対談|SIRUPとbrb.が語る、日本とシンガポールのR&Bの現在地


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日本を代表するR&Bシンガー・SIRUPと、シンガポールでトップの人気を誇るR&Bバンド・brb.。アジアのR&Bシーンを牽引する2組による初のコラボ曲「friends」がリリースされた。
“相思相愛”とも言えるコラボを記念して、SIRUPとbrb.のClarence(クラレンス)、Marc(マーク)、Zie(ズィー)がblock. fm「TCY Radio」にゲスト出演。ナビゲーターの☆Taku Takahashi、TJOとともに、それぞれが活動するR&Bシーンの今と、コラボ曲「friends」の制作について話してくれた。

ーお互いについて知ったきっかけを教えて下さい。
SIRUP:シンガポールの代表的なR&Bバンドとして、もともとプレイリストとかで日常的に聴いていて大ファンだったんです。僕と同じ事務所の春野くんがbrb.とコラボして、その時のインタビューでbrb.が僕の名前を出してくれていたのも見ていて。春野くんと繋がった流れで僕にもオファーをくれたというのが始まりですね。オファーをもらって僕も「やったぜ!」って感じでした。
Clarence:それを聞けてすごく嬉しい!僕らも同じような感じ。他の国のR&Bを知りたくて、いろんな国のR&Bアーティストをチェックしてたんだけど、日本のアーティストを調べていてSIRUPを見つけた。それで「わぉ、めちゃくちゃかっこいい!サウンドもビートも僕らと通じるものがあるし、何か一緒にやりたい!」って話してたんだよ。
Marc:Spotifyの「関連アーティスト」に一緒に表示されることも多くて。僕らのファンからも彼の名前が出てきたりしたんだ。“世間は狭い”なんて言うけど、シーンの中で別の国のアーティスト同士が繋がっていくのってすごいことだよね。
ーお互いにお気に入りの曲はありますか?
SIRUP:選ぶの難しい…「cool with it」と「talking to myself」が好きですね。他にも色々あります。brb.の音楽は全部グッドミュージックなんだけど、みんなの声の力が、日本的に言うと“陽”の引力が強いなって感じてて。バッドなことを歌ってもフィールグッドな感じになるのがいいなと思ってます。曲作りの段階からそういう風にミックスとかもしてるんだろうなって。どんなメッセージでもイージーに楽しく聴けるように作ってるイメージがあって。そういうところが自分にも共通すると勝手に感じています。
Marc:嬉しいコメントをありがとう!僕らも同じように感じてるし、だからこそ今回のコラボが実現したんだと思う。SIRUPは歌に感情がこもっていて、それが楽曲としてしっかりと表現されている部分が素晴らしいよね。僕が特に好きなSIRUPの曲はJoe Hertzとコラボしていた「MAIGO」。Joe Hertzはもともと知っていたけどSIRUPは知らなくて、この曲を聴いてSIRUPを知ったんだ。
Zie:2020年のロックダウン中に、僕の友達でインドネシアのDJがストリーミングをしていたんだけど。すごくクールな曲をかけていて、それがSIRUPの曲だったんだ。その彼がリミックスした「LOOP」だったんだけど。その1年後に他のメンバーがSIRUPのことを話していて、「待って、僕、彼のこと知ってた!」って。だから「LOOP」がSIRUPのことを初めて知った曲。正確にはリミックスだったけど。その時から僕も今回のコラボに引き寄せられてたってことだよね。
Clarence:僕は「Superpower」だね。めちゃくちゃ完成度が高い。サウンドディレクションが最高。僕らがbrb.で目指していることと近い感じがする。
SIRUP:嬉しい!「Superpower」はプロデューサーのA.G.Oがこだわったアプローチですね。
ー日本のR&Bシーン、シンガポールのR&Bシーンで活動していて感じることを教えて下さい。
SIRUP:率直に言うと、“ブラックミュージック”というものがポップシーン全体に広まってきてはいるんですけど、R&Bが広まっているかと言うとちょっと違うのかなという認識です。僕はずっとR&Bをやっているつもりなんですけど、シティポップの界隈としてのイメージがあったりとか。どこから見るかによっても変わるかもしれないんですけど、自分でもずっとR&Bをやっているという気持ちがあるので、R&Bシーンをもっと盛り上げていきたいという思いがあります。
☆Taku:R&Bとしての認識が広まってほしいのはなぜ?
