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    「中高生にも色んな音楽を知って欲しい」高校生トラックメイカーYackleは、大人顔負けのプロデューサーだった。

    2019/03/20 (Wed) 03:00
    admin

    1stフルアルバム『FRANK THROW』をリリースしたトラックメイカー、Yackleにインタビュー。

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    「高校生トラックメイカー」と聞いて、どんな人物を想像するだろうか。フレッシュで、エネルギーに満ちあふれていて…、そんな安易な想像を超える若者がダンスミュージックシーンに現れた。つい先日高校を卒業したばかりのトラックメイカー、Yackle。1stフルアルバム『FRANK THROW』をリリースする彼に話を聞いてみると、音楽に対する熱い想いはもちろんだが、大人顔負けの冷静な視点に驚かされた。

    Yackle
    奈良県出身、2000年生まれのDJ / Producer / Organizer。
    10歳の時にテクノ、エレクトロに出会い、2013年からDJとして音楽活動を開始。数々のイベントに出演し経験を積み上げ、現在は全国各地のイベントに出演しながら相方Zeraとのユニット”MentalMilk”でも活動している。2015年夏からは作曲活動を開始。2016年4月22日に初アルバム「Stalactite Cave」をリリースすると、日本にとどまらずアメリカ、韓国など海外からのサポートを受ける。2016年夏からは自身がオーガナイザーのパーティー「合法」「MusicCreation」などを全国各地で定期的に開催。現在は、Live Set/DJでのイベント出演やイベント主催に加えて、ラジオ/書物/Webメディア等の方面でもマルチに活動している。

    聞き手:m-flo ☆Taku Takahashi

    「最初は、年齢を公表するのがイヤだった。」

    ーまずは、DJやトラックメイクを始めたきっかけを教えてください。

    Yackle(以下、Y):そもそも音楽にハマったきっかけがちょっと特殊で。僕はヨーヨープレイヤーでもあるんですが、そのヨーヨーの大会でm-floさんやCapsuleさんの曲を知ったんです。小4だったんですけど、はじめてダンスミュージックというものと出会って衝撃を受けて。そこから自分の出る大会用に曲の編集を始めて、さらに好きになっていきました。小学生の頃からDJもやりたかったんですけど、機材が高額だと思っていて。でも調べたら、NumarkのPCDJが2万円くらいで手に入るとわかったので、中1のクリスマスに買ってもらい、家族兼用のPCでDJを始めました。

    ー中1でDJを始めて、楽曲制作もその頃から?

    Y:楽曲制作もやりたかったんですが、その時は楽曲制作にはもっとお金がかかるものだと思い込んでいて。中3の時にiPhoneを買ってもらって、GarageBandをはじめて知ったんですよ。これで曲が作れるとわかったので、そこから1年間くらいはGarageBandだけで曲を作ってました。一番最初に出したミニアルバムは、この頃に作った曲を収録しています。

    ーじゃあPCで作り始めたのはいつから?

    Y:高1の時に、バイトして貯めたお金と高校の入学祝いを合わせてMacBookを買いました。DAWはAbleton LiveにするかLogicにするか悩んだんですが、その当時関西でお世話になってたSeihoさんに相談したら「Live使っておいた方がいいよ」って言われて、Ableton Liveにしました。

    ーSeihoさんと繋がりがあったんですね。

    Y:その当時、大阪で「Seiho会」っていうのがあったんですよ。当時Seihoさんが使ってたスタジオに、Seihoさん、okadadaさん、tofubeatsさんとかトラックメイカーが中心に集まっていて。元々SeihoさんとはTwitterで繋がって色々とお話させていただいてたので、その流れで遊びに行きました。

    ー自分で曲を作っていても、Twitterだとどうしても「一人のファン」という見られ方をされるじゃないですか。どうやってそこは関係性を深めていったんですか?

