YOSA & TAARが語る“パーティー愛”。「MODERN DISCOの生む空気感をアルバムとして届けたかった」

YOSA & TAARがユニットとして初めてのアルバム『MODERN DISCO TOURS』をリリース。アルバム制作の裏側をインタビューした。
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2019.03.27 03:30

東京のディスコ/ハウスシーンを代表する大人気パーティー、「MODERN DISCO」。FKJやDimitri From Parisなど大物アーティストの招聘も実現したこのパーティーのレジデントを務めるのがYOSAとTAARだ。各々プロデューサーとしてソロでも活躍する中、ユニットとして初のアルバム『MODERN DISCO TOURS』をリリース。向井太一やMINMI、SIRUPなどバラエティに富んだアーティストをフューチャーした今回のアルバム制作の裏側を聞くべく、YOSAとTAARにインタビューを行った。




YOSA & TAAR
DJ/プロデューサーとして活動するYOSAとTAARによる共同プロジェクト。渋谷SOUND MUSEUM VISIONで開催されている人気パーティー“MODERN DISCO”で共にレジデントを務め、ハウス〜ディスコの新しいムーブメントを作るべくユニットとしての活動を開始。2018年8月、ユニットとして始動後、初の作品となる第一弾シングル「Slave of Love ft. 向井太一&MINMI」をリリース。異色の強力タッグを迎えつつも2人が提唱する“新世代のディスコ・ハウス”を体現した楽曲となり各所で話題を集めた。11月にはSIRUPを客演に迎えた第二弾シングル「Fever ft. SIRUP」を発表。SIRUPが紡ぐエモーショナルな歌声と2ステップ調のビートが心地よくミックスされたダンスチューンでさらに注目度を高めた。そして2019年3月遂に1stアルバム『Modern DiscoTours』をリリース。



パーティーからオリジナルアルバムを作るって、改めて考えると画期的なことができたね。





ーblock.fmの番組「MODERN DISCO」では、「アルバムの構想に結構時間がかかった」と仰っていましたね。


TAAR(以下、T):構想って言えば聞こえがいいんですけど、ただ単純に腰が重かった。


YOSA(以下、Y):僕のソロアルバムが出たのが2016年で、TAARのアルバムが2017年。それのバタバタもありつつ、パーティーのMODERN DISCOもやってて。やりたいっていう気持ちはずっとあったんですけどね。


T:途中で他のプロデュースの仕事が入ってきちゃったりとか。


Y:お互いに「そろそろ作らなきゃね」って言い続けてたんですけど、結局お互いのマネージャーに…。


T:とにかく作りなさい、と言われて。


Y:それで、どうやってスタートしていいかもわからないから、とりあえず2人で週に何回も一緒にスタジオ入って、夏休み合宿みたいなことをしたんです。そこから動き始めた感じだよね。


T:2年前の夏かな。


Y:でもその合宿期間は全然ダメだったんですよ。短いループみたいなのはたくさんできたんですけど、全く形にならなくて。そこからまた期間をあけて、「こういう風にやったら作れるかも」みたいなのをお互い出し合って。それからは、一緒にスタジオ入るっていうよりかはデータのやり取りで進めました。


T:ほぼ毎週現場で会うし、コミュニケーションはできてたよね。「Slave of Love」ができてからは速かった。


Y:最初は曲単位で出していくのかなって感じで、アルバムにすると思ってなかったんですよね。でも今のレーベル、bpm tokyoさんが曲もできていないうちから興味を持ってくれて段取りを組んでくださったので、そこからは真面目に取り組むようになりました(笑)。


T:実際に作業した期間は半年くらいかな。お互いにTODOリストみたいなのを作って、データをやり取りして。でもたぶんね…1、2ヶ月は僕のせいで遅れたと思う(笑)。


Y:そうそう。その遅れてる期間に僕が「もうお前とはやってられん!」みたいなガチギレをしたりとか(笑)。でもそういうのも経て、最終的にはいい着地を迎えられたかな。はじめに出来上がった2曲、「Slave of Love」と「Fever」を作れたことがすごく大きくて。この2曲に対してアルバムを作るんだったらこういう曲を作ろう、みたいな指標になりました。




ーアルバムのコンセプトについても結構話し合われたんですか?


