レビュー|w-inds.活動20周年を飾るベスト・アルバム『20XX“THEBEST”』から見える、ユニットとしての揺るぎない実力と楽曲の新たな魅力

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鮮烈なデビューから20周年となるw-inds.の超豪華なベストアルバムが発表された。
w-inds.はダンスミュージックを基軸とした幅広い音楽性と圧倒的なパフォーマンスを武器に、国内外で数々の受賞やトップチャート入りを果たし、アジア圏でも熱狂的な支持を得ることに成功している。
最近ではメンバーの橘慶太がセルフプロデュースやミックスまで手がけるなど、デビューから20年経った今も常に進化を見せているユニットだ。
今回のベストアルバムは通常盤の内容だけでもデビュー曲「Forever Memories」から最新曲「Beautiful Now」まで全シングル47曲と凄まじいボリュームだが、さらに限定盤・PCSC盤にはシングル以外の楽曲でストリーミング再生上位の曲をまとめたスペシャルディスクもついており、懐かしい1曲や新たな発見をすることもできるだろう。
ベストアルバムの発売を記念し、当記事ではw-inds.が走り抜けた20年間を振り返りつつ、アルバムから著者の独断で曲をピックアップし、改めてそのバラエティ豊かな楽曲の魅力を深堀っていこうと思う。
瑞々しい歌声が世間を驚かせた、デビュー~2000年代初期
ストリートパフォーマンスで瞬く間に人気を集めたw-inds.は、メジャーデビュー前に渋谷のホコ天で8000人を動員するという快挙を成し遂げるほど、結成直後から圧倒的な存在だった。
デビューからわずか数年で、チャートや日本レコード大賞ではほぼ常連となり、毎年数多くのアワードで受賞。まさに快進撃という言葉が相応しい勢いで活動を開始した。
デビュー当初からすでに歌唱力は高いものの、10代ならではのどこかあどけなさの残るボーカルは、この頃の音源ならではの魅力ではないだろうか。J-POP的な解釈のダンスミュージックに、バブルガムポップのような弾ける瑞々しさを添えた楽曲が並ぶが、所々にはヒップホップ/R&Bのクールな要素を取り入れており、彼らのスタイルが生まれつつある様子も感じられる。
初期の代表曲を網羅するアルバムDisc 1では「Paradox」や「Forever Memories」などの人気曲をはじめ、受賞曲やCM・ドラマのタイアップ曲などなど破壊力ある曲が並ぶ。
そんな中でも「NEW PARADISE」は改めて今こそ聴いてみて欲しい一曲。グルーヴ感と哀愁漂うメロディ、サビでは心地よいファルセットを聴かせたかと思うと、涼平が当時のJ-POPチャートソングとしてはまだ珍しかった本格的なラップを披露。ちなみにこの頃の作品の多くは初期w-inds.を支えた葉山拓亮氏作曲によるもの。
古参のファンであればこの頃の楽曲への特別な思い入れも含め、テンション上がりっぱなし状態となるのは避けられないだろう。
アジアへも活動を広げ洋楽的なアプローチが目立つ、2000年代半ばからの10年
デビュー以後、あっという間にチャートやレコード大賞をはじめとする様々なアワードを獲得し、日本のダンスボーカルグループの代表格と言える存在に上り詰めたw-inds.は、この頃には日本を飛び出しアジア圏でも公演を重ねるようになる。
さらにはNe-Yoから楽曲提供を受けたりと、グローバルな活動により実力派グループとしてより広く知られるようになっていった。
2004年の台湾でのライブでは23分でチケットが完売。「チケットが最も早く完売したアーティスト」として記録を打ち立てている。
00年代の後半には成熟した歌唱力やダンスパフォーマンスに合わせ、楽曲スタイルも進化を見せている。キレのいいダンス系の楽曲でのボーカルはさらに磨きがかかり、バラードではR&Bシンガー顔負けの美声を聴かせ、いよいよアーティストとして格の違いが鮮明なものとなってきた。
ひたすらハイテンションなDisc 2に収録の「ブギウギ 66」は、ファンキーなホーンと強力なブレイクビーツがおりなすグルーヴィなバックトラックを、圧倒的な声量でグイグイと引っ張る力強い楽曲。
さらに「CAN’T GET BACK」では洋楽的なビート展開とメロディの楽曲になっており、現在のスタイルの原点と思える洗練されたポップスという音楽性を見せている。この頃のJ-POPシーンの楽曲と比較すると、シンプルなコード進行や動きすぎないメロディ、そして音数の少ないストイックなトラックと、かなり攻めた楽曲という印象だ。
音数が減ればシンガーの実力にごまかしが効きづらくなるので、歌唱力やダンスパフォーマンスで魅せられる彼らを前提として作曲されているのだろう。まさに実力派のw-inds.ならではの楽曲だ。
さらにDisc3収録の「夢で逢えるのに 〜Sometimes I cry〜」ではEric Benétのソウルフルな名曲「Sometimes I Cry」をカバー。並みのシンガーなら怖気付いてしまいそうなファルセットを多用したバラードを、自信がみなぎる堂々とした直球勝負のカバーで見事に歌い上げている。
橘慶太によるセルフプロデュースがスタートした、2010年代後期
すでに音楽ユニットとして十分な評価を得ていたw-inds.がこの頃、さらなる飛躍を見せた。橘慶太がDAWを駆使したセルフプロデュースに着手、音楽性が大幅にアップデートされるのだ。もはやJ-POPという枠組みでは語れない高度な楽曲により、そのポテンシャルは一気に底知れぬものとなった感がある。
