【サマソニレポート】NOEL GALLAGHER、BECK、m-floが魅せる会場大合唱の一体感。Chance The Rapperら新世代もアツかった『SUMMER SONIC 2018』

Day1、MIDNIGHT SONICからDay2まで。ベテラン、フレッシュアーティストが多数登場したサマソニをレポート。
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2018.08.24 12:00

8月18日(土)〜8月19日(日)にかけて開催された『SUMMER SONIC 2018』。今年19回目、来年20周年を迎えるSUMMER SONICはレジェンドから新鋭アーティストまで幅広いラインナップで楽しませてくれた。また、block.fmは今年SUMMER SONICオフィシャルインタビュアーとして出演アーティストのインタビュー動画をIGTVで配信している。


参考記事:サマソニの公式インタビューをblock.fmが制作! IGTVでスペシャル動画を配信


本記事ではオフィシャルインタビューに登場していないアーティストを中心にフォローし、Day1深夜のMIDNIGHT SONICを含めた熱狂の2日間をレポートする。



NOEL、BECK、m-flo。進化を続けるレジェンドとChance、RexOCら新世代が幕張を盛り上げた『SUMMER SONIC 2018』


今回のSUMMER SONICは例年以上に“らしい”ラインナップだったといえる。NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDSや、2001年、開催2回目のSUMMER SONIC以来17年ぶりのサマソニ登場となったBECKなど往年のロック&ポップスファンを喜ばせてくれるベテラン勢が多数登場。


我らがblockfm局長☆TAKU TAKAHASHI参加のm-floは活動20年の節目を迎えた。メインボーカルであるLISAがカムバックし“20年目の新人”をシニカルに自負するm-floは再結成後としては初のサマソニ出演となった。


初来日のアーティストも目立った。Rex Orange County(レックス・オレンジ・カウンティ)、KNOX FORTUNE(ノックス・フォーチュン)、TOM MISCH(トム・ミッシュ)、JORJA SMITH(ジョルジャ・スミス)、そしてChance the Rapper (チャンス・ザ・ラッパー)など、記念すべき日本での初ステージをサマソニで飾った。


注目を集めたその多くが、10代から20代のフレッシュな新世代アーティストたちである。Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)、PETIT BISCUIT(プチ・ビスケット)、IAMDDB(アイ・アム・ディーディービー)、COSMO PYKE(コズモ・パイク)、SHAWN MENDES(ショーン・メンデス)、ALESSIA CARA(アレッシア・カーラ)、日本からはRIRI(リリ)やiri(イリ)など、まさに今が旬。かつ、さらなるブレイクで知名度を伸ばしていくであろう新世代のアーティストと、いまだ第一線でその名を轟かせるレジェンドたちが一同に会した。


NOEL GALLAGHER、OASIS時代の名曲やBEATLESの曲を披露




今回のSUMMER SONICのハイライトのひとつはDay1、MARINE STAGEのヘッドライナーNOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDSで異論はないだろう。泣く子も黙る(OASISの音源を聴かせると赤ん坊が泣き止むという逸話を聞いたことがあるが、小さいお子さんがいる方は試してみてほしい)NOELお兄ちゃんの登場である。


NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYNG BIRDSはOASISのセッションピアニストであったMike Rowe(マイク・ロウ)、OASISで活動をともにしたドラマー、Chris Sharrock(クリス・シャーロック)、同じくOASISのギタリストGem Archer(ゲム・アーチャー)The Zutons(ザ・ズートンズ)のベーシスト、Russell Pritchard(ラッセル・プリチャード)からなるバンド、NOELのソロ・プロジェクトである。そう。ほとんどOASISなのだ。喧嘩別れしたNOELの実弟LIAMがいないということを除いては(これがいちばん大きな違いだ)


Fort Knox」で壮大に幕を開けたステージには、しっかりとマンチェスター・シティF.C.の旗が掲げられている。NOELは根っからのシティっ子だ。マンチェスター・ユナイテッドのユニフォームなんか着て最前列にいたらヤバイので気を付けよう。筆者はこの日、うっかり赤いサッカーシャツを着てしまっていたので、ほんとは最前列へ行きたかったがスタンド席からライヴを観た。




