「日本人が家から一歩も外に出なくていいテクノロジーってハッピーですか?」ナイアンティック川島優志さん、「外」へ出るための持論を語る


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2回に渡り、『ポケモンGO』『Ingress』といったARゲームの開発で知られる、ARテック集団「ナイアンティック」(Niantic Labs)でエグゼクティブプロデューサー兼アジア統括本部長を務める川島優志さんとblock.fmの☆Taku Takahashiとの対談。「「ポケモン」という親しみやすいキャラクターをスマホに閉じ込めた。『ポケモンGO』を単純にそう見る人も少ないだろう。しかし、もはやグローバルカルチャー化した『ポケモンGO』や、カルト的フォロワーを集めてきた『Ingress』の世界的な人気を考えると、ナイアンティックという集団が成し遂げた功績は、スマホ世代やポップカルチャーにおいても多大な影響を与えたはずだ。後編となる今回は、ARの話から、テクノロジーの再定義、そしてメインテーマである日本人が「壁」を超えるために必要なことについて、さらに語ってもらった(前篇はこちらをご覧いただきたい)
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僕たちのARの定義は、ちょっと違う

▷ちょっとテクニカルな話も。先日、iPhone 8とiPhone Xの発表の中で、アップルは今後「AR」に力を入れていくと言っていた。そういったところって、今後のナイアンティックのプロダクトに影響していくものなんですか?
川島優志(以下、川島):すごく強く影響しますね。僕たちは自分たちをARの会社だと思ってるんですよ。
GPS、ジオロケーションを使ったプロダクトを作っていくっていうのが軸の1つ。それとオーギュメントリアリティ=ARをどう組み合わせていくかっていうところが、ナイアンティックの大きな目標ですね。
▷例えば、スマホ用のARアプリや、ARメガネとかを作ったり、ですか?
川島:ナイアンティックの考えるARっていうのはすごく変わっていて。普通ARって聞くと、眼鏡のようなものを連想すると思うんですよね。グーグルグラスだったり、目の前にQRコードがあって、眼鏡をかけていれば何かがパッと見えてくるみたいな。何かデバイスと紐付いたようなイメージがARだと思うんですよ。
アップルや、グーグルが発表したAndroidのARキットも、スマートフォンをかざして、その向こうに視覚効果として、テーブルの上に何かが乗っているように見える。それもすごく大事なことなんですよ。『ポケモンGO』も、みんなに受け入れられたのは、まるで机の上にポケモンが映ってるかのように見せられたところが、ARの大きな転換点で、みんながARに注目するきっかけになったと思うんですけど。
ナイアンティックがやりたいことは、実はAR眼鏡とか関係ない。見た目で世界が変わることじゃなくて、もっとその場にいる体験が高められるコンピューティングのスタイルをARって定義している。
どういうことかっていうと、例えば、そこに行った時に音がするとかでもいいと思うんですよ。全然違う音がするとかでもいいかもしれない。その場所の10年前の音がするとか、そういうのもすごく面白かもしれない。見た目だけじゃないんですよね。その場所でしか味わえない体験をもっと強めてくれて、印象深いものにしてくれること。そういうきっかけになるテクノロジーがオーギュメントリアリティ=拡張現実。
スマートフォンで何かを見る、スマートフォンで現実を拡張するってことは、そこに向かうためのひとつのステップだと考えている。とても大事なステップで、それを今アップルやグーグルやFacebookやマイクロソフトが本腰を入れて取り組んでるっていうのは素晴らしいことだと思いますね。
▷僕的に興味があることなんですけど、川島さんは今ナイアンティックで責任あるポジションでもあると同時に、やっぱりクリエイターだと思うんですよ。そういうクリエイションを作っていく中、僕らミュージシャンとかアーティストには今の音楽を聴くのをやめたりする人もいるんです。僕なんかは、どんどん今流行ってる音楽とか過去のものも聴くし、ひたすら聴くタイプなんですけど。どっちのタイプですか? 例えばゲームだとして、他のゲームもチェックするのか、あまりチェックしないほうか。
川島:いやぁ、チェックしますよね。チェックする以前に、大好きだし。もちろんゲームに限らずですよね、バーチャルリアリティにしてもARにしても、デバイスが出るとすぐ買っちゃうし。それで奥さんには「似たようなの前も買ったじゃん! なんなの、これ!」ってよく言われるんですけど(笑)。
そこはまあまあみたいな感じで、家にいっぱい積み重なってるわけですよね。だからチェックしてますよ。僕はやっぱり単純に楽しいんですよね。デファクトスタンダードがどんどん変わっていくし、すごく幸せな時代に生きてると思うんで。なんか面白そうって思ったらすぐポチッとなってしちゃうし、大変ですよね(笑)
▷ははははは。
何のテクノロジーを使うかなんて、ぶっちゃけ何でもいい