T:そもそも「MODERN DISCO」っていう言葉自体がコンセプチュアルなので。ディスコとは言いつつ音楽のジャンルではないんですけど、「MODERN DISCO」というパーティーが真ん中にあり、ここで成立するものを、っていうのがそのまま指標になったかな。


Y:すごくポップなアルバムだけど、バックグラウンドにあるのはダンスミュージックとクラブパーティー。クラブでの機能の仕方は当然意識しました。でもMODERN DISCOのいいところって、ストイックなダンスミュージックだけではなく、朝方になったらポップスみたいな曲がかかったりもする。そういう「なんでもあり感」みたいなものをダンスミュージックっていう指標の中で表現できたらいいなと、このアルバムを作る上でも思ってましたね。


ー「MODERN DISO」というパーティーだけではなく、アルバムを作ろうとなったきっかけはあったんですか?


Y:パーティーってすごく沢山あると思うんですけど、僕とTAARみたいにそれぞれがプロデューサー/DJで、ソロでもアルバムを出してる、そういう2人がレジデントのパーティーってあんまりないなって思ったんですよね。だからそれは「MODERN DISCO」の面白さでもあるし、それを形にしたものができればオリジナリティのあるアルバムになるんじゃないかっていうのがきっかけかな。


T:MIX CDじゃなく、オリジナルアルバムだもんね。


Y:パーティーの名前でMIX CD出したりとかはよくあるけど、パーティーからアルバムを作っちゃうっていうのは多分あんまりないよね。コンピレーションでもないし。改めて考えてみると結構画期的なことをやったね。


T:そう言われるとそうだね。新しいことをしてる意識は全くなかったけど。


Y:作ってることはいつもどおりだからね。でもせっかく2人でやるんだったら1人でできないことをやりたいなと思って作りました。規模感とか客演の幅も含めて。


ーコラボしてるアーティストもすごく幅広いですよね。


Y:ちょうど半分くらいずつ案を持ち寄って。結果的に旬な人たちと作れたって感じで、「今流行ってるからフィーチャリングしよう」みたいなのは一切なかったです。


T:本当に好きなシンガーのみなさんと作れた。それぞれのアーティストさんが出してるアルバムも聴いてますし、この人達以外に頼む人いないっていうくらい、好きな人達だけを選びました。


Y:このアルバムは僕らの”好き”が交わる部分が詰まった作品になってると思うんですけど、そこって結構ポップなところなんですよ。僕とTAARはそのポップな部分でやりたいことが共通してたから、客演はすんなり決まりました。


T:結果としてすごく「今」っぽくなったよね。


Y:ジャンルレスでもあるよね。ラッパーもロックバンドのボーカルも、レゲエシンガーもいる。正統派のソウル、R&Bのシンガーもいるし。客演の皆様のおかげでバラエティに富んだアルバムにできた。


T:僕、結構声フェチなんだけど、全員歌に特徴があるなって思う。人とは違う特徴を持ってるのかな。eillちゃんみたいな、今のアジア感があるポップスシンガーって他にあんまりいないよね。アジアの中の無国籍感みたいなのがある。向井君は向井君だけが持つ独特の感じがあるし。


Y:みんな、声を聴けば誰が歌ってるかわかるくらいの特徴があるよね。だからこそ「その人の曲」にはならないようには気をつけたかな。それと同時に、その人の曲と離れすぎないようにもしたし。


T:めちゃめちゃ聴いて研究した。ラフを作ってるときから「この曲歌ってくれたらいいな」っていう人を想像してたり、ある程度できあがってからオファーを考えるときも、その人の元々のアルバムを聴いたりしたし。だから「ハマるんだけど新鮮」っていうのはすごく考えたよね。


ー曲がある程度できあがってから客演を考えるっていう流れだったんですか?


