スペインのバルセロナ発のフェス、Sónar(ソナー)フェスティバルが目指すもの

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新しいメディアを模索
Sónarフェスティバルは音楽やアートにおける、新しいメディアをテーマとした国際的な祭りで、毎年6月にスペインのバルセロナで開催されている。1994年に発足したこの祭りは、伝統的なコンテンツや限界を打ち破る先駆者的な存在となった。
エレクトロミュージックの最先端
Sónarフェスティバルでは、音楽における前衛的な遊び心を体験することが出来る。エレクトロミュージックの最先端や新興アーティスト達からのパルスに直に触れられるわけだ。タレントやアーティストは聴衆と一緒になってパフォーマンスを生み出し、その様子が各メディアを通じて世界に広まることになる。Sónarフェスティバルは全く異なる次元の経験でもあり、あらゆる感覚が刺激されるイベントになる。Sónarが目的としているのは技術革新であるが、技術と創造の関係を模索するものだ。この試みはこれまで世界の様々な領域に広がり、実証されてきた。その中にはレイキャビックやニューヨークをはじめ、トロントやロンドン、フランクフルトや東京が含まれている。その中でもソナーバルセロナの存在意義は大きく、晴れ渡った空の下で終わることを知らない祭りにピッタリの場所となっている。
SónarフェスティバルとEDMフェスの違い
昨今のEDMフェスの特徴としては、独創的にデザインされたステージがLEDスクリーンに覆われ、レーザーやスモークなどの演出が繰り広げられている。舞台上では火柱が上がり、客席に向かって放水されるのも珍しくない。
一方、Sónarフェスティバルはド派手な演出とは一線を画しており、一種の実験的な趣向が凝らされている。そしてパフォーマーだけでなく、受け取り側であるオーディエンスの感性も試されることになる。両者の思惑が一致したところに、新たな音楽やアートの誕生があると言える。これまでの奇抜なパフォーマンスの中には、予測不可能な変則ビートとレーザーをシンクロさせた、アトム・ハートらのプロジェクトなどがある。また、奇才として知られるスクエアプッシャーは、自作のソフトウェアのみで制作したライブパフォーマンスを披露している。自身が身につける特殊マスクとスーツに映像が映し出され、Sónarのコンセプトを地でいくショーケースとなった。
ヨーロッパ最高の音楽フェスティバル
Sónarフェスティバルは年々ラインナップが豪華になっており、観客の方もヨーロッパを中心に様々な国から訪れている。6月半ばのバルセロナは初夏の日差しに包まれており、広い人工芝が鮮やかに彩られている。観客は人工芝の上でサンダルを脱いで踊ったり、寝転んだりしながらSónarを満喫することになる。エレクトロニック系を中心にミュージックが流れ、ライブではDJによる可憐なパフォーマンスが繰り広げられる。一方、音楽やアートのテクニカルな面にもスポットが当てられており、様々な団体や企業の展示ブースが設置されるわけだ。その他、ワークショップやパネルディスカッションなど、音楽やアートのための様々なイベントが繰り広げられている。観客の割合としては、イギリスやフランス、そして北米などが多い。そして、参加する誰もがが「Sónarはヨーロッパ最高の音楽フェスティバル」と口を揃えるわけである。
フル参加すると19時間
Sónarフェスティバルは、太陽の下で行われるSónar Dayと半屋外のホールで行われるSónar Nightに分かれている。前者は12時から22時までで、後者は22時から翌朝の7時まで続く。フル参加すると19時間の長さになり、殆ど一日中踊ったり音楽を楽しんだりすることになる。会場はバルセロナ市中心部にあり、アクセスが便利なところも人気の理由になっている。かつてSónar Dayはバルセロナ現代美術館で開催されていたが、増え続ける観客に対応するためスペイン広場に移されたわけである。
Photo: https://www.facebook.com/SonarFestival/
Written by 編集部