SIA（シーア）が顔を隠す訳

2015年、第57回グラミー賞の授賞式では大きな白いウイッグで顔を隠し、パフォーマンスの際には後ろを向いてオーディエンスに背を向けたまま歌うという奇策を放った。あるインタビューでは、バナナで顔を隠した。そこまでしてSIAが顔をさらしたくないのは何故なのだろうか。

SIAは、何故は顔を隠すのか

「顔を公表しない」ポリシーのSIAが顔を隠す時のバリエーションはまだまだある。2013年、ビルボード誌の表紙を飾った際には、ロボット風の顔が線描きされた紙袋を被り、読者の度肝を抜いたのだ。また、あるイベントには、カラフルに顔をペイントして現れた。テレビ番組で、ベッドに横たわったまま歌ったこともある。何故SIAは、こんなにも頑なに顔を隠すのだろうか。

SIAは1975年、オーストラリアで生まれた。SIAの両親は２人とも同じバンドで活動したこともあるミュージシャンだったが、SIAが10歳の時に離婚。母親と暮らすことになり、父親とは学校が休みの時に会っていた。

SIAのキャリアは、ジャズバンドのボーカリストとして始まる。バンド解散後に渡ったイギリスでは、Zero 7のリードボーカルを担当。当時、ジャミロクワイと仕事もしている。イギリス時代の活動は、もっぱらジャズボーカリストとしてのスキルを生かしたシンガーとして、作品を残している。

2005年、舞台はニューヨークへと移る。そこからしばらくは、自らの歌手活動よりも、有名アーティストへの楽曲提供での活躍が有名だ。その相手はエミネム、ビヨンセ、リアーナなど、そうそうたる顔ぶれである。そんな世界が注目するビッグスターと仕事をし、彼らの日常を知れば知るほど、彼女にある思いが芽生えたのだ。「有名になって、まともな私生活を送れなくなるのは嫌」「ネットで見た目をアレコレ言われるのも嫌」と。

時は多少前後するが、SIAの才能を世間が認め始めた矢先、病が彼女をおかす。バセドウ病が彼女を表舞台から引きずり下ろしたのだ。SIA自身が言及したことはないが、この時の闘病生活と、治療の副作用で容姿が変わってしまったことも、顔を隠す原因だろうといわれている。溢れる才能があるのに日の当たる場所に立てず、言わば裏方としてスター達に楽曲を提供するしかない中、以前から苦しんでいたアルコール依存症と薬物依存症が悪化。SIAはどうしようもない暗闇の中に落ちて行ったのだった。

James Cordenの人気番組「Carpool Karaoke 」に出演した際のSIAは好感度が一気に上がった。

SIAが「Chandelier（シャンデリア）」に託した思い

そんな、心身ともに疲れ果てたどん底から這い上がって創ったのが「Chandelier」だ。SIAのハスキー掛かったパワフルな歌声が張り詰めた空気を切り裂き、そのドラマティックな世界感に、聴く者全てがしびれた。2017年9月から、クリスチャン・ディオールの香水のＣＭに使われた事でも有名である。

その詩の内容は重い。それまで楽曲提供して来たビッグスター達を天井で光り輝くシャンデリアに例え、そのシャンデリアにぶら下がるという表現もある。そしてサビの「1,2,3 drink」のリフレインは、アルコール依存の例えだと解釈されている。「Chandelier」のオフィシャル・ビデオの再生回数は、現時点でなんと18憶回。このMVに登場する、卓越した身体能力と表現力の少女ダンサーも話題をさらった。灰色の部屋の中で踊る少女が印象的な作品だ。

最近は、ちょっと顔もバレちゃってるけど

頑なに素顔を隠してきたSIAだが、近年ガードが甘くなっているのか、徐々に解禁していくつもりなのかは定かでないが、何度か顔バレする機会があったのだ。2016年6月、コロラド州で行われたフェスでは、風でウィッグが乱れて顔バレとなった。2017年3月には、ロサンゼルス空港で歩く姿が、普通にカメラにおさめられている。また、同年7月には女優のケイト・ハドソンとの待ち合わせに、カジュアルファッションで現れた様子が捉えられている。

SIAと土屋太鳳によるコラボ

SIAが2021年2月にリリースしたアルバム『Music』では女優の土屋太鳳とコラボして日本オリジナル・グッズが販売された。日本企画のグッズでのコラボということで、カタカナ表記の「シーア」、「ミュージック」とデザインし、その文字デザインを土屋太鳳の直筆で盛り込んでいる。グッズは、Tシャツ、パーカー、トートバッグとして展開された。

2人の関係は2016年にシーアの「Alive」日本版ミュージック・ビデオに出演しているということもあって、2回目のコラボとなる。この「Alive」で土屋太鳳が見せたダンスは日本女子体育大学で舞踊学を専攻しているだけあって、ファンを驚かせた。振付を担当した世界的ダンサー・辻本知彦氏は「シーアの音楽の世界に入った彼女の踊りを見て鳥肌が立つ。恐ろしいほどの変貌と表現力」と感心したほどだ。

フジロックで来日も

土屋太鳳とのコラボで日本でも知名度がさらに上がったSIAは、23回目を迎える野外ロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL’19』の出演アーティスト第1弾として出演が発表され、The Chemical Brothers（ケミカル・ブラザーズ）、The Cure（ザ・キュア）とともにヘッドライナーを務めた。

彼女のライブパフォーマンスはポップ感を残しつつエッジの効いた作品に仕上がることがファンの間でも人気で、次なる来日を待ちわびている日本のファンも多いことだろう。

source

https://www.oricon.co.jp/news/2067745/full/

https://www.oricon.co.jp/news/2129267/full/#:~:text=23%E5%9B%9E%E7%9B%AE%E3%82%92%E8%BF%8E%E3%81%88%E3%82%8B%E9%87%8E%E5%A4%96,%E6%9D%A5%E6%97%A5%E3%81%8C%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

Photo:https://www.facebook.com/SiaMusic/photos/

Written by 編集部