T:曲ができてからオファーすることもあったし、曲ができる前から「この人と絶対やりたい」っていうのもありました。例えば「Fever」はSIRUPありき。「SIRUPが2step歌ったら面白いよね、絶対一緒にやろう」って本人と話したこともあって。だから曲ができる前の段階でそういう基軸が決まってたりとか。




逆にeillちゃんの「Red」は曲先行。R&Bぽくもあり4つ打ち感もあり、このフィーリングだったら甘さの中にスッキリ感があるような声の人がいいと思って。eillちゃんとはずっと一緒にやりたいって言ってたのが4年越しで実現できたんですよ。向井君とMINMIさんの「Slave of Love」も曲先行だよね。


ーこの2人の組み合わせっていうのもまたすごいですよね。


T:ウルトラCだよね。YOSAさんのアイデア。


Y:元々は向井君だけの曲だったんですよ。でも、寝てるときに突然閃いたんです。「MINMIさんだ!」って。


T:その閃きの2,3週間くらい前に僕、サムライチャンプルーをずっと見てたんですよ。それで、「やっぱ四季ノ唄いいなぁ」っていうのを何回かつぶやいてたんだと思う。


Y:え?それが僕に刷り込まれてたの?恥ずかしいじゃん!違うよ(笑)


T:いや、もしかしたら僕の刷り込みかもよ。2人で車乗ってる時とかも、m-floとMINMIかけてたもん。


Y:刷り込まれてたのかな〜。


T:でもそれでOKもらえてよかったよね。


Y:「さすがに無理だと思うよ」ってレーベルの人にも言われたんですけど、興味を持ってくださったんです。まさかでしたね。ほんとに全く繋がりなかったので。


T:打ち合わせに行って、最近のアルバムがすごく好きでって話しをさせてもらって。それでOKしてくださったんです。






アルバムを聴いて、パーティー「MODERN DISCO」にトランジットして欲しい。



ー制作に関してはどういう役割分担で行ったんですか?


Y:曲によってそれぞれ違うんですけど。


T:基本的には50:50になるように。その中でも、この曲に関してはYOSAのフィールドの方がいいなとか、僕のフィールドの方がいいなとかあれば分担して。お互い一人で作った曲ももちろんあります。


Y:実作業っていう意味で自分一人で作った曲であったとしても、多分同じことはソロではやらないと思う。ディスカッションは常にしてるので、作業は50:50にならなかったとしても、作る意気込みの上では全部50:50ですね。どの曲を誰がどのぐらい担当したかは、言わないほうが面白いと思うので、ご想像にお任せします。


ーソロとは違う苦労はありました?


Y:はじめだけかな。お互い、誰かと曲を作り込むみたいな経験があんまりなくて、作業の分担の方法とか進め方もわからなかったので。はじめは完全に50:50にするために一緒にスタジオ入って、ってやっちゃってたんです。そのときに作ったものは今回のアルバムに一つも入ってないんですけど、でもそれがあったから「こういうやり方じゃないな」って気づけたかな。お互いにうまく進むやり方に気づいてからは全然苦労しなかったですね。


ージャケットのアートワークも素敵ですよね。




T:ヤスダタカヒロさんという、学生のころからお付き合いさせて頂いてる方にお願いしました。今はNIKEとかのクリエイティブ作ってたり、デザイン界ではすごく有名な方で。一番身近な天才だよね。


Y:EPのデザインから全部やってくれました。ロゴも作ってくれたりとか。CD盤の中もすごくかっこいいんでぜひ見てほしいです。


ーイメージのすり合わせはどんな感じでされたんですか?


