緯度と経度を頼りに訪れる秘密のパーティ、Red Bull Music Festival Tokyo 2019「Methods and Modulations」レポート

都内某所で行われた秘密のパーティが表現した”ウェアハウスパーティ”という世界観に酔いしれた一夜の様子とは?
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2019.04.18 04:00

4月13日(土)に現在、開催中の都市型音楽フェスティバル「Red Bull Music Festival Tokyo 2019」のイベント、「Methods and Modulations - A Warehouse Party」が開催された。




緯度と経度を頼りに都内某所へ足を運ぶ秘密のパーティー


同イベントはかねてから告知されていたとおり、都内の某所にて行われた秘密のパーティだ。参加者は事前に公表された緯度と経度「35°37'16.0"N 139°44'55.1”E」を頼りに会場を訪れるという趣向が凝らされており、それは映画やドラマで観た、憧れの”レイヴ時代のウェアハウスパーティ”を彷彿とさせた。


当日はその情報をスマホの地図アプリに入力し示された倉庫へと向かったところ、会場入り口にはガスマスクを被った特殊工作員のようなイベントスタッフの姿が。なんだか物々しい雰囲気だなと思うものの、イベントへの期待を高めるナイスな演出で主催するRed Bullのこのイベントに対するこだわりを感じた部分だ。


受付をすませ、荷物の運搬用と思われる業務用エレベーターに乗り会場へ。そこには暗闇が広がっており、最低限の照明だけがステージを照らしていた。その没入感を高めるための演出と大規模なライブ&コンサートでも採用されているサウンドシステム"JBL VTXシリーズ”から鳴る音の相性は抜群。触れ込み通り、まさに濃密で力強い低音が満ちていた。



photo: ©︎Keisuke Kato/Red Bull Content Pool




Machina、Mars89ら注目の国内アーティストがウェアハウスパーティを盛り上げる


ステージを盛り上げたのはMachina、Machine Woman、Mari Sakurai、Mars89、Mayurashikaの5人の出演者たちだ。特に、元K-POPアイドルという異色の経歴を持ち、イベント前にショートドキュメンタリーが公開になった注目のアーティストMachinaは、現在クラブミュージック業界でも注目されるモジュラーシンセを採用したライヴセットを披露。繊細で耳に残る歌声と混沌を想起させるインダストリアルでマシーンライクな音の組み合わせは、特に今回のようなシンプルなヴェニューによく映え、会場の雰囲気と相まって来場者の心を捉えていた。



photo: ©︎Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool


DJではMars89のプレイが印象に残った。現在、国内外のコアなクラバーを魅了する彼は、今回体調不良によりキャンセルとなったMARIE DAVIDSONに代わり急遽出演が決定。”ダークでヘヴィー、中毒性のある硬質なベースサウンド”と称されていた音楽性は当日も遺憾なく発揮されていたが、そのテイストだけに止まらずしっかりと我々の身体を動かすフィジカルなダンスミュージックとしても機能していた。



photo: ©︎Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool




エクスペリメンタル・テクノからレイヴな曲まで巧みに操ってみせたMachine Woman


そして、今回のイベントでは唯一海外からの出演者となったMachine WomanのDJセットはこの夜、最もこの秘密めいたヴェニューにマッチしたものだった。彼女の音楽性の特徴は実験的なアプローチから作られるドープなサウンドだ。この日もエクスペリメンタル・テクノを中心にフロアを盛り上げる姿が目に焼き付いている。また、ただミニマルなハメ系の曲だけでなく、盛り上がりの波を的確に捉えてレイヴィーな曲も投下するなど、バランスよく音の起爆剤をフロアに落とし込んでいたプレイが印象的だった。



photo: ©︎Suguru Saito/Red Bull Content Pool




いつか憧れた”ウェアハウスパーティー”がそこにはあった


ソリッドな音を中心にディープな世界観が展開された「Methods and Modulations - A Warehouse Party」。個人的にはオリジナルレイヴよりも2000年に公開された伝説的レイヴ映画「Groove」を観て覚えた、ウェアハウスパーティーへの憧憬を再び呼び起こしてくれるようなイベントだったと感じている。


近年はクラブミュージックのステージ表現も多様化しており、有名アーティストの中にはDJセットであってもオーディオヴィジュアルライヴセットを披露し、ただの音楽表現に止まらないパフォーマンスを行うことも少なくない。しかし、今回のようなウエアハウスパーティーでは、過度な演出がなくともそこに良い音楽があればクラブミュージックの現場は成立する。そのことが改めて来場者には伝わったのではないだろうか? またいつか、こういったアンダーグラウンドなクラブミュージックの魅力を現代に伝えるイベントが開催されることに期待したい。


written by Jun Fukunaga


photo: ©︎Yusuke Kashiwazaki_Red Bull Content Pool



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