SCOPES Tokyo レポート ☆Taku Takahashi&YonYon対談、ミレニアルズアーティストを紐解く

11月22日(金)〜東京・表参道のSO-CAL LINK GALLERYを中心に12月7日(土)までの16日間開催された「SCOPES Tokyo」。☆Taku TakahashiとYonYonの対談をレポート
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2019.12.13 04:30

時代を牽引するパイオニアとポルシェの価値観が出会う場所としてグローバル展開するエキシビションイベント「SCOPES Tokyo」が日本で初開催された。表参道SO-CAL LINK GALLERYとWOMB、そしてオープンしたばかりの渋谷パルコ内SUPERDOMMUNEの3ヵ所で16日間にわたって行われ、12月1日(日)には☆TakuTakahashiとYonYonが登場。その模様をレポート。




既成概念に囚われない、新たな視点を。東京で初開催となった「SCOPES Tokyo」、☆Taku Takahashi、YonYonのトークショーレポート


ポルシェが展開するグローバルプロジェクト「SCOPES Tokyo」が東京で開催された。「SCOPES」が開催されるのはドイツ・ベルリン、オランダ・アムステルダムに続き、世界で3都市目。16日間、SO-CAL LINK GALLERYを舞台に(オープニング・クロージングパーティは渋谷WOMBで開催)新型EV Taycanのレーザーインスタレーションとともにさまざまなアーティストが登壇し、テーマに沿ったカンファレンス、トークショーを展開。トークショーの模様はDOMMUNEと連動し配信された。


12月1日(日)はm-flo、☆TakuTakahashiとYonYonが登場。MCのNaz Chrisとともに「Rise of Millennial artists」をテーマにトークショーを行った。


最大680馬力の怪物EV、Taycan Turboが鎮座


会場に入るとまずはポルシェの新型EV、Taycanのインスタレーションがお出迎え。暗闇に実車がどーん!  レーザーが四方八方から照射されその艶めかしいボディを映し出す。クルマ詳しくないけどその迫力に圧倒される。






展示されているTaycan Turboは、ポルシェの技術と革新が詰まった完全電動車。TeslaのモデルSに代表されるEV時代に、ポルシェが本気出して投入した初の量産EVスポーツカーである。僕のような素人だと、スポーツカー=2シーターってイメージしてしまうけど、4ドアでちゃんとシートも4つある。Turbo グレードは0km〜100kmの加速わずか3.2秒。680馬力を誇る。この数字、自分はもちろん、周りにポルシェオーナーもいないので正直良く分からない。なので友人が乗っているダイハツのコペン(軽スポーツカー)を調べてみたらコペンは64馬力。コペン10台分くらいのパワーがこの1台に凝縮されたているのか。電気のおばけだ。


デザインはかっこいいし、これで完全電気自動車っつーんだから笑っちゃうくらいイケてる。センターコンソールには10.9インチのディスプレイが埋め込まれ、「Hey,Porsche」っていうとボイスコントロールもできるらしい。未来からやってきたハイパーなスポーツEV、お値段約1120万円〜(9月発表時のユーロ換算)。



☆Takuさん、Taycanは買いですか?   


イイ音楽とイイラウンジのイイ関係


インスタレーションの奧にはラウンジが設けられ公開トークショーが連日行われた会場である。フレッシュなフルーツや野菜を使ったフレーバーウォーターのフリードリンクや、Qi充電器が埋め込まれているテーブルを完備。Wi-Fiも飛んでいるのでPC1枚あれば、デスクワークもサッとこなせる快適空間が広がる。別日に登壇した実業家、スニーカーコレクターとして名を馳せるKING -MASAのコレクション(Air MagとAir YeezyⅡが唐突に置いてあって、最初は「?」 って思ったけど、レアな実物見るとやっぱりアガる)や、海外で活躍する気鋭アーティストKenshinのキーヴィジュアルを展示。






快適なラウンジのBGMは日によって、豪華なDJ陣が担当。この日はLIMO、RiCO、MIHONO、MARMELO、has、TAARといった、さまざまなベニューの夜を盛り上げる面々が担当。MARMELO、hasはメロウかつハウシーな選曲で洗練された空間を演出。トークショー開幕直前のDJを担ったTAARは次第にエレクトロへ移行し、会場のテンションを少しづつ上げていた。


満席となった会場に☆TakuTakahashiとYonYonが登場。テーマは「Rise of Millennial artists」。block.fmの変遷やYonYonの今に至るまでを踏まえつつ、ミレニアル世代の音楽、アーティスト、文化を紐解く興味深い内容だった。


