水のように流れる音楽と、光に満ちた空間を享受したイベント「よんよんの日」レポート

YonYon EP 『The Light, The Water』のリリースパーティとなる「よんよんの日」をレポート。80KIDZ、Shin Sakiura、grooveman Spot などEP参加アーティストが出演。
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2021.04.22 08:00

4月4日(日)、LIQUIDROOMの2Fフロア「TimeOut Café & Diner」と、隣接するギャラリースペース「KATA」にてYonYonの1st EP『The Light, The Water』のリリースパーティを兼ねたイベント「よんよんの日」が行われた。





YonYon『The Light, The Water』リリースパーティ「よんよんの日」レポート。分断のない愛と音楽を享受した日


YonYonはDJ、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティー、プロモーター等と幅広く活動しているアーティストである。


80KIDZの近作アルバム『ANGLE』収録「Your Closet」に参加、ラッパーPEAVISの2nd Album『PORTRA¥AL』のプロデュース、SIRUPの最新アルバム『cure』のインターナショナルコーディネートなど数々の仕事と並行して念願となる1st EP『The Light, The Water』を完成させた。そのリリースパーティとして行われた「よんよんの日」はEPに参加したアーティストたちや交流のあるアーティストたちが出演。その日限りの特別なイベントとして約100人限定の有観客で開催された。


YonYonとOWNCEAN(UNA+MATCHA)が紡ぐグルーヴ、SARMのパワフルなパフォーマンス


イベントの前売り券はソールドアウト。17時のスタート時にはエントランスに列ができており、若干数の当日券を待つ人の姿もあった。イベントのオープンアップDJを務めるのはYonYonである。ゆったりとしたR&B、ヒップホップを中心に少しづつ空間をあたためていく。


オーディエンスはブースをぐるっと囲むようにDJingを楽しむことできるよう、DJブースはスペースの中心に設置されていた。オーディエンスが集まってくると程よくテンポを上げ、ダンスホールを経てシティポップへと繋いでフロアのグルーヴを丁寧に作り上げていった。


野外フェスやデイイベントでゆったり体を揺らせるようなCity Pop、R&B SETのイメージを抱く人も多いであろうYonYonのDJ。実際にはそのときのシチュエーション、ロケーションや時間帯に合わせて毎回表情の違うDJセットを展開してくれるのが魅力だ。




YonYonからバトンを受け取ったOWNCEAN(UNA+MATCHA)はEP収録曲 「Capsule」のMVでスタイリストとして参加したクリエイティブユニットである。ディスコハウスなセットでグルーヴを拡張していく。


その間にKATAでは気鋭のシンガーSARMのライヴがスタート。特徴であるハスキーボイスを活かしたパワフルなボーカルで会場を飲み込んだ。「BONBON GiRL」ではオーディエンスたちも思わず両手をあげて踊る。






音のカタルシス押し寄せるShin Sakiura、YonYonが歌に込めたもの




SARMに続いてShin Sakiuraが登場。昨年3月リリースのアルバム『NOTE』からの楽曲を中心にライブを行い、ギターとMIDIコントローラーで変幻自在の音を作り出した。ソウル・ジャズ・ヒップホップをベースにしたShin Sakiura印の音が満ちた空間は心地良く、フューチャーベーシーな「U」とラストの「Everlasting」で突き抜けるようなカタルシスを味わうことができた。


「YonYonが『The Light, The Water』を作り始める前から一緒に曲作りをしようと話をしていて、コロナ禍を乗り越えてできたEPです。本当におめでとう」


と祝福。


そして本日の主役、YonYonのライヴが開幕。ステージにはフラワーアーティスト、コウイチハシグチによるEPのシンボルカラーを取り入れた青と白のフラワーアートが象徴的に飾られていた。SIRUPと2xxx!との「Mirror(選択)」で登場したYonYonは、


「『The Light, The Water』の世界観をみんなに体感して欲しかった。本来ならば、リリースパーティはワンマンライヴのかたちが多いけど、関わってくれた人たちとひとつのイベントを作りたかった」