ジョークではなく、マジである。


それはさておき前半はNOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDSの楽曲を中心にライヴは展開された。


中盤から「Little by Little」、「Whatever」などOASISの曲を演奏しはじめた。自称“クソ(Fワード)”天才のNOELがOASIS時代からほとんどの曲を書いていただけに、サマソニでもOASISの楽曲は演奏されるだろうと予想はされていたが、オーディエンスにとっては待ちに待っていた歓喜の瞬間だ。


Half The World Away」、「Wonderwall」ときて、クライマックスは「DON'T LOOK BACK IN ANGER」。会場はもちろん大合唱。というかNOELが会場にボーカルを預けるかたちで歌わせてくれていた。アリーナからスタンド席までスマートフォンのライトがNOELを照らす。最後のサビコーラスはNOELも一緒に。微妙にやっぱりLIAMのキーとは違ったアレンジがされているが、OASISの片鱗を体感するには充分だ。早く、仲直りしないかな。


まだ時間が少しだけ余っていて、何をやるんだろうと思考を巡らせると、「サマソニ、“クソ”最高だぜ。この曲を贈るぜ」みたいなことをNOELがしゃべり、超有名なファンファーレが会場に響きわたった。


ラストはBEATLES(ビートルズ)「All You Need is Love」である。ZOZOマリンスタジアムが大きな愛に包まれるとともに、夜空に花火が打ち上がる。すごい。完璧にドラマチックで、NOEL兄貴はやっぱり“クソ”かっこよかった。生きているうちにOASISとしてのライヴが見れたら“クソ”最高なんだけどなあ。






Chance the Rapper、言語の壁を越えた感動のステージ




「アメリカ、イリノイ州のシカゴから来ました。Chance the Rapperと言います」と、何度も丁寧な自己紹介をしていたChance the Rapper(以下:Chance)。ZOZOマリンスタジアムに集まったオーディエンスは百も承知だが、そんなChanceの言葉ひとつひとつが愛おしく感じられる時間だった。


数名のコーラスとDJを従えて、トレードマークの「3」キャップを浅めに被り、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のロゴがプリントされたスウェット、足下はシカゴの先輩Kanye West(カニエ・ウエスト)が手がけた黒のAdidas Yeezy Boost 350を装備。紛れもない本物のChanceはゴツくて大きい。勝手に華奢で小柄な体格を想像していたのだけれど、パンパンに膨れあがった上腕二頭筋にはビビった。


セットリストはグラミー賞を受賞したアルバム『Coloring Book』からの楽曲が中心。「65th & Ingleside」「Work Out」など7月に発表された最新曲も惜しみなく披露した。そのあとは同郷シカゴのラッパーReeseynem(リージィネム) が登場。数日前にMVが公開されたばかりのフレッシュな「What's the Hook」をふたりでかましてくれた。さらにはDJ KHALED(キャレド)、Migos(ミーゴス)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)とのポッセチューン「I'm the One」で、会場はサマーバイブスあふれるパーティな雰囲気に包まれた。


どうやら前日の大阪では、ライブに対してのレスポンスが物足りないようなことをライヴ中にChanceが残念そうに口にしていたらしい。これは日本のフェスが抱える、ひとつの大きな問題である。観客が海外アーティストの曲を歌えないのだ。この日、Twitterですでにそのことが話題になっており人の入りもイマイチな印象だったとのこと。(前の出番だったONE OK ROCKの動員が凄まじかったため、その反動でガラガラに見えただけという指摘もある)


英語後進国であることと、日本人の国民性がそうさせるのか? Chanceに限ったことじゃないけれど海外アーティストのライブで歌っている日本人は少ない。歌モノより難易度があがるHIPHOPアーティストのライヴでは特に顕著だ。海外のフェスでは地響きのような大合唱が当たり前。Lil'Pump(リル・パンプ)とかTravis Scott(トラヴィス・スコット)のライヴの盛り上がりなんかは、日本人からしたらもはや暴動である。ちなみに筆者もイングリッシュネイティヴでないので正確には歌えない。けれど悔しいのでデカイ声でなんとなく歌うようにしている。


