SpotifyがAI生成の楽曲を数万曲削除。ユニバーサル・ミュージック・グループの要求を受けて

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近年話題に多く上がる音楽制作におけるAIの活用。音楽業界大手レーベルのユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)はSpotifyやApple Musicなどに対し、AIによる音楽へのアクセスを制限するよう呼びかけていた。
これに対してSpotifyはAI生成による音楽サービスのBoomy(ブーミー)を使用して作られた楽曲の7%、「数万」曲をウェブサイトから削除したと報じられている。
Spotify has taken down thousands of songs by the AI company, Boomy. https://t.co/38FDN8ytYW
— HotNewHipHop (@HotNewHipHop) May 9, 2023
Drake、The WeekndのAIソングはすでに削除
UMGの要求に応じたのはSpotifyだけではない。AIボイスを使ってそのアーティスト“らしい”声で楽曲が作られていることも話題に上がっているが、その中でもDrake(ドレイク)とThe Weeknd(ザ・ウィーケンド)のAIボイスを使用した楽曲「Heart On My Sleeve」は4月の時点ですでにApple Music、Tidalからも削除された。
UMGの著作権法に違反しているという指摘を受けてのことだが、この勝手に作られる“オリジナル楽曲”を止める手段はあるのだろうか。「Heart On My Sleeve」はTikTokのクリエイターが作ったものだが、削除されるまでに数百万回の再生数を獲得した。再生数による収入がなかったとしても、フォロワーを獲得することだけを目的にAIソングを作り続けるユーザーも多くなりそうだ。ここではAIフェイクソングではなく実際にコラボした曲を貼っておきたい。
AIソングに肯定的な意見も
アメリカの著作権局はすでにガイドラインを発表した。しかしアーティストの中にはDavid Guetta(デヴィッド・ゲッタ)がAIで生成したEminemの声をライブパフォーマンスで使用(彼によってAIボイスの注目度は高まった)したり、Grimes(グライムス)は「成功した曲については、コラボするアーティストと同じ条件で、ロイヤリティの50%を分け合う」としている。
さらにヒップホッププロデューサーのTimbaland(ティンバランド)は先日The Notorious B.I.G.(ノトーリアス・B.I.G.)のAIボイスを使用した楽曲をSNSで投稿。TimbalandはNotorious B.I.G.の生前にプロデュースする機会がなく「ずっとコラボしたかったんだ」とAI技術を駆使して実現したことを喜んでいる。
今後もAIによって作られた音楽は世に出回るだろう。“本当”のアーティストに見返りのないテクノロジーの利用は受け入れられるものではないと考える。