LIDO 直撃インタビュー 才能あふれる歌手、作曲家、プロデューサーが、日本への愛を真摯に語る

LIDO 直撃インタビュー 才能あふれる歌手、作曲家、プロデューサーが、日本への愛を真摯に語る
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2017.08.03 12:20

Written by Amy 


 ノルウェー出身のLIDOは信じられないほど才能のある歌手、作曲家、プロデューサーです。 彼の才能に脅かないように! それでいて、本当に謙虚で、クールな人でもあるんです。 パソコンのスクリーンからLIDOがフレンドリーに「元気ですか?」と聞いてきます。「SONICMANIA 2017」で来日するLIDOとLAにあるスタジオをつないでスカイプで行ったインタビューは、おおよそインタビューではないような、まるで新しい友達と会話するかのようなカジュアルな感じでした。 彼にとって日本のいちばん好きなところ、そして、彼の独特なバックグラウンドや、どんなものが彼に影響を与えたか、その他にも音楽のプロダクションについて多くのことを話してくれました(聞き手:AMY @ block.fm) 


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LIDO あれ。今どこ??


AMY block.fmのオフィスにいます。東京です!


LIDO 東京は地球でいちばん好きな場所なんだよ! 


AMY 初来日公演は楽しみですか? 


LIDO めっちゃ楽しみ。ちょっと緊張はしているけど。何を期待すべきかわからないんだよね、正直に言って。 


AMY 予想はどんな感じですか? 


LIDO まず。人がとっても多くて、うやうやしい群衆(?)なんじゃないかと予想している。そしてみんな気が利く。でもそれはすごくいいことなんだよね。僕はたまに予測不可能な音楽を作るから、難しいのは…それに合わせて踊ること。だからこそ、ちゃんと聴こうと努力してくれるような日本のファンは、僕の音楽にすごく向いていると思う。パーティー、つまりレイヴのために行く人や、ドラッグをするための人の音楽ではないと思うから。だからすごく楽しみ。 クレイジーだけど、初めて東京に行ったときに、とってもアットホームな気持ちを抱いた。東京は別世界だけど、この落ち着く感じは人生で経験したことのない感情だった。 


AMY 安全感はありますね~。 


LIDO そう! 言っていることわかるよね!? 日本のどこにいても感じた。というのは、もともとノルウェー出身なんだけど、アメリカも好きだし、パリも大好きだし。その他すべての国とコネクションを感じているし、もちろん感謝の気持ちもあるけど、東京のように落ち着く感じはないんだよ。本当にホームにいる感じ。クレイジーな経験だった。説明するの難しいね。 それに東京は多くの点でフィールドアートの中心地だと思っている。 ポップカルチャー、特に日本ではより実験的で奇妙なものにオープンな気がする。 一般に流布しているアーティストも、複雑な文化の背景からくる、奇妙な異物が入り混じっている。でもそれにリスペクトがあるところがアットホームと感じられる理由なのかも。 


AMY すごくわかる! 東京はある意味混沌だけど、落ち着きますよね。 


LIDO だから、誰かに一番好きなところはと聞かれたら…。 


AMY 東京。 


LIDO そのとおり。


僕の心に一番近いのがゴスペルとR&Bなんだ


AMY 少しわがままなことですが、たまに海外から来るアーティストはライブセットではなく、DJセットでやる人がいるんですよね。LIDOからはライブセットを期待できますか? 

 

LIDO (yesと頷く)。でもそれが僕のだめなところかも。ほとんどの人は僕より気が利いていて、DJセットとかいろいろなことができるけど、僕は自分がクールと思うことしかできない(笑)。 


AMY でもそっちの方がオーセンティックですよ! 


LIDO そう。だから僕はライブショーをやりたい。LIDOとしてDJはしたことなかった。他のプロジェクトでDJをやることはあるけど、LIDOとしては絶対にないね。そっちはライブショーだけで。じゃなければ、なんか変な感じがするもん。でも、みんなにPUSHされているんだよね。DJセットをやれって。そっちの方が楽だし、そんなにお金かからないし。でも初めて日本でパフォーマンスして、初めて日本のファンに会う時に、みんなをインターネットで見るショーのような中途半端なバージョンで失望させたくないしね。それってひどいことじゃん! 


