記録的猛暑がアナログレコードにも影響、アメリカで熱によるレコード盤が歪む問題続出

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今夏、アメリカ北西部やカナダの西部は、記録的な熱波により、各地で高温記録を更新する猛暑に見舞われている。CNNによると、6月末には同地域では猛暑による熱中症が原因で数百人が死亡したというが、猛暑はそれ以外にも音楽ファンに思わぬ影響を与えているようだ。
アナログレコード、配送される際に盤面が熱で歪む問題
Pitchforkによると、猛暑はアナログレコードの配送にも影響を及ぼしており、購入者にアナログレコードが配送される際に盤面が熱で歪むという事態が発生しているという。
この事態を受けて、今年、Cassandra Jenkinsの新作アルバム『An Overview on Phenomenal Nature』をリリースしたレーベルのBa Da Bing Recordsは、配送時にレコードが歪んだ購入者が複数人いることを通知するメールをほかの購入者に送信している。
Ba Da Bing Recordsは、この問題の対策として、顧客に猛暑がおさまるまで受け取りを待つか、もしくは通常配送ではなく、速達で受け取るかのいずれかを選ぶこと推奨している。
また、別のレーベルのSargent House Recordsは、提携しているオンライン物販ストア「Hello Merch」の利用規約に、「極端な天候によるダメージや、角の凹み、曲がり、インサートの割れなどの軽微な外観上のダメージについては、返金や交換を行いませんのでご了承ください」という天候に関する文言を追加したという。
Joyful Noise Recordsは、レコードが歪んだという報告はあまりないが、熱による盤面の歪みなどの可能性に備えて、レコードを郵送する際には「パッケージにはビニール製のレコードが入っています。直射日光の下に置かないでください(f*ck climate change)」と注意書きのラベルをつけているそうだ。
異常気象よりもレコードプレスの遅延がレーベルに影響!?
ただ、Pitchforkがこの異常気象について、複数のレーベルに問い合わせたところ、レーベルは、天候の問題よりもレコードプレスの大規模な遅延により、新譜のアナログレコードがプレスできなことの方が問題であると回答している。
RIAA/アメリカレコード協会によると、アメリカのアナログレコード市場は2018年から20年にかけて3年連続で成長。MRCデータによれば、昨年、アメリカでリリースされた全アルバムのうち、アナログレコード(LP盤)は、そのうちの27%を占めており、売上枚数は2754万枚を記録している。
一方で、コロナ禍によるロックダウンが、かねてからのレコードブームによるレコードプレスの遅延に拍車をかけ、それによるサプライチェーンの混乱が小規模なインディレーベルの経営を圧迫していることも報告されている。
written by Jun Fukunaga
source:
https://pitchfork.com/news/indie-labels-address-vinyl-warping-due-to-us-heat-waves/
https://pitchfork.com/thepitch/why-are-independent-artists-and-labels-turning-away-from-vinyl/ https://www.cnn.co.jp/usa/35173518.html
https://japanese.engadget.com/onkyo-ocp-01-021007760.html
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