T:「バンド・デシネ」っていうフランス漫画の世界観をもとにすり合わせました。アメコミよりずっと古くて歴史のあるものなんです。メビウスっていう作者が有名で、宮崎駿とかジョージ・ルーカスが憧れた人なんですよね。


Y:ちょっと不思議な世界観でやりたいよねって言ってて。時代感や場所的なものが抽象的で、未来なのか過去なのかもわからない世界観。


T:「モダン」っていう言葉も、時間軸が不思議な言葉じゃないですか。今風っていう意味がありながら、過去のものを指したりもする。「MODERN DISCO」もそういう時代的なゆらぎ、にじみがあるから、世界観が重なったんじゃないかなと思います。


ーアルバムタイトル『MODERN DISCO TOURS』に込めた意味を教えてください。


Y:ジャンルレスな曲を、色んな世界観を持ってるアーティストさんに歌ってもらったアルバム。それを一つにできる言葉ってなんだろうって考えて。


T:TOURSは観光とか旅行代理店っていう意味なんですけど、僕らが水先案内人になり、みんなを色んな世界へ連れ回すんです。


Y:ミラーボールに乗って、過去なのか未来なのか現在なのかもわからない各地を巡るツアーっていう意味で。だからEPのデザインからミラーボールが描かれてる。


T:イントロは「Take Off」っていう曲名で、最後の曲は普通だったら「landing、着地」だと思うんだけど、旅はこれで終わりじゃないよっていう意味で「Transit」。あと、これ聴いてパーティーに来て欲しいっていう意味でもTransit。MODERN DISCOはまだまだ続くよ、っていう意味で。


Y:今までのパーティーは外タレありきでやってきてる部分もあるんですが、自分たちでアルバムを出したことで、自分たちの音楽を聴きたいと思って来てくれる人が増えるといいなと思ってます。4年間MODERN DISCOというパーティーをやってきて、ここまでの集大成にはなったかな。でもここで終わりじゃなく、また乗り換えてどんどん動いていきたいと思ってます。



ーでは最後に読者の方にメッセージを。


T:いいアルバムになったのでぜひ聴いてみてください。あとクラブで会ったら乾杯しましょう。


Y:このアルバムを聴く人って、今まで僕らのことを知っていた人だけじゃなくて、フィーチャリングアーティストのファンの人や、まだクラブに来たことがない年齢の子たちもいると思うんです。僕らのパーティーではこういう曲もかかったりするから、先入観で怖いイメージを持たずに、少しでも興味を持ってもらえたらMODERN DISCOにぜひ遊びにきてほしいです。


T:ファンサービスは何でもしますよ。「門限が厳しくて遊びにいけません」って人のお家にいってお母さん説得します(笑)。


Y:でもほんとに親子で来てくれたりするんですよ。お母さんがファンで最前列で見てくれてて。


T:そしたら「娘が最近20歳になって、はじめてのクラブデビューはMODERN DISCOです」っていうツイートを見つけてすごく嬉しかったよね。


Y:そういうの聞くと本当にパーティーやっててよかったと思って。これからもずっと続けていきたいなと思います。





【リリース情報】




アーティスト:YOSA & TAAR

タイトル:Modern Disco Tours

品番:BPMT-1016

レーベル:OMAKE CLUB / PARK / bpm Tokyo

http://smarturl.it/yosataar_mdt


Track List:

01. Take Off

02. Red ft. eill

03. Slave of Love ft. 向井太一 & MINMI

04. Perfect Fire ft. Taro from Attractions

05. Work in Lorsch

06. Dance in Casbah

07. Under Water City

08. Rain Down ft. SNEEEZE

09. Fever ft. SIRUP

10. HIKARI ft. 踊Foot Works

11. Transit


SNS

・YOSA & TAAR

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCKwtTqb2Sfh-9xbN3967mAQ

・YOSA

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・TAAR

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YOSA & TAAR「MODERN DISCO」

毎月第3火曜日21:00-22:00放送

https://block.fm/radios/126



撮影協力:渋谷SOUND MUSEUM VISION


photo by Ki Yuu


written by Moemi




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