まず聴くべきはDisc3収録の「We Don't Need To Talk Anymore」。橘慶太がw-inds.で初めてセルフプロデュースしたシングルだが、そのクオリティは音楽シーンが震撼するレベルのもので、セルフプロデュースしたとは信じ難い楽曲だった。グローバルに十分通用するような完成度のポストEDM、トロピカルハウス系のサウンドで、音の質感やメロディセンス、アレンジまで非の打ち所がない。
この一曲で橘慶太のトラックメイカー/プロデューサーとしての才能やセンスは疑う余地のないものとなった。
橘慶太の楽曲はどれもグローバルレベルだが、ハイクオリティな上に何らかのジャンルにくくるのが難しいオリジナリティを携えた「DoU」も興味深い。
世界中の様々なダンスミュージックのトレンドをポップスとして落とし込んだかのようなカラフルな作品で、ディープハウスやトラップなどの要素が喧嘩することなく昇華されている。ラップスタイルもさらなる進化を見せており聴きどころが多い。ある種、最先端のJ-POPの一つの形とも言えそうな楽曲だ。
緒方龍一のグループ脱退、再出発の20周年
慶太の覚醒により、さらなるグループでの活動の加速が期待された矢先の2020年5月、19年間にわたりw-inds.を支えた緒方龍一のグループ脱退が発表された。理由は心身的な疲労によるものでしばらく休養をするとのこと。インタビューで慶太は、この頃はコロナも重なり悩んだ時間は長かったと語っている。
*引用元:https://realsound.jp/2021/03/post-718689.html
ファンにとっては20年という節目で、緒方龍一の脱退が残念でないといえば嘘になるだろう。しかし彼ほどの才能が潰れてしまう前に静養という選択ができたのは、メンバーや事務所、本人にとっても英断だったと言えるのではないだろうか。
そんな中でもw-inds.として前に進み出し、発表された新曲がDisc3のラストに収録されている「Beautiful Now」。
こちらも橘慶太プロデュースで、ポジティブで壮大に広がる朝日のようなキラキラとした感動的な1曲。フェスで朝方にかかっていたらエモ過ぎて泣いてしまいそうだ。
ベストアルバムを聴了し、w-inds.は今後どう進化するのか誰にも予測がつかない、そんなスリリングなアーティストだと感じている。
デビュー当時のw-inds.も圧倒的な存在だったことは確かだが、一体誰が現在の彼らのスタイルを予想できただろうか。セルフプロデュースを主軸とすることによりサウンド面では完全に自由な表現ができるようになり、またそれを支えるだけの十分な実績と実力を兼ね備えている。
しかもデビュー当時から今日までの20年間の活動は完全に一貫したものがあり、強力なファンベースも維持できているのだ。活動を長く継続するのはデビューするよりも難しいことだが、彼らが20年間しっかりと繋がった活動を継続できたのは、デビュー当時から彼らの才能を引き出し支えようとしたチームや作編曲家と、彼らの音楽性にいち早く目をつけたリスナー、そしてそれに呼応するように努力と成長を重ねたw-inds.の完全なチームプレイの成果ではないだろうか。
『20XX“THEBEST”』は、そんなw-inds.と製作陣、そしてファンの息づかいさえも刻み込まれているように思える、素晴らしいベストアルバムに仕上がっている。
デビュー当初からのファンはもちろん、最近の橘慶太サウンドに打ちのめされてしまった方までぜひ手にとってほしい作品だ。
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written by Yui Tamura
【リリース情報】
■『w-inds. Best Album「20XX “THE BEST”」』
2021年3月14日(日)発売
通常盤:CD ONLY 3 DISCS / PCCA-06014 / ¥4,000+Tax
初回限定盤:CD 3 DISCS + Special DISC(CD+DVD) / PCCA-06013 / ¥6,000+Tax
PCSC盤(※販売終了):CD 3 DISCS+Special DISC(CD+DVD)+撮り下ろしフォトブックをスペシャルボックスに同梱 / SCCA-00107 / ¥9,000+Tax
※全曲最新デジタル・リマスタリング音源
【CD収録内容】(全形態共通)
DISC 1
01. Forever Memories
02. Feel The Fate
03. Paradox
04. try your emotion
05. Another Days
06. Because of you
07. NEW PARADISE
08. SUPER LOVER〜I need you tonight〜
09. Love is message
10. Long Road
11. Pieces
12. キレイだ
13. 四季
14. 夢の場所へ
15. 変わりゆく空
DISC 2
01. 十六夜の月
02. 約束のカケラ
03. IT'S IN THE STARS
04. TRIAL
05. ブギウギ66
06. ハナムケ
07. LOVE IS THE GREATEST THING
08. Beautiful Life
09. アメあと