EDMアーティストは歌詞を映像として出すなど工夫をしていたりする。Day1に登場していたMarshmello(マシュメロ)がまさにそうで、Anne-Marie(アン・マリー)をフィーチャーした「FRIENDS」、最後に披露した新曲「Happier」ではみんなが歌えるように、楽曲に合わせてリリックビデオを流していた。




これ、運営側も何か対策する必要があるのかもしれない。オーディエンスの目に入るところにカラオケみたいに文字を流すとか。どうでしょう? 正直、ダサいけどね。みんなで曲、憶えよう。


前日行われた大阪会場からの報告を受け、東京のオーディエンスはChanceの呼びかけに対して、全身全霊をもって応えていた。会場のみんなが、「All We Got」を、「No Problem」を「Same Drugs」を歌った。その甲斐あってか、Chanceは満足そうな笑顔を浮かべてくれた。このステージをみんなで盛り上げよう。お互いに最高の時間にしよう。ZOZOマリンスタジアムは言語の壁を越え、Chanceの意志のもとにひとつになった。


最後の曲は「Blessings」だった(アルバム『Coloring Book』には同名の曲が2曲収録されており、Jamila Woodsをフィーチャーした曲をライヴ序盤に、Ty Dolla Sign,、Anderson .Paak、BJ The Chicago Kid & Rauryをフィーチャーした曲を最後に演奏した)。Chano(※チャノ=Chanceの愛称)Churchに祝福の時が訪れたのだ。祈りは通じた。






ポップロック色満載のBECKステージ! DAOKOも登場! 




Day2、MARINE STAGEのヘッドライナーとして17年ぶりにサマソニに登場したBECK。1996年リリース、『Odeley』から「Devils Haircut」、「Loser」などインディーロックの雰囲気漂う往年の名曲を披露して、会場を乗っけから盛り上げた。2017年発売の最新アルバム『Colors』からはタイトル曲を演奏するなどBECKの歴史を振り返るようなステージ構成だった。聴かせるというよりは、盛り上げ要素重視のセットリストで狙い通りに終始楽しげなムードがZOZOマリンスタジアムにあふれていた。


「DAOKO! 」BECKが呼びかけると、同じくDay2のRAINBOW STAGEでパフォーマンスしたDAOKO(ダオコ)がMARINE STAGEに登場した。ヘッドライナーのMARINE STAGEに日本人アーティストが出るって結構すごいことなんじゃないのか。しかもあのBECKと。


RAINBOW STAGEでは「水星」や岡村靖之との「ステップアップLOVE」、米津玄師との「打上花火」などで会場を盛り上げた次世代デジタルサウンドディーヴァは、BECKとの「UP ALL NIGHT」でも堂に入った様子でZOZOマリンスタジアムを沸かせた。DAOKOはハケるときに必ず駆け足なのが可愛いしズルい。



RAINBOW STAGEでパフォーマンスするDAOKO


それ以上に、きゃぴきゃぴとステージ上ではしゃぐBECKがいちばん可愛かったのだが。幅広い引き出しを持つBECKの音楽性と、その才能にあらためて感心させられるライヴだった。




“20年目の新人”m-flo、超満員のRAINBOW STAGEをブチ上げる




再結成後初のサマソニでの出演。かれこれ長いこと、VERBAL(ヴァーバル)と☆TAKU TAKAHASHIのふたり体制、もしくは客演のボーカルを“Loves”形式で迎え、ライヴを行ってきたm-flo。久々にLISAを含めたオリジナルメンバー揃ってのライヴをサマソニで拝むことができた。そのようなファンが多かったのではないだろうか。幕張メッセ内のRAINBOW STAGEは人であふれかえり、パンパンの超満員だった。


☆TAKU TAKAHASHIの巧みなDANCE HALLネタ使いにVERBALが煽る伝家の宝刀スタイルで会場を一気にロック。DJingとライヴを融合させるスタイルは、m-floの唯一無二のスタイルだ。あれでアガらない人いるのか。これがすごい画期的なシステムで、リリックはそのまま初期の曲をリミックスにすることにより、常にKeep on Fresh! な印象をオーディエンスに与えている。(2001年リリースのm-flo2ndアルバム「EXPO EXPO」はかなり斬新で革新的だったんだけれど、サマソニオフィシャルインタビューによるとLISA姐さんが飽きちまっているらしい。なんてこった)。


