【ネタバレ注意】『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は“誰のために”作られた作品なのか

【bfm映画部】☆Taku Takahashiによる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に関するコラム。
SHARE
2020.01.02 03:00

Written by ☆Taku Takahashi(Twitter:@takudj )


※このコラムは後半からネタバレが含まれています。『スカイウォーカーの夜明け』をまだ未視聴の方はご注意ください。


ご縁があって『スター・ウォーズ』のトークショーや取材を受けることが多い。その時いつも「☆Takuさんは『スター・ウォーズ』お好きなんですよね?」と聞かれるのだが、返答に困ってしまう。感じ悪く聞こえてしまうかもしれないが、はっきり言って『スター・ウォーズ』に関しては一般の人より詳しいほうだ。映画はもちろんのことアニメシリーズの『クローン・ウォーズ』や『反乱者たち(Rebels)』も全て見ている。ただ「好きか」と聞かれると素直に「好きです」って素直に(?)言えない自分がいた。


理由はなぜか?まずは僕は大の『スター・トレック』好きである。トレッキー(『スター・トレック』マニアの名称)の僕が『スター・ウォーズ』ファンになってはいけないことなど決してないのだが、少しだけ罪悪感を感じていたからか。もしくは小学生のときから見続けてきた作品で“空気”みたいな存在になってしまったからか。どうしても「好きだ」と素直に言えない自分がいた。


それを追い討ちをかけたのが『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』だ。レイアがいきなりフォースを使うシーンにすごく違和感を感じていた。終わり方やプロット・ホール(筋書き上の矛盾)がどうしても納得いかないところだらけで、スノークの謎もわからないまま殺され、ライトスピードの概念(あくまで『スター・ウォーズ』の世界の物理学)を覆してしまい、最後はここからどうやって解決させるのか?という絶望的な状況。そんなモチベーションの低い僕が『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観に行った。


先に結論を言っちゃおう。僕の感想は「ああ。僕は『スター・ウォーズ』がホントに大好きだったんだな」だった。気がついたら20分に一回のペースで涙を流していた。最後の方では大号泣。もし友人と一緒に観に行ってたら、一生笑いのネタにされるくらい泣いていた。


この作品は誰のために作られたのか?


今回の制作ミーティングでこんな会話がされていたのではないだろうか。


「我々は、誰のために『スター・ウォーズ』を作っているのか?映画ファンのためか?SFファンのためか?否。『スター・ウォーズ』ファンのために作ってるんだ」


いや、あくまで僕の想像の産物なんだけど(笑)。作品からはそういうメッセージが伝わってきた。


そう、この映画は今までずっと『スター・ウォーズ』が好きだった人たちへのラブレターだった。自分たちがいかにこの作品が好きだったか?というオマージュが詰まっている。


さて、前置きが長かったけど、ここからネタバレ注意。この時点でまだ観ていない方はすぐに最寄りの映画館へ向かってください。




***


レイアとのお別れ会


まず、この作品はレイア姫との最後のお別れ会だった。レイア・オーガナ役のキャリー・フィッシャーがいきなりこの世から居なくなっちゃった中、彼女にふさわしいお別れ会を作ってくれた。レイア姫に関してCG合成を全く使わないと制作サイドが公言した通り、今までのリアルな彼女の未使用部分から知恵を駆使して作っている。


そのシーンのために作られていないから、人によって不自然に聞こえる台詞もあったのかもしれない。でも僕的には凄く納得のいくお別れができた。物語的にも、カイロ・レンという悪魔を産んでしまった親の苦しみ、責任、そしてそれでも最後までその息子を愛し、信じ、救いを差し伸べて自らを犠牲にした。


『ジェダイの帰還』あとのルークがレイアにジェダイトレーニングをしているシーンは流石に合成CGだったけど、あれは凄く重要だった。『最後のジェダイ』でいきなり出てきたレイアの宇宙空間から戻るフォースも納得がいくし、レイが何故ジェダイトレーニングをしていたのかが納得いく。


