新たなNYアンセム「City of Gods」はドリルシーンの現状を打開する曲となるのか

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ヒップホップのサブジャンルとしてその地位を確立したドリルラップ。特に近年ではニューヨークを中心としたニューヨーク・ドリルが今のヒップホップシーンには欠かせない。
先日ニューヨーク・ドリルを代表するFivio Foreign(フィヴィオ・フォーリン)が先日リリースした「City of Gods」にはKanye West(カニエ・ウエスト)とAlicia Keys(アリシア・キーズ)が参加しており、注目度の高い楽曲となっているので、まずはお聴きいただきたい。
第2の「Empire State Of Mind」となるか
「New York City」とALicia Keysが歌い出す「City of Gods」は彼女がフィーチャリングで参加したJay-Z(ジェイ・Z)による2009年のヒット曲「Empire State Of Mind」を彷彿させる。SNSでも「2022年の"Empire State Of Mind"だ」というコメントも見受けられるほどだ。
「City of Gods」はKanye Westがエグゼクティブ・プロデュースするFivio Foreignのアルバム『B.I.B.L.E』からのリード曲であるが、この曲は先日銃で殺害されたラッパーのT Dott(T・ドット)に向けた曲だとFivio Foreignは語る。ドリルシーンはその過激なリリックが“売り”ではあるのだが、それゆえ悲しい事件が後を絶たず、それが社会問題ともなっているのが現状だ。
ドリルラップがBANされる可能性も
ニューヨークのラジオDJであるDrewski(ドリュースキー)は早くからニューヨーク・ドリルをサポートしていたDJであったが先日Instagramでこんなコメントを残している。
誰から送られてこようが、自分はもうディス、ギャングミュージックをサポートしない
これは前述したドリルシーン界隈における事件の多さを嘆いての発言であり、この話題についてニューヨーク市長のEric Adams(エリック・アダムス)も後日言及していた。Eric AdamsはMVなどを見た上でその暴力性に驚き、SNSを運営する会社と話し合いを持ちたいとまで話しており、ドリルラップをBANする可能性まで浮上している。
また、ニューヨーク・ドリルラッパーとも話し合いの場を設けたいとEric Adamsはコメントしており、両者にとって良い方向性が見いだせれば良いのだが...今後の行く末が気になるところだ。
“We pulled Trump off Twitter … yet we are allowing music displaying of guns, violence.”
— NYC Mayor Eric Adams (D), after his son sent him drill rap videos, says he will try to get the videos banned from social media. pic.twitter.com/ATGmhpi4Bo
— The Recount (@therecount) February 11, 2022
「City of Gods」は過激なリリックが含まれているわけではないが、ストリートの儚さをテーマにした今このタイミングだからこそリリースされて良かった。そんな曲だと感じる。この曲をきっかけにドリルラップの方向性が前向きなものに変わることを期待したい。