まずは☆TakuTakahashiがblock.fm開局以前、TJOやPOWDAとともにmyspaceで海賊ラジオを立ち上げたことを語った。






「自分らでやるわ」☆Taku Takahashiの動くワケ


☆Taku Takahashi:画期的なことをしようとした訳じゃなくて実は単純に当時、ラジオに行ってもそういう番組ができなかったんですよ。エレクトロミュージックがめちゃくちゃ世界的な流行になっていて。DJだけじゃなくてバンドも一緒に曲を作ったりして、Soulwax(ソウルワックス)だったりとかね。これEDMって言葉が生まれる前の話ですね。色んなアーティスト達が世界で面白いものを作っている。だけど日本で紹介されない。日本でもそういった活動をする素晴らしいやクリエイター達がいるのに彼らが紹介される場所がない。だから局に色々とプレゼンをした際、その時はブライアン(Bryan Burton-Lewis)も同じようなこと考えて、やっぱりラジオ曲に話してキー局に話に行ってチャレンジしたんだけど、「スポンサーをゲットできない内容だから無理だよ」みたいな。

だったらもう「自分らでやるわ」って言って、最初僕とPOWDA(パウダ)っていうアーティストとmyspaceで海賊版ラジオとして始まったんですよ。DOMMUNEができるちょっと前ぐらいかな。でも僕ら、元々アーティストで、ラジオなんか作ったことないからもう手探りで作っていって。あえて僕は名前も出さずにやっていたんですよ。今はYENTOWNとしても活躍するサウンドプロデューサーで当時THE LOWBROWSをやってたChaki Zulu(チャキ・ズールー)さんの家の近くまで行って、車の中でインタビューしたとか。だけど、やっぱり自分らだけだと広がらないなっていうのを感じて、色んな人達の力をお借りしながら、だんだん色んな人達が参加してくれるようになりました。それでblock.fmの原型がかたちづくられていきました。


将来性を感じるアーティストがいるのにピックアップされない現状に業を煮やした☆Taku TakahashiはD.I.Y.で、隠れた才能にスポットを当てる場を作った。というエピソードを皮切りに、話題はミレニアル世代がどこで新しい音楽やアーティストに出会い、遊んでいるのかを三者が探り始める。


ミレニアルアーティストのひとりであるYonYonはインターネットを通じてのオンラインでの情報収集とオフラインのアナログな情報、その両方の視点が大切だと語り、やはり現場へ足を向けることは大切であることを話した。





変わっていくクラブイベントの雰囲気、その現状


ライヴアクトが出るイベントが集客しているという話ではクラブイベントやジャンルの概念の変化をそれぞれ感じ取っていた。


YonYon:トップ40に限らず、国内外問わずヒップホップアーティストがライヴアクトとして出演するイベントは、若い世代を多く集客していると思います。数日前、SOUND MUSEUM VISIONの「trackmaker」っていうイベントに出たんですけどラインナップの半分以上、ヒップホップの若手アーティストが出演していて。超パンパンだったんです。客層も20代前半で凄く若くて。今まで見てきた客層とまた違う新しい世代のお客さんが来てるイメージですね。


☆Taku:昔だったらヒップホップのイベントはヒップホップのイベント。ハウスのイベントはハウスのイベントで、ジャンルによって完全に分けられてたじゃないですか。今その辺が複合的になってきて、アーティストたちがジャンルとか気にせずに一緒にコラボレーションして曲作ってたりしてる。今の時代の面白さだなって感じますね。


YonYon:私はもともとダンスミュージック、クラブミュージックな楽曲主体でDJをしていたんですけど。最近では日本語ラップとかJ-POP、K-POPをミックスの中に取り入れています。というのも、国内のアーティストがベースとする音楽が、いわゆるポップスのメロディや音から、だんだんクラブミュージック寄りになってきてる気がするんですよね。だからすごいミックスしやすい。ミックスしても違和感がない。クラブミュージックとポップスの境界線がなくなってきてるのかな?って思います。


2020年、オリンピックイヤーも重なり、クラブ以外の場所でDJする機会も増えていくであろう時勢の中で、全方位的にさまざまなジャンルに対応できるDJのニーズは今後もっと増えていくのでは、という自身の体験を踏まえた見解を示した。


ジャンルを横断し、違和感なくミックスして音楽の楽しさを提案する。まさにラジオプログラムのようだとNaz Chrisの発言に、YonYonはうなづく。block.fmのファウンダーである☆Taku Takahashi、Inter FMで「Tokyo Scene」のナビゲーターであるYonYon。MCのNaz ChrisはJ-WAVEで番組をやっている。3人の共通項はラジオ。このラジオというアーティストとリスナーの真ん中に位置する媒体の重要性はますます高まっていきそうだ。