ゲストにギターとパーカッションを迎え、LISAも加わったステージは終始賑やかだ。そのパフォーマンスもさることながら、合間の3人のやりとりがなんだかすごくいい。オーディエンスも嬉しそうだ。やっぱり、この3人組のトライポッドスタイルをずっと見たかったんだよね。再結成後に発表された「No Question」、そこからまだ名前も決めていないという「新曲(LISA姐さんがフックで“Cadillac”連呼しているんですがそれは置いておいて、サマソニ当日まで曲名を一般公募していた楽曲)」を披露。「新曲」はクラシックハウスを彷彿とさせるサマーチルなダンスナンバーとなっている。


最後はやっぱり「Come Again」。「これやらないと終われない(笑)」とVERBALが言うように、オーディエンスもこれをガッチリ聴かないと帰れないのだ。新生m-floをまるっと堪能できる素晴らしいステージングと、縦横無尽にはしゃぐ3人はとても“新人”とは思えない。そこにm-floの20年が詰まっていることをこの目と耳で実感できた。SUMMER SONICオフィシャルインタビューではそんな3人が、楽しげにイチャイチャしている姿を見られる。ほっこりするのでファンならぜひともチェックしてほしい内容だ。


m-floが9月22日(土)23日(日)のりんご音楽祭に出演する。ステージ割が発表され、りんごステージでの出演が決まった。りんご×m-floという組み合わせ自体、異次元で予想不可能なのだが、今回のRAINBOWステージでの動員を見る限り、りんご音楽祭もとんでもないことになるのでは。と筆者は勝手な心配と期待をしている。




Rex OC、HIGHER BROTHERS、若きアーティストたちの躍動




個人的にはSONIC STAGEに出演したRex Orange County(以下:Rex OC)が印象的だった。まだ20歳のUKの新鋭である。屋内ステージではなく野外のMARINEか、少々小さくなってしまうがTOM MISCH同様、BEACH STAGEでも気持ち良かったかもしれない。


ベッドルームポップなチルな世界観。アンニュイで味のあるボーカル。口ひげに、まだ幼い表情のアンバランスさ。飄々としたキャラクター。スターとしての魅力が揃いすぎている。


この日、彼はTyler the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)が手がけるブランド『GOLF WANG』の“GOLF”ロゴTシャツを身に付けていた。Rex OCが楽曲参加したTylerのアルバム『Flower Boy』との関連性を感じることができたのも嬉しい。


Benny Things(ベニー・シングス)がプロデュース参加した「Loving Is Easy」は最高に気持ち良く、今のうちに見ることができて良かったと思えるステージだった。次に来日するときは更に大きなステージでの登場になるに違いない。


Billboard JAPAN STAGEに登場したHIGHER BROTHERS(ハイヤー・ブラザーズ)もガッチリ日本のヘッズを盛り上げた。サマソニ出演のHIPHOPアーティストはいても、ゴリゴリのTRAPアーティストは彼らをおいて他にいない。会場の熱気は最高潮。「Made In China」でオーディエンスは大歓声を上げるとともに、モッシュピットを発生させる勢いで会場を揺らした。




サマソニの終わり際、ちょうどBECKが始まる頃だろうか、仲間とともに会場をウロついていたHIGHER BROTHERSメンバーMASIWEI(マシウェイ)を発見。すかさず声をかけると、見た目はイカツいがとても気さくに対応してくれた。中国ではグローバル企業のCMに出るくらいの国民的スターにも関わらずだ。


彼はどうやら、HIP HOPが聴きたかったらしく、「この辺(SUMMER SONICの会場内)でHIP HOPが流れているところはない? 」と逆に質問されたが、すでにその時間では見つからず。力になれなかった。ごめんMASIWEI。タイムテーブルを見せると前日夜のKANDYTOWN(キャンディタウン)のRyohu(リョフ)に興味を示すなど、HIP HOP好きなのが伝わってきた。次回は88Risingをみんな連れて、日本にツアーに来て欲しい。


