Montell Fishインタビュー|クリスチャンラッパーから自由な表現者へ。独自の世界観が支持される理由を探る


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ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のシンガーソングライター、Montell Fish(モンテル・フィッシュ)。彼の曲は穏やかで落ち着きのある印象を受けるが、時として感情的な側面も感じられる。言葉と言葉の絶妙な”間”が決して多くないリリックを際立たせ、その“間”を持ってさらにリスナーの胸に響くのだ。これはテクニックというよりもMontell Fishの音楽性・人間性が成せる業なのだろう。「クセになる」といえばありきたりかもしれないが、しっかりと噛み締めたくなる楽曲ばかりなのだ。
Montell Fish はグラミー賞アーティスト・Daniel Ceaser(ダニエル・シーザー)のオープニングアクトを務めるなど、着実にその知名度を高めている実力派。ヒップホップ、R&B、ネオソウル、ジャズなどジャンルを問わずに様々な要素を織り交ぜるスタイルで、ストリーミングでは世界で1億回以上再生されている楽曲も多い。中でも「Fall In Love With You」は、彼のハートフルな作曲センスを消えゆく楽器の上で際立たせた唯一無二の楽曲となった。
今回block.fm では、6月4日にSHIBUYA CLUB QUATTROでの初来日公演を控えるMontell Fishに、彼の音楽性に迫るインタビューを実施した。
「子供の頃から音楽が親友だった」様々なジャンルの要素を取り入れる音楽性の背景
ーまずは音楽のキャリアや影響を受けてきたものについて教えてください。子供の頃に聴いていた音楽やアーティストが、今のあなたの音楽スタイルにどのような影響を与えていますか?
Montell Fish:いろいろな音楽を聴いて育ってきた。母親と再婚した義父、あと実の父親っていう少し複雑な家庭環境だったからなんだけど。実の父親はラップやヒップホップが好きでよく聴いていたから、サンプリングやループを使った音楽が好きになったんだと思う。僕の曲を聴けばそういう影響がわかると思うけど。ソウルや R&B、ゴスペルといった音楽は母親が家でよく聴いていた。だから、そういう部分が僕のもう一つの側面に影響を与えているんじゃないかな。
ー実際に音楽を作り始めたきっかけは?
Montell Fish:たしか6歳か7歳くらいの頃に、父親のPCのマイクで録音して、ラップしたり歌ったりしてたんだ。本当に幼い頃からそうしてた。音楽とはずっと繋がりを感じてたし、僕はあんまり人気者ってわけじゃなかったから、音楽が僕の感情のはけ口だったんだよね。友達を作るのにも役立ったし。だから、子供の頃からずっと音楽を聴いてた。音楽は僕の親友みたいなもので、自然と作り方を学び始めたよ。最初はピアノを覚えて、それから音楽制作やギターとかも学んでいったんだ。
ーゴスペルも聴いて育ったと言っていましたが、日本では”クリスチャンラッパー”という概念がまだあまり一般的ではありません。あなたの音楽やアイデンティティにおいて、クリスチャンとしての信仰がどのように影響を与えていますか?
Montell Fish:自分の母親や再婚相手の父親の家で流れていたのがゴスペルだったから、クリスチャンラッパーという概念は、僕が音楽を作り始めた初期の頃に影響を受けていたものなんだよね。ニューヨークに引っ越してからはもっとオープンマインドになって、自分の世界観を作り出していくようになった。それまでは「クリスチャンだから」という制限も感じていたけど、自分の考え方を持つように変わっていったと思う。それでも、神様という存在は常に自分にとってインスピレーションを与えてくれるもの。音楽を作り始めた頃よりは深いつながりではないかもしれないけど、いまだに影響を与えてくれる存在なんだよ。
言語を越えて共鳴する、誰もが感じる感情や経験を表現する音楽
ーあなたの音楽スタイルにおける独自の要素は何だと思いますか?
