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Snoop Dogg、Kylie MinogueやK-POPまで!欧米トレンドを反映、グローバル化するインド映画の音楽

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PHOTO: Dua Lipa Twitter
Dua Lipaはボリウッドのトップ俳優、シャー・ルク・カーンと対談。音楽だけでなく出演陣もハリウッド俳優がインド映画に出演する機会が増えている。
2023/08/10 20:30
Buffy Yoshikawa
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Text:バフィー吉川

日本でも9月1日から公開が決定した、ボリウッド映画界のキング、シャー・ルク・カーン主演のインド映画『パターン』。

そんな『パターン』の中で「Pathaan’s Theme」という曲が使用されている。

この曲は、アニル・カプール主演映画『Ek Ladki Ko Dekha Toh Aisa Laga』の「Good Morning」でヴィシャール・ダッドラニとデュエットしたシャノン・ドナルド、『フォー・モア・ショット・プリーズ!』シーズン3の「Force of Nature」のアヌバ・カウル、そしてシンガーソングライターのカマクシ・カンナ、グウェン・フェルナンデスといったアーティストたちがバックコーラスで参加しているのだが、メインボーカルを務めているのは、実はインドのアーティストではない。

それは誰かというと、マグダレナ・スペルという『ブラック・ウィドウ』(2021)や『キャプテン・マーベル』(2019)など、マーベル作品のサウンドトラックにも参加しているイギリスのゴスペルシンガーだ。

また、同じくシャー・ルク主演の『JAWAN』の「Jawan Prevue Theme」では、ラジャ・クマリがボーカルを務めている。ラジャといえば、MTVのラップバトル番組「ハッスル」の初代審査員を務めた人物でもあり、『ディル・ベチャーラ』(2020)や『Zero』(2018)といったインド映画のプレイバックシンガーとして参加するなど、もはやインドのアーティストというイメージが強いが、もともとはアメリカで活躍していたアーティストだ。

「NEXA Music」の記事でも紹介したように、現在インドでは、グローバル・アーティストの育成に積極的になっているのだが、一方で海外のアーティストをインドでデビューさせる動きもあったりする。

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国外からも才能を受け入れる体制が出来上がっており、インド映画が世界的なコンテンツとなっていくことで、有名なアーティストが主題歌を歌うなんてことも、近い将来では、普通にあり得る話になってきているのだ。

■カイリー・ミノーグ、エイコン、スヌープ・ドッグはすでにインド映画音楽デビュー!

『パターン』と同じく、シャー・ルク・カーンとディーピカー・パードゥコーン主演による『チェンナイ・エクスプレス 〜愛と勇気のヒーロー参上〜』(2013)は、海外公開を視野に入れて制作された代表例であり、その後、地道にインド映画の知名度を上げていった結果、『RRR』や『ブラフマーストラ』といった作品が、それなりの数のアメリカの映画館で上映されるようになっていったわけだが、インド映画、音楽がグローバル化を目指したのは、実際にはもう少し前からだ。

実は2000年代後半から始まっていたといえる。それこそデジタル化もままならない頃から、インドエンタメは海外を視野に入れていたのだ。

その頃は、インド国内でもグローバル・アーティストはそれほど育っておらず、「インドの人気ラップバトル番組、MTV「ハッスル」シーズン3開幕 さらに盛り上がりをみせるヒップホップシーン」の記事でも紹介したように、ヒップホップどころか、全体的に欲しい音楽性、つまり“洋楽感”というものが国内では見つからなかったからこそ、海外からアーティストを連れてきていたのだろう。

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例えばジェシカ・アルバ主演のアクション映画『イントゥ・ザ・ブルー』(2005)をリメイクした『ブルー』(2009)では、カイリー・ミノーグが作中歌「Chiggy Wiggy」を歌うだけではなく、本編にも出演している。

映画には出演していないが、『Singh Is Kinng』(2008)にはスヌープ・ドッグ、『ラ・ワン』(2011)にはエイコンが楽曲に参加していたり、ほかにもレディー・ガガ、ジェニファー・ロペスやシャキーラも実際に検討されていたようだ。

今年の2月に公開されたマラヤーラム語映画『Oh My Darling』では、主人公が韓国文化好きという設定から、主題歌の「Darling Song」は、K-POPを意識したものとなっている。そこで抜擢されたのが、TWICEや倖田來未の楽曲を手掛けたK-POPシンガーソングライターのリンダ・クエロ。まさかのインドでデビューを果たしたのだ。

他国からアーティストを連れてくる理由としては、もうひとつある。それは取り込みたい音楽の当事者であるアーティストをインドに連れてくることで、そこから学んでいこうとする意志のあらわれなのだ。

インドでは、若い世代の間でK-POPが人気であり、近年はK-POPのダンスコンテストが行われているほど。インドにもアイドルやグループが全くいないわけではないが、それっぽいものにするために本物を呼んでくるスタイルは今も継続中ということだ。