注目のフィメールDJをピックアップした「TOKYO FEMALE DJ'S」




Billboard JAPAN STAGEの手前には「TOKYO FEMALE DJ'S」と題し、東京を拠点に活躍するフィメールDJをフィーチャーしたブースが設置された。Day1はNINA(ニナ)、Licaxxx(リカックス)、LISACHRIS(リサクリス)。Day2はYuka Mizuhara(水原佑果)、DJ RINA(リナ)、YonYon(ヨンヨン)がDJパフォーマンスを披露した。


『RED BULL 3 STYLE』の歴史上唯一、女性のワールドファイナリストとなったDJ RINA。最新のTRAPチューンからHIPHOPアンセムまで網羅し、ゴリゴリのイカツいセットでオーディエンスを踊らせた。


韓国と日本の次世代アーティストをフックアップしながらシンガーとしても活躍し、数多くの現場でジャンルレスにDJをこなすYonYonは昼の回は4つ打ちを軸に、夜はR&Bやベースミュージック中心というさすがのレンジの広さで心地良い空間を演出していた。





水曜日のカンパネラ、深夜の幕張に降臨。ほんとうにあった怖い話




Day1終了後も幕張メッセの音は止まらない。深夜から朝方にかけて行われるMIDNIGHT SONICにも見逃せないアーティストたちが多数登場するのだ。毎年、巨匠怪談師、稲川淳二氏もMIDNIGHT SONICで怪談を披露しているが、筆者が見たのは稲川淳二氏ではなく、水曜日のカンパネラである。


コムアイは普通にフジロックでもサマソニでもその辺を歩いているのだけれど、やはりボーカルとしてのコムアイの凄みというか、ステージに立つと一味違う。というかまるで別人格が憑依しているかのようなのだ。


この日のステージは大きな布と風と光を使ったシンプルなステージ演出。シンプルでありばがら、そのレバレッジを最大限に効かせて見事な“水カンワールド”を展開した。空気が送られて膨らむ大きな布に、姿を見え隠れさせ神秘的な雰囲気を漂わせるコムアイ。見えなくなったと思ったら、気づくと目の前にいる。比喩でもなんでもなく普通にステージを降りてオーディエンスの目の前までやって来る。


「ずっと音楽向いてないんじゃないかって思ってたけど、最近は音楽をずっとやっていくんだなって素直に思えるようになった」。彼女はステージから自身の心境を観客に打ち明けた。最新曲だけでなく「マチルダ」、「ゴッホ」など5年以上前の過去の曲を彼女は歌った。「曲を作った当初よりも、今しっくりきている曲」なのだそうだ。


マトリョーシカ」では、客演で彼女の友達だというMoodoïd(ムードイド)のPablo Padovani(パブロ・パドヴァーニ)をステージに呼び込んだ。この後行われたMoodoïdのステージでは、水曜日のカンパネラが客演参加した「Langage」を披露。互いのステージで互いが客演した曲を演奏しあった。



水曜日のカンパネラのあと、同ステージでライヴしたMoodoïd


見ざる聞かざる言わざる」から最後の曲、「マルコ・ポーロ」では膨れあがった巨大な布の球体が頭上を通り越えていった。コムアイは柵を越えて、歩いて観客席から退場。巨大な球体とともに割れた人波をモーセのように歩いて行く。コムアイに魅せられた観客がそのうしろをくっついていく。まるで、観客を連れ去るかのようにコムアイは幕張メッセの奧に消えていった。何度も言うが比喩ではない。何か、恐ろしいものの片鱗を見ちまった(いい意味で)。そんな気がするぜ。


唾奇のまっすぐな言葉がオーディエンスを叩き起こした




そしてもうひとり、規格外の男がいた。沖縄から参戦した、ラッパー唾奇(つばき)だ。もはやMIDNIGHT SONICも終盤となれば、“幕張メルトダウン”とも言える現象が起き、遊び疲れた観客があちらこちらで横たわっている光景を目の当たりにする。そんな状況を一喝。唾奇はマイク1本で朝方の幕張メッセを熱狂させたのだ。


