日韓を繋ぐThe Linkプロジェクト第3弾。一十三十一をフューチャーした「Overflow(変身)」をレビュー

YonYonディレクションのプロジェクト第3弾シングル「Overflow(変身)」がリリース。哲学的なリリックで綴られる魅惑のダンスチューン。
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2019.03.25 04:00

マルチクリエイター/DJ YonYon(ヨンヨン)による、日本と韓国を繋ぐ『TheLink』プロジェクト第3弾「Overflow(変身)」がリリース。一十三十一(ヒトミトイ)、MOON YIRANG(ムンイラン)による楽曲MVが配信された。




ハウスビートと魅惑のツインボーカル、YonYon×一十三十一「Overflow(変身)」がリリース


YonYonが日本と韓国のクリエイターをつなぐプロジェクト、The Linkプロジェクト。第1弾は向井太一とSlom(スロム)を起用し「Period(過程)」を、第2弾はSIRUP(シラップ)と2xxx!(ツートリプレックス)を起用した「Mirror(選択)」をリリースと、注目のアーティストを次々にピックアップしてきた。第3弾となる「Overflow(変身)」では“媚薬系”とも評されるエアリーなヴォーカルでアーバンポップスを展開するシンガーソングライター、一十三十一と韓国のベテランプロデューサー、MOON YIRANGを召喚。





アーバンなビートと華麗なるツインボーカル


The Linkプロジェクトにおいて、今回は初の女性ツインボーカルを採用。本作のトラックは、R&B色の強い「Period(過程)」、ニュージャックスウィングリバイバルな「Mirror(選択)」ともまた違う、直球のハウスビート。MOON YIRANGの得意とする華やかでありながらも無駄のないハウスビート、一十三十一のスウィートなヴォーカルと、クリアで芯のあるYonYonのボーカルが相性抜群な仕上がりとなっている。


YonYonが魅せる「Overflow(変身)」


日本語と韓国語と英語で綴られたリリックでは、この目紛しい世界においても自分のペースで生きて行くことの大切さを水と宇宙に重ねて歌っている。筆者なりにこの歌詞を解釈、意訳し、楽曲を紹介してみたい。


タイトルになっているOverflowを直訳すると、あふれる、とかそんな意味なのだけれど、コンピュータの演算においては数値型が表現可能な値の上限を超えること、およびそれによって発生したエラーを指す言葉である。すごく数学的、工学的な用語で、楽曲のテーマも宇宙となると、YonYonってリケジョなの? と思うところだが、おそらくYonYonはパラメータが一点に振り切った変態的文系(褒めてます)なのだと推測される。


というのも、前回の「Mirror(選択)」では、YonYonパートの歌詞の中でドイツの哲学者ハイデガーを引用し、鏡に映る自分の存在意義を問いた。ハイデガーは「存在」や「時間」という概念について研究した哲学者である。哲学という学問自体、文系理系の線引きは曖昧で理系という見方もあるけれど、筆者としては、とてつもなく現実的で数学的な文系学問という認識だ。


本作でYonYonは


천천히 채워가는 물도 
흔들리면 넘치는거야 
Slowly 좀 더 차분하게 
너의 목소리 찾아가
(ゆっくり注いでいく水も、コップが揺れてしまえば溢れるじゃない 
Slowly よりじっくりあなたの声を見つければ良い)

と歌う(めちゃくちゃ現実的)。コップの水があふれる事象の比喩を用い、続けて相対する“存在”が“自分”の“存在”を気づかせてくれたとき(他者が自分に干渉したとき)に自分の存在が証明されること、そして他者の存在こそが自分を変身させるきっかけになり得ることを綴る。

本当に1人だけだったら、比較する対象もないし自分が認識されることもないのだから。それらを受け入れた上でいらないものは全て捨てて、YonYonは突き進んでいく。そんな決意表明ともとれるリリックが、YonYonの心境を物語る。

You do better (きっと大丈夫)

놓아 모든걸 놓아(全てを解き放って)

so we'll be.. so we'll be.. so we become the light(私たちは光になる)


長き野球人生に終止符を打ったイチロー選手の引退会見で語られた印象的な一説、「自分に限界を生みながらちょっとそれを超えていくと、いつの間にかこんな自分になっていく。少しずつの積み重ねでしか自分自身を超えていけないのではないか」とか、

「遠回りしないと本当の自分に出会えない」という言葉にも通ずる。限界点を突破し続けていく人にしか辿り着けない境地があるのだ。


しかしそれは闇雲に進むのではない。好きなことに情熱を注ぎ、さまざまな経験を経てそれを糧に、人は“変身”を繰り返す。文字通り、オーバーフローを繰り返すことが成長=変身なのだ。そして、現在進行形でOverflowし続ける、YonYonと一十三十一が魅せる甘美なる“変身”に耳と身体を委ねてみてほしい。






