シーケンサー「トラッカー」をモダンなサンプラーとの統合ハードウェアに!

ポーランドの新興ブランドPolyendからの温故知新な新機材が気になる。
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2020.03.24 09:00

発足以後、革新的でユニークな機材を連発しているポーランドのPolyendが、数週間前からYouTubeへの新製品のティーザー動画連続投稿で話題になっている。コアな機材ファンが高い期待を寄せたその機材の名は「Tracker」。その名の通り「トラッカー」をベースにしたハードウェア・サンプラーということで、多くの打ち込みスト達を奮い立たせそうだ。




トラッカーとは


もともとはMODというゲームBGMフォーマット制作のために開発された歴史の古いシーケンサー。

今日的には音楽制作シーケンサーといえば、多くのDAWで採用される左から右の横向きに時間軸が流れ、縦軸にピアノロールやトラックなど音を重ねる横スクロールのものをイメージするだろう。トラッカーはその逆で、時間軸が縦で各トラックが横軸に並んだ構成のシーケンサー。


パラメーター類は数値で打ち込みなど今日的なDAWに慣れている方には扱いやすいとは言いづらいが、現在もそのDNAを受け継いだトラッカータイプのソフトにはディープなユーザー層がおり、Aphex TwinやVenetian Snaresをはじめとした複雑な打ち込みを得意とするクリエイターも使用している。


▽トラッカー特有の入力画面

まさしくトラッカーの入力画面


音源とシーケンサーを組み合わせたポータブルなオールインワン


Polyendの「Tracker」はそんなトラッカーシーケンサーとサンプラーを組み合わせた、ポータブルな(そしてかなり偏った)オールインワンの制作ツールだ。バッテリー動作も可能で、これ一台でもトラックを完結できる。

スペックとしては8トラック、プロジェクトごとに48楽器、曲ごとに255パターン、パターンごとに最大128ステップ、サンプリングタイムは約2分で16bit / 44.1kHzの解像度と、明らかに狙ってきていると思われる「ちょいLo-Fi」な仕様だが、普通のトラック制作なら問題のない範囲のスペック。


シーケンス部ではトラッカー方式なうえ、8トラックということもあり一癖ありそうな機材だが、ロール、ランダム、リバース、マイクロタイミングなど、今日的な機能も搭載しており、トラッカーとしての打ち込み方法を維持しながらも作業しやすいよう進化している。

マイクロチューニングも搭載しており、自由な音階を作ることもできる。


▽MIDIも搭載し、ほかの機材との連携も





FMラジオを搭載したサンプラー


音源として搭載されているのはサンプラーで、こちらが減算方式、グラニュラー、ウェーブテーブルシンセサイザーの音源として使える。マイクやラインでサンプリングできるほか、FMラジオも搭載しているので、偶然の産物のようなサンプルでインスピレーションをもらうこともできそう。

サンプルエンジンにはフィルターやアンプに加え、リバース、リバーブ、フランジャー、コーラス、ディレイ、ビットクラッシャー、コンプレッサー、ディストーションなど、エフェクト類も含まれている。サンプラー・シンセとしての音作りは十分に完結できそうだ。


▽サンプラーのエディットも大きなスクリーンで



普通の制作環境では得られない刺激がある機材


現在のDAWは再現できない音を探すほうがむずかしいくらい、世に出ているほとんどの音を網羅できるくらいに進化してきた。しかも、どのようなDAWソフトでも大画面でプロのスタジオと同等の機能を駆使し、便利に完結できるワークフローが用意されている。

対して、昨今のトレンドはどうだろう。レトロな機材の再現やKorg、teenage engineering に代表される小型ガジェット系機材は、出せる音も限られているしトラック数も少ない。画面も小さいし、モノによってはそもそも画面とよべるものががなかったりと、シンプルに不便でワークフローとしても苦労を強いられる部分がある。

にもかかわらず、こういう制限だらけの環境の機材を触っているときのほうが燃え(萌え?)てくるという事実を多くのクリエイターが知っているのではないだろうか。


このTrackerもモダンな機能を盛り込み、現在のワークフローを取り込んだ仕様ではあるが、それでもDAWソフトに比べればできないことも多い。

それでも、この機材にしかできないワークフローがあり、クリエイターに唯一無二のインスピレーションを与えてくれるタイプの機材だ。


発売時期は6月ごろ予定で、なんとお値段は599ドル!この手のハードはニッチな代わりにお値段は10万越えということが多いので、良心的な価格設定。

気になったらpolyend.comへ。


written by Yui Tamura


source:

https://polyend.com/


photo:https://polyend.com/





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