オーディエンスのなかにはYENTOWN(エンタウン)のkZm(カズマ)の姿もあった。kZmは直前のMIYACHI(ミヤチ)のステージで客演参加した楽曲「KILL'IT EYDAY」のパフォーマンスをMIYACHIとともに行っている。そのあと、唾奇のステージを見にやってきた。そんなkZmに唾奇がステージから声をかける一幕が見られた。ほんの数秒の何気ないやりとりだったがお互いの関係性、交流を示唆するワンシーンである。


唾奇は限りなく赤裸々で、人間臭い。アウトローなバックボーンと経歴を持ちながら、唾奇の楽曲はただの不幸自慢ではなく、しっかりと聴かせる音楽として昇華。エンターテイメントとして成立している。唾奇の声と言葉に、ひとりまたひとりとステージに吸い寄せられていく。


kiki vivi lily(キキ・ヴィヴィ・リリー)とSweet Williams(スウィート・ウィリアムス)との「Soda Water」のようなチルチューンから、「Betty Blue」、DJ RYOWとの人気曲「all green」、ゲストに同郷の沖縄からCHICO CARLITO(チコ・カリート)も援護射撃で参加し、「一陽来復」を披露した。


最後の曲「道-TAO-」で唾奇はステージからオーディエンスのクラウドの真ん中へと降り立った。唾奇を中心に大きな人の輪ができた。オーディエンスは輪の中心の唾奇に、賞賛の歓声と惜しみない拍手を送る。彼は昨今のTRAPトレンドであるモッシュピットとは違うかたちでサークルを築き、見事に観客をまとめてみせた。朝方にこのような胸を奮わせる熱い光景を見ることができるとは。感動せずにはいられなかった。


核心を突くリリックと、人生経験に裏打ちされた鋭い視点。地に足をつけたスタンス。静かで、それでいてアツい。どこに行っても地元の、自分の言葉で地元のように振る舞う。これは筆者の勝手な見立てだが、個性は違えど山梨を拠点に活動するstillichimiya(スティルイチミヤ)の田我流(でんがりゅう)に通ずる魅力を感じた。


ちなみに唾奇はリハ中、時間があるからとその場に居合わせた観客に“幽霊の出ない”本気の怖い話をしてくれた。詳細は割愛するが、聞いて後悔するレベル。引くくらい怖い。


block.fmプロデュース! SUMMER SONICオフィシャルインタビューをチェック


そんな唾奇のインタビューも配信されているSUMMER SONIC×block.fmオフィシャルインタビューの数々は、Instagramと連動した縦型動画配信アプリ『IGTV』で試聴できる。


本記事で紹介しきれなかったアーティストたちに、block.fmプロデューサーのひとりであるAmy(エイミー)を始め、気鋭のDJ/サウンドプロデューサー/block.fmプログラムナビゲーターのShioriyBradshaw(シオリー・ブラッドショウ)、KOSMO KAT(コスモ・キャット)、Marzy(マージー)らが会場で直接インタビューを行った。ライヴ前後のフレッシュでエクスクルーシヴな内容になっているので、ぜひチェックしておこう。


block.fm公式Instagramアカウント(@blockfm)


SUMMER SONIC公式Instagramアカウント(@summersonic_official)


SUMMER SONIC 公式インタビュー by block.fm IGTVリンク(※スマートフォンのみ)


Moodoïd


Portugal. The Man(ポルトガル・ザ・マン)


Thunder Cat(サンダーキャット)


Alessia Cara


m-flo


RIRI 


ちゃんみな


WALK THE MOON(ウォーク・ザ・ムーン)


唾奇


yahyel(ヤイエル)


MIYACHI


MASTDON(マストドン)


Friendly Fires(フレンドリー・ファイアーズ)


Pale Waves(ペール・ウェーヴス)


DREAM WIFE(ドリーム・ワイフ)


Billie Eilish


Dorian Concept(ドリアン・コンセプト)



SNSで話題沸騰中の堂本剛のプロジェクトENDRECHERI(エンドリケリー)については、block.fm/letter musicの記事コンテンツを手がけるJun Fukunaga氏が超人的な筆の速さで記事にしてくれているので、こちらも合わせて読んでみてほしい。


参考記事:堂本剛「ENDRECHERI」、サマソニでのファンク感がヤバくてライヴが最高にクールだと話題に



written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo:SUMMER SONIC 2018




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