SIRUP:僕個人で言うとネオソウルのルーツが深いということですね。R&Bはルーツが大事な音楽だと思っていて、様々な音楽がミックスされつつも、ルーツがどこにあるかっていうのをファンの人にも一緒に楽しんでもらったほうが、さらに深く音楽が楽しめると思うんです。例えばパーティーのグルーヴを体感したりとか、共有できるものが増えると思うんですよね。僕自身は音楽をそういう道筋で知るのが楽しいし、歴史が面白いと思っているので。R&Bの楽曲ひとつとっても、歌詞を読むとルーツの中でずっと使われ続けているような言葉の使い方があったり、気づくと面白いことってたくさんあるんです。
☆Taku:知らなくても楽しめるけど知れば知るほど楽しめる。block. fmもそれがテーマだからすごく共感する。brb.のみんなはどう?
Marc:シンガポールのシーンは特に小さくて若いと思っていて…まぁ国が小さいからなんだけど(笑)。すごく狭くて若い、だからこその良い部分は、音楽をより創造的に、実験的に作れること。メインストリームのリスナーがそのサウンドを受け入れるかはまた別の話しだけど。リスナーにもっと音楽について知ってほしいという意味では、僕もSIRUPの意見と一緒だよ。音楽を学び続けることは音楽をより深く楽しむことに繋がる。今、メインストリームはヒップホップが主流だけど同じようにR&Bも愛してほしい。R&Bの全盛期はネオソウルのちょっと後、例えばTLCとかがいた90年代や、2000年代初期だと思う。ラジオではいつもR&Bがヒップホップと一緒にかかっていて、だけどどういうわけかそこからヒップホップだけが広がっていったんだ。ヒップホップにはいろんなカルチャーが紐付いているから、人々がそれに魅了されていったのかなと個人的には思う。Zieはインドネシアとか地域的な音楽について詳しいんだよね。例えばインドネシアでは88risingのアーティストがたくさん出てきてるし。
Zie:めちゃくちゃ詳しいってわけじゃないんだけど、インドネシアやシンガポールでは若いアーティストに良いアーティストが多いよ。すごく驚いたのは、めちゃくちゃ若いキッズたちがオールドスクールなR&Bのサウンドを作っていること。僕たちbrb.でさえ古いR&Bというよりかは現代的なものをやっているのに、僕たちより若い子がオールドスクールな音楽を作ってる。ラジオで大量にかかっていたわけでも、すごく流行っていたわけでもないのに。なんで?(笑)
Marc:「君たち、その頃まだ生まれてなかったよね?」みたいな(笑)。
Zie:そうそう。NIKIのサウンドを聴いたときも驚いたな。どこから出てきたの?って。まぁ彼女はより現代的なポップスをやっていると思うけど。話を戻すと、さっき言っていたようにR&Bがもう少しメインストリームに受け入れられたり、ラジオでオンエアされるようになったら僕らにとってもSIRUPにとっても喜ばしいことだと思うよ。
Clarence:僕も同意見。僕ら、よくこういう話しをするんだけど、だから3人とも同じ考えを持ってる。今R&Bへの愛が全くないわけじゃないんだけど、より深い理解があるといいかな。僕らのファンは歌に対する理解だけじゃなく、トラック制作に対しても理解してくれていると思うよ。すごく大変な仕事だからそれはすごく嬉しい。
Marc:実際に今回の楽曲「friends」にも意識的に90年代のR&Bフレイヴァーを入れようとしたんだよね。そうやって、リスナーに少しでもR&Bのバックグラウンドに触れてもらえるように努めてる。曲の大部分は現代的なサウンドだけど、そういうところも感じてもらえたら嬉しいかな。
ー今回のコラボ曲はどんな流れで作りましたか?
