BLACKPINK、FKJ、Disclosure、サマソニ2019で見せたダンスミュージックの多幸感を振り返る

ダンスミュージック系アクトが揃ったサマソニ3日目は話題のアーティストによるダンスミュージックの多幸感に酔いしれた1日だった。
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2019.08.26 11:30

8月18日(日)に行われたサマソニ2019 東京3日目。この日はヘッドライナーにEDMシーンを代表するアーティストであるThe Chainsmokersが登場。また同じくEDMシーンのトップアーティストであるZeddが出演するなど、メインステージであるMARINE STAGEは、さながらEDMフェスのような盛り上がりを見せ、サマソニ20周年をダンスミュージックが持つ多幸感満載で締めくくった。


またEDM以外も豪華なラインナップだったこの日程では、ヒップホップシーンから、”今、全米を熱狂させるヒップホップシーンのボーイ・バンド”ことBROCKHAMPTON、ダンスミュージックとの親和性が高いエレクトロポップアーティストであるSofi Tukker、CHVRCHES、LAビートシーンからはTOKiMONSTA、フューチャーベースの顔として知られるFlumeらが出演し、多彩なワールドクラスのダンスミュージックを楽しめた1日だった。


このように普段からダンスミュージックに慣れ親しんでいる人にとっては日程中、最も外すことができない日であったサマソニ3日目。それだけに集まった観客の中には普段、自分があまり親しんでこなかったダンスミュージックのジャンルも会場で耳にすることで、その良さに気がつき、新たな趣向に目覚めた人も決して少なくはなかったはずだ。




モダンEDMの流れとリンク、トラップとビッグルームが共存するBLACKPINKの音楽性が放つ多幸感


その最たる例となるのが、今や世界的な人気を誇るK-POPシーンを代表するガールズグループのBLACKPINKだろう。今年のコーチェラではK-POP初の出演アーティストとして、世界中からの注目を集め、ステージ上でのパフォーマンスも話題になったBLACKPINK。特にそこで披露したバンドセットは、今までK-POPにあまり関心を持つことがなかった音楽好きの間でも注目されたことは記憶に新しい。それだけに今回のサマソニでのステージはどのような形でのパフォーマンスになるか、開催前から楽しみにしていたが、いざ蓋をあけてみれば、まさかのバンドを引き連れての登場。これには序盤からいきなりテンションをぶちアゲられたファンも多かったことだろう。では、そこまでBLACKPINKに詳しくない人の観点からみたステージは一体どうだったのだろうか? その答えはおそらく、”すごくよかった”の一言に尽きるはずだ。


オープニングを飾るのは、昨年のドームツアー大阪公演のライヴ盤と同じ、低音が響くトラップ「DDU-DU DDU-DU」。ここで一気にBLACKPINKが一般的に知られるアイドルポップとは一味違う音楽性を持っていることが、彼女たちのファン以外にも伝わったように思う。また低音という最近のポップスシーンでもキーワードとして取り上げられる部分に着目してみれば、「Whistle」や世界的なヒット曲「Kill This Love」に含まれるトラップの鈍器ベースは、彼女たちのキュートなルックスに反して良い意味で極悪な響きを会場に設置されたスピーカーから吐き出しており、低音に刺激を求めるダンスミュージックファンからしてもかなりエキサイトさせられた部分だった。


またトレンドのトラップだけでなく、王道EDM”ビッグルーム”を思わせる「BOOMBAYAH」、レゲトンインスパイアのEDM系チューン「As If It's Your Last」などは、ビートの隙間の狭さからほかのトラップ系の曲のような響き渡るような低音に目がさめるような思いをさせられることはなかったものの、それとはまた違ったダンサブルな”アゲ”の要素が満載。そのEDMにも通じる多幸感はおそらくこの機会に話題のBLACKPINKを見てみようと考えていたダンスミュージックファンにも伝わったことだろう。


最近のEDMアーティストのギグのセットでは、王道のEDMチューンはもちろんのこと、フェス仕様のスケールが大きい”フェスティバル・トラップ”といわれるトラップチューンも多い。今回のBLACKPINKのセットはそれに通じるものであり、彼女たちの音楽は、K-POPのフィールド以外でも十分に通じるものであることが身を持って感じ取れる圧巻のステージだった。


©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.




