TikTokが新たな音楽配信サービス「TikTok Music」をローンチ

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音楽のトレンドを生み出し続けているTikTokが新たにストリーミング市場への参加を発表した。「TikTok Music」と呼ばれるこの音楽配信サービスは、SpotifyやApple Musicなどの競合相手と比べTikTokならではの“音楽を発見する”レベルの高さを強みとしている。
TikTok Musicを使用するユーザーは、既存のTikTokアカウントと統合されるため、これまでと同様にプラットフォーム上で発見した楽曲を楽しむことが可能で、共有、ダウンロードすることができる。
ブラジルとアジアの市場から展開
TikTok Musicはすでにブラジルとインドネシアでサービスを開始。“アジアの市場”と発表されているので、アメリカよりも先にアジアの他の国でローンチする可能性が高い。数カ国での試用期間を経て、今後は広告なしの高品質のストリーミング、オフラインで音楽を聴くためのダウンロードサービスなどの機能を取り入れていく。
また最優先であるストリーミングサービスの強みとともに、TikTokはアーティストや音楽の権利所有者に対しての収益をより大きく提供していくと主張。ストリーミングサービスは会社によってアーティストや楽曲所有者への分配が異なることから、何パーセントの割合となるのか注目される。競合他社に比べて大きな配当を得られるのであれば、一気にストリーミング市場でもトップとなる可能性がある。
TikTokの抱える問題点
TikTokは若者を中心に必須のアプリとなっているが、それがゆえに未成年への悪影響が懸念されているほか、セキュリティ面の不安からアメリカを筆頭に数カ国の政府端末では使用が禁止されているのが現状だ。規制を発表、示唆しているのはEU諸国、イギリス、アメリカ、カナダ、インド、台湾、オーストラリアなど。TikTok Musicがテスト期間としてローンチしたブラジルやインドネシアは含まれていない。SNSとしてのTikTokは今後もコンプライアンスの徹底が望まれるだろう。
しかしストリーミングサービスとしてみると、すでに10億人以上のユーザーを抱えている大企業であり、Spotifyが約半分の5億1500万人、Apple Musicが9800万人ということを考えるとかなりのシェアを獲得することになる。ちなみに2021年ではあるがSpotifyはストリーミング市場の約32%、Apple Musicは15%を獲得。TikTokミュージアムがどこまで食い込むか注目だ。
TikTokの開発元である中国IT大手バイトダンスは2020年にも音楽ストリーミングアプリ「Resso」を開始したが、こちらは普及せず、廃止される予定だ。