【レビュー】Bandcamp/SoundCloud発、注目のヒップホップリリースVol.4

Playboi Carti、R.A.P.Ferreira、ロンドンの要注目ヒップホップレーベルDaupe!のリリースをピックアップ。
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2020.04.29 13:30

 今回もSoundCloudとBandcampから気になった3作品を紹介!


Playboi Carti - @ MEH


2020年4月末のSoundCloud週間トップチャートでぶっちぎりの1位を独走中なのは、4月16日にリリースされたPlayboi Carti (プレイボイ・カルティ)のこのシングルである。


playboicarti · PLAYBOI CARTI - @ MEH


トイピアノ〜ミュージックボックス系のシンセ音によるドリーミーなメロディと、Playboi Cartiの高い声のフローと相まって高い中毒性を醸し出す。ビートを手掛けたのはサウスカロライナの若手トラックメーカーJetsonMade(ジェットソンメイド)のチームSPACEBOY(スペースボーイ)だ。JetsonMadeはDaBaby(ダ・ベイビー)の楽曲「Suge」のヒットで頭角を現し、その後Roddy Ricch(ロディ・リッチ)の「Start Wit Me」などの制作を経て、DababyのHIPHOPミュージカルBOPのトラックも手掛けた今最も注目するべきプロデューサーの1人である。そんなJetsonMadeが信頼するチームSPACEBOYから、今回はNeeko Baby(ニーコベイビー)とDeskhop(デスクホップ)が制作に参加している。


Playboi Cartiはつい先日麻薬と交通違反で逮捕された際に警官に暴言を吐いて話題となったが、ファンたちの一番の関心はPlayboi Cartiのニューアルバム「Whole Lotta Red」の発表である。このシングルは次のアルバムへのリードシングルと捉えられているが、近日中に発表されると言われている「Whole Lotta Red」が実際いつ出るのかは、まだ誰にもわからない状態だ。それでもこのシングルのクオリティの高さから言って「Whole Lotta Red」はかなり期待できる作品であることは間違い無い。


「神秘的でアーティスティック!」と賞賛を集めているMVがこちら、監督はFKA twigs(エフケーエー・ツイッグス)の「Holy Terrain」などを手掛けたNick Walker(ニック・ウォーカー)だ。まるでアート系の映画に出てくるような暗闇の中でラップするPlayboi Cartiの姿を是非チェックしてみて欲しい。



R.A.P. Ferreira – purple moonlight pages


2018年までMilo(マイロ)名義で活動していたR.A.P.Ferreira(アールエーピー・フェレイラ)はマサチューセッツ州ビッドフォードを拠点に活動する1992年生まれのアンダーグラウンドMC兼プロデューサーだ。R.A.P.Ferreiraは活動初期に西海岸アートラップの代表格であるBusdriver(バスドライバー)とOpen Mike Eagle(オープンマイクイーグル)にフックアップされ、彼らと一緒にツアーに出るようになる。この経歴だけでも、アンダーグラウンドMCとしてのポテンシャルの高さがうかがえる。




本作品は西海岸アンダーグラウンドの重要なレコードプロデューサー/DJの1人であるKenny Segal(ケニー・シーガル)と彼が率いるThe Jefferson Park Boys(ジェファーソンパークボーイズ)がプロデュースしている。さらにマスタリングはKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)とFrying Lotus(フライング・ロータス)のコラボを手掛けた大御所で、このシーンのキーマンであるDaddy Kev(ダディ・ケヴ)である。


今回のアルバムのサウンドだが、インディーラップの手作り感はそのままに現代的な音響とソウルフルな感覚が絶妙に混ざっていて心地よい。ジャンルとしてのアンダーグラウンドヒップホップ感は大事にされているが、それより純粋に音楽としての質が高くヒップホップリスナー以外にも幅広く受け入れられそうな感じを受ける。既にこの作品はBandcampで多くのサポーターを獲得しており、日本でも一部では知られた存在のようである。しかし、プロデューサー陣を含めた精力的な活動とクオリティの高さを考えると今後は一部の盛り上がりでは収まらないかも知れない。今後の活動もチェックしよう。


El Camino & 38 Special – Martyrs Prayer


最後に紹介するのはロンドンの要注目ヒップホップレーベルDaupe!からのリリース。NYのバッファロー出身ラッパーEL CAMINO(エル・カミーノ)と同じくNYのロチェスター出身ラッパー兼プロデューサーである38 Special(サーティエイト・スペシャル)のコラボレーションアルバムだ。


 

今回プロデュースを担当した38 Specialは38 Spesh(サーティエイト・スペッシュ)名義の活動がよく知られていると思う。Kool G Rap(クール・ジー・ラップ)とタッグを組んだ2018年の作品『Sons Of G Rap』も記憶に新しいところだ。このアルバムでもNYハードコアヒップホップの新世代らしく、丁寧で緻密な音の組み立てが光を放っている。全体的にソウルフルでリッチな質感に溢れており、NYヒップホップの伝統を受け継ぐサウンドからは38 Speshの誇りが滲み出ているようだ。


メインMCのEl Caminoは近年のNYハードコアラップの代表格であるヒップホップ集団Griselda(グリゼルダ)の周辺メンバーで、クルーの中には2019年にRoc Nation(ロック・ネイション)とのマネージメント契約を勝ち取ったWestside Gunn(ウェストサイド・ガン)とBenny the Butcher(ベニー・ザ・ブッチャー)が名を連ねている。マネジメントとは別にGriseldaはレーベルとしてShady Records(シェイディ・レコーズ)と流通契約を結んでおり、クルーとしてのデビューアルバムも待たれるところだ。


発売元のDaupe!レーベルは今までにGhostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)や先ほど触れたWestside GunnそしてBenny the Butcher、同クルーのConway(コンウェイ)そしてPOUNDS(パウンズ) x Buckwild(バックワイルド)のコラボやSmoke DZA(スモークDZA)、Crimeapple(クライムアップル)など東海岸アンダーグラウンドの現在進行形を伝える上で重要な作品をリリースしている。ハードコアなヘッズは、これからも彼らの活動を積極的にサポートして欲しい。


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written by Yui Tamura


source:

https://soundcloud.com/678carti/playboi-carti-meh

https://afrolab9000.bandcamp.com/album/purple-moonlight-pages

https://daupe.bandcamp.com/album/martyrs-prayer


photo:

https://soundcloud.com/678carti/playboi-carti-meh

https://afrolab9000.bandcamp.com/album/purple-moonlight-pages

https://daupe.bandcamp.com/album/martyrs-prayer

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