“真ん中の音楽”をもう一度


☆Taku Takahashiはm-floとしてデビューしたタイミングはすごくラッキーだったと振り返る。それは、ちょうどオーバーグラウンドとアンダーグラウンドの中間に位置する“真ん中の音楽”があったからm-floはデビューできたと回顧した。


☆Taku Takahashi:今よりも“真ん中”がありえたんですよねえ。一応、m-floは僕の中ではポップスにカテゴライズしてもらえたら嬉しいなって。自分らがやりたいものをやってて好きだって言われるって意味のポップス。どポップな曲とばやっぱ違ってちょっとひねくれてるじゃないですか。かといってアングラでダークでもないし、オーソドックスなポップスでもない。その“真ん中”っていうのがm-floだったんですね。その“真ん中の音楽”っていうのができる時代の終盤だったと思うんですよね。


(中略)


birdを大沢伸一さんがMONDO GROSSOでプロデュースしてね。サウダージなラテンのリズムを取り入れた四つ打ちのハウス曲が航空会社のキャンペーンソングになってたりとか。ヒップホップアーティストたちもどんどんポップスチャートに入って。そこから2000~2005年くらいの間に、これ個人の感想ですって注釈つけてくださいね(笑)めちゃくちゃつまんないなって。日本がどんどん保守的になっていっちゃったって。※個人の感想です。



Naz:☆Takuさんがさっきおっしゃられた、“真ん中の音楽”。売れ線のポップスでもなく、アンダーグラウンドでもない、ちょうど“真ん中の音楽”が隆盛していてハウスミュージックのイベントに人々がユナイトするみたいな、クラブも凄く盛り上がってましたよね。2000年を起点としてちょっとずつ廃れていくというか、元気をなくしていった原因って何なんだったんですかね? 


☆Taku:やっぱりみんなが守りに入っちゃったからだと思います。作品というよりも、ビジネス的なことですよね。不況も影響してると思うんです。テレビ番組とか深夜番組とかだってやっぱりバブル期の方が面白い番組も多かったです。何だかんだあのお金って大事で。その実験する心の余裕がないと、手堅くいきましょうってなる。そうなると同じようなものしか生まれないですよね。そんななかでもイノベーションを作っている人ももちろんいるんですけど、結局同じような恋愛ソング、青春応援ソングになっちゃう。実はそれは自分らの首絞めてるっていうのを気付かず、ずっとやり続けていって難しくなっちゃったんじゃないのかなって。


Naz:そういった状況でも、進化して変化しながらブレないm-floの音楽を作っている☆Takuさんがモチベーションにしていたことはありますか? 


☆Taku:常にアンチテーゼを出していたいなと思っていました。それはオーバーグラウンドに対しても、アンダーグラウンドに対しても。


☆Taku Takahashiはそういった自身の経験を踏まえ、まさに今、“真ん中の音楽”はミレニアルズアーティストによって面白くなってきたとYonYonを含め、YonYonと共演したSIRUP(シラップ)、eill(エイル)などのアーティストの名前を挙げて期待を寄せた。また、常にアンチテーゼを示しつづけてきた☆Takuの発言を受け、キャンセルカルチャーを背景に今アーティストが声をあげづらい状況にあるとNazが切り込むとYonYonが回答した。


YonYon:わたしは、ツイッターで結構、自分の考えを発言している方だと思うんですよね。


☆Taku:たしかにねえ(笑)


YonYon:例えば、社会への不満や政治批判的な発言をすると、やっぱり怒る人いますね。「そういうことを言うんだったら国に帰りなよ」とかすごいひどいことを言う人もいて。匿名だからこそだと思うんですけど。ヘイトな方もいらっしゃるんですけどでも自分としてはあくまでネット上の仮想世界の話であって、存在してないものと思ってるんです。自分の信念は貫きつつ、自分にとって現実で関わる近い人たちを大事にしていけたら。


(中略)


お互いに声を上げて対話していかないと成立しないと思うんですよね。一歩踏み出さない限り何も変わらないと思うし。今日ここに、☆Takuさんがわたしの隣にいるみたいな状況もすごくありがたい話なんですけれども。その知名度大小関係なく発言する自由は、ここにいる皆さんにもあるんです。アーティストじゃなかったとしても、ひとりひとりにその権利がある訳だから。自分の好きなもの、文化とカルチャーとか音楽とかを守っていきたいっていう気持ちがあるならば、傍観するだけでなく、まずは身近なところから勇気を持って発言をするのが大切だと思います。


