believe the facts and the law are clearly on our side, and we will ultimately prevail. The fact is, we have invested billions of dollars to keep U.S.…
— TikTok Policy (@TikTokPolicy) April 24, 2024
新たな音楽を発見、アーティストとファンの関係性を深めるなどの役割を果たしてきたTikTok
法案では、ByteDanceがTikTokを売却するまでに9か月の猶予が与えられており、売却が進行中の場合はさらに3か月の延長が可能。TikTokは法的措置を取ると表明しているため、実際の施行日は法廷闘争の行方に左右される可能性がある。
現在、TikTokは特に若い世代において新しい音楽を発見する場になっている。新人アーティストが一躍スターになったり、昔の楽曲がリバイバルヒットするといったこともTikTokを通じて起こってきた。また、アーティストのファンベースを拡大する役割や、UGCによってアーティストとファンとの関係が深まるなど、さまざまな側面から音楽業界に影響を与えている。それだけにアメリカで禁止されてしまった場合は、音楽業界に対する負の部分の影響も大きいだろう。当然TikTokを利用するアーティストや音楽クリエイターにも大きな影響を及ぼすことが予想される。
まだまだ先の展開がわからないTikTok問題。引き続き、今後の動向を注視していきたい。


