Trekkie Trax主宰者の一人SeimeiがMad DecentのA&RでGood Enuffの創設者のPaul Devroにエレクトロニックミュージックの現在についてインタビュー

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東京を拠点とするレーベル・アーティストコレクティブのTrekkie Trax (トレッキートラックス)は、Diploが主宰するレーベルMad DecentのサブレーベルGood Enuffより「GOOD ENUFF x TREKKIE TRAX Compilation - EP」をリリースした。

様々なジャンルが入っているこの8曲入りのコンピレーションは、TREKKIE TRAX CREW、Masayoshi Iimori、Carpainter、Foxsky、Lil Texas、Ryuki MiyamotoといったTrekkie Traxの面々と、Nonsens、Rawtek、Akira Akira、Hikeii、KiWi、食品まつり aka FoodmanのGood Enuffのアーティストたちが一堂に会したEPとなっている。

今回、Trekkie Trax主宰者の一人であり、このEPのキュレーションを行ったというSeimeiがGood Enuffの生みの親であるPaul Devroにインタビューを敢行！Mad DecentのA&amp;Rとしても世界中を忙しく駆け回るPaul Devroが見た現在のダンスミュージックシーンとは？日本のシーンとは？そして真のオリジナリティーとはなにか？を回答してくれました！

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<h2>Mad DecentはDiploから資金も受けてないし、常に限界に挑んでいる</h2>

HVNS(以下H): Mad Decentでのあなたの役割について紹介して頂けますか？どのようなことをやっていますか？

Paul Devro(以下PD): Mad Decentではいろんなことを手がけなくてはならない。僕もいろんなことをやっていて、いつもいろんな人がオフィスに来て忙しい。楽しいけどね。

H: かなり流動的ですね。

PD: そうだね。常に流動的じゃないといけない。

H: その考え方がまさにMad Decentの作品にも表れていると思います。Mad Decentはいつも限界に挑んでいますね。

PD: 常に限界には挑んでいると思う。お金稼ぎではなく、自分たちにとって楽しいことをしたいと思っているから、大きなEDMレーベルになることに対してあまり執着していない。Diploから資金調達を受けてないし、全て自分たちでやっているよ。

H: その誠実さは、レーベルの音楽からも見受けられます。Mad Decentには誰かの圧力による不自然なリリースはないですしね。

PD: ありがとう！今までずっとそうしてきたんだよね。

H: 僕は今26歳でSeimeiは25歳なのですが、最近周りの自分より若い世代の子と話すと、彼らのクラブミュージックの入り口が、ハウスやテクノなどの四つ打ちではなく、ベース系のダブステップやトラップだったりすることが増えてきています。個人的には、Mad Decentがその流れを作り上げたと思いますが、現在のダンスミュージックシーンができる上でMad Decentはどのように貢献してきたとお考えですか？

PD: まだフィジェット・ハウスやEDMなどの128bpmの四つ打ちものが一般的だった時でもMad Decentはトラップをやっていた。毎日デモ曲が送られてきて、何千ものトラックを聴いていたよ。2011年位にトラップをリリースし始めたのだけど、今でもかわらずそれを続けられるのはクールなことだと自負しているよ。

<h2>Good Enuffでは挑戦的な作品を目指す</h2>

H: Seimeiから「Paulはよく日本に来る」と聞きました。日本にはまだ海外で知られていない、アンダーグラウンドの音楽が沢山あると思いますが、日本のシーンについてどう思いますか？

PD: 昔から日本のアーティストのファンで。90年代前半から、日本人のアーティストをよく目にするようになったので元々が興味あった。日本のアーティストは本当に流行りを気にしなくて、いい意味で変。毎回日本に行くたび、本当にオリジナルのサウンドを届けてくれて、楽しい。

H: 推しているアーティストはいますか？

PD: もちろんTrekkie Trax。Maltine Recordsも。Maltine Recordsは、最近出た根本凪のリリースがすごく良かった。Tomggg、Tofubeats、Pa’s Lam Systemも。そして、Foodman。
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H: Foodmanといえば、丁度Good Enuffが立ち上がったばかりの時、最初の方にリリースされていましたね。とても驚きました。

Seimei(以下S): Foodmanのリリースは話題になっていましたね。どういう過程で彼をリリースすることになったのですか？

PD: Good Enuffが始まる前に彼に連絡をして、絶対に一緒にリリースしたいと伝えた。
 
H: どこで彼の音楽を見つけたのですか？

PD: 数年前に、彼のSoundcloudを見つけてから追い続けていた。彼の音楽は本当にこの世界にないもので、Good Enuffでやりたいことを体現していると思った。

