K-POPガールズグループ(G)-IDLEがアジアの音楽シーンを牽引する88risingとタッグ。全世界に発信される彼女たちの圧倒的に強靭な“個性”とは


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7月11日、アジア系エンタメを率いるメディア・カンパニー、88risingが韓国の芸能プロダクションCube Entertainmentとの業務提携を発表した。この業務提携の目的は、Cube Entertainmentに所属するガールズグループ(G)-IDLE(ジー・アイドゥル)の本格的な世界の音楽シーンへの進出のためだ。
また88risingは、SNSにて(G)-IDLEと共にプロデュースしたEP『HEAT』のリリースを発表し、7月14日には先行シングルとして「I DO」がリリース。88risingのYouTubeチャンネルにてミュージックビデオが投稿された。
アジアの音楽を世界に発信し続ける88risingが見据えるヴィジョン
88risingとは、アメリカに拠点を構える音楽、映像制作、マネジメントを複合した巨大な音楽メディア・カンパニーである。その最たる特徴は、所属するアーティストがアジアにルーツを持っていること。代表的なアーティストとして、日本国籍を持つシンガーJojiや、インドネシア出身のラッパーRich Brain(リッチ・ブライアン)など。また、GOT7メンバーの香港人シンガーJackson Wang(ジャクソン・ワン)や、日本で活動するガールズグループ、新しい学校のリーダーズの海外拠点となるなど、さまざまなアジア系アーティストとのつながりを持っている。
88risingがメディア・カンパニーとして活動している大きな特徴として、レーベルとしてだけでない幅広いアプローチでのアジア音楽の広め方が挙げられるだろう。2018年からはアジア系アーティストを中心とした出演者が登場するフェス「Head In The Clouds」を開催。同フェスではヒップホップグループTERIYAKI BOYZ®が奇跡の復活を果たしたり、YOASOBIが出演し海外初パフォーマンスを行うなど、日本人アーティストにも世界での活躍の場が与えられていた。
また、世界最大級のフェスと言われる「コーチェラ 2022」では、アジア人アーティストが集合する80分のショー「Head In The Clouds Forever」を敢行。日本からは宇多田ヒカルも参加し、初のコーチェラでのパフォーマンスを披露し会場を大いに盛り上げた。
なぜ88risingがここまで多様なアジア系アーティストと関わるかというと、それはひとえに「アジアの音楽を世界に広めたい」という活動理念があるからだ。同社のCEOであるショーン・ミヤシロはForbes Japanのインタビューにて、「経営的に厳しい時もあったが、お金儲けの側面は不要だと思っていた。“アジアを代表する音楽プラットフォームを提供すること”が私たちの存在意義で、そのためにコンテンツのクリエイティブに注力した」と語る。
その理念の結果、2016年の会社発足からわずか2年でJojiのアルバム『Ballads 1』がアジア勢初となるビルボードR&B/HIP HOPチャートにて初登場1位を獲得 。その後も幅広い発信を続け、今や世界におけるアジアの音楽シーンをけん引する存在といっても過言ではないだろう。
またショーン・ミヤシロは、88risingにふさわしいアーティストとして、既存のアーティストとは明確に違っている必要があることを語っている。そんな88risingがCube Entertainmentとの業務提携を発表したわけだが、狙いは所属アーティストの(G)-IDLEだ。88risingから見て、彼女たちは一体何が既存のアーティストと違うのだろうか。
セルフプロデュースアイドル(G)-IDLEが魅せる強烈な個性
(G)-IDLEは、Cube Entertainmentより2018年にデビューした5人組女性アイドルグループ。彼女たちの特徴は、韓国、台湾、タイ、中国と文化も生活も違うさまざまな国出身のメンバーで構成されていること。そして作詞作曲はもちろんのこと、グループのコンセプトや活動方針などがメンバーの意見によって決められるセルフプロデュースのアイドルであることだ。
