スペインのバルセロナで行われている有名音楽フェス「Primavera Sound」が、今月、ソーシャルディスタンスを確保することなく安全に音楽イベントを楽しむための試験イベントを行い、その成功を発表した。
12月12日(土)にバルセロナのベニュー、Sala Apoloで行われた試験イベント「PRIMACOV」は、バルセロナのGermans Trias病院とFight AIDS and Infectious Diseases Foundationsと共催されたもの。地元のDJが出演したイベントには、収容人数1608人のところ、1042人が参加した。
*2021/01/22 追記: 1042人が参加としたが厳密には1042人が招待され、959人が検査を受けたことが明らかになった。
「PRIMACOV」では、参加者が入場する前に以前、イギリスのイベント制作会社であるSwallow Eventsが開発したものと同じものと思われる15分足らずでウイルスに感染しているかどうかを感度96.52%、特異度99.68%の的中精度で判定することができる検査キットを導入。「PRIMACOV」の運営チームはこの実験により、イベントが安全に開催できたという声明を出している。
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以前、Swallow Eventsが同検査キットを開発した際には、イベント会場に訪れた参加者を対象に検査を実施するだけでなく、必要な供給品を世界中に発送する検査キット供給のみのオプションも提供していることを発表。同社の創設者は、「検査サービスは、追跡データ収集や温度チェックなどほかの感染対策サービスと併用することでより高い感染対策効果が期待できるため、大規模なフェスティバル、コンサートからビジネスカンファレンス、トレードショーなどあらゆる分野のイベント主催者にとっては安全性確保のために導入を検討する価値がある」と述べていた。
しかし、新型コロナの感染状況は日々変化しており、今月はイギリスやアフリカで変異種による感染が拡大していることや日本でも変異種の感染者が発見されたことも報じられたばかりだ。ただ、こういった検査キットを利用することで安全性を担保したイベント開催は、今後、イベントの主催者に求められることでもあるだろう。
今年はコロナ禍の影響で世界中で多くの音楽フェスなど大型イベントが開催の中止、もしくは延期を余儀なくされた。来年はこういった検査キットが導入されることで音楽フェス開催の追い風になると良いが…。まずは、今後、試験イベントの規模が拡大されることとその場合でも試験イベントが成功することに期待したい。
written by Jun Fukunaga
source:
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20201227-00214749/
photo: Jwslubbock