破天荒でユーモアセンス溢れるキャリー・フィッシャー、意外と知られていない部分だが彼女の最後のツイートを見てほしい。



ギャルのような絵文字使いだが、彼女のウィットな部分が垣間見れるでしょ?みんなが愛するキャリー、そしてレイアとのお別れがしっかりと観られただけでも感動的だった。


『帝国の逆襲』へのリバイバル


そしてそのあと、まさかのハン・ソロ登場。僕の記憶が正しければ、『フォースの覚醒』でハン・ソロを殺すことがハリソン・フォードの出演条件だったはず。そこまで言っていた彼が再登場するのは正直ビックリした。


製作陣がしっかりしてるな、って思ったのは彼の出演の仕方がフォースの霊ではなく、ベン・ソロ(カイロ・レン)の記憶として出てくるところ。そして何よりも嬉しかったのがハン・ソロの最後の言葉が「I know(わかっている)」だったこと。


これは『帝国の逆襲』でレイアが「I love you」と言ったあとハン・ソロが「I know」と答えるシーンのオマージュ。大きな違いはベンは「愛してる」とは言わず「父さん」と言う。でもハンはそこでも「I know」と答える。『フォースの覚醒』ではほっぺたをポンと叩くだけだったんだけど、今回ははほっぺたを叩きながら、僕らが聞きたかったハン・ソロの名ゼリフを言い残して彼の役目が完結した。


『スカイウォーカーの夜明け』は失敗から学んで作られた作品


『最後のジェダイ』でのルーク・スカイウォーカーの行動や言動を不可解に感じたのはファンだけでなく、役を演じていたマーク・ハミルもその1人だった。今回の作品でルークの「私の考えが間違ってた」という台詞が全て物語っている。今回の製作陣は今までやってうまくいかなかったことや“間違い”を徹底的に修正していき、ファンが求める本来の『スター・ウォーズ』を作り上げた。


わかりやすいところからいくと、ミレニアム・ファルコンのアンテナを元の丸いものに戻したり、その他の戦闘機に『ジェダイの帰還』で活躍したAウイング、Bウィング、Yウィング、モン・カラマリのスター・クルーザー、そしてルークが乗っていた4気筒のXウィングこと「レッド5」も元気に飛んでるシーンも見られた。


さらにランド・カルリジアンが集めてきた援軍の中には僕の大好きな『反乱者たち』のゴースト、『ローグ・ワン』に登場したハンマーヘッド・コルベット、さらに最近ドラマで放送している『マンダロリアン』の船なども登場したと報じられている。ぶっちゃけ船が多すぎて実際どこに何があったのかは劇中では確認できなかったんだけどね(笑)。



歴代キャラのカメオ出演


このシーンで本当に嬉しかったのは、実写版でいちばん好きだったキャラクターのウェッジ・アンティリーズがカメオ出演したこと。いきなり、訳のわからないおじいちゃんが登場してきたと思っていた人もいるかもしれないが、彼は主人公キャラクター以外で、唯一オリジナル3部作すべてに登場しているパイロット。さらに役を演じたデニス・ローソンはオビ=ワン・ケノービ役のユアン・マクレガーの叔父でもある。



その他にも歴代ジェダイの騎士たちによる声のカメオ出演があった。彼らがレイにささやくシーンだが、大御所たちのオールスター。アナキン・スカイウォーカー、若き頃のオビ=ワン・ケノービ、ヨーダはもちろんのこと、アレック・ギネス演じるオビ=ワンの声も登場した。これはあくまで僕の予想なんだが、そっくりさんを使ったわけでなく、『新たなる希望』の「Don’t be afraid」というフレーズの「afraid」から「レイ」と聴こえる部分を切ったと予想する。間違ってたらごめんなさい。


そしてもっとも嬉しかったのは、僕が歴代『スター・ウォーズ』でいちばん好きなキャラクターのアソーカ・タノも参加したらことだ。彼女はアニメ『クローン・ウォーズ』と『反乱者たち』で重要な役を演じている。他にもアニメから声での参加していた人たちもいたようだが、また観に行った時に確認したい。『反乱者たち』のケイナン・ジャラスの声も聴こえたような。



