作中曲MVが公開2週間で1億回再生を突破!インド映画期待の最新作『Pathaan』の音楽に世界が注目


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Text:バフィー吉川
1月11日にアメリカで開催された第80回ゴールデングローブ賞授賞式において、インド映画『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」が歌曲賞を受賞。それに加え、1月24日に発表された第95回アカデミー賞においても同曲が歌曲賞にノミネートされた。
「ナートゥ・ナートゥ」のミュージックビデオ(テルグ語版)は、公開約1年でトータル2億5000万回を超える再生回数を記録。インド映画音楽のミュージックビデオは、音楽レーベルや映画会社、動画配信サイトから同じ動画が複数投稿されていることもあって、若干前後している部分はあるが、それでも驚異的な再生回数だ。
日本で爆発的な人気を博したAdoの「うっせえわ」が2年かけて2億6000万回、2022年のBillboard JAPAN HOT 100 で年間チャート1位を獲得したAimerの「残響散歌」が1年で1億4000万回再生となっており、日本のヒット曲と比較してもその勢いがわかるだろう。
ところがインド映画のミュージックビデオにおいて驚異的な再生回数を記録しているのは、なにも「ナートゥ・ナートゥ」だけではない。逆に「ナートゥ・ナートゥ」は、再生回数においては落ち着いていることがわかるほどだ。
映画『Pathaan』の作中曲ミュージックビデオが僅か2週間で1億回を突破!
1月25日からインドやアメリカ、イギリス、シンガポールなど20ヵ国で公開され、すでにインドではヒンディー語映画、ヒンディー語吹替え映画の中で初日チケット売り上げにおいて歴代2位を記録。公開5日で世界興行収入86億円を突破したのが、「キング・オブ・ボリウッド」ことシャー・ルク・カーンの4年ぶりの新作にして、俳優人生30周年記念超大作『Pathaan』だ。
その作中曲「Besharam Rang」は、僅か2週間で1億回、1か月で2億4000万回再生を突破し、今も1日に500万回~1000万回再生され続けている。同じく作中曲「Jhoome Jo」も1か月で1億5000万回再生を記録。これはヒンディー語バージョンだけの回数だが、タミル語やテルグ語バージョンも含めるとさらに多くなる。
再生回数の多さからコピー動画も多く出回ってしまっており、残念なことに公式ではないものにも分散されてしまっているが、それがなければもっと再生されていただろう。
「Besharam Rang」は、『バンバン!』(2014)や『WAR ウォー!!』(2019)など、『Pathaan』のシッダールト・アーナンド監督作品の楽曲ではお馴染みのヴィシャール&シェカールが作曲と男性パートのボーカルを担当し、シルパ・ラオ、カラリサ・モンテイロといったボリウッドを代表する女性シンガーの歌声をシンクロさせることで、エキゾチックなサウンドに仕上げている。
一方「Jhoome Jo」も同じく作曲をヴィシャール&シェカールが担当し、こちらもボリウッドでは欠かせないシンガー、アリジット・シンとスークリティ・カッカーによるデュエットで、ラテンとアラブ音楽が融合したようなサウンド。アラビア語圏内でも人気を博し、ドバイでも大がかりなプロモーションを行ったことからもアラビア語バージョンも制作されている。
『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」はゴールデングローブ賞の効果もあって、ここ数週間で再生回数を増やしてきているし、ヒンディー語版「ナチョ・ナチョ」などの別言語バージョンを含めると数字は少し変わってくるが、あくまでオリジナル版の「ナートゥ・ナートゥ」は約1年で2億5000万再生と考えると、『Pathaan』の作中曲は短期間でかなり視聴されていることがわかる。
エンタメ輸出国・韓国にも近づこうとしている脅威の再生回数
また全米2位を記録し、日本ではDisney+で配信予定の『ブラフマーストラ:パート1 シヴァの物語』の作中曲「Kesariya」は、4か月で4億回再生、『Mimi』の「Param Sundari」は、ロングバージョンを含めると1年で6億回再生されている。
これらの億超え曲が珍しいというわけではなく、数日で5000万、1~2週間で1億というレベルであればゴロゴロと転がっている状況で、もはや数週間、1か月での億超えは珍しいものではなくなってきているのだ。
エンタメ輸出国として知られる韓国のK-POPにも迫る勢いで、BTS「Dynamite」のMVが2年で16億回再生に対して、『Satyameva Jayate』(2018)の「Dilbar」が12億、『マッリ2』(2018)の「Rowdy Baby」は14億回と、グラミー賞にもノミネートされた世界的ヒット曲の再生回数にも近づきつつある。また、『シンバ』(2018)の「Aankh Marey」に至っては、歌詞付きバージョンも含めると21億回再生されている。
3~4年かけて10億回を突破する曲は珍しくはないが、「Besharam Rang」や「Jhoome Jo」のように、数週間、1か月という短期間で億を超えてくる曲が続出している背景としては、単純にデジタル化に伴い、インドにおいてのYouTube視聴率が上がったことが考えられる。
貧富の差はあるにしても、急激なデジタル化が進み、ほとんどの家庭でインターネットが使用可能な状態にあり、若い世代はスマホやタブレットを当たり前のように持ち歩いている環境の中で、人口が中国を抜いて世界1位になろうとする国がインドだ。何よりその中国は規制がかかっているのだから、YouTubeにとって極めて重要なビジネスパートナー国であるともいえるだろう。
それに加えて何が一番の原動力になっているかというと、確実に海外ユーザーが加わったことだ。インド国内だけではなく、海外ユーザーのインド映画に対しての注目度が増したことで、億超えのスピードは急激に上がっていることがわかる。
すでにNetflixやAmazon、ディズニーなど外資系企業はインドのエンタメに注目しており、積極的な姿勢をみせている。日本がまだ気づいていないだけで世界的認知度は年々上昇しているのだ。
日本はインド音楽に対して認識が遅れており、民族音楽のようなものばかりというイメージが先行している部分もある。テレビ番組などで取り上げられるのも、そういった伝統芸能のようなものが多いが、日本で民謡や演歌がリリースされていても音楽シーンの中心にあるのは近代的なポップソングであるように、インドも同様なのである。
課題はあるものの、将来的にグラミー賞も夢ではない?!
インドの音楽シーン、特に他国から見たイメージとしては、映画音楽が中心になっていることもあって、ミュージックビデオでは俳優が歌っているように見えるため、実際に歌唱しているアーティスト自体の知名度が上がりにくい状況にある。
そういった背景から、映画の楽曲ではないものは数千万再生止まりのものが多い。それは、インドの音楽というよりインド映画の音楽が注目されているという証拠でもあるが、より多くの人に聴いてもらえる環境になっていけば、インドのアーティスト自体にも注目が集まるのは時間の問題だろう。
かつては韓国のアーティストの楽曲がグラミー賞にノミネートされるなんて信じられなかったように、数年のうちにインド発の楽曲がグラミー賞にノミネートされる可能性も高いと言えるだろう。
まだまだある!億超えミュージックビデオ5選
▼『Satyameva Jayate 2』より「Kusu Kusu」
▼『Satyameva Jayate』より「DILBAR」
▼『Street Dancer』より「Illegal Weapon 2.0」
▼『ある時にもう一度』より「Kala Chashma」
▼『Roohi』より「Nadiyon Paar」
ここで紹介したものは、ほんの一部に過ぎない…….。



