ヒップホップの生みの親、Kool Hercのサウンドシステムがオークションで落札

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今では世界的に認知されているヒップホップ。1973年にDJ Kool Herc(クール・ハーク)がニューヨーク・ブロンクスにてブロックパーティーを開いたことがヒップホップの始まりであることは有名な話だ。そんなヒップホップのパイオニア中のパイオニアであるKool Hercが所有していたサウンドシステムが世界の2大オークションハウスであるクリスティーズで出品されることが6月にアナウンスされ、先日落札された。
サウンドシステムの内容は?
今回出品されていたのはテクニクスのターンテーブル「SL-1100a」、GLI 3880 ミキサーと言ったDJに欠かせない機材に加え、イコライザーやアンプ、スピーカーやサブウーファーなど、まさに“サウンドシステム”が揃ったもの。これらは70年代中期から80年代まで実際にKool Hercが使用していたもので、歴史的価値も高いと言える。
“サウンドシステム”とはレゲエ界では馴染みの深い言葉で、ジャマイカからの移民であるKool Hercにとっても最もインスパイアされたカルチャー。ストリートに鳴り響く低音はまさにサウンドシステムの特徴で、ヒップホップの特徴である重低音がここから生まれたと言ってもいいだろう。
ヒップホップの誕生日に合わせたイベントで出品
Kool hercのサウンドシステムが落札されたオークションはヒップホップの誕生日である8月11日をまたいで開催されていた。上記の機材の他にもKool Hercが履いていたスニーカーや、使用していたミラーボールも出品されていたとのことで、特にこのスピーカーについても歴史的価値が高い。
なぜならブロックパーティーの前にkool Hercは妹のCindy Campbell(シンディー・キャンベル)が資金集めで開いたパーティーでDJしており、これがヒップホップの始まりとされている。このパーティーが開かれていたのはセジウィック通りにある彼らが住んでいたアパートの娯楽室。そしてそこで使われていたミラーボールが今回出品されていたもの。廃棄せずにこの時代まで保存されていたことにも驚きだ。
オークションで落札というニュースではあるが、来年ヒップホップが50周年を迎える前に歴史を振り返るきっかけにもなる話題であることは間違いない。先人たちに敬意を表しながら、今のヒップホップも楽しもう。