難聴の人にも音楽を届けるー未来のサウンドシステムを導入した音楽フェス「ソーサウンドフェスティバル」

誰にも聴こえて、誰もが聴こえない!? 新しい音楽フェスの登場
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2018.06.25 01:54

誰にも聴こえて、誰もが聴こえない!? 新しい音楽フェスの登場


2017年10月21日、みなとみらいで「Sooo Sound Festival(ソーサウンドフェスティバル)」が催された。特殊なスピーカーとヘッドホンという新しいサウンドシステムを取り入れ、難聴の人にも聞こえる音と、同じ場所で同時に違う音楽を楽しむことの、両方の実現を目指した音楽フェスである。




誰もが聴こえるサウンドシステム「SONORITY」の導入


「誰もが”聴こえる”」音を実現するために用意されたのは、ユニバーサル・サウンドデザイン社が開発した「SONORITY」というラインアレイスピーカーだ。一般的な音楽フェスでは普通、より遠くに音が聴こえるような大音量を出すために出力の大きなスピーカーが用いられる。SONORITYはこのような「拡声」の方向だけではなく、音の「明瞭度」を高めることによって聴こえやすい音を実現したサウンドシステムとなっている。


難聴の人にとって、音量を大きくしてもいまいち音が聴こえにくいということがある。個人個人で聞きやすい音・聞きにくい音の周波数が異なるためだ。SONORITYは音源分割能力が高いため、様々な周波数が混ざりあった音も明瞭度を極限まで高めることができる。歪みが少なくクリアな音は、伝音性難聴・感音性難聴のどちらの人にも届きやすい。高齢者住宅や老舗旅館、図書館などでも導入例があり、老若男女すべての人に聴こえやすい場を作るのに役立っている。


今まで音の聴こえにくさから音楽フェスを楽しめなかった人でも、このサウンドシステムによってクリアな音楽を楽しめる可能性がある。また、難聴ではない人が聴いても驚くほど音に透明感が感じられる。音が聴こえる・聴こえないという壁を取り払い、誰もが一緒になって同じ音楽で盛り上がれるフェスを目指した。




誰もが聴こえない音「サイレントフェス」の同時展開


「誰もが”聴こえない”」音として、SONORITYと平行して導入されたのが「サイレントフェス」というサウンドシステムである。専用のワイヤレスヘッドホンを用いて、これをつけている人全員にリアルタイムで同じ音が聴こえるというものだ。スピーカーで会場を音でいっぱいにしなくても、みんなで同じ音楽を共有し盛り上がることができる。ヘッドホンをつけていない人からすると無音であるので、本来大音量を必要とするようなイベントも場所を選ばず開催することが可能だ。


このサウンドシステムを導入したことで、限られたスペースでもフェスのように音楽を楽しむことが可能となった。ヘッドホンを自由に着脱することによって、スピーカーから聴こえる音楽とヘッドホンから聴こえる音楽、2つの音楽に1つの場所で触れられる。




ソーサウンドフェスティバルの今後に期待が高まる


2017年の初回はクラウドファンディングが行われ、出店募集なども含め参加者全員で作り上げる音楽フェスとなり、参加費は無料で行われた。受付に手話対応可能なスタッフも配置されている。難聴の人にクリアな音楽を届ける機会の間口を広げ、たまたま通りがかった人でも気軽に立ち寄れる空間となった。当日は残念ながら雨天となり、スピーカーの位置の変更や野外での音の広がり・雑音の影響などで、遠く離れた難聴者の元までは音を届けられなかったとのことだ。しかし、実際に参加したろうの方によると、スピーカーの近くではクリアな音楽が聴こえたという。何より、聴こえる人も聴こえにくい人も、様々な人たちが垣根を超えて、同じ場所で同じ空間を共有するということは実現されていたのだ。


耳が聴こえにくくても、使う言葉が違っていても、音楽と踊りはコミュニケーションを生み、人と人とを繋いで新しい輪が広がる。現段階では課題も見られるが、今後の工夫とサウンドシステムの進化により聴こえなかった音が聴こえるようになる可能性、ろう者と聴者の壁を超えて音楽で繋がれる可能性を見ることができた。


ソーサウンドフェスティバルは2018年度も開催される予定とのこと。難聴の方もそうでない方も、少しでも興味がある人はぜひ参加してみてはどうだろうか。


photo: https://www.facebook.com/pg/socialfes/photos/?ref=page_internal


written by 編集部

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