Marc:誰が最初に言い始めたかは覚えてないんだけど、確かなのはお互いにコラボレーションしたいという気持ちを持っていたこと。とりあえずどうやって始めようかと考えたときに、ビートをたくさんSIRUPに送ったんだよね。ぴったり来るものを選んでほしくて。それでSIRUPが「friends」の元になるビートを選んでくれて。その後に彼がメロディーを書いて、歌詞を乗せて出来上がった、って感じだったと思う。
☆Taku:プロジェクトスタート前から知り合いだったの?
Marc:いや、このプロジェクトで知り合った。
Zie:たしか電話したよね。顔合わせ的な。
Marc:ライティングセッションもしたし。
☆Taku:ライティングセッションはどうやってやったの?日本に来たとか?
Marc:いや、Zoomだよ。
☆Taku:へぇ!リモートでライティングセッションできるなんてすごいね。
Marc:歌詞についてのブレインストーミングをリモートでやったんだ。お互いの意見を交換してコンセプトを固めたよ。
SIRUP:最初は「feels」っていうトラック名だったと思うんですよね。確かツアー中の沖縄で2回目のデモを聴いたんですよ。それがめっちゃ良くて。沖縄の暖かいところで聴いたからさらに良かった、っていうのをよく覚えてる。
Marc:あぁ、そうだ、そのトラック名!(笑)
ー「friends」のコンセプトは?
SIRUP:最初に歌詞をbrb.に書いてもらって、そこに自分がアンサーするっていう形にしたんですよね。彼らが書いた歌詞を見て、友達とみんなで恋愛についてあれこれ話してる雰囲気を乗せた歌詞を書きました。「めっちゃわかるわ〜。俺もその経験ある。でもなんか楽しそうにしてるやん」とか。恋愛の話って、友達と喋ってるときはいいんですけど、一人になった瞬間シリアスになることとかあるじゃないですか。そういうムードも曲の中で表現されていて、そこがすごく気に入っています。メロディーは歌詞より先に書いたんですけど、それは完全に「feels」のビートにインスパイアされましたね。
Clarence:この曲では2つのポイントを強調して作った。ひとつは失恋。もうひとつはパートナーの友達。パートナーの友達がめっちゃ嫌な子で、僕のパートナーに「あんな男はクソだ」とか言っちゃうやつのこと。そんな感じで、あとはSIRUPが言ったとおりだね。
Marc:うん、それがこの曲のテーマだね。「恋より友情」とかよく言うじゃん(笑)。実際、まだ「feels」っていう初期のデモ段階ではここまでコンセプトが固まってなかったんだよね。SIRUPとトークセッションをした後、考えが明確になった。お互いに人生や人間関係について共感していったんだ。
Zie:ビートを聴いたとき「God damn, god damn I hate your friends」っていうラインが浮かんで、それがこの曲の軸になったと思う。デートするときにいつも周りに友達がいたら面倒だし、ケンカするときに友達まで巻き込んで、僕とパートナーのどっちが正しいかみたいな議論になったりするじゃん。そういう経験って誰でもしたことあると思うんだよね。だから特別新しいテーマでもないとは思うんだけど。
Marc:そういうことに対してちょっとふざけたひねりを効かせたって感じ。
☆Taku:最初につけてたタイトル「feels」とそのコンセプトは繋がってるの?それとも適当につけただけ?
Marc:適当につけただけだから特に意味はないよ。
☆Taku:友達で集まってしゃべってるとき「I feel you(わかるよ〜)」とかよく言うから、繋がってるのかと思った。
Marc:そう言われるとそうだね、確かに(笑)。
ーたくさんの写真をコラージュしたジャケットアイデアはどのように生まれましたか?
SIRUP:歌詞の言葉が若干強かったり、内容の割にはテンションが高い感じとか“飲みの席感”があって。だからみんなで飲んだり騒いだりしてるムードのものを作りたいっていうアイデアを出したんですよね。それで、リアルに飲んだり遊んでる写真を集めてジャケットにしようっていうことになって。いろんな写真をかき集めて、自分のガチの泥酔写真を何個か散りばめてます(笑)。
Zie:僕らの曲はほとんどのジャケットを僕が作ってるんだけど、今回はさっきMarcが言った「恋より友情」っていうコンセプトを表現したくて。みんなで集まって、パートナーのこと、僕らにいろんなトラブルをもたらすその友達のことを話そうぜ、みたいな雰囲気を出したかった。僕らがこの曲を書いてるとき、“パンクスピリット”みたいなものにインスパイアされていたんだよね。R&B、トラブルメーカーの友達、パンクスピリット、この3つを一緒にしたときに“コラージュ”というアイデアが浮かんだ。だから、楽しんでる僕らが写った写真で埋め尽くして嫌なことは忘れようぜ、みたいな気持ちも入れて作ったんだ。そこにタイトルの「friends」を貼って完成させた。

ー最後に、SIRUPはシンガポールで、brb.は日本でしたいことはありますか?