また、女性が憧れる女性グループとしての意味を持つ「ガールクラッシュ」の代表的なグループの1つとして挙げられることが多い。2020年に発表された韓国の音楽プラットフォームMelonでの性別による検索推移を見てみると、検索したユーザーの70%が女性であることが判明した。そのように評価される所以として、彼女たちのガールズエンパワメントな姿勢や楽曲のコンセプトが考えられる。
そんな(G)-IDLEであったが、2021年には不祥事によるメンバーの脱退、活動休止を発表し、1年間の空白期間を経て2022年に1stフルアルバム『I NEVER DIE』を引っ提げ復活した。
アルバムのリード曲である「TOMBOY」は、女性はこうあるべきという価値観を徹底的に打ち破り、個人の固定したジェンダー観をひっくり返してしまうようなメッセージ性を持つ楽曲だ。楽曲でのFワードの使用や、音楽番組でのカメラを破壊するような演出は、これまで以上に世間への攻撃的な印象を与えた。しかし、その姿勢がかえって彼女たちの新たな強い個性として評価され、『I NEVER DIE』のSpotifyストリーミング数は3か月で1億回を突破。また、米ビルボード関係者が「TOMBOY」の強いメッセージ性を評価するなど、韓国国内だけでなく、全世界にも彼女たちの個性が認められたのであった。
なぜ、「TOMBOY」がこれまで以上に強いメッセージ性を持った攻撃的な楽曲に仕上がったかというと、(G)-IDLEのリーダーであり、グループの総括プロデューサーとしての役目も果たすソヨンが楽曲に全面的に携わったからであると考えられる。ソヨンは次にリリースされた5thミニアルバム『I love』のリード曲、「Nxde」でもソングライターとして参加。いやらしい意味を持たれがちな“ヌード”というワードに対して所属事務所から「過激だ」と反対されながらも、それを押し切ってリリースした。そんな「Nxde」は、本来持つ、“ありのまま”という意味である“ヌード”で曲を語り、「いやらしいものをお望みならそんなものはありません」と男性から受ける性的搾取のまなざしを一蹴したのだ。
また、6thミニアルバム『I Feel』では、自己肯定をテーマとした楽曲が多く収録され、彼女たちの強くありながら優しく包み込むような一面も多く見せてくれるアルバムとなっている。
88risingと挑む新たな挑戦『HEAT』が見せる期待
そんな(G)-IDLEが88risingと共にリリースする最新EP『HEAT』は、キャリア初の全編英語詞で作られると発表された。
ショーン・ミヤシロは今回のコラボレーションに、「私たちはずっとファンで、彼女たちが持つクリエイティブな面に同調している。私たちとのコラボレーションを受けてくれることを光栄に思う」と語った。先行シングル「I DO」は、これまで見せていた挑戦的な姿勢を見せる(G)-IDLEから一変、メロウでゆるやかなテンポで、彼女たちの美しく優しい歌声と、88risingがこれまで見せてきた世界に届ける楽曲へのこだわりが見える作品となっている。
88risingと女性アイドルグループといえば、2020年には日本のアイドルグループである新しい学校のリーダーズとも契約している。「ATARASHII GAKKO!」として活躍する彼女たちは、日本のカルチャーを全世界に発信。ダイナミックなパフォーマンスと、その斬新さによって日本よりも先に海外でブームとなるなど、88risingが虚飾なしで彼女たちの活躍をサポートしていることが伺える。
このように、88risingは「Asian Pop」を世界に発信する理念を常に持ち続けており、それを実際にやり遂げている。その中に、すでに韓国国内だけでなく世界の音楽関係者からも注目を浴びる(G)-IDLEが参加し、本格的な世界デビューへの道を志すわけだ。これは(G)-IDLEが表現の場を広げるというだけでなく、88risingがキュレートする世界観の中に、彼女たちの斬新で挑戦的な姿勢と、常に歩みをやめない強い個性が加わるということである。
(G)-IDLEの世界デビュー作品となる最新EP『HEAT』は9月8日リリース予定。88risingが推進する「Asian Pop」を新たな視点で見せてくれる(G)-IDLEの活躍に早くも期待が抑えられない
Text:はらう/Tamio Kimura



