音楽はゼロからどう生まれる?森田美勇人 × 荒谷翔大が語る、創作のプロセス

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アーティスト同士のトークから、音楽や人物の魅力を掘り下げるコンテンツ「Diggin’ Deep」に、森田美勇人と荒谷翔大という2組のシンガーソングライターが登場。
もともと友人関係にあった2人が共同プロデュースした楽曲「siro」について、また2人がどのようにして曲作りをしているのかを、インタビュアーの☆Taku Takahashiに語ってくれた。
トークのアーカイブ放送はこちら。
☆Taku:2人はどうやって仲良くなったんですか?
森田美勇人:以前、僕が出演していたラジオ番組にゲストでお呼びしたのがきっかけです。僕自身が荒ちゃんの音楽のファンだったので、ぜひお話してみたいと言って、yonawoの皆さんに来てもらいました。そのときに連絡先を交換して、その後にご飯に行ったんですよね。
荒谷翔大:そうでした。
森田美勇人:その後、福岡のライブに行かせてもらって、yonawoハウスにもお邪魔して。
荒谷翔大:一緒に軽い打ち上げをしましたね。
☆Taku:そのとき、美勇人さんはまだソロとして活動し始める前じゃないですか。こうやって一緒に音楽を作ることは想像してましたか?
荒谷翔大:いや、まったくしていなかったです。ラジオに呼んでいただいたとき、話している中で僕らの音楽に対する愛がすごく伝わってきて。人柄もすごく素敵だし波長が合うなと思ったので、自然と連絡先を交換して仲良くなりました。
☆Taku:翔大さんはアーティストの友達が多いほうですか?
荒谷翔大:いや、そんなにいないですね。
☆Taku:どうやって仲良くなることが多いんですか?
荒谷翔大:そうですね…、フェスは出演者が多いので、なかなか交流する機会がなくて、対バン企画とか、自分の主催の企画とか。3、4組のアーティストさんで集まった時に、やっとチャンスがあるかな?くらいですかね。そこで波長が合えば仲良くなります。
☆Taku:そんなお2人が共同プロデュースで「siro」という楽曲を作ったと。
森田美勇人:はい、僕が荒ちゃんに声をかけました。2、3年くらい前、僕は曲作りをしたことがなくて。でも曲を作ってみたいなという気持ちがあったので、荒ちゃんに相談したんです。最初は僕がビビりすぎて、なかなか制作が進まなくて。最初にお話ししてから完成まで3年ほどかかりました。
荒谷翔大:最初は遊びみたいな感じでやってたんですよね。
☆Taku:確かに、作るのって怖いですよね。どういう風に進めたんですか?
森田美勇人:まず僕から荒ちゃんに、ライブでみんなと共有できるようなハッピーな曲を作りたいという話をしました。
荒谷翔大:リファレンスの曲も出してくれたよね。
森田美勇人:そう、Justin Timberlakeのこういう感じが好きとか、自分の好きなものも共有したね。
荒谷翔大:あとはテーマを決めました。今回の「siro」だったら、弟さん。
森田美勇人:そう、僕の弟を題材にした曲なんです。
☆Taku:弟さんを題材にしようと思った理由はなんですか?
森田美勇人:僕は割と、自分の家族から生きるヒントをもらうことが多いんです。それまでは自分が芸能界だとか、外の世界を歩いてきた感覚がずっとあったんですが、「siro」を作っているタイミングは、自分が家族に帰ってきた感覚があって。それで家族を題材に掘り下げてみようと思ったのがきっかけです。
荒谷翔大:その時、美勇人さんは歌詞を1人で書き上げたことないということだったので、まずは弟さんとの思い出を箇条書きでもらって。そこから自分なりに使えるワードを拾って広げつつ、ズレがないかすり合わせをして、メロディーに乗せていきました。
でもやり取りしていく中で、美勇人さんも他の曲を作りながら、徐々に自分のスタイルが確立してきている感じがあったので。だから「もう1回、自分なりに書き直してみたら?」ということで、歌詞をまっさらにしたんですよ。
森田美勇人:そうだったね。
荒谷翔大:それがすごくハマったので、ちょっと言葉を足したり、自分のリズムやコードを乗っけていって。
☆Taku:後半はもうコライトみたいな感じですね。
森田美勇人:そうですね。歌詞は僕と荒ちゃん、メロディーは基本的には荒ちゃんが作ってくれて、それをもうひとり、今一緒にトラックを作ってくれているSPENSRと3人で仕上げました。
☆Taku:スムーズに完成まで行きましたか?途中でつまづいたりとか。
森田美勇人:3年前に作り始めたときは、僕がビビっちゃってる部分もあったんですが、3人の中ですれ違いみたいなものはあんまり感じなかったですね。
荒谷翔大:スタートしたのは3年前だけど、実際に手を動かしていたのは1年もないぐらいだから、すごく短期間でできた感じです。美勇人さんが書いてくれた歌詞が自分にスッと入ってきて。それでメロディーもパッと浮かんだので、きっと詩の力だと思います。
☆Taku:ちなみに翔大さん自身は、自分で書けるようになるのにどれくらいかかりました?