気鋭のクリエイターが多数参加した制作陣


今回はアートディレクターとしてメジャーデビュー以来、水曜日のカンパネラのオフィシャルサイトのADを務める田渕将吾(AID-DCC.inc)が加わり、ジャケットデザインとミュージックビデオを手掛けた。MVの監督は、水曜日のカンパネラ、東京スカパラダイスオーケストラ、chelmico、DosMonosらのMVを制作した新進気鋭の映像作家の渡邉直(ワタナベナオ)を招致。


そして本作も前の2作と同様に、AOMG、H1GHRMUSIC、Hi-LiteRecordsなど韓国主要ヒップホップレーベルとパートナーシップを結んでいる、StoneMusicEntertainmentのYoutubeチャンネルよりMVが公開。実績と実力を兼ね備えた布陣で送る、満を持しての「Overflow(変身)」をオンタイムでチェックしよう。




▶「Overflow(変身)」

アーティスト:YonYon×一十三十一

レーベル:ZULA Records

配信日:2019年3月21日(木)

Produced by MOONYIRANG

Composed by YonYon,一十三十一,MOONYIRANG

Lyrics by YonYon,一十三十一 

YouTube:https://youtu.be/oJQgQbyJXSQ


Available on 


iTunes;https://apple.co/2TVMD96

AppleMusic KR:https://apple.co/2HKF7Xh

Spotify:https://spoti.fi/2TZFDXH

AmazonMusic:https://amzn.to/2FhC8CE

멜론:https://melon.do/arTK6XZpU

엠넷:http://www.mnet.com/album/3246245

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▶YonYon

ソウル生まれ東京育ちというバックグラウンドを持ち、DJ、プロモーター、音楽プロデューサー、ラジオDJとしてマルチに活動するクリエイター。2012年にDJとしてキャリアをスタート。ジャンル・言語の垣根を越えて直感的に組み立てていく独自のミックス・スタイルを確立し、日・韓のみならずアジア、アメリカ、ヨーロッパの様々な都市のクラブや大型フェスなどに出演。彼女のプレイは、大衆を盛り上げるだけでなく、オーディエンスとより密接な小箱でのパフォーマンスも期待を裏切らない。2018年12月にはコンピレーション・ミックスCD『Tower Records&Manhattan Records®presents“CITYHIPPOPMIX”』をフィジカルリリース。また、日韓を繋ぐキーパーソンとして[THELINK]プロジェクトの立ち上げや、Interfm897『TokyoScene』ではラジオパーソナリティーとして同年代のアーティストやユースカルチャーの情報を発信する役目を担うなど、彼女のアンダーグラウンドからオーバーグラウンドまで分け隔てないグローバルな活動に注目が集まっている。




▶一十三十一

2002年デビュー。“媚薬系”とも評されるエアリーでコケティッシュなヴォーカルでアーバンなポップスを展開。2012年リリースのアルバム『CITYDIVE』が時代の潮流をリードし話題に。2017年リリースの最新アルバム『ECSTACY』も年間ベストに多数選出されるなど、音楽専門誌をはじめ各所で高い評価を得た。またリードヴォーカルをつとめるネオ・ドゥーワップバンド『JINATANA&EMERALDS』の1stアルバムも音楽誌の2014年度アルバムランク1位に選ばれるなど、こちらも評価が高い。その他CM音楽やナレーション、小沢健二氏のコーラスなど様々なフィールドで活躍中。




▶MOON YIRANG

レーベルThird Culture Kidsに所属するソウルのElectoronic Music Producer/DJのMOONYIRANGは、旧名義GRAYEから名義を新たにして最初のシングル「D.Afeat.CIFIKA」が、2016年イギリスのDazed&Cofusedマガジンや、EtonMessyなどにピックアップされたことを皮切りに、そのキャリアを再出発させた。韓国のアンダーグラウンドシーンを代表するコレクティブ、「AlterEgo」のメンバーでもある彼は、Cakeshopを始めとする韓国のアンダーグラウンドシーンを代表する数々のクラブやフェスティバルに出演し、DJとして勢力的に活動する一方で、2017年にリリースした「Aphasiafeat.Hoody」が、元2pmのメンバーである、JayParkが立ち上げた韓国の主要HIPHOPレーベルAOMGに所属するHOODYをフィーチャーしたことで注目を浴びる。今後も活躍が期待されるプロデューサーだ。


written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki




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