SIRUP:シンガポールで一緒にライブしたいですよね。インスタグラムでbrb.がライブを配信しているのを観て、4人で歌いたいなって思いました。シンガポールのR&Bシーンにも触れたいし、普通に観光もしたいです。
Clarence:僕らが日本に行ったらまず最初にSIRUPを酔わせる(笑)。 ジャケットのコラージュをリアルでやる。それで、酔ったSIRUPとカラオケする。これが僕らの最優先事項ね(笑)。2つめはやっぱりパフォーマンスしたい。前回日本に行ったときはツアー中だったからバタバタしてて、しっかり日本を堪能できなかったんだよね。あと寒かったってのもあるけど。
Marc:個人的にしたいことがめちゃくちゃたくさんある。僕は日本のカルチャーの大ファンで、特に日本のアートが大好きだから、観たいものも体験したいものもたくさんあるよ。あとはそれと同じくらいパフォーマンスもしたいし、日本のアーティスト達と知り合って一緒になにか作ったりもしたい。
Zie:ナイトクラブでやってるパーティーに行きたい!日本で昔1度だけ行ったことがあるんだけど、そのときはちょっとしかいられなかったんだよね。シンガポールでは今パーティーを全然やってないし、行くのもちょっと難しいんだよ。いろんなご飯も食べたいしいろんな人にも会いたい。
SIRUP:みんなが日本に来たら今言ったこと全部やろう!連れていきます。
brb. :やったね!絶対実現させよう!
チルアウトをテーマにしたプレイリストが公開!

SIRUPとbrb.がチルアウトしながら聴きたい楽曲をそれぞれセレクトしたプレイリスト「Songs to make you feel "CHILL OUT"」が6月7日(火)18:00よりApple Music・Spotify・AWAにて公開。2組のアーティストが選ぶチルアウトミュージックをプレイリストから堪能しよう。
プレイリスト
▶https://lnk.to/makeyoufeelCHILLOUT
【リリース情報】
brb. & SIRUP「friends」
2022.5.25 Release
https://bfan.link/brbxsirup
【プロフィール】

SIRUP
ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&BにゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで誰もがFEELGOODとなれる音楽を発信している。2021年3月17日にはYaffle、starRo、ROMderful、FullCrate、SUMIN、Slom、ShinSakiuraなど、国内外のクリエーターとコラボした約2年ぶりの2ndフルアルバム「cure」をリリースし、8月には日本最高峰のロックフェス「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージのGREENSTAGEに立ち、圧巻のパフォーマンスを魅せた。2022年に入ってからもイギリス出身の世界的ポップスター「Years & Years」のRemix参加や、世界各国で愛されるアイリッシュ・ウイスキーJAMESON」とのコラボを発表するなど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。
★オフィシャルサイト
https://sirup.online/wp/
★YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCSCXGTw1EvH3dkOKvWFuWdQ/featured
★Instagramオフィシャルアカウント
https://www.instagram.com/sirup_insta/
★Twitter オフィシャルアカウント
https://twitter.com/IamSIRUP

brb.
シンガポールで現在最も注目を集めているR&Bバンド。インディペンデントに活動しながら最先端のR&Bサウンドを切り拓き、各種音楽配信サービスでもバイラルチャートにランクインしている実力派。AmPmとChocoholicとのコラボ楽曲「Sorry That I Love You」にフィーチャーしたのをきっかけに、日本でも大きな話題を集め、2022年に入ってからはシンガーソングライターの春野ともコラボ。現在Spotifyの月間リスナーは100万人を超える。自国シンガポールはもちろん国内外でトップの人気を誇るR&Bバンド。