こういった事例は、どちらかというと、インド側がラブコールを出したことで実現したものが多いのだが、近年はそれが逆になりつつある。

K-POPもそうだが、アーティストにとってもインドは音楽市場として大きいことから、今度は相手側から寄り添ってくる時代に突入しているといえるだろう。

何度もインドでライブを行っているデュア・リパも2019年にシャー・ルク・カーンと対談しており、インド映画への興味を示していることから、近い将来、デュア・リパや世界的アーティストがインド映画の主題歌を歌う日がそれほど遠いものとも思えないのだ。

またアメリカもイギリスでも、毎週のようにインドのアーティストのライブが行われており、先日も『ロッキーハンサム』(2016)や『ストゥリー 女に呪われた町』(2018)といった映画に女優としても出演している、モデル兼アーティストのノラ・ファテヒやカラン・ジョーハル監督最新作『Rocky Aur Rani Kii Prem Kahaani』の楽曲「What Jhumka?」にも参加する勢いのある若手アーティストのジョニタ・ガンディが全米ツアーを成功させており、逆にインドのアーティストが海外に出ていく流れも活発化している。

■世界中の俳優がインド映画に注目

ここまで音楽の側面から話をしてきたが、ハリウッドやイギリス俳優たちがインド映画に出演するという流れも強くなってきている。

それこそ『RRR』に出演していたレイ・スティーヴンソンやアリソン・ドゥーディもそうだが、タイガー・シュロフ主演の『Heropanti 2』(2022)には、先日、日本でも公開された『プー あくまのくまさん』(2023)など、B級ホラーの常連、アンバー・ドイグ・ソーンや俳優業もこなす格闘家のマーク・スミスも出演している。格闘家といえば、元プロボクサーのマイク・タイソンも『Liger』(2022)でインド映画デビューを果たした。

シャー・ルク・カーンと対談したブラッド・ピットのインド映画出演こそ、まだ実現してはいないものの、海外の俳優がインド映画に出演するという流れは確実に多くなってきているし、インド映画に出演することは、俳優たちにとってのひとつのステータスとなりつつある。

ちなみに『エンドロールのつづき』(2022)のパン・ナリン監督の『花の谷 -時空のエロス-』(2005)には、無名時代の綾野剛も出演していたし、最新作はハリウッド資本の映画となる予定で、海外の俳優を多数起用するようだ。

■シャー・ルク・カーンが「ワイスピ」に出演?! そんな時代がすぐそこに

またその一方で、逆に海外映画にインドの俳優が出演するという流れも多くなってきている。

「クワンティコ/FBIアカデミーの真実」ではアメリカのドラマで初めてインドの女優が主演を務めるという歴史を残し、ニック・ジョナスと結婚したプリヤンカー・チョープラーの活躍は言うまでもないが、名バイプレイヤーとして知られるアヌパム・カーも『世界にひとつのプレイブック』(2012)や「ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ」などに出演しているほか、ボリウッドのレジェンドのアミターブ・バッチャンもバズ・ラーマン監督の『華麗なるギャツビー』(2013)に出演するなど、もともとそういった流れはあったものの、ここ数年でそれがより大きくなっているのを感じる。

『バンバン!』(2014)や『WAR ウォー!!』(2019)などでも知られるリティク・ローシャンも近々、ハリウッド映画に出演するといわれている。

さらには「ワイルド・スピード」シリーズのヴィン・ディーゼルが『パターン』を観たことと、過去に『トリプルX:再起動』(2017)で、ディーピカー・パードゥコーンと共演した経験もあることから、『パターン』の出演者と仕事がしたいとも発言してことで、「ワイルド・スピード」の最新作にシャー・ルク・カーンが出演するのではないかという噂まで飛び交っている。

「ワイルド・スピード」の件に関しては、あくまで噂レベルでしかないのだが、Disney+のマーベルドラマ「ミズ・マーベル」には、ファルハーン・アクタルやモハン・カプールといったインドの名俳優たちが出演しているほか、実際に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で知られるルッソ兄弟の『グレイマン』(2022)では『ラーンジャナー』(2013)のダヌシュを出演させているし、トム・ハーパー監督の最新作で8月11日から日本のNetflixでも配信開始される『ハート・オブ・ストーン』には、『RRR』『プラフマーストラ』のアーリヤー・バットが出演。

『ランガスタラム』(2018)のサマンタも「Arrangements of Love」を原作とした作品で、舞台はインドながらも海外資本の映画『Chennai Story』で海外デビューを果たす。

DCスタジオのトップに就任したジェームズ・ガンも『RRR』のラーム・チャランとNTR.Jrを使いたいとも発言していたりもするなど、誰もが知っているハリウッドの映画シリーズにインドの俳優が出演し、インド映画に誰もが知るハリウッド俳優が出演するという時代はすぐそこに来ているのだ!!

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  • Buffy 吉川

映画評論家・ヒンディー・ミュージック評論家のバフィー吉川がインドエンタメの”今”を紹介します。

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