川島:音楽はどうなんですかね? そういうものに対して、影響されるっていうのはもちろんあると思うんですけど、どんな業界でも、どんな作品でも影響は受けると思うんですよね。それでもやっぱり変わらないものはあったり。
すごく大事なのは「今これが流行ってるからこれをやろう」ってなってしまうと、ちょっと流行らなくなるとすぐシュンとなってしまうところがあるのかなって思うんですよ。
例えばバーチャルリアリティも、ちょっと前には「VRがこれからはすごいことになるぞ」ってものすごい盛り上がって、右も左もVRな感じでしたよね。
それが『ポケモンGO』が出たあと、急に潮目が変わって、今はみんなオーギュメントリアリティでARだって言っていて。「バーチャルリアリティどこ行っちゃったの?」な感じになってるんですよ。
▷分かります。
ただ、そうなると、バーチャルリアリティの未来に対して確信を持ってなかった人たちっていうのは、「VRってもしかしたら儲からないかもしれないからやめちゃおうかな」って思っちゃう人が多いと思うんですよね。だけど本当はバーチャルリアリティって、まだまだ先がある。
ARとVRはいとこみたいな関係で、将来はどっかで合流して、融合していくんじゃないかなって僕は思ってますけど。それ以前に「これが正しいと思ってるからやるんだ」って感じでやるのがすごく大事なんじゃないかなと。流行り廃りだけでなくて。
ナイアンティックの場合は、外で人が一緒に遊ぶという体験作りが根幹にあって、外に出て無視されたり見過ごされてる素晴らしいものを発見した人同士が交流するきっかけを与えることを目指している。だから、何のテクノロジーを使うかは、ぶっちゃけどんなものでもいいんですよ。
▷テクノロジーを使うことが最終目的にはならない。
川島:ナイアンティックは、現実世界の体験をどれだけ高められるかっていうところを追求してる。そこがあればどんなものであっても進める。音楽を使ってこういうことをしたいんだっていう考えがある人は、スタイルだけにこだわってると、「ちょっと思ってたのと違うんじゃないか」ってなる時もあるのかな〜って思いますけどね。僕はプロのミュージシャンじゃないのでわからないですが、個人の根っこにあるものが物を言うんじゃないかなって気がしますけどね。
どうなんですか、実際。音楽なんてトレンドがすごく変わるじゃないですか。ファッションでも、去年すごくカッコいいって言われてたものが今年着てるとちょーダサいとか。
▷作り手側で大事なのは2つあって。1つはトレンドが何かっていうのをどれくらい理解できるかっていうことと、もう一つは自分は何が好きかっていうことだと思うんですけど。あとトレンドに乗っかるか、トレンドを作るかっていうところもすごくあると思うんですけど、今僕はすごくメランコリックなんですよ。2000年初頭のサウンドがすごく面白かったりとか、80’sのサウンドが面白かったりとか。日本がアメリカとちょっと違うところがあって、日本って今メランコリックになることに対して、アレルギーがあるというか。
川島:へえ、そうなんですか。
▷「後ろ向きだ、良くない」ってなってるんですけど、僕自身は別にいいじゃんって。なんでそうなるかっていろいろ考えたんですよ。日本って、時代が進んでないことのほうが多いんですよ。川島さんはアメリカに住まれてるから見え方がちょっと違うと思うんですけど。
川島:違いますね。
▷例えば、日本のバラエティ番組の背景とか、オブジェを置いてる90’sの番組作りって、今だにやってるんですよ。アメリカのバラエティを過去と今で見比べると、変わってる。変化がアメリカは起こっている。変化がない国が後ろを向いちゃうと良くないと思うんですよ。
川島:変化がないことに気づいてしまうということですか?
▷そう。進化せずに後ろに言っちゃうんだっていうマイナスなことを言われる。
川島:ただでさえ最新化してないのに?!
▷アメリカはどんどん進化してるから、過去を振り返ると「何これ? 新しい! 面白いじゃん!」ってなれる。それは僕よくわかるんだけど、でもメランコリックなものがカッコいいって思えるのいいじゃん、フューチャーメランコリックなものを作ればいいじゃんっていうふうに、そういうモードになってる。僕いろんなものを聴くタイプってさっき言ったじゃないですか。その中で聴いて面白いものが最近は少なくなっている。で、自問自答します。〈これは自分がおじさんになってるからなのか〉(笑)。やっぱり年重ねるとそこは考えないといけないじゃないですか。
川島:なんでなんだろう?(笑)
▷それか、違うのかっていうのを自問自答しながら。やっぱり当時のままの体験じゃダメなんだけど、そこの時代の狂気っていうのがあるんですよ。今は狂気が少ないんですよ。だったら俺まだ若いなと。狂気って言葉を使うのが若いか若くないかは置いといて(笑)。
だけど日本ってちょっと違ったミレニアル感があって、グローバルミレニアル感と違うんだけど、グローバルミレニアル感を日本に持ってきたいなって思っていて。それを表現して、それがトレンドになってほしいな。そしたらもっと楽しいなっていうふうに。答えになってます?
川島:すごく答えになってる。これテクノロジー業界でも一緒なんですよ。僕は日本は、2年くらい世界から遅れてると思ってるんですよね。
▷同感です。僕は5年くらいだと思ってるんですけど(笑)。
日本がグローバルプロダクト作りで後回しになる理由

