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『ハイキュー!!』がなぜここまで愛されるのか

2024/02/21 20:30
☆Taku Takahashi
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PHOTO: ©「ハイキュー!!」製作委員会 ©古舘春一/集英社
公開初週から大ヒットを記録している『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』。作品のファンはもちろん、初見でも引き込まれてしまう作品の魅力とは。

Text:☆Taku Takahashi

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が大ヒットしている。オリコンによると、公開3日間で興収22.3億円を突破し、動員数約152万人でダントツの1位に。『ハイキュー!!』をまだ体験していない人からすると、「もともとの原作やTVアニメシリーズのファンが繰り返し足を運んでいるからでしょ?」と捉えるかもしれない。もちろんそれも一つの要因だが、それだけではない。

『ハイキュー!!』は何度も観たくなるような中毒性を持っている。作品そのものの引力、つまり魅力ある内容が人々を繰り返し映画館に足を運ばせているのだ。 劇場版のヒットには「ファン心理」を超えた何か、つまり作品自体の魅力が反映されている。僕らがなぜここまで『ハイキュー!!』にハマっているのか?

感情移入させられる多様なキャラクターたち

『ハイキュー!!』の存在は知っていた。「!」マークのついたカタカナのタイトル。いかにも少年漫画っぽい主人公のオレンジの髪に対して、食わず嫌いの自分がいた。去年TVアニメを勧められて半信半疑で観はじめたのだが、気がつけば、このオレンジ色の髪の主人公を筆頭に、登場人物たち全員から目が離せなくなった。
hinataPhoto:アニメ『ハイキュー!!』公式サイト

物語は二人の孤独な主要人物の出会いから始まる。優れた運動神経を持っているのにも関わらず、バレーがまだ上手くない主人公、日向翔陽。彼にはバレーを本気で一緒にプレイする仲間がいない。もう一人は天才セッターながら、チームメイトとのモチベーションが大きな溝となっている影山飛雄。二人ともバレーに対しての熱量がものすごく強く、それについてこられる人がおらず孤独だった。この二人の成長と周囲の人々との関わりを深く掘り下げながらストーリーは進行していく。
kageyamaPhoto:アニメ『ハイキュー!!』公式サイト

主人公以外のキャラクターも熱血系からアンチスポ根系まで多彩な面々が揃い、それぞれが自分自身の内面と向き合うシーンが描かれている。バレーを愛する者、熱くなることに躊躇する者、傷つくことを恐れる者、自分の限界に直面し苦悩する者など、さまざまなキャラクターたちの物語が絡み合う。それぞれの登場人物の物語に触れると、自分とは全く異なる性格のキャラクターの心情でも理解できるほど、ストーリーが丁寧に展開されているのだ。

心を動かす何気ない言葉

この作品の魅力の一つは、登場人物たちが放つ、何気ないけれど心に響く言葉。これらのセリフは、苦悩や葛藤を抱えるキャラクターたちに向けられ、彼らだけでなく視聴者にも深く影響を与える。相手チームのバックストーリーも丁寧に描かれているから、敵であっても彼らにエールを送りたくなる瞬間が生まれるのだ。
nekomaPhoto:アニメ『ハイキュー!!』公式サイト

『ハイキュー!!』の名言はシンプルで変哲のないフレーズに聞こえるかもしれない。だが、その言葉は「ここぞ」というタイミングで発せられる。何気ないけれどストレートでシンプルな言葉が、困難を乗り越えていく中でとても暖かく、心に響く。バレーボールを通じての成長だけでなく、人生のどんな壁にも立ち向かう勇気を与えてくれる。

バレーボールを知らなくても大丈夫

この作品の素晴らしい点は、バレーボールを知らない人でも楽しめるところにある。キャラクターの登場方法や大会の進行を通じて、バレーボールのポジションやルールを一つひとつ丁寧にストーリーに織り交ぜて説明してくれるため、気づけばルールや選手の心理状態も理解できるようになる。実際に、世界中のプロ選手たちもこの作品に夢中になっているほどだ。この作品には、少年漫画にありがちな非現実的な必殺技は登場しない。現実のバレーボールプレーを基にしながらも、非常にドラマチックに描かれている。

アニメーションの制作にはProduction I.Gが携わっており、選手の動きやボールの軌道は、実際の試合のような迫力を感じることができる。スポーツは筋書きのないドラマと言われるが、この作品はまさにその通り、予測不能な展開が詰まっているのだ。初めて観た時、まるで本物の試合を見ているかのような感覚になり、声を上げてしまうほどだった。正確に言うと、何度観ても、「よっしゃ!」という声を自然と出してしまうほどの臨場感を感じることができる。そして気がつけばバレーボールの魅力の虜となっていく。

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』から観ても大丈夫?

今回の映画はTVシリーズの続編。『ハイキュー!!』を観たことない人からよく聞かれるのが、「この映画からでも大丈夫か?」という質問。

答えは、Yes。

ちなみに、原作漫画はもう完結している。アニメにハマったことがきっかけで、結末が気になり、漫画を最後まで一気に読んでしまった。なので今回の映画の結末は知っていたのだが、この作品の素晴らしさは、あらすじを知っていても感動できる点だ。ちょっとしたネタバレを知っていても楽しめるし、観れば観るほど感動が深まる。これは、原作者がキャラクターたちの成長にしっかり伏線を張っているからだ。そして、アニメ制作チームもバレーボールのプレイのようにしっかり繋いで作品を完成させている。

『ハイキュー!!』にハマった僕からすれば、主人公たちの成長を同じように体験してもらいたい。とはいえ、映画から入ろうと思う人にも分かりやすく、しかも映画館ならではの臨場感たっぷりの演出で描かれている。今年初めてリアル春高観戦に行ったのだが、映画では春高を映像で再現するという部分にすごく力を入れているのを感じた。

そして素晴らしかったのが音だ。選手のプレーの音が素晴らしいのはもちろん、応援団のメガホンから聴こえてくる歪んだ声も、漫画で読んだクライマックスシーンも、まるで東京体育館にいるようだった。さらに映像だからこそできる手法で新しい解釈を表現していて、新鮮な驚きもあった。

初日に観に行った時、試合が始まってすぐに目頭が熱くなった。これまでの登場人物たちの成長や、ここまで来るまでの道のりが走馬灯のように頭に浮かんだからだ。物語的に泣くシーンではないので、『ハイキュー!!』が初めての人は「周りの人たちはなぜ泣いているんだろう?」と思うだろう。でも、この映画を観終わった後、多くの人が最初から観なおしたくなるはずだ。そして、僕と同じ経験をした後に、もう一度この映画を観たくなるだろう。そしてきっと、冒頭の同じシーンで感動すると思う。

劇場版『ハイキュー!!』を観る前に知っておくべき3つのポイント

①烏野高校と音駒高校の関係
主人公の学校、宮城県代表の烏野高校と、対戦相手である東京都代表の音駒高校は、ライバルでありながらも合宿を共にするほど仲が良い。何度も練習試合をしているが、公式戦で対戦したことはまだない。「ゴミ捨て場の決戦」という呼び名は、それぞれの高校の名前にちなんだ猫とカラスがゴミ捨て場で戦う様子から来ている。

②日向翔陽と孤爪研磨の友情
hinata2kozumePhoto:アニメ『ハイキュー!!』公式サイト 上/下

熱血主人公の翔陽は練習試合や合宿を通じて、音駒高校の冷静沈着な孤爪研磨と友情を育む。バレーボールをこよなく愛する翔陽は、なんとなくでバレーボールを続けている研磨に何かを感じ取ってもらいたいと願っている。この作品の主人公は日向翔陽であるが、この映画では孤爪研磨も主人公と言えるだろう。実際、僕は全員が主人公だと思っている。

③月島蛍と黒尾鉄朗の師弟対決
tsukishimakurooPhoto:アニメ『ハイキュー!!』公式サイト 上/下

ミドルブロッカーのツッキーこと月島蛍は才能と身長を兼ね備えているが、「ただの部活(タダノブカツ)なのに、なぜそこまで真剣になれるのか」と周りの人々に対し冷めた疑問を抱えていた。その疑問に対し、同じポジションの黒尾が敵ながらもさまざまなアドバイスを送る。この二人の対決も見どころである。

この3つ以外にも語るべき多くのポイントがあるが、まずはこの3つを把握しておけば間違いなく楽しめるだろう。

エンドロールの後にも物語が続くので、最後まで席を立たないようにご注意を。

劇場版を観て物語の全体像が気になった方は、さまざまなプラットフォームでTVシリーズが配信されている。

■『ハイキュー!!』オンデマンド情報:https://haikyu.jp/ondemand/

【公開情報】

劇場版ハイキュー
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』
全国公開中
公式サイト:https://haikyu.jp/
公式X(旧Twitter):@animehaikyu_com

©「ハイキュー!!」製作委員会 ©古舘春一/集英社

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