その数なんと100万以上。Spotifyなどに存在する「著作権法違反の曲」


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気に入って聴いている音楽が、実は権利者から盗まれたものだったら?
テック企業Pexが行った最新の調査によると、Spotify、Apple Music、TIDALなどの大手音楽ストリーミングサービス上で、著作権を侵害していると思われる「改変されたオーディオトラック」が100万曲を超える規模で存在していることが明らかになった。
🚨Attention music rightsholders: We estimate that at least 1% of all tracks on DSPs are modified audio. Are you losing royalties?
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— Pex (@Pex) November 1, 2023
TikTokで人気の「スピードアップ」「スローダウン」。無許可でアップロードされているケースも
この調査によると、近年TikTokで人気に火がついた原曲の「スピードアップ」、「スローダウン」などの多くは、権利者の許可なく改変されストリーミングサービスにアップロードされているという。
例えばSteve Lacy(スティーヴ・レイシー)の「Bad Habit」など、リスナーが作ったスピードアップ版の人気を受けて、公式のスピードアップ版がリリースされることもある。
しかし、The Chainsmokers & Coldplay(ザ・チェインスモーカーズ&コールドプレイ)「Something Just Like This」やAmy Winehouse(エイミー・ワインハウス)「Back to Black」などのヒット曲を無許可で改変し、1000万回以上再生されているケースも存在するという。
実際にSpotifyで「Something Just Like This Sped Up」と検索してみると、非公式と思われる楽曲がいくつかヒット。そのうち、ソングライタークレジットに原作者の名前が記載されている楽曲もあるが、全く記載のない楽曲もある。
(2024年2月27日 Spotifyより)
原作者表記のない楽曲のうちのひとつはSpotify上で34万回以上再生(※本稿執筆時)されているなど、改めて「無許可で改変された楽曲」の多さを感じる事例だ。
権利者が本来受け取るべき報酬を奪っている
なぜ、著作権を侵害している楽曲がこんなにも配信されてしまっているのだろう?
その理由についてPexは、「音楽ディストリビューションサービスが持つ既存のACR (コンテンツ自動認識)プロバイダーが、音源ファイルの一部しか音楽をチェックせず、ピッチやスピードの変化に対してうまくマッチングしていない。その結果、音楽ディストリビューションサービスをすり抜け、音楽ストリーミングサービスに流入している可能性がある」と言及。
そして、無許可で改変された楽曲が配信されることで、正当な権利者は数百万ものロイヤルティを奪われている可能性があると指摘している。
PexのCEO、Rasty Turek氏は、この問題に対して次のようにコメント。
「我々の調査によると、配信されている全ての音楽のうち少なくとも1%は何らかの改変がなされており、既存のシステムはそれを捉えられていません。つまり全ての音楽の少なくとも1%は、正当な権利者とは別の人物のものとして利用されています。このことは、多くのアーティストが実際に再生された回数に対して本来受け取るべき報酬を受け取っていないことを意味します。」
「ナイトコア」などUGCから生まれる新たな音楽カルチャーも
同氏は一方で、「ナイトコア」(原曲テンポの高速化やピッチアップなどによってリミックスされた音楽ジャンル)のような、ユーザー生成コンテンツから生まれる新たな音楽カルチャーについて一定の理解も示している。
「ナイトコアミックスなどのコンテンツは大きなフォロワーを持っています。ムーブメントが起こるということは、人々に詐欺を働く意図があるわけではなく、純粋にその音楽を楽しみたいという正当な欲求があるはず。人々がこのような音楽を楽しむのであれば、それにアクセスできるようにすべきだと考えています。」
プラットフォーム側のシステムアップデートが鍵
Rasty Turek氏は同時に、改変音源が配信されるのであれば正当な権利者が表示される必要がある点も指摘。それは音楽アーティスト側が追跡や訂正を行うというよりも、音楽ストリーミングサービスや音楽ディストリビューションサービスなどのプラットフォーム側がシステムとして改修していくべきだと、問題解決に向けた提案も行っている。
現段階では、改変した楽曲を配信してなんらかの報酬を得ようとする場合、クリエイター自身が原曲の権利者に直接交渉する、もしくはサンプリングのクリアランスサービスを使用するなどして、許諾を得た上で配信するのが筋だろう。
Rasty Turek氏が提言するように、今後、改変された音源をプラットフォーム側で検知して正当な権利者に紐づけるようなシステムができれば、もともとの権利を持っているアーティストへの収益を担保しながら、新しい音楽カルチャーを発展させていくことができるのではないだろうか?