川島:かつては先に行ってることもあったと思うんですよ。飛行機でアメリカの情報番組をいくつか見た時に、世界のポップカルチャーの歴史みたいなのをやってて。70年代80年代の時、ブームボックスを抱えてみんなが音楽を街に持ち出してやってるとか、ウォークマンを聞き出したとか。
その時の電化製品って全部日本のものなんですよ。本当にびっくりして。日本の番組じゃなくて、アメリカが世界のカルチャーの歴史を振り返った時に、そこにあったのは日本なんですよね。そういう、ずいぶん先を行ってた時代があった。
だけど今そんなこと全然ないじゃないですか。僕はアメリカでグローバルなプロダクトを作らざるをえない。『Ingress』だったら世界200以上の国と地域でやってますし、『ポケモンGO』もすでに世界150以上の国と地域で公開されてる。最初『Ingress』って英語しかなかったんですよ。これを多国語化しようって時に、どうしても日本って後回しになってしまうんですよね。
壁があるんですよ。英語でプロダクトを出すと、だいたいいろんな国の人たちがやってくれるんですよ、今って。例えば、アジアの国でも英語のプロダクトで遊んでくれる。中国も台湾でも。だけど、日本と韓国って英語のアレルギーがあるんですよね。
▷壁がありますよね。
川島:プロダクトをなかなか英語でやってくれない。っていうことは、ユーザー数が少ないってことなんですよ。ユーザー数が少ないってことは重要だと思われないんですよ。日本はすごく大事な国だけど、最優先にならない。それはユーザー数が少ないから。
英語のプロダクトだから、日本語にすればって思うけれど、日本語化ってすごく大変だったりして。そうすると、あらゆるものがそうなるんです。僕たちが作ったものだけじゃなくてグーグルグラスも結局日本では出なかったですし、Spotifyなんて8年くらいかかってますよね。
▷すごい時間かかりましたね。
川島:Facebookも2年くらいかかってたり、Twitterも2年くらい遅れたかな? でも、日本語版が出るのを待ってます、みたいな感じで、みんな大人しく座って待ってる感じなんですよ。大人しく待ってるんじゃなくて、英語で使っていくような、自分から歩み寄ってくような感じでどんどん外のものを使ってほしい。音楽だったらどうなんだろう。やっぱり世界で聴かれてる音楽っていうのを聴いてる感じはあんまりしないんですよね。
▷うん。正しいですよ。
川島:日本のチャートを見てても、昔はもうちょっと外国の音楽聴いてたんじゃないかって思うんですよ。
▷それこそ川島さんがアメリカに行った2000年の頃は、世界のサウンドを取り入れてもっと面白いことをやっていこうっていう時代で。この後は、どんどん海外との壁ができてきた。ナイアンティックは外に遊びに行きましょうって考えですけど、別の意味での外、インターネットの世界にも外があるじゃないですか。自国の言葉のランゲージバリアの外。日本は日本のネットの中で自ら鎖国してるところがめちゃくちゃあるんですよね。
川島:ありますよね。
▷情報も同じ。世界で面白いこと、音楽が生まれている。だけど、日本では報道されない。日本のニュースでは流れないっていうフラストレーションがあって、今インタビュー受けてもらっているblock.fmっていうのを始めたんですよ。
川島:なるほど。
壁の中の日本人、壁を超えるインド人

▷もっと知ればいいのに、もっと見ていけばいいのにっていう僕の願望もあるんだけど。「じゃあ日本語にするよ」っていう翻訳作業が今はあって。でもここのキーワードわかったらいろいろ楽しめるじゃんっていうきっかけまで作れたらいいなっていうふうに思っていたりして。
川島:すごく難しいところなんですけどね。面白いなって思ったのが、アメリカにインド人の友達がいっぱいいるんですよ。インド人ってすごく面白い。グーグルの社長もインド出身のインド人。マイクロソフトの社長もインド出身のインド人ですよね。これってすごいことだなって思っていて。実力で上回っても外国人はやっぱり社長になれないんだろうなとか、そういうふうに思っちