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Soulflex インタビュー|自然体で繋がるコレクティブが実現する、アーティストとしての新しい在り方

2021/12/02 18:00
Yui Tamura
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最新EP『More Vibrant』リリースにあわせて、Mori Zentaro、SIRUP、Ma-Nuにインタビュー。Soulflexという”集まり”だからこそ実現できる、アーティスト達の新しい生き方や人生観とは。

SIRUP、ZIN、Mori Zentaroらが所属するアーティスト・コレクティブSoulflexが約2年ぶりとなるEP『More Vibrant』をリリースした。

SoulflexのサウンドはR&B、Neo Soul、HIPHOPなどの源流を感じさせつつも重たくなりすぎず、スタイリッシュなサウンドなのに耳障りの良さだけではない緩急ある魅力がある。日常にすっと入り込んできて生活の一部のように違和感なく溶け込んできたかと思うと、いつの間にか見慣れた変わりのない毎日を美しく鮮やかに照らし出すようなサウンドだ。

今回のインタビューでは、そんなサウンドを支える中心人物のMori Zentaro、シンガーとしてソロでも人気を誇るSIRUP、圧倒的なセンスとスキルでラップパートを担当するMa-Nuからお話を伺った。

彼らの音楽活動を紐解いていくと、肩ひじ張ることない自然体での、アーティスト達の新しい生き方や人生観が垣間みえてくる。

soulflex

コロナで動けなかった10周年、まとまった形のリリースをしたかった

ーまずは今回のEPリリースの経緯を教えてください。

Mori Zentaro:EPに収録されている「Here To Stay」をリリースした今年の初め、コロナの影響でライブの見通しが立っていなかったので、それなら「Here To Stay」を中心にコンセプトを固めてまとまった形の作品を作ろうと考えました。

SIRUP:10周年がコロナでなかなか思うように動けなかったので、「それなら作品を出そう」という勢いみたいなものがSoulflex全体でもあったと思います。

Mori Zentaro:Soulflexとして2018年に毎月曲をリリースしていた頃から、僕が作ったトラック主体での楽曲制作というスタイルになっていたのですが、今回の作品では10周年ということで僕らの強みであるバンドを活かした曲作りに立ち返りたいと思い、6曲中4曲はバンドで録音しています。だからいつもより多くプレイヤーチームと一緒にスタジオに入ったりしてシンプルに楽しかったですね。

SIRUP:これまでの楽曲も、ライブでのバンドアレンジは良いところに着地していたんですが、自分の中で「もっとできるんじゃないかな?」みたいな気持ちもありました。今回の制作方法では、Zentaroのトラックを単純に生演奏にするという形ではなく、全楽曲にちゃんと血を通わすような曲作りができていると思います。

コレクティブでありバンドでもあるので、みんなどこかで「もう少しバンドとしての方向に進んだ方がいいんじゃないかな?」っていう意識が自然と出てきたところに、綺麗な流れで今回の作品につながった感じですね。結果としてこの先のSoulflexの活動を見据えたチャレンジもできたし、すごくいいEPになったなと思っています。

ーメンバーが多い分、プレイヤー参加での曲作りは大変そうに思えるのですが、どのような工程で楽曲を仕上げているのでしょうか。

Mori Zentaro:よくある制作工程としては、まず僕が土台となるデモを作ってみんなに投げて、制作を進める曲が決まったらLINEグループでボーカル組とプレイヤー(演奏)組にわかれて楽曲をかためていく流れです。

ボーカル側と歌詞の内容や歌い出し、サビなどの担当パート割り振りなどを決め、大体のボーカルのデモができたらプレイヤー組でスタジオに入って、アカペラをもとにバンドアレンジをしていきます。

SIRUP:Zentaroが1曲ずつコンセプトをくれるんですが、ソロで自由にやるのとは違い「もらった提案に対してどうやって返すか」というスタンスから生まれる楽曲がSoulflexの魅力だと思いますね。

Ma-Nu:ラップパートもZentaroのコンセプトを軸に、それに対してどう返していくかという方向で考えていきます。ちなみに最初のトラックの時点でパートの振り分けもZentaroが決めてくれています。

Mori Zentaro:最初の時点ではメロディなどは決まっておらず、あくまで僕はトラックメイカーとしてトラックのみを作成していて、メロディなどはボーカル側での作業になります。プレイヤー側でも、トラックの時点ではなかったアレンジが加わることもありました。

ー歌詞などはテキストベースでやりとりできそうですが、音楽的な要素についてはLINEのようなテキストでのやりとりでは難しいのではないでしょうか。

Mori Zentaro:そこは僕たちがSoulflexたる所以かもしれないんですが、デモを送った時点で「あ〜なるほどね!」っていう感じでハイコンテクスト的な会話ができているんです。たとえば「あ、これは2000年前後のネオソウル感だな」とか、そういうマナーをわかってくれているから、大抵の場合はテキストベースで齟齬なく意思疎通できていると思います。

SIRUP:例えば2000年代の話の流れがありつつ「でも今だったらこういう乗せ方がいいよね、この流れで俺らなりにいくならこうだな」っていう部分まであんまり難しく考えなくても認識が一致するんですよね。音楽以外の部分でも好きなものが共通していたりするし、そういうのはコレクティブというか仲間だからこそだと思います。もちろん行き違いがありそうな時は電話でやりとりすることもありますが、長く一緒にやっていることもあってどんどんスムーズになっています。

Soulflexでは自然と共通することが多いんですよね。例えば政治のことから映画、趣味やカルチャー的なものに対しても同じ感覚を持っていたり。

Mori Zentaro:初めてSIRUPと会話したとき、子供の頃に憧れていた職業の話題になって「映画監督」って言ったら「あ、一緒!」みたいな。

Ma-Nu:そういう同じ感覚を持った仲間が自然と集まったのがSoulflexだよね。

集大成的なものであり、同時に今後の広がりも見せたい

ー今回のEPの1曲目「Celebrate」はポジティブで希望に満ちた気持ちになれる楽曲ですね。今のUSのソウル〜R&Bチャートサウンドにはないキラキラとした質感が印象的でした。

Mori Zentaro:この曲は僕らのルーツにある2000年前後のネオソウルをこのタイミングで再現してみたいという意図が根幹にありました。

ネオソウルと一言でいってもD’Angeloみたいにアーシーな土臭いサウンドだけでなく色々なサウンドがあるんですが、この曲はStevieマナーな曲にしたかったんですね。イメージしたのはMusiq Soulchildの初期のアルバムの2曲目くらいに入っていそうな曲(笑)。そんなイメージで好きなサウンドを改めて掘っていきました。

例えばMusiq Soulchildや、Floetry、Glenn LewisのプロデュースをやっていたDre & Vidalあたりのサウンドは結構意識しています。だから特に意図したわけではないですが、今のチャートサウンドにはない楽曲になっているのかもしれません。

SIRUP:ネオソウルでいうと後期っていう感じがしますね。僕らのルーツにあたるジャンルなので、結成当初からこの辺りのサウンドに影響を受けた楽曲は何度も作っていますが、そこに自分たちが今まで積み上げてきたものが加わるので、毎回違ったアウトプットになるのが楽しい部分ですね。

Ma-Nu:この辺りは僕らが共通して好きなものであり、いま主流のトラップミュージックとは違うパワーがあるというか、そういう部分をメンバー全体がキャッチ出来ていると思います。

ー2曲目「Refill」では80’s的ファンク要素が感じられますね。

Mori Zentaro:この曲はまさにブギーとかエレクトロファンクを意識したものです。

SIRUP:この曲は自分的にちょっと試行錯誤した曲で、「のせる選択肢が多すぎて悩む」っていう自分のクセに気づいた曲です。自分の得意分野だからこそ、乗せ方によってはソレっぽくなりやすい。だからスタンスを定めないと安易な形になってしまいそうで、得意分野であるゆえに苦戦するのかなという学びがありました。

しっかりフック感はあるのに力が抜けている感じもあって、なおかつ今っぽいサウンドでもあるという感覚を合わせるのに、他の曲に比べて多少時間をかけました。

ー3曲目「Chaotic Good」はこれまでの楽曲と比べても異色感のある楽曲ですね。このトラックはどのようなところでインスピレーションを得ているのでしょうか。

Mori Zentaro:この曲は「Here To Stay」の後に作ったんですが、「Here To Stay」がすごくハートウォーミングな曲だったので、「このイメージを覆したろ」って思ったんですよ(笑)。

とにかくエッジィにダークにしたいと考え、モチーフにしたのが初期のハウス~アシッドハウスで、例えばLarry HeardのやっていたMr. Fingersみたいなアングラで危険なにおいがする曲にしてみようと思いました。あとはUKダブからもインスパイアされていて、冷たさも感じるようなサウンドになっています。