10. Everyday
11. CAN'T GET BACK
12. Rain Is Fallin'
13. HYBRID DREAM
14. New World
15. Truth〜最後の真実〜
16. Addicted to love
DISC 3
01. Be As One
02. Let's get it on
03. You & I
04. FLY HIGH
05. A Little Bit
06. 夢で逢えるのに〜Sometimes I cry〜
07. FANTASY
08. In Love With The Music
09. Boom Word Up
10. Backstage
11. We Don’t Need To Talk Anymore
12. Time Has Gone
13. Dirty Talk
14. Get Down
15. DoU
16. Beautiful Now
【Special DISC(CD)収録内容】(※初回限定盤&PCSC盤のみ)
ストリーミング配信サイトでのシングル以外の再生数上位楽曲を収録したw-inds. crew SELECTION CD
※主要音楽ストリーミングサービスでの人気楽曲集計(2020/11/25〜2021/1/25)
01. Endless Moment
02. Temporary
03. Dedicated to You
04. This Time〜願い〜
05. Winter Story
06. New-age Dreams
07. CANDY
08. Somehow
09. Celebration
10. Moon Clock
11. 空から降りてきた白い星
12. Listen to the Rain
13. Sugar
14. Night Flight 〜夜間飛行〜
15. Give You My Heart
【Special DISC(DVD)収録内容】(※初回限定盤&PCSC盤のみ)
メンバーセレクトによる、BEST LIVE SELLECTION DVD
01 : Endless Moment(『w-inds. 1st Live Tour”1st message”』より)
02 : Paradox(『w-inds. “THE SYSTEM OF ALIVE”Tour 2003』より)
03 : INFINITY(『w-inds. “PRIME OF LIFE”Tour 2004』より)
04 : 夏空の恋の詩(『w-inds. LIVE TOUR 2005″ageha”』より)
05 : 空から降りてきた白い星(『w-inds. Live Tour 2006~THANKS~』より)
06 : Top Secret(『w-inds. Live Tour 2007~Journey~』より)
07 : Stay(『w-inds. Live Tour 2008~Seventh Ave.~』より)
08 : YES or NO(『w-inds. Live Tour 2009 “SWEET FANTASY” in Hong Kong』より)
09 : Nothing Is Impossible(『w-inds. Live Tour 2010″Another World”』より)
10 : アメあと(『w-inds. 10th Anniversary 314 [Three Fourteen] 』より)
11 : TOKYO(『w-inds. 10th Anniversary 〜Three Fourteen〜 at 日本武道館』より)
12 : NO DOUBTS(『w-inds. 10th Anniversary BEST LIVE TOUR 2011 FINAL at 日本武道館』より)
13 : T2P(『w-inds. LIVE TOUR 2012 MOVE LIKE THIS』より)
14 : We’ll Be Alright(『w-inds. LIVE TOUR “AWAKE” at 日本武道館』より)
15 : Say so long(『w-inds. LIVE TOUR 2014 “Timeless” 』より)
16 : I’m all yours(『w-inds. LIVE TOUR 2015“Blue Blood” 』より)
17 : In Love With The Music(『w-inds. 15th Anniversary Live』より)
18 : Smile Smile Smile(『w-inds. 15th Anniversary LIVE TOUR 2016 “Forever Memories” 』より)
19 : SAY YES (Reflection Remix by DMD) (『w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE” 』より)
20 : We Gotta Go(『w-inds. LIVE TOUR 2018 “100”』より)
21 : Drive-Me-Crazy(『w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”』より)
【For Overseas Customers】
Ponycanyon Shop will accept orders from overseas. Please check below.