H: Good Enuffを立ち上げたコンセプトを教えてください。

PD: Mad Decentが最早メインストリーム過ぎて、あまり挑戦的な作品は出せなくなってしまったからGood Enuffを立ち上げた。Good Enuffでは自分が本当にやりたかった音楽をリリースしているし、尚且つMad Decentのリリースと同じように大きく展開させたりしているよ。

H: 普段より実験的なものや、アンダーグラウンドな音楽はGood Enuffから出すけど、リリースの展開の仕方はMad Decentと同じということですか？

PD: そうだね。働いている人は同じだけど、個人的にはこっち(Good Enuff)の仕事の方が楽しい。

H: ビジュアルの部分はどう手掛けていますか？
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PD: Good Enuffのものは、Axelという人がいて、自由にやってもらっている。できた作品に対して、訂正させたり、何かを足させたり、という感じで僕が指示して完成させている。例えば、この間アップしたMasayoshi Iimori – Kickin Upの動画だと、「もっと寿司を追加させて！」とか「その寿司を空中に飛び回らせてみてよ！」とか指示を出した。みんなで一緒に仕事しているから、全部自分がやっているとあまり言いたくはない。

<h2>日本人アーティストをグローバルに紹介する意味</h2>

H: 日本のアーティストをアメリカのオーディエンスに紹介するのは、これまであまり無かったことですが、あなたはこれにチャレンジを感じていますか？

PD: 最近のオーディエンスはグローバルだと思うんだよね。現場で実際のショーをやる時以外は、アメリカのオーディエンスだけのためにやっているとは思っていないよ。みんな結局好きなものを聴いていくと思うし。Foodmanの曲をSoundcloudにアップしたら、たまたまPitchforkがそれをレビューしたんだよ。全部ランダムだから、あまりプランはしちゃダメ。アジアのアーティストをアメリカで有名にするのは難しいけど、88risingはそれをうまくやっているね。彼らから見習うべきことは多いと思うよ。

S: 88risingは限界に挑んでいますね。

H: アメリカでは、88risingが人気ですが。東京ではTrekkie Traxが一番幅広く認知されていると思います。Trekkie Traxとはどう出会いました？

PD: あまり覚えていないんだよね。誰かのライクかリポストを見た気がする。Djemba Djembaかな？

S: そう。２年位前に、Paulからグーグル翻訳で訳された日本語のメッセージが送られてきた。Djemba DjembaからTrekkie Traxのことを教えてもらったとも書いてあった。あと、僕らの友達のFoodmanやKiWiがGood Enuffからリリースしたので、うちからもデモを送ろうとした。そしたらラッキーなことに、Paulからまた連絡がきた。

H: もともとPaulにデモを送りたかったけど、その前にもうPaulから連絡がきたのね。

S: そう。僕らはMad Decentが好きで、DJを始めたころからずっと音源は聴いていた。東京ではエレクトロハウスがすごく流行っていたしね。元々自分はメインストリームも好きだけど実験的な音楽も好きだから、Good Enuffが始まった時、同じようなことをやりたいなと思っていた。だから、Paulから連絡がきてすごく嬉しかった。

H: Good EnuffとTrekkie Traxのコンピレーションですね。曲を選ぶ時ややり取りするプロセスはどうでした？Seimeiは、日本側のキュレーションをやったのはわかりますが、Paulはどのようなことをしました？

PD: とてもスムーズにいったよ。Trekkie Traxと一緒に何をしたいのかっていうイメージは既にあったから結果的に僕が期待したままのコンピレーションが完成した。1年に2回ほどアーティストやレーベルとコラボをやってみるんだけど、Trekkie Traxとのコラボは自然の成り行きだったと思うよ。2014年に、Jeffree’sで日本をフィーチャーしたミックスを出そうとしたんだけど、結局いろいろあって企画自体が流れてしまった。けど今回はSeimeiが上手く取りまとめてくれたし、かっこいいものを出したいという熱意もあったから非常にスムーズに完成させることができた。

S: Paulに日本人アーティストのデモを沢山送って、それから更に彼がGood Enuffの他のアーティストを紹介してくれたりして進めたんだよね。例えばMasayoshi IimoriとRawtekのコラボとか、TREKKIE TRAX CREWとNonsensとのコラボとかがそう。Paulがコンピレーションの大きな枠組みを作ってくれたから、スムーズだった。僕も無事に完成して良かったと思う。最終的にコラボが全部うまくいったし、とてもナチュラルなプロセスだった。

S: Nonsensとのコラボに関しては、去年Trekkie Traxが「Brownies and Lemonade」（LAのパーティー）に出演した時に実際彼らに会って、そこから曲を交換したりとかでコンタクトを頻繁にとるようになったっていう裏話が実はある。だから一緒に曲を作るのはすごくナチュラルだった。MasayoshiとRawtekは実際会ったことはないと思うけど、もともと彼らはお互いの音楽が好きで、そのこともPaulは知っていたから完璧な人選だったと思う。