自身のバックボーンと経験を踏まえた上で、会場のひとりひとりに寄りそうように、声を挙げること、自分の意思や考えを伝えることは大切なこととYonYonは説いた。




書を持って街に出る。渋谷系2020ルネサンス


☆Taku TakahashiとYonYonはともに、2020年の渋谷が重要なポイントになるのではと予測する。


YonYon:さっきわたし、渋谷パルコに遊びに行ってきたんですけれども。渋谷区の歴史的なところもリニューアルしたパルコがフォローしていて。渋谷が何で音楽の街になったかって皆さんご存知ですか? 1964年の東京オリンピックをきっかけに渋谷区開発が進んだことが大きな要因らしいんですよ。もともと全部、川だったそうです。当時の若者の遊び場は新宿だったらしいんですけど。渋谷に若者の場を作ろうっていう計画が行なわれて。センター街とか宮益坂とか原宿のキャットストリートとか、全部川が流れていて何もなかったところを、土で埋めて施設を作って渋谷パルコもその開発でオープンしたんですね。今年、パルコのリニューアルオープンでそのムーブメントがこのまた来たなって思って。渋谷は今、2027年の完成を目指して再開発を進めてるそうです。そういったなかでこの第二のムーブメントを、渋谷文化が築かれたスタート地点にもう一回立てるっていうには大事にしていく必要がありますよね。


☆Taku:場所的なムーブメントの発信地でもあるし、僕が大学生の頃とかって“渋谷系”と言われている音楽がありまして。さっきのMONDO GROSSOだったりとか。かつての渋谷系っていうのは絶対無視できない存在ですよね? ざっくり言うともともとアンダーグラウンドだったけど、メジャーに行った人達の総称です。そして現在、渋谷を拠点に活動しているクリエイター、アーティスト、シンガー、ラッパーたちはと僕の中でちょうど今ルネサンス前なのかな?って思ってるんです。またかつての“渋谷系”みたいなムーブメントが起こるんじゃないかな?っていうのを予測するとともに期待をしています。


そしてYonYonは下の世代がオンライン、特にSound Cloudのリリースからファンベースを形成し、リアルなイベント出演時にその強みを活かしているのを目撃したエピソードを語り、Sound Cloudは今後もミレニアルズアーティストにとっては重要なプラットフォームとして機能するだろうという見解を示した。


一方で、オンラインだけでなくオフラインの実体験の重要性もYonYonは指摘した。特に、海外へ積極的に足を運んでみることは、新しい視点を得られるし活動の幅、創作の懐を広げることになると促す。


YonYon:やっぱり現場に行って、出会ったりっていうところでは、オンライン上の体験に比べて貴重ですよね。アナログな2度とないオンリーワン感がある。オンラインとオフライン、デジタルとアナログ、その両方が大事かなって思うんですよ。ネット上でのお友達ももちろんいますから、そういう界隈も大事にしつつ、やっぱ自分がパフォーマンスするところはオフラインの会場だから。目の前の人も大切にしつつ自分に合わせて、オンライン/オフラインを切り替えて利用する。


☆Taku:ちなみにblock.fmのスローガンは「ON/OFF LINE IS OUR PLAYGROUND」って掲げているんです。


YonYon:オンラインの世界が発達してるからこそ、オフラインとかアナログがこれからもっと重要になるのかなと思います。逆に海外のアーティストと繋がることができたりとか、海外に行くことも簡単にできる時代だからいかにオンラインをうまく使っていくかという時代でもあるのかなって。情報が発達してる時代だからこそ、例えば距離が離れてるアーティストとの交流は絶対的に英語での会話になると思う。


Naz:どんどん外に出ていくべきだと思うんですよね。視点を変えるっていう点でまさに“チェンジングパースペクティブ”な体験ができるというか。何かを変えていく新しいものを発見していくっていうことで言うとやっぱりどんどんみんな外に出ようよっていうメッセージはありますよね。


☆Taku:うんホントそう思うね。みんなスマホいじってないで旅行しようよっていうか、スマホを持ちながら旅行する時代だからね。


かつて、詩人・劇作家の寺山修司は「書を捨てよ街へ出よう」という評論集を出版。のちに演劇、映画化された作品であるが、この作品には退屈な日常を捨てて、刺激的な体験をしようぜ! という寺山修司のメッセージが含まれた私小説でもある。(刺激的というかもはや過激で無茶苦茶なんだけどそれが痛快)。ミレニアル世代にとっての“書”=スマホでオンラインという情報の海につながりつつ、アナログなオフラインの実体験を積み重ねていくハイブリッドなライフスタイルこそ、独自のクリエイティヴを創出する鍵となるかもしれない。


このトークショーの内容は、下記リンクblock.fmのアーカイブからその全容を聴くことができる。




▶SCOPES Tokyo [Rise of Millennial artists]

https://block.fm/radios/796



written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo by SCOPES Tokyo






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