SIRUP:このトラックを受け取ったとき、マジで待ってました感が半端なかったですね。Soulflexで作ってきた自分のバースで一番好きかもしれない。メッセージや意味を伝えようっていう歌もいいんですが、こういうムードを重視した感じとか、自分が普段出さないちょっとサイコな部分とかを表現できる曲もすごく好き。

Soulflexは基本ピースなイメージだと思うし、実際みんなピースな人間なんですけど、リスナーが増えていく中で「ピースなイメージ」みたいなものが求められると、違う一面も見てほしいと思ってしまうのがアーティストの性で。まさにこういうテイストをやりたかったっていう曲です。

Ma-Nu:僕は一番苦戦したのがこの曲ですね。先にSIRUPのバースがあがってきたのを聴いて、「あ、めっちゃのびのびしてる、なるほど~」と思ったんですけど、自分のバースを作る上では何回も手直しをしながら完成させたという感じでした。結果的に悔いのないものができましたが、同時に自分の課題や余白も見えた曲です。

ーそういう意味では5曲目「State Of Mind」もこれまでの楽曲とは違う印象ですね。

Ma-Nu:今回のEPではこの「State Of Mind」だけZentaroからトラックをもらう形ではなく、プレイヤー陣でアイデアから構成まで全て作り上げたんです。僕も構成の組み立ての現場には居合わせたり、すごくフレッシュな体験でした。この曲の制作の進め方に関してはZentaroのほうで何か意図するところがあったの?

Mori Zentaro:意図はありました。このEPは集大成的なものでありながら、同時に今後の広がりも見せたかったんです。この2〜3年は僕のトラックを基に作った曲がSoulflexのサウンドになっていたんですけど、Ma-NuやキーボードのAkieeちゃんをはじめ、バンドのみんなも曲を作れるので、これからはそういう柔軟な制作体制に移行していきたいなと思っていて。

そんなわけでこの曲についてはコンセプトとして「悲しい」という曲を入れたいということだけ僕のほうで考えて、その後の作業はほぼ関わりませんでした。ベーシックなトラックはもともとRaBとFunkyが作っていたものですね。

SIRUP:8/6のリズムの曲もどこかでやりたかったし、こういうバラードの曲がSoulflexにあったらいいなと思っていたので、この曲も「お!きたきた!」という感じでした。テーマも「悲しい」という感情面で提示されていたのでスムーズに書けた曲ですね。

Ma-Nu:ラッパー的には絶妙なテンポで、ゆっくり乗せると日本語特有の隙間がのっぺりした感じになってしまうし、逆に隙間を埋めるように詰め込みすぎると曲の雰囲気を壊してしまうので、その辺のバランスは考えつつ作りました。

SIRUP:今回のEP全体に言えることですが、この曲に関してはマジでMa-Nuのバースがすごい。普通のラッパーにはなかなか出来ないことをやっていると思うので、そこを聴いてほしいですね。

Soulflexは全員フックも作って歌えるところがすごいと思っていて。普通はこういうメンバー構成だと、ラッパーがバースを作ってフックをシンガーが作るという形が多いんですが、Ma-Nuはフックの歌メロも作れてしまうので、並のラッパーじゃないなと思っています(笑)。

Ma-Nu:ありがとう(笑)。

コレクティブとは何か、僕らもわかってない

ーコレクティブとして10年を超えての活動となりました。振り返って皆さんにとってのコレクティブとはどういうものでしょうか。

Mori Zentaro:コレクティブとは何か、ということについては、いまだに僕らもわかってないです(笑)。

わかってきたことで言えば、Soulflexには音楽専業の人もいれば別の仕事を持っている人もいて、どちらにせよ生活の中に自然に音楽がある、という付き合い方をしているのですが、これが大事な部分なのかなと思っています。「音楽活動で食えるか食えないか」みたいな二項対立で考えちゃうと、生活の中に音楽があるという風にならないと思うんですよ。こういう活動の在り方がSoulflexなのかなと思うことがよくあります。

SIRUP:シンプルに好きな友達同士が集まって好きなことを続けて、音楽という趣味に加え、アーティストとしての刺激もお互いに与えられるって最高な状態ですし、なおかつ「俺ら全員これで売れようぜ!」みたいな感覚とはまた違うところで音楽をやっている人たちが集まってるので、揉めたりとかも全然ないですし。

Ma-Nu:結局Soulflexは、ナチュラルにつながっていったアーティストの集まりっていうのが一番しっくり来るのかもしれない。10年でSoulflexをとりまく状況や各々見えているもの、見ているものは変わったかもしれないけど、基本的な部分は何も変わっていなくて、やっぱり「集まり」なんですよね。

