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野田洋次郎やNewJeansとも共演するラッパーJ.I.D 挫折からスタートした音楽キャリアとファンを拡大するコラボレーション

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PHOTO: J.I.D Facebook
『龍が如く7 外伝 名を消した男』のOP曲でRADWINPSの野田洋次郎とのコラボが話題のラッパー、J.I.D。彼の歩んできたキャリアや驚きを生む数々のコラボレーションを紹介。
2023/09/29 21:30
BsideNews
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J. Cole(J・コール)率いるレーベル「Dreamville Records」のラッパーであるJ.I.Dが、日本のロックバンドRADWIMPSの野田洋次郎とコラボした楽曲が発表された。

この曲は11月に発売予定のゲーム『龍が如く7 外伝 名を消した男』のオープニング曲で、タイトルは「片時」。楽曲を使用したオープニングムービーも公開されている。

ヒップホップに親しみのないリスナーにとっては突如として表れたJ.I.Dの名前。本稿では彼のキャリアと魅力を紐解いていこう。

アスリートとしての挫折

Dreamville Recordsの一員としてここ数年で注目度を高めているJ.I.D。2017年のメジャーデビュー後からもコンスタントにアルバムをリリースし、昨年リリースした最新作『The Forever Story』にはLil Wayne(リル・ウェイン)やLil Durk(リル・ダーク)といった全米1位ラッパーも参加している。8月15日にduo MUSIC EXCHANGEで開催された初来日公演もソールドアウトと、日本でも確実に人気が高まっているとこころだ。

実は、J.I.Dのキャリアは22歳の挫折からスタートしている。フットボール選手として期待されていた彼は大学へも奨学金で進むほどの注目選手だったが、怪我で選手としての価値を失い、卒業を前にして学校から奨学金を取り下げられてしまった。選手生命を絶たれ、父親から家を追い出されホームレスとなった彼に残ったのは車だけ。これらの試練の中で彼は地元の友人の影響もあって、次なる自分の進む道を音楽業界だと定めた。

ゾーン6と呼ばれる地域、レジェンドラッパーのGucci Mane(グッチ・メイン)と同じ地元で育った、と言えばどのような環境だったか容易に想像がつくだろう。その環境をJ.I.Dは「151 Rum」、「General」でリリックに書き起こしている。

「イリーガルで稼ぐことを美化したことはない。それよりももっと良い方法で家族を養えるはずだ」

EARTHGANGから学んだもの

J.I.DがJ. Coleに出会う前に、彼のキャリアを語る上で外せないのがJohnny Venus(ジョニー・ビーナス)とDoctur Dot(ドクター・ドット)によるEARTHGANG(アースギャング)だ。今ではレーベルメイトでもある彼らだが、J.I.Dが大学在学中に寮のスタジオでレコーディングした曲に、いち早く注目したのが同じ大学に在籍していたEARTHGANGの2人。

ホームレスになってしまったJ.I.DはEARTHGANGの2人の家に拾われ、その中でレコーディングやエンジニアリング、音楽に関する様々なことを学んだという。そうして出来上がったのが、大学を退学するのと同年の2012年にリリースされた初のミックステープ『Route of All Evil』だった。

J. Coleとの出会い

数週間の路上生活で「フットボール選手としてプロを目指していた以上に必死になる必要がある」と感じたJ.I.Dは、翌年次なるミックステープ『Para Tu』をリリース。同年にEARTHGANGもファーストアルバムをリリースすることをきっかけに、彼らとまた別の大学仲間らとともに2014年に同郷クルーSpillage Village(スピレッジ・ヴィレッジ)を結成。彼らのパフォーマンスが地元で話題になると、EARTHGANGは2014年にAb-Soul(アブ・ソウル)のツアーにオープニングアクトとして出演。この際にJ.I.Dもコラボ曲「Exactly」でステージに立った。