Montell Fish:大事にしているのはシンプルであること。これは実の父親に教わったことでもあるんだけど、例えば昔のヒップホップはリリックもシンプルでしょ? それを繰り返し聴くことで新しいもの、新しい視点が見えてくる。瞑想や祈りのようにね。僕の曲のほとんどはそんな感じ。例えば7回聴いたら、7回目にまた新しい気づきがある。そういう音楽を作りたい。だから、書いてる時は何を書いてるか自分でも分からないこともあるんだ。無意識に深く繋がってるからかもしれない。それは宗教や、繰り返しのパターンや、伝統的な祈りから学んだことかな。例えば、賛美歌の『主はわたしの羊飼い』みたいな。そういうパターンや繰り返しが音楽にもあると感じるのが好きなんだ。平和や落ち着きをもたらしてくれるからね。
ーあなたの音楽には信仰、愛、希望といった普遍的なテーマが込められています。これらのテーマが異なる国々のファンにどのように共鳴すると感じていますか?
Montell Fish:君が言ってくれた通り、僕の音楽は人間の感情、希望、愛、信仰、悲しみといったものを取り入れようとしている。人間は多くの点でみんな似ていると思っていて。例えば「Jamie」は僕の失恋の話。僕が作る音楽は、自分のために、自分の視点から作っているけど、聴いた人はみんなそれぞれの経験を曲に反映させる。でもこれは僕のストーリーなんだ。でも、この曲が普遍的なのは、みんなが同じように感じるから。誰もがそう感じる瞬間を経験するんだよね。だから、たとえ言語が違ったとしても、人間だからこそ共感できると思うんだ。
ーあなたの音楽はすごく心が落ち着くものが多いと感じます。曲の中で出てくる「You」は特定の人というよりも神を指しているように聞こえますが、音楽を作るうえで「神との対話」を大切にしているのでしょうか?
Montell Fish:そうだね。僕の音楽の多くはかなりオープンエンド、答えがないものだと思う。例えば「Talk 2 Me」の中では“God”というリリックが出てくるけど、元恋人の話もしている。二重、三重の意味を持ってるんだよね。それが一度にたくさんの感情を引き起こす理由でもあると思う。僕は意図的にオープンエンドにしていて、それは一度に様々なことを表現しようとしてるから。いろんな違った痛みを同時に表現したいんだ。
ー若いリスナーがあなたの音楽に深く共感するのはなぜでしょう?
Montell Fish:いろんな理由があると思う。先に話した「Jamie」そして「Her Love Still Haunts Me Like a Ghost」。この2曲は”別れ” をテーマにしているけど、これもみんなが人生のどこかで経験することでしょ? でも、恋人や誰かとの別れを初めて経験するのは若い時期だよね。そういうときに、僕の音楽に共感してくれるんだと思う。音楽は自分を見つけるのに役立つものでもあるから。15〜17歳の頃は自分がどういう音楽を好きなのか見つける時期。人生の中でとても重要で、ロマンチックな時期だよね。そして多くの若い子たちが同じように感じているから、僕の音楽が響くんじゃないかな。
「今作っている、新しい世界観を日本のみんなにも観てほしい」
ーもうすぐ来日公演ですが、今までに日本に来たことはありますか?
Montell Fish:行きたいとは思ってたけど、今回が初めて。とても楽しみだよ。ライブで行けるなんて本当に嬉しい。
ーさっきはラーメンを食べていましたが、食べ物や他にも日本のコンテンツで好きなものはありますか?
Montell Fish:実はあまり知らないんだよね。ラーメンは大好きなんだけど(笑)。だから日本のカルチャーを体験していろいろと学びたいね。
ー日本でのパフォーマンスを楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
Montell Fish:会えるのが楽しみだよ! 今もいろんな曲を作っているから、みんなと早く共有したいね。新しい自分の世界をみんなに見てもらいたいんだ。ライブに来てくれる人はありがとう、すぐ会おう!
インタビューを通して自然体で、自分の言葉を選びながら真摯に回答してくれた Montell Fish。特に”普遍的なもの””繋がり”という言葉は彼の音楽性を説明する中で重要なワードであると感じた。それは今の自分と現在、未来の自分。自分と神様、そしてファン。全ての繋がりを大事にしているMontell Fish だからだろう。
繰り返し聴くことで新たな発見を得られる彼の音楽は、長く愛される音楽だ。それは彼も話す通り、人間なら誰しもが感じる感情が詰め込まれているからこそ。Montell Fish は早すぎる時代の流れの中でしっかりと根を張ることのできる、貴重なアーティストだ。
【公演情報】

MONTELL FISH
INTERCESSION BEFORE CHARLOTTE
日程:2024 年6 月4 日(火)
会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO
開場・開園:OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:¥6,000-(税込/All Standing/1Drink 別)
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/montellfish/



