インタビュー|Madeonに訊く、圧倒的な完成度のステージを作り上げる裏側


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サマーソニックの前夜祭として開催された「ソニックマニア」にて、音楽と映像が完璧に融合した圧巻のパフォーマンスを目撃した人も多いだろう。
2019年にリリースしたアルバム『Good Faith』の名を冠したワールドツアーを行い、4月には米・カリフォルニアで開催された世界最大級のフェス「コーチェラ」での神がかったパフォーマンスも大きな話題となったフランス出身のプロデューサー、Madeonが8月26日放送のblock. fm「TCY Radio」にゲスト出演。観る者を圧倒するクオリティのライブ演出を作り上げる裏側や、最新リリース楽曲についてなど、最近のMadeonの活動について番組ナビゲーターのTJOがインタビューを行った。

※このインタビューはソニックマニア出演前に行いました。
TJO:今年4月にリリースされた「Love You Back」は2019年にすでに制作されていて、ライブなどでも様々なバージョンで披露していたと思うんだけど、このタイミングで正式にリリースをしようと思ったのはなぜ?
Madeon:実はこの曲のフックは2015年に作っていたんだ。その歌詞を変えて2019年に完成した。でも、バースの歌詞がどうしても決まらなくて、なかなかアイデアがまとまらなかったんだ。ライブでは断片的に聞いてもらっていたんだけど、1曲フルでは聴かせられない状態だった。『Good Faith』のアルバムにも入れるつもりだったんだけど、結局自分が納得できる歌詞ができなくて。それで今年ようやく「これならいける」という歌詞のアイデアがまとったんだ。
楽曲の最初の部分をより希望に満ちている歌詞にしたいと思い、最初の一行に“This could be your year”、今年こそ君の年になるかもしれない、という希望を感じられる言葉を入れた。この言葉で、たとえ愛する誰かと一緒にいられなくても、未来には可能性があるという意味を伝えられると思った。ぴったりくる言葉がようやく見つかって「これで完成した!」という気持ちになれたからリリースしたんだ。
TJO:コロナ禍を経て希望に満ちた楽曲がリリースされるのはすごくグッドタイミングだと思うんだけど、それまで歌詞が浮かばなかったというのがちょっと意外に感じたよ。多作のイメージがあるけど、Madeonでも悩む時期があるんだね。
Madeon:音楽って、ものによっては制作にすごく時間がかかる。階段に例えると、一気に階段を登れるときもあるし、登ってから踊り場でしばらく立ち止まることもある。もちろんゆっくり登っていくこともある。いろんな階段の登り方があって、曲によっては少し待って熟成させなきゃいけないものもあるんだ。そうしないと、なにかがちょっと足りない。自分の人生の中でなにかが起きることによって、それが起爆剤となって曲が完結する。だから待つ時間も大事なんだよね。
「All My Friends」という曲も最初は悲しげなバラードだった。ピアノと自分の声だけだったんだけど、何かが違うと思って少しずつ変えているうちに、だんだんディスコ的な曲に変わって完成した。この曲も「これだ」と思えるまで待っていてよかった曲だよ。何を待っていたかはわからなかったんだけど。
素晴らしいインスピレーションが浮かぶ瞬間は、ミュージシャンとしての醍醐味だね。インスピレーションが湧いてきたときの快感を追ってミュージシャンをやっているんじゃないかと思うくらい。魔法のような瞬間で、心臓がドキドキして、自分の体の中の血がキラキラとした金色に変わるような、そんな素敵な瞬間なんだ。
TJO:マジカルな瞬間っていうとMadeonで特に顕著なのはライブだと思う。いつ観てもすごいなと感じるよ。特に今年のコーチェラでは音楽と映像のコラボレーションが壮大ですごく印象的だった。Madeonが高いところに立っているときはまるで神様のように見える瞬間もあったくらい。そういったステージでの演出やパフォーマンスはどうやって作り上げているの?
