国内でチケット転売規制法が成立、状況は好転するか? 海外の高額転売対策事例と比較

問題になっているチケットの高額転売、12月8日にチケット高額転売規制法が可決、成立したが…。
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2018.12.19 03:00

ライヴやスポーツイベントなどのチケット高額転売を防止するための「チケット高額転売規制法」が、12月8日に参院本会議で全会一致で可決、成立した。




国内でチケット高額転売規制法が成立  


時事通信が伝えることによると、同法は、2020年に開催を控える東京オリンピック・パラリンピックに向け、転売業者による悪質な買い占めを防ぐ目的で公布から6カ月の周知期間を経て施行。その後、チケットには転売禁止が明記され、販売時に本人確認などの転売防止措置がなされたチケットを対象に、定価を超えた営利目的転売が禁じられ、違反者には1年以下の懲役か100万円以下の罰金、あるいはその両方が科されることになるという。


また同法の施行で気になるのは個人レベルのチケット譲渡や転売だが、同法ではその対象は営利目的の転売に限定しており、個人の都合で行けなくなったイベントのチケットを知人に譲渡するような場合は適用されないとのこと。



チケット高額転売防止対策、国内例は?  


チケット転売について、最近では防止のためにEチケットを採用するプレイガイドが増えており、例えばe+(イープラス)では、チケットの転売防止やチケットレスなどの理由からスマホがチケット替りになるサービス「スマチケ」が導入されている。


またTechCrunch Japanによると、チケットの転売防止のためにブロックチェーンを応用した転売防止機能を備えるチケット発行管理サービス「Ticket Peer to Peer」を京都のスタートアップ企業LCNEMが公開。このように民間企業レベルでは最新技術を導入しながらチケットの不正高額転売を防ぐ対策を行なっている。 


海外ではどんな高額転売対策例があるのか? 


チケット高額転売規制法では、こういったテクノロジー分野とはまた別に法律で厳罰化しているわけだが、日本国内と同じ様にこれまでからチケット転売が問題になっていた海外ではどういった対策がとられているのだろうか? 一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会(ACPC)の会報によると、アメリカではチケット定価再販サイトでネットダフ屋対策が進んでいるという。



アメリカ最大のチケット販売会社であるTicket Masterでは、チケット転売対策として、2017年5月から「Verified Fan」というシステムを導入。これによりチケットを大量に取得するボットの規制や、ネットダフ屋の排除を試みている。すでにこのシステムは、Foo Fighters、Harry Stylesという50組以上の有名アーティストのほか、『ハリー・ポッター』など人気ミュージカルもチケット販売に導入されており、そのシステムの仕組みは下記のとおりだ。


1:チケット購入を希望するユーザーは、指定期間内に「Verified Fan」に登録。 

2:そのユーザーがボットやネットダフ屋ではないか、自動プログラムでメールアドレスやチケット購入履歴などを審査。 

3:チケットの販売開始日、審査に通ったユーザーの携帯電話に「オファーコード」と「販売ページへのリンク」がテキストメッセージで届く。 

4:メッセージ内のコードとリンクを使ってチケット販売ページにアクセスし、制限枚数内での購入が可能。 


ちなみにACPCによるとメッセージを受け取る順番はランダムで、販売は先着順。ひとつのユーザー・アカウントからの購入は一度のみに限られるそうだ。



そんなシステム導入結果の例として挙げられているのが、大御所アーティストのBruce Springsteen。彼はこのシステムの導入で、チケット転売の数を以前の15%~50%まで抑えたとのこと。しかしながら、同じ様にこのシステムを導入しながらも物議を醸したのが今年11月に日本で来日公演を行い、話題になったことも記憶に新しいTaylor Swiftだ。彼女の場合は、「Verified Fan」導入に伴い、ファンがグッズやCDなどを購入することでチケット購入の確率が高まる仕組みを取っていたため、ファンの間では批判も噴出。賛否両論になった。



またTicket Masterを運営するLiveNation自体が複数のチケット転売サイトも運営していることや、公演の関係者が転売サイトにチケットを横流ししていることなどは引き続き問題視される事態だと報告されている。 


ファン同士の転売、最高でも定価まで「Twickets」  


それ以外では、イギリス発の「Twickets」がユニークだ。こちらはファン同士のチケット売買を仲介するサービスなのだが、ファン同士の売買の仲介と聞くと、いかにもプレミア価格がつけられ、高額転売されていそうなイメージを少なからず持ってしまうという人も少なからずいるだろう。しかし、同サービスで転売できるチケットの価格は最高でも定価、もしくはそれ以下のみになっている。


チケットの買い手が10%の手数料を支払う仕組みを採用するこのサービスは、すでにイギリスではAdele、Ed Sheeranといった大物アーティストと正式に提携するなど、アーティスト側からの支持も高いとのこと。


また国内外で様々な形でチケットの高額転売防止策が行われている中で、個人的に1番注目したいもこのサービスだ。いくら楽しみにしていたアーティストやミュージカルイベントでもなんらかの事情で参加できないということは起こり得る。その時に公正な価格で、自分が大好きなアーティストなり作品を同じ気持ちのファンとシェアできることは公演を行う側に対する真っ当なリスペクトを示す行為になると筆者は考えているからだ。




今後、さらに多くの高額転売対策が取られていくかと思うが、本当に純粋に公演を楽しみたいと思っている人が適正価格でチケットを手にすることができるベストな形が常に追及されていくことに期待したい。 


written by Jun Fukunaga

source:

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120800046&g=pol

https://eplus.jp/sys/web/s/spticket/index.html

https://jp.techcrunch.com/2018/09/20/lcnem-ticketp2p/

http://www.acpc.or.jp/magazine/navi_issue.php?topic_id=283


photo: Pixabay




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