Bandcampの従業員、Songtradrによる買収で半数が解雇される

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音楽ライセンスプラットフォームのSongtradrが10月16日にEpic Gamesからの買収を完了したことを受け、Bandcampのスタッフの半数が同社からレイオフ(一時解雇)されたことがわかった。
従業員削減の背景はBandcampの大幅に増加した運営コスト
Bandcampの労働組合Bandcamp Unitedは、最近発表された前親会社のEpic GamesによるBandcampのSongtradrへの売却によって、一部の従業員のみが継続して雇用されるという方針に対する声明を発表していた。
BandcampのシニアエディターだったJJ Skolnikは、10月17日にBandcampの従業員の半数がレイオフされたことをSNSで報告している。
about half the company was laid off today. some of the most incredible people i’ve ever worked with, including two of my amazing editorial colleagues @diamonde and @atoosamoinzadeh and most of the incredible support staff among many others. this is a loss, no two ways about it
— jj skolnik (@modernistwitch) October 16, 2023
MixmagやThe Vergeによると、SongtradrはBandcampの従業員の半数に対し、同社に残ることを提案。退社する従業員は前オーナーのEpic Gamesから退職金を受け取ることになるという。
またMixmagに送られた声明でSongtradrは、今回の従業員削減の背景としてBandcampの大幅に増加した運営コストを挙げている。
「過去数年間で、Bandcampの運営コストは大幅に増加しました。アーティストとファンのコミュニティに貢献できる持続可能で健全な会社を確保するためにいくつかの調整が必要でした。円滑な事業運営のための役割の重要性やSongtradrの既存の機能など総合的な評価を行った結果、Bandcampの従業員の50%がSongtradrでの雇用オファーを受け入れました。オファーを受けなかった従業員は9月28日に伝えられた通り、レイオフの一環としてEpicから退職金を受け取ることになります」
「Bandcamp Daily」や「Bandcamp Friday」は継続を約束すると主張
一方、今回のBandcamp買収により、ユーザーから今後の継続が不安視されていた「Bandcamp Daily」や「Bandcamp Friday」といった人気サービスについては継続を約束すると主張。「Songtradrは音楽全般に対する深い情熱を共有しており、アーティスト、レーベル、そしてそのすべてを可能にしているファンにサービスを提供していきます」と述べている。
またSongtradrはBandcampの買収により、今後Bandcampアーティストにはコンテンツクリエイター、ゲームやアプリの開発者、ブランドなど、あらゆる形態のメディアに楽曲をライセンスする能力と選択肢が与えられると発表しているが、これが今回のBandcamp買収の大きなきっかけとなったとMixmagは指摘している。
Bandcampにはすでに膨大な音源カタログが存在するため、今後、十分な数のアーティストがオプトインすることになれば、映画、テレビ、広告、ビデオゲームなどのメディアへのライセンスやシンクロ権のための受動的な収入源として、潜在的に大きな収入源を開くことになる。一方で、これにより自分の音楽が商業的に低く評価される可能性もあるため、アーティストにとってはあまり有益ではないかもしれないとする懸念の声もあるようだ。
なおBandcamp Unitedは、レイオフされたBandcamp従業員の次のステップの決定のためにEpic Gamesと再度交渉を行うことをSNSで発表している。
Update on today's layoffs: pic.twitter.com/yyUkcifXdQ
— Bandcamp United (@bandcampunited) October 17, 2023