Madeon:ビジュアルに関しては音楽と同じくらい、もしくはそれ以上の力を入れている。4人のアニメーターやグラフィックデザイナーとチームでビジュアル面を作っているよ。チームメンバーはそれぞれバックグラウンドも違うし国籍も違う。アメリカ人もいれば日本人もいる。それぞれ得意分野やスキル、趣味も全然違うんだけど、僕も含めて5人で僕の家に何ヶ月も集まって制作するんだ。PCをぐるっと並べて頭を寄せ合ってね。もちろんそこには僕も参加している。僕も自分でビジュアルを作るからね。
そのチームの中で自分はクライアントではなく、チームメンバーの一人としてビジュアル制作に関わっているんだ。みんなで音楽を聞いて分析して、どうやったらライブで忘れられないような最高の瞬間を演出できるかを考える。僕らはお互い助け合っているから、すごく親しい友だちのような関係なんだ。だから完成したビジュアルを見るときは、僕のためにチームが作ってくれたというより、お互いの人生や技術からインスピレーションを与えあって一緒に作り上げたという感情が湧いてくる。だからこそライブをやっていると制作中の思い出が浮かんで、自分にとってはさらにスペシャルな一瞬になるんだ。
「神様のように」という話が出たけど、ビジュアルを作る上でもちろん焦点は自分に当たっているんだけど、ある意味一種のキャラクターを演じている感じなんだよね。自分というよりは、ファンタジー世界でのキャラクター、みんなが今まで見たことがないようなイメージを作り上げて、それを演じている。だから「Madeonってエゴイストなんだ」とは思わないでほしいよ(笑)。コーチェラのステージは本当にスペシャルな大作になった。大きなスクリーンで、スケール感も今までにないものを見せることができたと思う。とにかくすごく力を入れている部分だから、こうやってビジュアル面に対してコメントしてもらえるのはとても嬉しいよ。
TJO:いちクライアントとしての意見を言うだけじゃなく、一緒に作っているからこそ、楽曲と直結してひとつの作品に仕上がっていると感じるんだね。
Madeon:その通り。全部が繋がっているんだ。
TJO:明日は2年半ぶりの日本でのライブ。前回のライブは僕も観させてもらって最高だったんだけど、明日のソニックマニアのステージに向けての意気込みをぜひ聞かせてほしい。
Madeon:とにかく興奮してるよ。かなり前からすごく楽しみにしてたんだ。前回のツアーの続きみたいな部分もあって、それが最新版にアップデートされている感じ。前回がバージョン1だったら今回はバージョン4くらいになっていると思う。ライブを重ねていくうちにこのライブの魂、核みたいなものがどこにあるかがどんどんわかってくるから、その核となる部分をより発達させてバージョンアップしているんだ。だから僕としては新しく付け加えたパートが一番気に入っているんだよね。
ライブ中に自分自身がクローンされていくような箇所があって、いくつもの僕が現れるところがあるんだけど、そこを注目してぜひ見てほしいな。あとは前回と今回の違いがどこにあるか、どういうところが新しくなっているかを見てもらえたら。ぜひみんなの感想を聞きたいよ!
WE’RE GONNA BE GOOD pic.twitter.com/6Ive0s5ePi
— Madeon (@madeon) August 20, 2022
TJO:ありがとう。最後に、今後どんなリリース考えてるのか、もし教えられることがあれば教えて。
Madeon:自分のキャリアにおいて、ある期間をひとつの章としてまとめているんだけど、今は『Good Faith』の章の中で、それにあわせた次のシングルがもうすぐ出る予定。その曲もソニックマニアで披露するよ。それと同時に新しい音楽も実際に作っている。
いつも数年先を想像しながら仕事をしているんだけど、制作の工程の中では常に自由でいたいんだ。でも次のことを話しすぎてしまうとみんなの期待や想像が膨らんでしまって、それを自分も感じてしまう。そしてそれに迎合してしまう可能性が出てくる。それは避けたいという気持ちがあるから、先のことはあまり話したくないんだよね。小さい小鳥を守るように、大切にしていきたい。でも最近、特に日本に来てすごくインスピレーションが湧いているから、さらに明確に次のビジョンが見えてきているよ。
ライブに対する思いを熱量高く語ってくれたMadeon。トークの内容は「TCY Radio」アーカイブで視聴できるのでぜひチェックしてほしい。アップデートを続けるMadeonの活躍を今後も楽しみに待っていよう!
▶TCY Radio番組ページ:https://block.fm/radio/tcyradio
【Madeon】
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