    Y:Twitterだけじゃなくて、行けるイベントには極力足を運んでました。中2のときに名村造船所跡地で開かれた「アメリカ村音楽祭」っていうイベントに初めて遊びに行ったんです。そのときに出てたのがSEKITOVAさん、Seihoさん、okadadaさん、banvoxさん、tofuさんとかすごいメンツだったんですよ。その時に、昔からお世話になってるカメラマンのTOKKUNさんという方経由で紹介してもらって。そうやって知り合えたので、SEKITOVAさんやSeihoさんによく面倒見てもらってましたね。

    ーなるほどね。最初のミニアルバムを作ってるときはまだあまり知識がなかったと仰っていましたが、どうやってリリースまで繋がっていったんですか?

    Y:曲を作り始めた時から、まとまった作品を出すことを目標にしてたんです。なんとか自分なりに曲を作り溜めて、その中の1曲をFOGPAKというコンピレーションレーベルに提出しました。そうしたらそれが通って、中学卒業式の前日にリリースされて。そのときはじめて自分の曲が世の中に出て、色んな方に聴いていただけるっていうのが実感できましたね。もっと色んな人に自分の曲を聴いてもらいたいっていう感情も湧いてきて。

    ー高校生が曲を作ってリリースするってすごいことだと思うんですけど、周りからの「高校生トラックメイカー」っていう言われ方は、自分の中でどう思いました?

    Y:実は、中学生でDJを始めて表に出る機会が多くなってきた時は、年齢出したくないなって思ってたんですよ。中学生のときは今より尖ってたというか「舐められたくない」という気持ちがあって、あまり年齢は出してなかったんです。それから高1の時に「合法」っていうイベントの主催を始めたんですけど、その時に「知ってもらうためにはインパクトとか見出しになるような肩書きがあったほうがいいな」って気づいて、「使えるものは使っていこう」っていう思考に変わったんですよ。年齢を出したほうが拡散力も上がるし効率よくブランディングできるなと思ったので。

    「同世代の子たちが新しい音楽に触れるキッカケを作りたい。」

    ー今回のアルバムは、キャッチコピーにすると「卒業アルバム」みたいな感じでしょうか。

    Y:そうなんです。僕の高校生までの、ヨーヨー、DJ、音楽制作、イベント主催も全部含めたアルバムにしたくて。1枚目のフルアルバムなので「自分から投げかける」という意味で“Throw”という言葉を入れました。全曲にフューチャリングボーカルを入れているのも、今までの活動の集大成という意味がありますね。

    ーエレクトロニックもあればヒップホップ寄りのトラップとか、色んなサウンドが入ってるという印象を受けました。方向性が統一されていないと思われてしまうリスクもある中、色んなものが混ざっているアルバムにした意図は?

    Y:このアルバムを聞いたら最初に「何だこれ?」って思われると思うんです。でも、それをきっかけにして僕のことに興味を持ってもらえたら嬉しいなと思っていて。わからないことがあると調べるように、このアルバムも「何だ?」となったら僕のことを調べて知ってもらえるんじゃないかなと思ってるんです。

    あとは、主催してるイベントの影響もあります。「合法」はオールジャンルのイベントにしているんですけど、色んなジャンルの音楽が一度に聴ける場所を自分で作ったら同じ世代の子にも来てもらえるんじゃないかなっていう考えがあって。タイムテーブルをきちんと考えれば色んな音楽があっても進行に違和感がないというのがイベントをやっててわかったので、アルバムでもイベント組む時やDJの時の感覚で、フューチャリングボーカルのセレクトや曲順を考えました。

    ーじゃあ今回のアルバムのコラボも「合法」がきっかけで知り合った人が多いんですか?