海外からご購入のお客様は下記よりお願いいたします。
https://shop.ponycan.com/products/list?category_id=&name=w-inds
■初のインストアルバム『20XX THE BEST INSTRUMENTAL』3月14日(日)配信リリース決定
<w-inds. Online Show『20XX“THE MUSEUM”』>
2021年3月14日(日) 18:00開場 / 19:00開演
※アーカイブ(見逃し)配信:あり
▼チケット代金
●ファンクラブ限定チケット(ライブ&アフタートーク) 3,500円(税込)
※ファンクラブ限定チケットは、PIA LIVE STREAMのみでの取扱となります。ファンクラブ「w-inds.day」会員様のみご購入可能です。
●一般チケット(ライブのみ) 3,500円(税込)
※購入にあたりシステム利用料・決済手数料がかかります。
▼アーカイブ配信
2021年3月15日(月)20:00〜3月21日(日)23:59
▼配信メディア・チケット購入先
・PIA LIVE STREAM [※ファンクラブ限定チケット取扱あり]
・ローソン LIVE STREAMING
・LINE LIVE VIEWING
・ABEMA PPV ONLINE LIVE
購入時に配信メディアに記載の注意事項をよくお読みいただき、視聴可能な環境をお持ちかどうか、必ずご確認いただいた上でご購入くださいますようお願いいたします。
※ぴあ・Zaiko・LINE・ABEMA IDの取得は無料です。なお、オフィシャルファンクラブ「w-inds.day」限定のチケットを希望される場合には、「w-inds.day」への会員登録(有料)が必要となります。
▼チケット販売期間
2021年2月1日(月)12:00〜2021年3月21日(日)21:00
■ライブ映像作品配信情報
w-inds. 1st Live Tour “1st message”
https://Movie.lnk.to/w-inds_1sttour
w-inds. “THE SYSTEM OF ALIVE”Tour 2003
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2003
w-inds. “PRIME OF LIFE”Tour 2004
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2004
w-inds. Live Tour2005“ageha”
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2005
w-inds. Live Tour 2006 〜THANKS〜
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2006
w-inds. Live Tour 2007 〜Journey〜
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2007
w-inds. Live Tour 2008 〜Seventh Ave.〜
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2008
w-inds. Live Tour 2009 "SWEET FANTASY" in Hong Kong
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2009
w-inds. Live Tour 2010 "Another World"
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2010
w-inds. 10th Anniversary 314 [Three Fourteen]
https://Movie.lnk.to/w-inds_10th314
w-inds. 10th Anniversary 〜Three Fourteen〜 at 日本武道館
https://Movie.lnk.to/w-inds_10th314_budokan
w-inds. 10th Anniversary BEST LIVE TOUR 2011 FINAL AT NIPPON BUDOKAN
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2011
w-inds. LIVE TOUR 2012 MOVE LIKE THIS
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2012
w-inds. LIVE TOUR “AWAKE" at 日本武道館
https://Movie.lnk.to/w-inds_awake_budokan
w-inds. LIVE TOUR 2014 “Timeless"
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2014
w-inds. LIVE TOUR 2015 “Blue Blood"
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2015
w-inds.15th Anniversary Live
https://Movie.lnk.to/w-inds_15thlive
w-inds.15th Anniversary LIVE TOUR 2016 “Forever Memories”
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2016
w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE”
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2017
w-inds. LIVE TOUR 2018 “100”
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2018
w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”
https://Movie.lnk.to/w-inds_tour2019
下記サイトで順次配信スタート
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