  AMY R&Bデュオの「THEY.」をフィーチャーした最新のリリース 『Not Enough』は、1990年代にはおなじみだったニュー・ジャック・スイング・サウンドが新たに使われています。その曲の背後にある物語が何であるか知りたいと思っていました。


LIDO かなりランダムなことだった。僕はとても広いジャンルにアプリシエーションがあるし、いろんな音楽を聴いてきた。でも一番心に近いのがゴスペルとR&B。いろいろなR&Bのセグメントに入ってインスパイアされるのが大好き。ある日、THEY.とスタジオにいて。実は僕たちは前からよくコラボしてたけど、まだ何も出していなかった。その夜「僕たちニュー・ジャック・スイング大好きだし、よく聴くから、試しに作ってみようよ」となって、「でも作るなら、本物に聴こえるものを作ろう」と意気投合したんだ。サンプリングされているのものはよく聴くけど、それはいやだったんだよね。ただインスパイアされてモダンなリズムとして使っている曲とか。「僕たちがまったく同じようなサウンドの曲を作ったらどう。本当に1991年に出たものを」となって、その通りにやってみた。 それが僕たちのプロジェクト。ニュー・ジャック・スイングと同じものを作ってみようとした結果としてこういう曲になった。でも「ファック!」となったのが、ちょ~かっこいい曲だけど、僕のアルバムにも合わないし、彼らのアルバムにも合わないし。でもこの曲をお蔵入りにしてしまうにはかっこよすぎじゃん!ってことになって、普通のコラボ曲としてリリースすることになった。あまりちゃんとしたプランはなかったかな。 この曲本当にかっこいいし、捨てたら勿体ないし。すごくランダムな作り方だったんだ。


AMY またニュー・ジャック・スイングを使った曲を作ったりしそう?


LIDO う~ん、1回だけのことかな。僕もTHEY.もその方向にいくことはないし。でも、僕は本当にR&Bにインスパイアされたものをたくさん作って行くよ。今後も他のアーティストからニュー・ジャック・スイングを使った曲がたくさん出てくると思うけど、僕は違うかな。


ヴィック・メンサとジェイデン・スミスとのコラボ


AMY そして、去年リリースした「Everything」のことですが、 各曲について説明しているビデオシリーズを見ました。このアルバムはあなたがこの数年間で経験したことや気持ちがすべて含まれていると感じて、1曲1曲、あなたが曲に心を込めていることをシェアできました。ヴィック・メンサ(Vic Mensa)やジェイデン・スミス(Jaden Smith)をボーカルとしてフィーチャーしていましたが、自分が経験したことや感じたことを完璧に伝えるために相当信頼しないといけないと思うんですよね。どういったプロセスや、どのようなつながりだったか教えて頂けますか?


LIDO 全員とても慎重に選んだ人でもあるけど、その前にとっても親切な友達だね。ヴィックとはたまに一緒に音楽を作る素晴らしいアーティストで、彼と一緒に制作した音楽は僕の中にいろんな新しいアイディアを授けてくれた。そういうセンシティブな瞬間を大切にしておきたかった。 このレコードに入っていることは「あなたは僕にとってとても大切な友達だ」「僕が話したいと思っている特別なことについて、あなたと僕はつながっている」。そして「何が起きても、あなたはいつも僕の側にいてくれた」というようなことだ。だからヴィックは何かがあった時に側にいて、その夜一緒に曲を書いて、それは本当にスペシャルな経験だった。その時のシチュエーションをうまく説明したものが「アウトカム」だった。トロントに居たんだよね、その曲を書いた時。あの時人生の中で一番、ひとりのように感じて、僕たちはその孤独を表現した。 そして、トウキョウ(Towkio)はいつも「それはどうでもいいでしょ!」と言ってくれる友達で、いつも元気をくれる。なんでも真剣に考えすぎないようにいいアドバイスをくれる。本当に本当にいい友達。 ジェイデンはとても仲のいい友達で、結構なんどもコラボしてて。彼に電話して、話して聞いて、いろんなシチュエーションに対応してくれて、いろんなことについて違う感覚から考えるように教えてくれた。 そして、アクセル(Axel)という子もアルバムに入るんだけど。よく歌う子で。今14歳なのかな? 僕は彼の中に自分自身のこと、似たようなストーリー、似たような考えを見ている。 いつもパズルのピースのように考え込んじゃうんだけど、今回はもう自然にまとめられて。知らない人には僕のストーリーをシェアできないので、この役は友達しかできなかった。彼らが僕がうまく説明できないことを伝えてくれた。


「インプット=アウトプット」で自分ケアが大事なんだ


AMY 今年はeBookの「THE ART OF MUSIC PRODUCTION」の中で、DiploやKSHMR らと一緒に、インタビューを受けていましたが、これはLIDOにとってどんなことだったのですか? 


