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ジャンルを超越するヒップホップの革新者Brodinski。TohjiやLootaも魅了するプロデューサーの魅力とは?

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PHOTO: (C)ShotbyArian
Tohji、Lootaともコラボするフランス人ヒップホップ・プロデューサー/DJ、Brodinski。エレクトロからヒップホップへの音楽性の変遷や注目すべき近年の代表曲の紹介を通じて、その独自の音楽性に迫る。
2024/04/23 19:50
Jun Fukunaga
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Brodinski(ブロディンスキー)が来日する。最近の彼はどんな作品を作っているのだろうか?ふと気になってQosoとの最新コラボEP『Aurora』を聴いてみた。

これはとんでもなくヤバい作品ではないか。

7曲中4曲がドープすぎるダークレゲトン(「LAS 12」、「Astaroth」、「Pégate a mí」「Farmacia」)というBrodinskiの新たな一面が垣間見える作品には、スペインのレゲトンアーティストやフランスのラッパーらが参加。特にレゲトン方面に注目すると、現行の先鋭エレクトロニックアーティストの代表格・Arca(アルカ)によるサイバーパンクレゲトン作品『KiCK i』(2020年)にも通じるアヴァンギャルドな内容になっており、並のヒップホッププロデューサーという枠では収まらないBrodinskiの音楽性の高さを改めて感じる1枚だ。

2000年代にはエレクトロシーンを牽引する存在のひとりとして、日本でも高い知名度を誇ったフランス・ランス出身のプロデューサー/DJ、Brodinski。2010年代に入ってからはヒップホップにもアプローチしたハイブリッドなサウンドを武器にパリのクラブシーンを牽引するだけでなく、Kanye West(カニエ・ウェスト)作品も手がけるなど、その活動は徐々にヒップホップへと移行していく。

2010年代後半からはヒップホッププロデューサーとして躍進し、2020年代に入った現在もアメリカやヨーロッパ、日本のシーンと密接にリンクしながら、時代の先を行く先鋭的なヒップホップ作品を量産し続けている。

常に新しい道を切り開いている印象のあるBrodinskiだが、改めて彼の経歴と近年の活動について総括し、その独創的な音楽活動に触れていきたい。

2000年代はJusticeらとともにエレクトロシーンを牽引

Brodinskiは、10代の頃に地元でのDJ活動からキャリアを開始。2007年、同郷のDJ/プロデューサーYuksek(ユクセック)とのコラボシングル「Bad Runner」でアーティストデビューを果たすと、このダークエレクトロなトラックのヒットをきっかけにエレクトロシーンで頭角を現す。

翌年リリースした『Oblivion』EP(2008年)も話題となり、Justice(ジャスティス)らとともに当時のフレンチエレクトロシーンを牽引。独自のDJスタイルを確立し、パリの人気クラブ「Social Club」でレジデントを務めるなど、クラブシーンでも存在感を示した。

その中で出会ったのが、Brodinskiの師匠となる故DJ Mehdi(DJ・メディ)だ。しかし、2011年にDJ Mehdiが急逝したことをきっかけに、Manu Barronとともに自身のレーベル「Bromance」を設立し、新たなキャリアをスタートさせる。

Kanye West楽曲のプロデュースやアトランタ移住など、活動の軸足がヒップホップに移行

その後Bromanceでの活動を通じて、Brodinskiはフレンチエレクトロ/ヒップホップの両シーンで活躍するが、2013年にプロデューサーとしての大きな転機が訪れる。この年にはBromanceと契約するGesaffelstein(ゲサフェルスタイン)とともにKanye Westのアルバム『Yeezus』に参加。「Black Skinhead」と「Send It Up」を共同プロデュースしたことでヒップホッププロデューサーとしての名声も高めた。

さらに2015年にはデビューアルバムとなる『Brava』をリリース。同作は「Can't Help Myself」など、エレクトロ/テクノとヒップホップをブレンドしたかねてからのハイヴリッドスタイルが色濃く反映された内容になっている。

またこの頃、同レーベルからは地元フランスだけでなく、グローバルに若い才能をフックアップするコンピレーション『Homieland』がリリースされたことで世界的な知名度も獲得している。ちなみに2016年にリリースされた『Homieland vol.2』には、現在は千葉雄喜として活動するKOHHのSam Tibaによる「Paris」のリミックスも収録されている。

クラブミュージックシーンで世界的にも注目を集めていたBromanceだが、2017年、Brodinskiは突如レーベルを閉鎖。その後アトランタに拠点を移し、新レーベル「BROYAL」を設立すると、同レーベルから『Brain Disorder』EP(2017年)や、現地ラッパーのHoodrich Pablo Juanとのコラボミニアルバム『The Matrix』(2018年)、Lil Reekのデビューミックステープ『The Graduation』(2018年)のプロデュースなど、ヒップホップへのアプローチを深めていく。さらに2019年にはアメリカ全土からラッパーを迎えたヒップホップ作品として、2ndアルバム『Evil World』をリリースしている。