    Y:そうですね。「合法」に出演してもらう時も、その前から知り合っている状態でオファーすることがほとんどです。僕自身がその人のライブを見てからオファーをしないと失礼になるかなと思っていて。生で音楽を聴ける場を作ってる主催側なので、そこを意識してその日だけじゃなく日頃から連絡を取り合っています。そういう繋がりって大切だなと思ってますね。


    ー強い声でラップする人もいれば、ふわっとした感じの人もいて、同じアルバムに混在するっていうのはかなり珍しいんじゃないかなと思うんですけど。こういう声の人にはこういうトラックを渡していこうっていうような考えがあってキャスティングされたんですか?

    Y:フューチャリングって、曲ができてからオファーを考えるのが一般的だと思うんですけど、僕は最初にオファーをさせてもらってるんです。一緒に作ることが決まったら、その人の方向性やアーティストとしての見え方を僕なりに解釈して曲に落とし込んで。ラフのトラックができたら、ディスカッションして歌詞とメロディーを落とし込んでいく流れですね。お互いをよく理解した状態でスタートするので、より濃い曲ができると思ってます。

    ー確かに濃い楽曲が多いですよね。制作で印象的だったできごとはありますか?

    Y:2人の方をフューチャリングしてる曲は、僕がその組み合わせを考えたんですけど。イベントでも、その日だけのコラボで出演してもらうのって一番面白いじゃないですか。それがアルバムでもできたらいいなという思いもあって。

    例えば2曲目の『ココナッツ』という曲は、ちゃんもも◎さんとカルロスまーちゃんさんに歌ってもらってます。元々は、ちゃんももさんのラジオのサポートをカルロスまーちゃんさんがやっていて、そこに僕が出演させてもらう機会があって交流が始まりました。お二人は一緒に活動しててもフューチャリングで一緒に歌うっていうのは今までなかったので、この2人を組み合わせたら面白いんじゃないかと思って、一緒にやらせてもらいました。

    ちょっと違和感のある曲を作りたくて、トラックは琉球音階を使っています。歌詞はカルロスまーちゃんさんに書いてもらったんですけど、僕のやりたいことをすごく汲んでくださっていて、ポップだけど違和感のある曲になりました。


    ー王道の電子音楽やトレンドの音色を理解しつつ、オルタナティヴを出してますよね。

    Y:全く流行を追いかけてないわけではなくて、それを知った上で自分ならこうするなという解釈をつけて出すようにしてます。

    ーあえてCDというモノとしてのリリースを選んだ理由はあるのでしょうか?実際世の中の人がどれだけCDで曲を聴いてるかとか、そもそもCDプレイヤーを持ってるのか、とか思うじゃないですか。

    Y:CDを出すというのはそれなりのリスクもあると思うんですけど、アルバムを出すことが決まった時に、CDで出したいなという気持ちが強くなってレーベルの社長に相談したんですよ。1stフルアルバムだからCDとして、という気持ちもあるんですけど、デジタルだけでリリースするのとCDとしてリリースするのは全然違うと思っていて。CDとして出したほうが、聴いてくれる人の「消費」にならない気がするんです。今は、音楽はその場その場で聴くもの、消費される時代になってきてると思っていて。でもそうじゃなくて、ふとした時に繰り返し聴いてもらえる作品になればいいなと思ってるんです。

    ー「消費」というところをもう少し詳しく教えてもらえますか?

    Y:同世代の子の話を聞いてると、デジタルの音楽は無料コンテンツだと思われてる部分がすごく大きいような気がするんです。例えば違法アプリを使って無料でダウンロードしてしまったり、サブスクでもプラットフォームにお金を払ってる意識で、音楽自体にお金を払ってる意識が低い。でも、CDになると「商品」という認識でお金を払って購入するんです。僕自身は違和感があるけど、それを覆すのも難しいですよね。だから、わかりやすく伝えるためには「CD」というモノにこだわってリリースすることが一番伝わりやすいかな、と思ったんです。