と原稿を書いてたらこんな便利な表にしてくれた勇者を発見。クワイ=ガン・ジンやメイス・ウィンドゥもいたとは。サミュエル・L・ジャクソンのギャランティが気になってしまう(笑)。



他にもカメオとしてエド・シーランも出てると噂されているが、どこにいるか発見できなかった。果たして噂の真相はどこに。


『スカイウォーカーの夜明け』の音楽


歴代『スター・ウォーズ』シーンのオマージュが他にもたくさんあったのだが、それだけではない。音楽的オマージュもたくさん詰め込まれていた。例えば冒頭のカイロ・レンがパルパティーンを探しにエクサゴルへ行く時の音楽は『ファントム・メナス』のものをベースにしていたり、デス・スターにレイが訪れた時の音楽はダース・ベイダーのマスクが脱がされる時の音楽と一緒だった。ルークがレッド5機(Xウィング)を海から陸へフォースで浮かせる音楽は『帝国の逆襲』のヨーダがしてた時と同じものだった。自分が気づいたのはそれだけだったが、他にもあったと思うので見つかったらTwitterでメッセージしてね。


そして個人的に何よりも嬉しかったのはマズ・カナタがチューバッカにメダルを渡すシーン。これはファンにとってダブルで感動的なシーンだった。このメダルはハン・ソロが『新たなる希望』のラストシーンでレイアから授与されたもので、ベン・ソロとテレパシーで話す時に使われたものだ。言わばハンとレイアの形見である。


ただ、僕がこのシーンで号泣したのは他の理由からだった。実は『新たなる希望』の授賞式でルークとハンは受賞されたがチューバッカはメダルをもらっていない。これは42年前から言われ続けていたことで、ついに今作で初めてチューバッカに名誉のメダルが授与される。もしこれからもう一度観る機会があったら、チューバッカの喜びの雄叫びを意識して観ると目頭が熱くなるかもしれない。


補足ではあるがチューバッカのメダルの受賞は1997年の『MTV Movie Awards』と『LEGOスター・ウォーズ』シリーズでは実現しているのだが、本伝で正式に受賞したのは初めてとなった。



最後のレイがタトウィーンへ戻ってルークとレイアのライトセイバーを埋葬するシーン。ルークの育ったオーウェンおじさんの家なのだが、レイは板を使ってソリのように降りていく。これは『フォースの覚醒』へのオマージュだ。そして最後に『新たなる希望』で冒険を夢見るルークが見ていた太陽をレイとBB-8が眺めている。これはまさしくオリジナルシリーズとシークエルシリーズのループで物語が締めくくられる。まさにJ・J・エイブラムスたち製作陣がやりそうなファンサービスだ。


ライアン・ジョンソンは良い意味で『スター・ウォーズ』を壊したかったんだと思う。今までの物から新しい方向を見せようとした。ただ『スター・ウォーズ』というフランチャイズにはそれが当てはまらなかったんだと思う。よく、前の作品を超えるものを作る大切さの話をするのだが『スター・ウォーズ』という作品は過去を超えることを求められている作品ではない。それこそダークサイドへの誘惑に引っ張られる(笑)。


J・Jがやったことに対して批判的な意見を持つ人たちはこれからも出てくると思う。これだけ泣きまくった僕ですら、今回の作品は歴代『スター・ウォーズ』の擦りだというのはわかっている。ただ確かなのは極東に住む男の子が『スター・ウォーズ』という作品に出会って、そのまま大人になったあと、いかにこの作品が大好きだったかに気づかされる作品、それが『スカイウォーカーの夜明け』だった。そう、僕にとって『スター・ウォーズ』は現象でなく、パーソナルな思い出だったんだ。


【☆Taku Takahashiのコラム】


本家を超えるクオリティ!? YouTuberが作った『スター・ウォーズ エピソード4』のリメイク版がすごすぎる


『アベンジャーズ/エンドゲーム』タイムトラベルの仕組み、矛盾や疑問を徹底解説(ネタバレ注意)


“エンドゲームショック”から立ち直れるか!? 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』レビュー


Photo:© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

SHARE