2021年にTohji、Lootaとのコラボアルバム『KUUGA』で日本で再び脚光を浴びる

2020年代に入ってからも、Brodinskiはヒップホッププロデューサーとしての活動を継続。2021年には、海外でも高く評価されるTohjiと、「It G Ma」のフィーチャリングで世界的なバズを起こしたLootaとともに制作したコラボアルバム『KUUGA』で、日本でも再び脚光を浴びる。

Lootaとは、その後もスイス出身のプロデューサーModulaw(モデュロウ)を迎えたコラボアルバム『Helheim』(2022年)をリリースしたほか、2024年に入ってからもLootaのシングル「Eternity」と「Usual Suspects」に参加するなど、盟友関係が続いている。

一方自身の作品としては、2023年に初のビートテープ『Old Nick』をリリースしたほか、同年にはフランス人プロデューサーのQosoとスペインのレゲトンシンガーのBEA PELEAとのコラボによるダークレゲトン曲「Fantasma」をリリース。さらに2024年は、未発表曲を集めたミックステープ『Poison Ash』や、Qosoとのコラボ『Aurola』EPもリリースしており、ヒップホップのみならずダークレゲトンやベースミュージックにもアプローチするなど、音楽性をさらに拡張している。

近年のBrodinski作品の要注目曲をピックアップ!

このように近年はヒップホップ・プロデューサーとして、活躍しているBrodinski。ここではヒップホッププロデューサーとしてのBrodinskiの魅力を知るための注目すべき曲をいくつかピックアップして紹介したい。

Brodinski - Thug Life feat. Lil Dude & Hoodrich Pablo Juan(2018年)

Hoodrich Pablo Juanとのコラボミニアルバム『The Matrix』収録。Brodinskiの音楽性はエレクトロ時代からメロディック路線ではなく、ドープなダークエレクトロ/テクノ系の印象が強く、それが独特の中毒性を醸し出していた。「Thug Life」では、トラップ系のビートではあるものの、歪んだシンセフレーズは往年のエレクトロ時代のBrodinski楽曲を彷彿とさせる。

Brodinski - Pissed Off feat.Xanman

Gesaffelstienのダークなボディ・ミュージック要素とLil Wayne(リル・ウェイン)のストーナー・トラップの中間に位置すると評されることもある、Brodinskiのヒップホップトラック。その評価をよく表しているトラックが2019年の2ndアルバム『Evil World』に収録されている「Pissed Off」だ。メリーランドのラッパー、XanmanをフィーチャーしたサグいリリックとBrodinskiによるドラッギーでダークエレクトロ感のあるトラックは不思議と耳に残る。

Loota、Brodinski、Modulaw - Different Trains

『KUUGA』でのコラボレーターが再び集結したLoota、Modulawとのコラボアルバム『Helheim』収録曲。逃避行を喚起するかのようなリリックが印象的だが、深遠などこかに誘われそうなドープなトラックも秀逸。エクスペリメンタルなラップ曲だ。

ZEROTOKYO1周年イベントでは盟友Lootaや人気日本人ラッパーJUMADIBA、ralphと共演

5月3日に東京・ZEROTOKYOで開催されるイベントでは、メインゲストとしてBrodinskiが出演する。このイベントでは盟友Lootaのほか、『ラップスタア誕生!シーズン4』の優勝者ralph、遊び心に溢れた音楽性でファンを魅了するJUMADIBAもライブアクトとして出演。またDJとして、ヒップホップ/R&Bをルーツに持ち、常に新しいサウンドを取り入れたプレイで人気を博すShioriyBradshawらも出演するなど盛り上がり必至のラインナップとなっている。

当日のBrodinskiのパフォーマンスを楽しむための予習には、今年1月にブリュッセルのオンライン・コミュニティラジオ「Kiosk Radio」から配信されたDJ動画がおすすめだ。この動画では、先述の『EVil World』や『Helheim』収録曲など、近年のBrodinskiによるヒップホップトラックが多数プレイされているので、Brodinskiのことが気になった人は、ぜひチェックしてほしい。

【イベント情報】


ZEROTOKYO 1st Anniversary Brodinski

OPEN 23:00
PRICE
DOOR:¥5,000-
FASTPASS TICKET:¥4,000-(優先入場・入場料金含む)

整列開始:22:00

B4 Z HALL
Brodinski / Loota / ralph / JUMADIBA / Kiri / ShioriyBradshaw
VJ:REAKS

B3 RING
JOMMY / Yugo / Bibiyua / 6.do Shoma fr,dambosound / rag & Taishi

B2 BOX
〈HIP HOP〉
LIVE:Lil moon / Starrk / BLACK ORCHESTRA / NDCrecords / RYÜBI
MC:ASOKA & Douanii
DJ:ROVA / SHINTARO / KEI / RIKUTO / Yzer0 / Riot / HATSUYUKI / ama

B2 R BAR
1-Drink / Gliiico / Yoppi / miyu / moe

https://zerotokyo.jp/event/1st-anniversary-brodinski0503/

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