ーバンドやレーベルのようなファンや売り上げを増やすという目標に向かって活動するのではなく、純粋な「集まり」と言われると確かにコレクティブという言葉がしっくりきますね。

SIRUP:結果として応援してくれる人が増えていることはすごくありがたいですけど、仮にそれがゼロになったとしてもSoulflexは続いていきそう(笑)。ただ10年たって変わってきたこととしては、応援してくれる人が増えたから、その人たちをしっかり楽しませたいし自分たちも楽しみたいっていうベクトルには変化していると思います。

ー曲作りにおいても意見がぶつかるようなことはあまりないんですか。

SIRUP:ほとんどないですね。一度だけZentaroが「Soulflexでは二度と曲作らへん!」ってなったことはあったけど(笑)。それでみんなが「やばいぞ」ってなって作った曲が「Then」っていう曲です。

Mori Zentaro:その事件は2017年ですね(笑)。その後、話し合いをして僕が復帰して、2018年には毎月リリースっていう無謀な試みをスタートして。

ー音楽でまとまっていったと。

SIRUP:だいぶカッコよく言うとそうですね(笑)。

Mori Zentaro:実際にはいい意味で緩いつながりを続けられたことがよかったのかもしれません。僕が一時距離を置いた時期があったり、やりたくないときに無理してやらなくていいし、やりたいってなったら動けばいいっていうスタンスなので。

SIRUP:僕も今年はすごく忙しくて疲弊していた時期もあって、そんな時はペースをおとしてほしいというお願いもできるし、無理して合わせるようなフラストレーションがないのは大きいですね。

ー最後に今後の活動について、展望などがあれば教えてください。

Ma-Nu:Soulflexで活動していると、とにかくすごく感化されたり刺激をもらえることが多くて、こんな集まりはなかなかないと思っています。だから今後も純粋にSoulflexとしてライブや制作を続けていきたいですね。

SIRUP:僕はとにかくライブをいっぱいしたいです。ライブ映えするバンドですし、今回のEPの曲はライブだとさらによくなります。もっとフェスとかでもやりたいな。フェスのブッキングお待ちしています(笑)。

Mori Zentaro:Soulflexの活動には「このゴール地点を目指して活動する」みたいな感覚はないんですよ。僕の人生全体でも言えることなのかもしれないですが、継続していくことがゴールなのかなって思います。

生活の一部として音楽やカルチャーがあるってすごく豊かなことだと実感しているので、Soulflexとしての活動を通じて自然な形でそういうものを表現していきたいですね。

【リリース情報】

morevibrant

EP『More Vibrant』
2021.11.3 (Wed) Digital Release

収録曲:

  1. Celebrate
  2. Refill
  3. Chaotic Good
  4. Boom Boom
  5. State Of Mind
  6. Here To Stay

Download & Stream
https://big-up.style/tPr2AE1CsF

Sound Produced by Mori Zentaro
Written by Ma-Nu,SIRUP,ZIN
Drums by RaB
Bass by Funky
Guitar by Sota
Keyboards by Akiee
Sax, Synth by KenT
Mixed & Mastered by Nobuhiko Kuroshima
Artwork by 木村華子

【プロフィール】

Soulflex
※ Member (AtoZ)
・Akiee ( Keyboardist,Beat Maker)
・Funky (Bassist)
・hitch (Painter)
・KenT (Saxophonist,Instrumental Prayer)
・木村華子 (Photographer)
・Ma-Nu (Rapper,Beat Maker)
・RaB (Drummer)
・SIRUP (Singer-Songwriter)
・Sota (Guitarist)
・Mori Zentaro (Beat Maker,Composer)
・ZIN (Singer-Songwriter)

2010年、大阪にてそれぞれにアーティスト活動を行っていたメンバーたちがMori Zentaroの呼びかけにより集まり結成。
以降、アートとの結びつきやcrew内のコラボレーションを多く取り入れた「MILESTONE」など様々なイベントの企画や、ライブ活動、Soulflex名義での作品制作などを行う。

iTunes
https://music.apple.com/jp/artist/soulflex/503722722

Spotify
https://open.spotify.com/artist/4wzBvv8o6GlsTLTEkH4SsS?si=nVRblkaeQTi07NTOUepIvA

YouTube
https://youtube.com/channel/UCTrJNp0fGXFVrvDn2EmnRoA

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