と、静かにリリースパーティへの思いを語った。その思いを体現するように「Beautiful Women」ではSARMとShin Sakiuraが、「Capsule」ではD.A.N.のボーカル櫻木大悟と、MVに出演していた中学2年生のダンサーユニットVのKOMOMOとAyaneがステージを彩った。さらには福岡からラッパーPEAVISも応援に駆けつけ、YonYon参加の楽曲「Carrying You」で大量に焚かれたスモークさながらにピースフルマインドをフロアいっぱい充満させた。




EP『The Light, The Water』の楽曲にはさまざまな分断がテーマとして取り上げられている。


「国籍や性別、思想、いろんな差別を自分でも体験してきた。今この瞬間にもたくさんの悲しい事件や出来事が起きている。それに対して憎しみや怒りで返すことよりも、ひとりひとりが同じ地球人であることを自覚し、手を取り合えるような愛を返し続けたい。」


EPに込められた思いをオーディエンスに優しく語りかけるYonYon。そして活動の原点である日本と海外の音楽シーンを繋ぐブッキングエージェントの「BRIDGE」(YonYonの裏方名義)の名をとったEP収録曲の「Bridge」を披露。DJではグルーヴを、イベントオーガナイザーとしては場と人を、ラジオでは声と音楽を、そして音楽ではアーティストを。一貫して“繋ぐ”行為を続けてきたYonYonを象徴する楽曲と言えるだろう。さまざまに引かれた線を飛び越えて、円を描き続けてきた彼女のヒストリーを凝縮したライヴステージとなった。







YonYon、grooveman Spot、80KIDZのグルーヴが作り出した音楽の惑星


ライブからそのまま、YonYonのDJパートが80KIDZとの「Your Closet」からスタート。テクノ、ハウス、アフロビートまで横断し、国内外さまざまなアーティスト、ジャンルの垣根を飛び越えてグルーヴを紡いでいく。オープンアップのDJとはうってかわって、コロナ禍の鬱憤を解き放つようなエネルギッシュなセットだ。


「深夜帯のクラブイベントでDJする時のプレイスタイルで、ハウスやテクノのレイヴ感のある楽曲を選びつつ、間奏部分がメロディアスなものを選ぶことで、あまりハードになりすぎないように休憩場所を作ってEPの世界観に沿った選曲をしていきました」


と話すYonYonのアグレッシブなDJは、彼女の持っている多彩な一面を如実に表現している。後半はxiangyuやSeihoといった国内アーティストの楽曲を織り交ぜ、その日集まったオーディエンスが心地良く踊るための目配せも忘れない。ダンスミュージックのビートに、動かし方を忘れていた身体も徐々に調子を取り戻し、自然とステップを刻む。クラブのダンスフロア特有の陶酔感に包まれた時間だった。




その間に「TimeOut Café & Diner」フロアではEP収録曲の「Paper Plane」のトラックをプロデュースをしたgrooveman SpotがDJを担当。ブーンバップなビートとジャジーなグルーヴ感でヒップな空間を演出した。




この日は「YonYon Kitchen」と題してキンパ(韓国風海苔巻き、コレ大好き)とホットグの2種類が販売されており、イベントの進行とともにソールドアウトしてしまうほどの人気ぶりだった。そんなところにもイベントに精通したYonYonならではのホスピタリティが見てとれる。


イベントのトリを飾るゲストDJはアルバム『ANGLE』でYonYonを客演に迎えた80KIDZである。ミドルテンポでラグジュアリー感を漂わせるハウシーなセットを展開。クライマックスではYonYonを呼び込み「Your Closet」をプレイ。YonYonは80KIDZとの対談インタビューで「クローゼットを開けたらみんなの心の中に想像のダンスフロアがある。だから踊ることをやめずにいよう」という思いを楽曲タイトルに込めたと語った。まさに想像のダンスフロアが80KIDZと YonYonの手によって顕現した瞬間だった。最後は4月7日のリリースに先駆け、80KIDZとmabanua「Glasses」Shin Sakiura Remixをプレイした。


