ホイットニー・ヒューストンの記録に並ぶ快挙! Post Maloneの成功に見るHIP HOPの多様性

Post Malone(ポスト・マローン)のデビューアルバム『Stony』がHip Hop/R&Bチャートに64週チャートインの偉業を達成した。
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2018.05.02 03:30

まさに「Congratulations」。2010年代のロックスターPost Malone(ポスト・マローン)が快挙を成し遂げた。ビルボードHip Hop/R&Bチャートでデビューアルバム『Stony』が64週間にわたりTop10圏内にランクイン(4月28日付け)。この記録はThe Black Eyed Peas(ザ・ブラック・アイド・ピーズ)の『The E.N.D.』の63週を越え、1985年リリースのWhitney Houstonのデビューアルバム『Whitney Houston(邦題:そよ風の贈りもの)』と並ぶ。





4月27日にはニューアルバム『Beerbongs & Bentleys』をリリース。『Stony』とのダブルチャートイン濃厚


Post Maloneの「White Iverson」がネット上でバイラルしていた2015年。「White Iverson」なのに名前は本名とNBA選手Karl Malone(カール・マローン)をもじったPost Malone。表記を見ただけでも異様なインパクトだったが、容姿を見てさらに驚いた。アホ毛の飛び出たコーンローヘアーにグリルズをハメ、スローバックジャージーを身に付けている。バックボーンを調べてみるとメタルを経てカントリーも歌える白人のラッパーだという。


Post Maloneはいろいろな要素を組み合わせて産まれたようなカルチャーのオバケである。フタをあけてみればシングルチャートで初登場1位を獲得するようなEminem(エミネム)以来のモンスターだったわけだが。




NYの友人がPost Maloneを教えてくれたときにこんなことを言っていた。「Maloneはまだアルバムを発表しちゃいないが、リリースされたらきっとヤバイことになるぜ」その予言は的中し、デビューアルバム『Stony』は2012年に逝去した偉大なアメリカ人歌手の記録に並んだのだ。




ビルボードHip Hop/R&B 連続Top10入りランキングの1位は“KING OF POP”


すでに話題沸騰中のニューアルバム『Beerbongs & Bentleys』には全米シングルチャート8週1位をはじめ各国のチャートを席巻した「rockstar ft. 21 Savage」やSpotifyチャートで1位を獲得した「Psycho ft. Ty Dolla $ign」を収録。このニューアルバムリリースの影響が前作『Stony』のチャートにどのように影響するのか。そしてどこまでTop10圏内にランクインし続けるのかが注目される。現在の連続Top10チャートイン記録の1位は74週間でMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)の『Thriller』。この大記録にPost Maloneはどこまで迫ることができるだろうか。今後の動向に注目したい。大記録を更新してしまう可能性ももちろんある。






成熟したヒップホップの多様性をPost Maloneに見る


今回の快挙の影で、Post Maloneを快く思わない人も多くいるだろう。本人がメタルアーティストをリスペクトし、カントリーミュージックにオマージュを捧げる。識者や同業者たちから「ヒップホップに敬意がない」と叩かれることもしばしばである。しかし、Post Maloneは正直だ。自身の好きなものを好きと言い、自身の聴いてきた音楽をサンプリングしてヒップホップのフォーマットに落とし込み、新たな音楽性を創造している。その手法はまさにヒップホップ的と言えるのではないだろうか。


ヴィジュアル、キャラクター、歌唱力、音楽的なセンス、実績。商業的と切り捨てればそれまでなのかもしれないが、Post Maloneの成功は我々アジア人を含む、多様な人種で形成される現在のヒップホップコミュニティとアーティストを夢見るキッズたちの希望だ。





かつてマイノリティの音楽だったヒップホップはすでに世界のスタンダードとなっている。今やヒップホップアーティストは各国に存在し、チャートを賑わせ、言語は違えどアメリカと遜色のないクオリティで楽曲をリリースしている。さらにはインターネット上で国籍の違うアーティスト同士のコラボレートなども目新しいものではなくなってきている。


アメリカに置けるヒップホップアーティストの人種もそうだ。Vanilla Ice(ヴァニラ・アイス)やBIESTIE BOYS(ビースティ・ボーイズ)などごく限られた存在だった黒人以外のラッパーたちは、Eminemの成功以降、せきを切ったように姿を現し、我々の音楽ライフを充実させてくれている。Drake(ドレイク)、Mac Miler(マックミラー)、Machine Gun Kelly(マシンガン・ケリー)。


昨年亡くなったLil'Peep(リル・ピープ)、や新進気鋭のLil'Pump(リル・パンプ)、Logic(ロジック)、Lil Dicky(リルディッキー)、ニュースを量産しまくっているメキシコ系の6ix9ine(シックスナイン)、インドネシア出身のRich Brian(リッチ・ブライアン)、コロンビア出身のOliver Francis(オリバーフランシス)など。ルーツもタイプも違うが、数え上げればキリがない。もはや肌の色でヒップホップを聴くフェーズはとうに終わっているのだ。


人種と言語の数だけそこにストーリーがあり、ヒップホップがある。もちろんPost Maloneが指摘されているように今日までヒップホップカルチャーを世界に発信、拡大し、これからもし続けていくであろう黒人アーティストへの敬意を忘れてはならない。


Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)やMeek Mill(ミーク・ミル)を最高だとしつつ、Post Maloneを教えてくれたNYの友人も、メキシカンとアジアンのハーフである。彼は大学で建築を学びながら、密かにラッパーを夢見ている。




先日、父が還暦を迎えた。お祝いに行くと自らWhitney Houston の「I Will Always Love You」をかけ、食卓で酒を呑んでいた。若かりし90年代を思い浮かべていたのだろうか。


このニュースを知ったとき、真っ先に考えていたのは数十年後、筆者が還暦を迎えたときダイニングでPost Maloneを聴きながらビールを飲んでいるかもしれないということだった。








written by TOMYMOCHIZUKY


source:

https://www.billboard.com/articles/columns/chart-beat/8395366/post-malone-stoney-ties-whitney-houston-most-weeks-top-10-rb-hip-hop-albums-chart


https://www.hotnewhiphop.com/post-malone-ties-whitney-houston-for-remarkable-billboard-achievement-news.48930.html

photo:Post Malone Vevo




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