    ー音楽業界のスキームが変わっていく中で身近なユーザーの行動を見て自分の考えを固めていくっていうのがすごいですね。

    Y:やっぱり自分と同じ年の子の、生の意見を聞けたことが一番大きかったです。クラブは怖いイメージがある、とかも聞かないとわからないので。僕のイベントは中学生から4,50代まで幅広い人が足を運んでくれていて、僕のおばあちゃんも友達と一緒にきてくれたりするんです。そういう色んな人が集まれる場所を作れているのも、同じ世代の子の意見がきっかけになっていますね。

    ー今まで話しを聞いてると、トラックメイカーでもあるけどプロデューサーの視点も持ってるなと思っていて。「自分の曲を聴いて欲しい」だけじゃなくて「かっこいいアーティストを紹介したい」とか「視野を広げて色んな音楽を知ってほしい」って思うのは、表現者とは別の視点ですよね。そういう風に考えるようになったきっかけはあるんですか?

    Y:中学の頃の「知る機会がなかった時」と「知らなかったことを知った時」を比較すると、色んな音楽と出会えた時に一気に環境が変わって、日常が面白くなったんですよね。その機会を自分でも作れれば、もっと色んな人が新しいものを見つけて色んな楽しみ方ができるんじゃないかと思って、そう考えるようになりました。

    イベント主催もそのきっかけ作りの一つです。さっきも言ったようにクラブイベントってなるとどうしても怖いイメージがあるみたいで、そういうイメージをなくしていきたくて。だからイベントの名前もわかりやすく「合法」っていう名前にして、フライヤーもポップな感じで若い人に受け入れられそうなデザインにしています。自分と同じような経験を多くの人にしてもらったら、これから出てくるアーティストにも変化があるんじゃないかなと思って。

    ーなるほどね。ちなみに周りの同世代の子はどんな音楽を聴いてるんですか?

    Y:結構色んな音楽を聴いてますね。今ブームっていうのもあって、ヒップホップを聴いてる人も多いし、DAOKOさんとかサブカル寄りのものを聴いてる人もいるし。エレクトロだとbanvoxさんやSeihoさんは、ダンスミュージックにそんなに詳しくない層にも聴かれている印象です。

    ー僕が学生の頃はメジャーで流行っているものか、オルタナ系か、どっちかっていう感じだったけど、今はもっと多様化していそうですね。

    Y:そうですね、自分の好きなものを見つけて、それぞれに楽しんでる感じです。TikTokの中でTVでは流れてないものを見つけたりだとか、色んなところにきっかけがあってそれを楽しんでますね。

    ー高校を卒業して、今後も関西を中心に活動していくんですか?

    Y:今のところ、奈良に住みながら活動していく予定ですね。関西がやっぱり好きで、ダンスミュージックのイベントも根付いてきたところなんですよ。だからメインは関西で、東京にも定期的に来て活動していく予定です。

    「自分がダンスミュージックに衝撃を受けたように、同世代の子にもそんなきっかけを作りたい。」プレイヤーとしてだけでなくプロデューサーとしての視点も合わせ持つYackle。彼の考えの深さにいちいち驚かされるインタビューだった。これから益々活動の幅を広げるであろうYackleに期待が高まるばかりだ。


    【リリース情報】

    Yackle『FRANK THROW』

    2019/3/20リリース

    2,315円+税

    PMFL-0010

    01. Feel Me (feat. DÈ DÈ MOUSE & 三阪咲) 

    02. ココナッツ (feat. ちゃんもも◎ & カルロスまーちゃん)

    03. Thug Life (feat. BLACKNAZARENE)

    04. SUGAR HIGH WONDERLAND (feat. MANON)

    05. 超合法的共謀 (feat. ゆnovation) -Album ver.-

    06. BLOCK (feat. JIN & なかむらみなみ)

    07. Highlander (feat. Kamei)

    08. Running Away (feat. YOCO ORGAN)

    09. Judge (feat. GOMESS & Utae)

    10. Supper! Supper! Supper! (feat. パブリック娘。) 

    11. SnowyNight (feat. powaramiu) -Album ver.-

    Yackle公式サイト:http://yuukiyamaguchi.com/

    written by Moemi

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