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かねてよりYonYonはプロモーターとしてイベントを作り上げてきたバックボーンがあり、楽曲やメディアへのインタビューではことあるごとに音楽を鳴らし続けること、リアルな現場=ダンスフロアの重要性とそれらが内包する多様性を訴え続けている。流れを踏まえたブッキング、見どころや聴きどころがわかりやすいオーディエンスファーストな構成やタイムテーブル、世界観を演出する装飾など丁寧なイベント作りがさすがであったことはもちろん、鼓膜と身体に残った低音の振動と余韻がイベントの完成度を物語る。


「ライブのお客さんとクラブのお客さんがひとつに交わるってなかなか無いけど、、音楽もオーディエンスもジャンルレスなカオス感を実現させたかった。EPに参加しているアーティストたちとともに、音だけじゃなく、装飾、照明、フード等の細かいところをこだわることで、自分たちが体験してきた音楽イベントの醍醐味をお客さんと一緒に楽しめる、そんなイベント作りを目指しました。その上で、目的が“観る”では無く、“踊る”ことであって欲しいという願いを込めてタイムテーブルやフロア分けにこだわりました。


とイベントを振り返るYonYon。彼女がコロナ禍を乗り越えて、仲間たちと作り上げた「よんよんの日」は慣れ親しんだクラブイベントを懐かしむとともに、多幸感に満ちた体験を来場者にプレゼントしてくれた。


「本当に暖かい空気に包まれて、お客さんも出演者も楽しんでいる様子を見てホッとしました。無事開催できて良かったー!と。ライブセットでは、有観客だからこそ、私が発する一言一言に耳を向けてくれている感じが伝わって嬉しかった。音楽を通じて心を通わせ自然と体が動くというのはライブじゃないとできないこと。コロナに負けずまたイベントでみんなと会える日まで、音楽を作り続けていきたいと思います。」


4月4日、YonYonが思い描くユートピアの縮図が記憶の中に確かに刻まれた。その時間と空間に余計な線引きはなく、我々はさながらまるい小さな惑星の住人として、水のように流れる音楽と、光に満ちた空間を共有し享受したのだ。








YonYon『The Light, The Water』

2021.03.24 Release


▽収録曲

1. Beautiful Women feat. SARM / prod. Shin Sakiura

2. Bridge / prod. NARISK

3. Paper Plane / prod. grooveman Spot

4. Capsule feat. Daigo Sakuragi(D.A.N.) / prod. No2zcat, UNE

5. Beautiful Women(Stones Taro Remix) feat. SARM

6. Capsule(Ohnesty Remix) feat. Daigo Sakuragi(D.A.N.)


▽視聴リンク

https://orcd.co/light_water


▶YonYon



ソウル生まれ東京育ちというバックグラウンドを持ち、DJ、シンガーソングライター、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティとしてマルチに活動するクリエイター。

歌うDJとして幅広い世代に親しまれ、どこか聴きやすくかつ踊れる、エッジの利いたサウンドで多彩なBPMを縦横無尽にプレイする。日・韓のみならずアジア、アメリカ、ヨーロッパの様々な都市のクラブや大型フェスなどに出演。彼女のプレイは、大衆を盛り上げるだけでなく、オーディエンスとより密接な小箱でのパフォーマンスも期待を裏切らない。

ソングライティングも精力的に行い、ジャンル・言語の垣根を越えて直感的に組み立てていくそのリリックは、ポップで中毒性のあるグルーヴと裏腹なリアルでメッセージ性の強い言葉が世界中のリスナーを虜にする。近年ではKIRINJI、黒田卓也、Yaeji、Joe Hertzなど、様々なシーンのアーティストへの客演参加を積み重ね、グローバルなファンベースを広げつつある。


今年の3月24日に自身初となるEP「The Light, The Water」をリリース。4月4日には「よんよんの日」と題してEPのリリースパーティーを成功させた。YonYonは日本とアジア、ベッドルームとパーティーフロア、アンダーグラウンドとメインストリームと様々なシーンの「架け橋(BRIDGE)」となり、全国各地を飛び回りながらも音楽を通じて愛と平和を広め続けている。


Official Page : https://www.yonyon-musiq.com/

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Photo by Toshimura


Written by Tomohisa Mochizuki






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