夜のビーチに広がったFKJによる上質な時間が作る多幸感


良い意味で王道のフェスアクト感満載だったBLACKPINKとは対照的だが、個人的にこの日のベストアクトにあげたいのが、新世代のフレンチハウスシーンを牽引するFKJによるステージだ。今年の初日日程では台風のため、開催中止となっていたBEACH STAGEだが、この日はその影響もなく、昼は猛暑、白い砂浜が美しいステージだった。しかし、夕暮れ時、陽が落ちる頃には雰囲気も一変。オープンエアのステージは、昼間の熱気からは解放され、暗闇の中に光がともるステージはどこか幻想的ですらあった。


そんなステージにはFKJと彼がその天才的なマルチプレイヤースキルを駆使して演奏するための複数のギター、シンセなどが並ぶ。ステージの初めから心地良いメロディやスムースながらも強靭なグルーヴを次々に観客側に向けて発信していくFKJ。EDMのテンションが沸き立つような多幸感とはまた別の多幸感がそこにはあった。


1日の疲れのせいだろう。最初は砂浜に座り込んでいた筆者もステージが始まって少しもすれば、自然とその場に立ち上がり、彼が演奏する音楽に身をゆだねるように身体を揺さぶっていた。圧倒的に上質な時間だとでもいうべきだろうか? ウェルメイドな音楽は、いつまでもどこまでも続く。そんな風に時間が経つのも忘れるような、ここではないどこかに誘ってくれるような素晴らしい多幸感溢れるライヴだった。


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ダンクラから代表曲「Latch」までを繋ぎ合わせて多幸感を演出したDisclosure


そして、今回はDJセットでの出演となったUKのダンスミュージックを代表する兄弟デュオ、Disclosureのステージを目指し、彼らがトリを務めるMOUNTAIN STAGEに移動。


DJセットだけあって、彼らのギグでは、序盤からクラブさながらにフロアで踊るファンの姿が目立った。またセットの内容はノリやすいテンポ、ファンキーなハウスが中心になったもので、時折ドロップされるWild Child「Renegade Master」ネタなどのダンスクラシックネタのハウスがプレイにアクセントを与えていた。


またファンが楽しみにしていたDisclosureの曲では、Fatoumata DiawaraをフィーチャーしたDisclosure流のアフロハウスである「Ultimatum」や、人気曲でAlunaGeorgeとのコラボで知られる「White Noise」などもプレイ。そして、個人的に最も楽しみにしていた最近の彼らのDJセットでは定番になっているフレンチハウスの名曲「Music Sounds Better With You」から、Disclosureの代表曲である「Latch」につなぐ一連のミックスも披露された。


「Music Sounds Better With You」のおなじみのフレーズに「Latch」の声ネタが被さるようにミックスされていく中で、ついに「Latch」の冒頭のビートが鳴り出すとフロアからも大きな歓声が上がった。同曲でヴォーカルを務めたSam Smithが歌うサビの「Now I've got you in my space I won't let go of you」というフレーズは、この日、多くのファンがその耳で聴きたかったもののひとつだったはずだ。そして、Disclosureのセット中、最もダンスミュージックが持つ多幸感を感じた瞬間だった。



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EDMの王道を行くメインステージ・アクトともリンクするK-POPの強みを見せつけたBLACKPINK、メジャーフィールドではなく、オルタナティヴな音楽性やムードで観客を魅了したFKJ、そして、観客を盛り上げる選曲に自身のヒット曲を織り交ぜるアーティストDJならではのセット展開で盛り上げたDisclosure。今年のサマソニ東京3日目は、それぞれの出演アーティスト毎に異なるダンスミュージックの多幸感を感じ取れる1日だった。


written by Jun Fukunaga


photo: ©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.



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