このツアーでプロデューサーのCedric Brown(セドリック・ブラウン)と親しくなったJ.I.DはCedric BrownがJ.I.Dの楽曲をJ. Coleに聴かせたことをきっかけに、現レーベルのボスの耳に入ることとなる。そしてようやく2017年に契約、ファーストアルバムをリリースするに至った。この挫折から約5年間の下積みは今のJ.I.Dの活躍を見ると必要不可欠な期間だっただろう。

メインストリームで知名度を上げたコラボ

2017年にファーストアルバム『The Never Story』をリリースし2018年にセカンドアルバム『Dicaprio 2』、2020年にはレーベルコンピ『Revenge Of The Dreamers』でグラミー賞にノミネートもされたJ.I.Dにとってさらに人気を高めるきっかけとなったのが、2022年にImagine Dragons(イマジン・ドラゴンズ)の「Enemy」にフィーチャリングで参加したことだ。

この曲はNetflixのアニメシリーズ『アーケイン』の主題歌としてロングヒットを記録。ヒップホップだけでなく幅広い層にJ.I.Dの名前を広め、自身初となる米ビルボード100でのトップ5入りを果たした。

またMetro Boomin(メトロ・ブーミン)が手がけた『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のサントラにも参加していることも忘れてはならない。

アジアのアーティストとも接近

2023年の夏、大きな話題を集めたのはK-POPガールズグループ、NewJeansとの共演だろう。コカ・コーラのグローバル楽曲としてリリースされた「Be Who You Are (Real Magic)」には、Jon Batiste(ジョン・バティステ)、Cat Burns(キャット・バーンズ)、Camilo(カミーロ)、NewJeansそしてJ.I.Dが参加。

さらに、NewJeansとコカ・コーラのコラボソングとしてリリースされた「Zero」は、J.I.DがRemix参加したバージョンも公開され反響を呼んだ。

また、7人組HIP HOP / R&BガールズグループのXGによる動画シリーズ『XG TAPE』では過去にJ.I.Dの「Surround Sound」がCOCONAによってビートジャック。この曲は上述したアルバム『The Forever Story』に収録されており、ヒップホップの大ネタAretha Franklin(アレサ・フランクリン)による「One Step Ahead」をサンプリングしている。

実にDreamville Recordsのラッパーらしいトラックではあるが、これをXGがチョイスしたところに渋さを感じる。しかも元ネタに沿ってリリックを展開し、冒頭ではオールドスクールマナーさながら自分の名前を「C to the o,c,o,n,a」と紹介。これにはヒップホップのヘビーリスナーも耳を傾けてしまうだろう。

J.I.D本人もこのCOCONAのビートジャックに「彼女はクレイジーだ!!」を賞賛のコメントを投稿していたそうだ。

ちなみにこの回の『XG TAPE』では2番手のMAYAもDreamvilleのレーベルコンピから「Down Bad」をビートジャック。自分たちのデビュー曲「Tippy Toes」をセルフサンプリングしている点でもそのIQの高さが伺えるサイファー動画となっている。

このようにアジア系のアーティストとも接近するJ.I.Dだが、今回「龍が如く」での野田洋次郎とのコラボは、野田がJ.I.Dのファンだったことから実現したという。「龍が如くスタジオ」の最新情報を公開する「RGG SUMMIT FALL 2023」の中で配信された野田洋次郎のインタビューでは、J.I.Dが有名になる前からSNSでフォローしていたこと、J.I.Dとの制作の中で学んだことなどが語られている。

※13:25あたりからJ.I.Dのコメントと野田洋次郎のインタビュー

予想外すぎるコラボレーションにはRADWINPS、J.I.D双方のファンやゲームファンからも驚きの声が上がった。楽曲「片時」のリリースは現時点では未定とのことだが、ぜひリリースを期待したいところだ。

紹介してきたように、ヒップホップシーンのみならず幅広いアーティストとのコラボレーションでさらにファン層を拡大し続けるJ.I.D。挫折を知るからこそ成功に近道のないことを知る彼のこれからの活動にも要注目だ。隠れた過去曲もしっかり聴き込んで次なる来日を楽しみに待とう。

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