来日決定! あのFlying LotusとBrainfeederに認められた若手プロデューサー、Ross From Friendsにインタビュー

Brainfeederデビューアルバムの上に、デビューEPからのトラック「John Cage」や「Don’t Wake Dad」のタイトルの謎な裏話、音楽と普段の生活のバランスの取り方、Ross From Friends意外の音楽プロジェクトについて語ってくれた。
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2018.07.27 02:50

English translations here.


最近の海外音楽トレンドをキャッチアップできている人であれば、Ross From FriendsことFelix Weatherallがリリースした中毒性のあるハウスEP「You'll Understand」を聞いたことがあるはずだ。


イギリス人のトラックメイカーRoss From Friendsは今年の4月に、Flying Lotus(フライング・ロータス)のレーベル「Brainfeeder」からは初となるEP「Aphelion EP」をリリースして音楽業界を驚かせた。



実は、このEPがFlying Lotusの目を引く作品だった。 



このEPの後に、8月の「ソニックマニア2018」での来日が決定し、立て続けに1st アルバムとなる『Family Portrait』のリリースを発表、「Project Cybersyn」が先行配信曲としてリリースされた。


そんな中、フランスやベルギーなどヨーロッパの音楽フェスを回る多忙なツアー中のRoss From Friendsがblock.fmとの電話インタビューに答えてくれた。Brainfeederからのデビューアルバム、「John Cage」や「Don’t Wake Dad」など謎多きトラックタイトルの裏話、意外なサイドプロジェクトなどについて語ってくれた。



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▷Brainfeederとはどのように契約まで進んだのでしょうか? 自分でレーベルに売り込みに行ったのでしょうか? 


Ross From Friends(以下RFF):実はFly-Lo(Flying Lotus)が僕に声を掛けて来たんだ。ツイッターでフォローして来て、DMで僕の音楽が好きと言ってくれて、Brainfeederから楽曲をリリースしたいかと聞いて来たんだ。


▷アルバムを作るに当たって、何かガイドラインのようなものは与えられましたか? 


RFF:Brainfeederからは、自由にやってくれと言われた。それってガイドラインじゃないね(笑)。自分の好きな音楽を作って、レーベルに送っていたら、全ての曲に関して「これ、いいね」とフィードバックが返ってきたから、「何か指示はないんですか? 」ってFlying Lotusに聴いたら「俺はアーティストのお前の実力を信じるだけだ。好きなものを作ってくれ」と言われたんだ。それをきっかけに僕自身が良いと思った音楽を作れるように自信が付いた。その一言がすごく嬉しかったね。


▷Brainfeederに所属するアーティストの楽曲を初めて聴いた時はどう思いましたか? 実際レーベルに入った印象は如何ですか? 


RFF:Brainfeederの中ではFlying Lotusの音楽をよく聴いていた。言うまでもないけど、彼は素晴らしい。とてつもないほどインスピレーションが湧くよ。Flying Lotusから声が掛かった時は正直びっくりした。僕が作る音楽はレーベル自体のテイストとは違うから。でも声がかかった瞬間、運命を感じたよ。


Brainfeederを通じてリリースされるプロデューサーは技術的に素晴らしいものが多いよね。とても挑戦的な作品を作るのも上手い。レーベルの一員になって、もっと破壊的な音を作れるようになったと思う。


親にインスパイアされた「Pale Blue Dot」MV

▷デビューアルバムに収録された楽曲が家族との関係を反映していると仰っていましたが、どういう意味ですか?


RFF:実は両親は別居中なんだ。でも、僕は両親と非常に良い関係だけどね。僕の音楽人生だけじゃなく、人生で彼らのことを考えないことは無い。特に父親はダンスミュージックを作るきっかけをくれた人だから。今回のアルバムで両親の事を大々的に取り上げた訳じゃ無いんだけど、彼らの影響が見え隠れするアルバムには仕上がっていると思う。


▷子供時代から音楽を作りたいと思っていましたか? 