H: 10月27日にコンピレーションがリリースされますね？僕も実際聴きましたが、クラブっぽい、エナジー溢れる面白いコンビネーションですね。その中で、FoodmanやKiWiは実験的でユニークな曲を出していますね。KiWiは『Diplo and Friends』にも登場しましたが、日本人アーティストにとって大きな出来事だったと思います。彼らの印象は？

PD: KiWiは本当に大好き。みんなに聴いて欲しい。だって、新しいMartin Garrixの曲聴きたい人いる？そんなんつまんないよ。KiWiの曲を聴くと、Die Antwoordの新曲と間違える人が多いんだよね。クレイジーな日本人女性ともう一人のプロデューサーが作っているという事実を知るとみんなびっくりするんだよね。

H: 今後日本の音楽シーンとはどう関わって行きたいですか？そして、Trekkie Traxとも。

PD: できるだけやりたいね。多くの日本のアーティストが好きで、一緒に何かをやりたいと思っている。Pa’s Lam System, Maltine, Trekkie Traxなど…。自分のSoundcloudでフォローしているアーティストの四分の一は日本人のアーティストなんだよね。

<h2>日本人アーティストへのアドバイス</h2>

S: Mad Decentでリリースしたいと思っている日本の若いプロデューサーに何かアドバイスはありますか？

PD: 僕らだけがストリーミングで聴けるようにページをプライベートにしてSoundcloudに曲をアップして送ってほしい。一曲４秒くらいしか聴けないので、今まで聴いたことがないようなヤバイ曲じゃないといけない。既にあるトラックを真似てもすぐに分かってしまう。クレイジーで僕を吹き飛ばすもの…。それが正に欲しい音楽なんだよね。

S: Trekkie Traxもいろんなデモが送られてきますが、最近はオリジナリティーに欠けるものしか送られてこないんですよね。

PD: つまらないよね！1週間に1回は、誰に返事をしてあげるけど、自分自身になりたいのか、それとも誰かのコピーになりたいのかを質問する。誰かのフォロワーとして有名になっても、いつになっても満足はしない。クレイジーなものでも、自分が本当に出したいものを出せばいい。音楽が良ければ、いつか誰かが見つけてくれるから大丈夫。最近は特にみんな音楽を沢山作っているから、そんな時こそ自分を貫かないとダメ。

H: 本当にいいアドバイスですね。今は、SpliceやYoutubeのチュートリアル、プリセット音源など、プロデューサーにとって便利で良い環境があり、ハイクオリティーなものを簡単に作れますが、それがクリエイティヴな作品へと繋がるかはまた別ですよね。

PD: 今はクオリティーを上げることが一番簡単なことだと思う。インターネット上には、Cymaticsみたいな既にセットアップされているものを買えたりするしね。でも、それを使うEDMのプロデューサーたちに言いたいのは、「君らはどうやってこれからアーティストとして目立って行くのよ？」っていうことかな。

S: Trekkie Traxもこのグローバルな業界でオリジナルであることを大事にしている。例えば新しくデモを渡されたとき、その音楽を聴いて渋谷のスクランブル交差点をイメージできるかを確かめる。イメージできれば採用だし、曲のクオリティーが良くてもイメージできなければ不採用。それが個人的にデモを聴くときの基準。オリジナリティーがあることと、自分のバックグラウンドを見せるのが僕たちにとって重大なこと。それが、Trekkie Trax。

PD: メジャーなレーベルは、次のビッグレコードを探しているけど、僕たちはその逆をやっているんだよね。聴いたことあるものだったら、もういいわ！って感じ。

H: 他の人にはリスキーだと思われていることだけど、Mad DecentもTrekkie Traxもそうしていますね。けど信念のあるリリースをしているからこそリスキーとは言い切れない部分もありますね。長い目で見れば、そっちの方がインパクトはありますね。

S: だからこそ、Paulにサポートされていることを感謝してる。自分たちのオリジナリティーを世界の知らない人に届けたいってずっと思い続けているからね。
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【Tracklist】：
1. Akira Akira &amp; Lil Texas - Tension
2. Rawtek &amp; Masayoshi Iimori - Mango Beat
3. Foodman - Oyaji Voice
4. KiWi - S·A·G·E
5. Foxsky - Like That (feat. MEAKA)
6. Nonsens &amp; TREKKIE TRAX CREW - Ballistic (feat. Ashnikko)
7. Carpainter - Breakdance (Hikeii Remix)
8. Ryuki Miyamoto - Clap! Clap!

<a href="http://maddecent.fm/TREKKIE">http://maddecent.fm/TREKKIE</a>
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Written by SEIMEI (Trekkie Trax).&nbsp;
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