荒谷翔大:僕は中学1年くらいから曲作りを始めたんですが、最初は楽器が弾けなかったので、アカペラで、詩は英語で書いてましたね。ちゃんとギターでコードを鳴らして1曲作れたのは、ギターを触り始めてから2、3年くらいかかったかもしれないです。
☆Taku:最初から歌詞もメロディーも作れた感じですか?
荒谷翔大:そうですね、自然と作れました。それをみんなに覚えてもらって歌うみたいな感じでやってましたね、中学で。歌詞は拙い英語で、文法とかはたぶん間違えてるけど、適当に並べて、音をはめて、みたいな。
☆Taku:なるほど。一方で、美勇人さんは最初に自分の考えをまとめて、それを翔大さんに投げて、でも最終的に自分で書くようになった。結構短い期間にそうなったということですよね。
森田美勇人:環境に恵まれたおかげだと思います。荒ちゃんと仲良くなれたり、行く場所行く場所、影響を受けている人たちが仲良くしてくれることが多くて。習いに行って覚えるというよりも、自然と身についてきている感じがしています。
☆Taku:最近、僕も歌詞を書き始めるようになったんですよ。だから、すごく興味があるんですけど。これから歌詞を書いてみたい人たち、始めたての人たちへのアドバイスってありますか?
荒谷翔大:僕が歌詞を日本語で書き始めたのは高校からだったんですよ。高校ではっぴぃえんどさんの「風をあつめて」という曲の歌詞を聴いた時に、「風をあつめて」ってすごく素敵な言葉だなと思って、自分もこういう歌詞が書きたいっていうのを見つけました。多分、こういう歌詞が書きたいって思うものを、誰かの詩でもいいし、歌じゃなくて本でもいい。こういう世界観で、こういう言葉使いで、っていうのを見つけたら、きっとそれが軸になるのかなと思います。
☆Taku:最初に自分で書いた詩は影響を受けたものと似ていました?
荒谷翔大:最初は「矜羯羅がる(こんがらがる)」っていう曲を書いたんですけど。「風をあつめて」から影響を受けつつも、パクリにはなりたくないっていう気持ちはありましたね。
☆Taku:最初はパクリみたいになっちゃうことも良くあると思うんですが、そこはなかったんですね。
森田美勇人:自分で歌詞を書き始めて思ったのは、全てが文章じゃなくても良いというか。歌詞って、自分の好きな情景とか感覚とか、題材にしたテーマの中で言葉を並べるだけでも、音と相まってその曲の世界観が生まれるのかなと。あんまり難しく考えずに、語感とか気持ち、感覚を殴り書きしてそのまま当て込んでみる。今はそれでやっている感じです。
☆Taku:2人とも才能があるからアドバイスになってない(笑)。語感で書ける人ってなかなかいないと思いますよ。でも、正しいですよね。本来のアートの楽しみ方、作り方は、感じて楽しむことだと思うので。
【番組情報】
Diggin' Deep
様々なジャンルで活躍するアーティスト/プロデューサーをゲストにお迎えし、アーティスト同士だからこそ話せる「深い話」をお届け!さらに、ゲストによるラジオライブセッションも。アーティストの魅力がもっと知れる、もっと好きになるプログラムです。
番組ページ:https://block.fm/radio/diggin-deep