ポップパンク化するアングラエモトラップに注目! Lil Peep & XXXTentacion最新リミックス、Cold Hartを聴く

【レビュー】そのほかにもエモトラップの代表的アーティスト、$UICIDEBOY$がBlink 182、KornメンバーとコラボしたEPをピックアップ。
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2019.07.23 04:00

“現代のパンク”とも例えられる“SoundCloudラップ/エモトラップ。不安定な社会情勢からくる鬱々とした若者の日常、怒りなどを楽曲から感じ取れろことや、楽曲の尺の短さなども含めてそう称されている。SoundCloudにアップされた音源がSNSを通じて、拡散されることで驚異的な再生数を記録。そこからXXXTentacionやLil Peepのようなスターが輩出され、ヒットチャートを賑わせたことも記憶に新しい。  


しかし、その2人のスターはすでにこの世にはなく、SoundCoudラップという名称も今では過去のものになりつつある。とはいえ、そういった状況はあるものの、今もSoundCloudをディグっているとラッパーたちは日々、音源をアップし続けていることに気づく。そしてアンダーグラウンドなところでは、どうやら新しい動きが生まれているようだ。今回はそういった進化を続けるアングラエモトラップの注目作品をピックアップして紹介する。 




Lil Peep & XXXTentacion「Falling Down Travis Barker Remix」:Blink 182のドラマーが名曲「Adam's Song」風にリミックス 


昨年、リリースされたLil Peepの遺作アルバム『Come Over When You're Sober, Pt. 2』に収録されたXXXTentacionとのコラボ曲をポップパンクバンドの代表格であるBlink-182のドラマー、Travis Barkerがリミックス。Travis Barkerはロックスターながらラッパーとも深い親交を結んでいることで知られ、実際にBlink-182が現在行なっている北米ツアーでは、バンドの代表作『Enema of the State』発売20周年記念するものでありながら、ゲストにLil Wayneが迎えられている。  


リミックスは原曲と比べ、ポップパンクに寄せたテイストに。特にブレイク部分で聴けるTravis Barkerのドラムプレイを聴いているとリミックスというよりはバンドによるカバーというようにも思える。そんなリミックスについて、『Enema of the State』に収録されたBlink-182の代表曲「Adam's Song」の影響を受けたアレンジが反映されていると語る本人。確かによくよく聴くと曲の構成やドラムのタムの鳴り方はまさにそれといった感じだ。Lil Peepの「Awful Things」がGood Charlotteによってカバーされているが、このTravis Barkerのリミックスはそれを彷彿とさせる。エモトラップのアーティストの多くは、オルタナロックやパワーポップ、エモ、ポップパンクからの影響がうかがえるが、本リミックスは本家が参加することでまさにエモトラップがポップパンク化した作品だといえる。


【Apple Music】https://music.apple.com/jp/album/falling-down-travis-barker-remix-single/1469404638 

【Spotify】https://open.spotify.com/album/53OzYwSgFnw45FrJ8qr6ix?si=6ksV_W6DRvOKKi2-9mly7A 




Cold Hurt & Yawns『GOOD MORNING CRUEL WORLD』:Lil Peepとも近いエモラッパーが完全ポップパンク化!? 


Lil Peepも所属していたLAのヒップホップコレクティヴ「GothBoiClique」のメンバー、Cold Hartが最新アルバムをリリース。プロデュースを担当したのは同じく「GothBoiClique」のYAWNSだ。Cold Hartは以前、スウェディッシュポップの代表的アーティスト、The Cardigansの代表曲「Lovefool」をサンプリングするなど、ほかのSoundCloudラッパーのロック路線とはまた違ったポップセンスの持ち主だったが、最新アルバムでは全12曲中、典型的なエモトラップは数えるほど。  


ほとんどの楽曲が完全にポップパンク路線で、まさに2000年代のアメリカのトレントだったポップパンクバンドのスタイルを踏襲したような内容になっている。そんなアルバムでのオススメ曲はキャッチーなギターリフが印象的な「My Somebody feat. Angel Du$t」、”あの頃のエモバンド”味が強い「Show It」、歪んだ疾走感のあるインディーロックチューン「Nick Cave In」あたり。この世代のラッパーは歌うようなラップ、メロディーラップで知られるが、本作ではそれを通り越して完全に”歌っている”かのようなCold Hurt。バンドサウンドが好きな方にも是非聴いていただきたい。


【Apple Music】https://music.apple.com/jp/album/good-morning-cruel-world/1470276125 

【Spotify】https://open.spotify.com/album/1Q0q0Y0ip8luNBLgkdxlmN?si=lkgfL6HjTv2VQssufqRY9g 


$UICIDEBOY$ x Travis Barker『Live Fast Die Whenever』:Blink 182だけでなくKornのJames "Munky" Shafferが参加 


ニューオリンズ出身でSoundCloudラップの代表的なデュオ、$UICIDEBOY$が5月末にリリースした最新EPは、先述のLil Peepのリミックスを手がけたTravis Barkerとのコラボ作。本作にはほかにも90年代のミクスチャー、ラップメタルブームを牽引したKornのギタリストJames "Munky" Shafferが参加しており、ある意味でSoundCloudラッパーたちの憧れが詰まった内容だといえる。 


タイトルどおり、鬱蒼としたヘヴィーなトラップ要素が強く、ポップさという意味では先述の2作と比べると劣るものの、全盛期にはポップスとしてヒットチャートを賑わせたBlink-182、Kornメンバーが参加していることからこれ、SoundCloudラップのポップパンク化に通じるものとして解釈できなくもない。収録曲では、ギターのフィードバックノイズから始まるKornよろしくなヘヴィーすぎるざらついたダウンチューニングによる低音が響くギターリフとスクリームが聴こえてくるリード曲「KILLING 2 BIRDS WITH 22 STONES」はじめ、Munkyとのコラボ曲3曲は必聴。またEPのラストを飾るハードコアパンクチューン「NOTHINGLEFTNOTHINGLEFT」はヘッドバンギグ必死のキラーチューンだ。


【Apple Music】https://music.apple.com/jp/album/live-fast-die-whenever-ep/1463446899 

【Spotify】https://open.spotify.com/album/3TSr9PtbSLkZ7OiSQg0nQQ?si=Uvz_Q-UwRzqkEJYtPCEXuQ


written by Jun Fukunaga


photo: Lil Peep Facebook




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