LIDO 基本的に、深い音楽を作れるようになりたかったから、ただ人としてできることについて話した。そして、最も大切で知っておかなくてはいけないことは自分のこと、そして正直に行動すること。真実は不思議で、最もパワフルなものでもあるけど、それが最も難しくて、イージーなことでもあって、自分のすべてでもあると。とっても不思議なコンセプト。 正直に言って、僕にとって音楽とは、たとえ他の人が好きなものじゃなくても、自分が好きなことをすべきことだと思う。それが話したシークレットの1つだったんだ。そして、自分が自分の一番大きなファンじゃないと。みんなはみんなの理由があって、いろいろ言われるんだけど、でもいろんなことを言われる中で自分の声しか信頼できないんだよね。だから、自分のために曲を作って、他人のために作らなくなると、自分の中でユニークなものが見つかるんだよね。さっきAMYが言ってた通り、そうすることによってオーセンティックさや純粋さが感じられるようになるんだよね。文化、音楽を超えて。 それがコネクション。エネルギー。でも正直かなり前にその本をやったから、あまり覚えてないんだよね。でも、言った通り、自分の音楽を信頼すること、自分が好きなことを信頼すること。 自分の体に気をつける、水を飲んだり、運動したり。普段やらないけど、お母さんが言ったつまらないことをやる。寝不足にならないように。だって曲を書いたり、クリエイティヴになることは、筋肉のようなものなんだよ! 体についてる筋肉と同じ、と思ってる。 自分をケアすることはとても大切。僕がいつも言ってるのは「インプット=アウトプット」。体に入れるものはでるものにも見える。何に対しても。特にクリエイティヴなもの。なので、本を読まないと、上手に書けない。いろんな音楽を聴かないと、感覚が広まらない。自分をインスパイアするもの、ポジティブなエネルギーを上げて、体を大切にすること。本当に大事だと思う。 それ以外には、テクニカルなもことも言った気がするけど、基本的にクリエイティヴィティに関するアドヴァイスはそれが一番大きい。テクニカルなことより、そっちの方がでかいかな。 いつもマイクを持ち歩いて、すべてを録音してる。いくら小さい音でも。ビートのために、アイディアのために。例えば、今日はこの鍵の音で何か作ったんだよ。本当に音楽はすべてに入っていると思うし、新しいことを考えるのにいろんな方法はあると思うけど、まずは体を大事にすること、それから「素直」になること。その二つがあれば、なんでもできる。 君は、それは理にかなっていると思う?


AMY うん。そう思います。まず自分を大切にしないと、行動するエネルギーもでないですね。


LIDO 本当にポジティブなものに囲まなければならないし、自分の体にネガティブな毒を入れることはできない。これらの事はすべてとても明白なんだけど、常に間違いを犯している。 僕たちはジャンキーな食べ物を食べ続け、水を飲むことを忘れている。 だから、今日、水を飲んでないからいい音作れなかったんだよ!ってクレイジーにしか聞こえないよね? でも僕はクレイジーなの。音楽は本当に自分のすべてで。 ノルウェーの教育システムは他の国とかちょっと違う。高校の時にすごく行きたい音楽学校があって、それに向けて頑張ってた。ある時、一気にファイナル試験や他のことでいっぱいになって、ひどく体調を崩してたときがあったんだ。お腹の問題。ひどい頭痛も。なんでか分からなくて。いろんな医者やオルタナティブヒーラーに会った。その中のひとりが「最後に音楽作ったのはいつ?」と聞いてきたんだ。その時は、2カ月前が最後で。その人に「一日だけでもいいので、学校を休んで、ビート作りなさい」と言われた。そのとおりにしたら、次の日元気だったんだよ!! それは僕の働き方と密接に関連してるんだよね。 僕は音楽を作る必要がある。 自分自身を表現しなければならない。 もしそれができなければ、僕は幸せにも健康にもなれない。 そして自分の体をケアすることは、音楽と密接に関係がある。 それはすべてつながっているんだよね。 クレイジーなことに。僕はちょっとクレイジー(極端)だから、あまり真に受けなくてもいいけど(笑)。 


AMY 音楽で治るのは(いい意味で)クレイジーですね!