RFF:子供の頃は変なエレクトロニックミュージックを聴いて遊んでいたけど、自分で作ろうとは思わなかった。父親が僕の声をサンプリングして音楽を作っていたんだ。それに影響されてエレクトロニックなサウンドを攻めるようになったね。自分で音楽制作を始めたきっかけは、14歳の時に始めたギター。まずは自分の弾くギターを録音して、それをサンプリングしてエレクトロニックなトラックを作っていたんだ。


▷お父さんが音楽を作っていた事によるプレッシャーから自分も曲作りを始めたのですか? それとも、自分でやりたいと思って始めたのですか? 


RFF:プレッシャーは全く無かったね。親は僕が幸せであれば彼らも幸せだと言ってくれた。父親がコンピューターオタクだったから僕にも一台買ってくれて、それを使って「LimeWire(ライムワイヤー)」という音楽ファイルをシェアできる違法ソフトをダウンロードして、そこから色々な音楽を聴いていた。


▷LimeWire懐かしいですね。


RFF:「LimeWire」は自分の音楽家としてのアイデンティティを見つけるのに大きな役割を果たしてくれたんだよ。



『Aphelion EP』/ 『Family Portrait』


▷Brainfeederからのデビュー作『Aphelion EP』に収録された楽曲が変わったタイトルになっているのですが… 何か意味があるのですか? 


RFF:ぜんぜん!(笑)深い意味なんて何も無いよ。もともと「John Cage(ジョーン・ケージ)」という曲は、ただ友達と作ったヒップホップのトラックで、ラップの1バースにケージの名前が使われていたから「これでいいや」と感じで付けた名前なんだ。面白いのは、「ジョン・ケージからインスピレーションを受けたのですね!」とよく言われるんだけど、全くそういう訳じゃないんだ


▷「Don't Wake Dad」はどう言った意味ですか? 


RFF:それは全くの別物だね。子供の頃にテレビのCMで良く見たボードゲームの名前を取って付けたんだ。


▷良く遊んでいたのですか? 


RFF:いや、遊んだ事は一度も無いね(笑)。


▷何故それをタイトルにしたのですか??


RFF:バンド仲間と友達の家に泊まりに行った時に、友達のお父さんが寝ていて、遊びでコマーシャルのように「Don't Wake Dad」と囁いていたんだ。それが何となく曲の名前になったって感じ。実はその曲は命名される前からライブでは歌っていたけど、思ったよりぴったりなタイトルだった。


▷バンドに関する話になるのですが、ライブショーとソロショーの心境の違いといったものはありますか? 


RFF:ライブショーはアルバムに収録されている曲を演奏する事が多いね。でもそのまま演奏しても面白くないからループとかサンプルを持ってきて即興演奏をやってる。その即興が音楽として成り立っているから、サックスを加えたり新しいサウンドに作り変えて遊んだりもする。


▷曲を作る時、大体のサウンドを想像してから作り始めるのですか? 


RFF:いや、作曲に関しては何も決めずに始めるよ。もちろん、最初にBPMを決めなければいけないし、大体のジャンルは決まってしまうけど、それ以外は遊び感覚でやってる。似たサウンドの曲を作る癖があるから、次のアルバムからはちゃんと構想を練ってから制作したいね。


▷よりチャレンジングな作品ですか? 


RFF:そうそう。




▷初めて完成したアルバムを聴いてどう思いましたか? 


RFF:達成感というより、線香花火が燃え尽きた時のような「終了感」。何か一つの物事が終わってしまった感じがした。アルバムが完成して嬉しかったけど、作るために消費したエネルギーが全てドッと流れてきた感じがしたかな(笑)。


▷プレッシャーを感じていたのですか? 


RFF:少しはね。誰かの為に音楽を作るとなると、少なからずプレッシャーを感じてしまうね。出来るだけ感じないようにしているんだ。何せ、プレッシャーを感じてしまうと音楽が書けなくなってしまうから。


▷プレッシャーやストレスを感じた時の解消法はありますか?  


RFF:劣悪な食生活のせいで、とてつもなく疲れた時期があったんだ。でも生活環境を改善して、十分な睡眠と運動をするようにした。実は大学の卒業論文でダンスミュージックが人間の精神状態にもたらす影響について書いたんだ。自分で書いていて怖くなった。けど、色々考えさせられた。


▷音楽業界は精神的にきつい業界にも関わらず、日本ではそういった事を認めたくないという現実があるように感じるんですが、それについてはどう思いますか。


RFF:そうだな。今、日本が大変な事になっている事は聞いている。もっとストレスやプレッシャーといった話題を取り上げるべきだと思うし、普通に話せるようになって欲しいと思う。メンタルヘルスはまだスティグマのあるトピックだ。だけど、ヨーロッパでは色々と取り上げられているようになってきたので、日本でもそうなって欲しいね。実際みんなに影響あるものだし。




▷エイプリルフールに「MIXMAG」であなたがテレビ番組「FRIENDS」(昔のアメリカの人気デレビ番組)で「Ross」役を演じたデイビッド・シュウィマーから名誉毀損で訴えられたという記事を書かれていましたが、周りの人からはどういったリアクションを受けましたか? 


RFF:何も知らされていなかった僕は本当に訴えられるのかと思った。自分のイタズラに引っかかっちゃった感じだね(笑)。ちょうど弁護士から訴えられる可能性は無きにしも非ずという事を言われていたからね。


▷実際に訴えられたらどうするするかプランはありますか? 


RFF:んー。。名前を変えるくらいしか出来ないよね。。。


▷何に変えるのか考えたことはありますか?  


RFF:訴えられないと思って、何も考えてないんだよね。でもどうにかして名前をキープしたいね。


▷もし何かが起こった場合、バックアップがあった方がいいかもですね。


RFF:まあ、サイドプロジェクト用にとってある名前はあるけどね。


▷気になります!


RFF:実はMacの中に「サイドプロジェクト・訴えられた時用」というフォルダーがあるんだ(笑)。その中に色々な名前が入っているんだけど、一つは「Good Cop, Bad Cop」(良き警察官、悪き警察官)、もう一つはサイケデリックロックバンド用にとっておいてある「Purple Cream」(紫色のクリーム)だね。


▷未公開の「Purple Cream」の楽曲は聴いてみたいですね。


RFF:たくさんあるよ。R&B系のプロジェクトもやりたくて、それは「Jambalaya」(ジャンバラヤ)という名前でリリースしたいと思っている。イタリア系アメリカ人ギャングスタの格好をしてやろうと思っている。


サイドプロジェクトがいっぱいあって、「Ross From Friends」としてリリースするべきだと言われたんだけど、サイドプロジェクトとしてやっていきたいからそうはしないんだ。シンガーソングライター的な雰囲気でやっているプロジェクトもあるんだけど、それはコミック漫画のセリフをそのまま歌詞にするというやつ。もう一つは、明かしていない謎のプロジェクト。


▷歌を歌うのは好きですか? 


RFF:大好きだよ。もっと自分の楽曲に取り入れたいと思っているんだけど、歌詞にあまり重点を置きたく無いんだ。適当な歌詞をいっぱい書いているという段階だね。


▷もしサイドプロジェクト実現したとしたら、アーティストネームを教えて頂けたので、誰よりも早くあなたのプロジェクトだとわかりますね。非常に光栄です。


RFF:そうだね。「Purple Cream」が急に出てきたらすぐ僕だって分かるね(笑)!


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Ross From Friendsのデビューアルバム『Family Portrait』は、2018年7月27日にBrainfeederからリリース。


【来日情報】


‘Brainfeeder Night In SONICMANIA’

Date: 2018.08.17 (Fri.)

Venue: Makuhari Messe

Info: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9345


▶︎Ross From Friends

Facebook: https://www.facebook.com/RossFromFriendsMusic/

Instagram: https://www.instagram.com/rossfromfrens/

Twitter: https://twitter.com/russfrumfrunds/


▶︎『Family Portrait』

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9714


all photos: Ross From Friends


written by Amy  

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