ノルウェーからハリウッドへ引っ越した生活


LIDO 僕がLAに初めて来たとき、ファミリーのような人たちを見つけた。いい人が見つかれば、 世界のどの場所でも最高の場所になると信じている。 それがLAにいる主な理由。 こっちにはすごく大切な人たちがたくさんいる。5年前の音楽業界では、世界各地やさまざまな都市の人々がLAに移り始めるという大きな変化が起きていた時期だった。クリエイティヴな人はLAの気候が好きで。それがムーヴメントだったと思う。 今は、多くのアーティストがここに自分の場所を持っている。 当時も今も僕の焦点は、唄うこととプロデュースだった。すべてが既にここにあるので、ここはスタートするのに最高のところだった。でもインスピレーションを集めるためには旅行もするよ。そのような都市では特に、すぐに一般に広がるようなヒントもあるし。誰もポップミュージックに影響を与える小さなポケットに入っているようで、クリエイターはみんながお互いをフォローし合ったりしている。そしてみんなが次の大ヒットを書くこと、現在流行ってる事、そしてクラブで何をかけられるかを本当に気にしている。だから僕は東京に行ったり、ノルウェーに帰ったり、ロンドンで過ごす時間からインスピレーションを得る。そして、僕がLAに戻ったとき、集めたインスピレーションを使ってポップなビートを作り、ここにいる人とコラボレーションをする方法を探す。LAは愛してるけど、ゆっくり愛するようになった。一番お気に入りの都市ではないけど。僕のインスピレーションは他の場所でも得られます。


AMY ノルウェーから世界でもっとも大都市なところに引っ越して...。 


LIDO ちょうどこの前、友達と僕が育ったところとLAの相違点をリストしてたんたけど、真逆だね(笑)。10年前の生活に比べると全部が逆になっている。人や、トラフィック、SNSカルチャー、お金も。全部ひっくり返されている感じ。


AMY 地元に帰るのはまた旅行よりもっと意味ありますよね。 


LIDO 実は、今、自分で作っている音楽は... ああ、待って! 言っていいのかな。どうでもいいや。言っちゃお。僕が書いている音楽は、ノルウェー出身の僕がハリウッドに移住した事について、この場所に関する興味深い見通しを与えるものになる予定なんだ。 僕から見たこの地は一種独特だと思ってて。感覚が他の人と違うからね。 だから、奇妙なことが何であるか、そしてここの人々にとって非常に普通のことが、いかに自分にとっては奇妙であるかを表現している。


AMY LIDO独自のサウンドは、これらの異なる視点や経験からの結果であるとお考えですか? 


LIDO うん。僕特有のサウンドは僕のバックグラウンドから来ていると思う。僕が音楽でやっていること、そして僕が愛しているジャンルのすべてを組み合わせること。 1つのジャンルにそれらを強制することなくね。「この曲のこのコードが本当に好きだ」、「このジャンルのドラムが好き」、「このジャンルのエネルギーが好き」、「この文化の歌詞が好きです」、そう言ったものをこのプラットフォーム上で動作するかどうかを考えずに、すべてを融合させてきた。僕はクラブでプレーするものを作るような、特定のグループの人々だけを喜ばせたりすることを本当に考えてなかった。 僕はただ僕らしさを感じる音楽を作りたいと思う。ここまで独学できたから、僕はルールを教えてくれたり、やり方を伝授してくれる人がいなかったので、結果として誰とも違う独自な表現になっていると思う。そのために多くの時間を費やしてきたんだ。だから、僕のやることをみんなぜひ聴いて欲しいな。


 


AMY 今日はお時間、ありがとうございました!フェスとイベントでお会いしましょう! 


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LIDOプロフィール ノルウェー出身のプロデューサー・シンガーソングライターとして活動をしているLIDO。圧倒的なメロディーセンスと楽曲の構成力でアンダーグラウンドシーンの担い手として注目を集めてきた。2014年にはレーベルPelican Flyから「I Love You EP」をリリース。特に同EPに収録された「Money」は多くの注目を集め、フューチャーベース&ビートシーン界の次世代天才プロデューサーとして評される。Disclosure、The Weeknd、BANKS、MØなど数々のアーティストにRemixを提供し、Diplo主催Mad Decentが送り出す歌姫LIZや、同郷のCashmere Catと共に行ったAriana Grandeの楽曲プロデュースでも話題となった。既に2017年グラミー賞を受賞したChance the Rapperをはじめ、TowkioやHalseyなど様々なアーティストとの共演も果たし、プロデューサーとしてもアーティストとしても世界中からオファーが絶えない状況となっている。 HPTwitterInstagramSoundCloudSpotifyApple Music  


LIDO 来日情報


SONICMANIA2017 8/18(金)@ 幕張メッセ




UNDERWAVE Launch party 8/21(月)@ WOMB




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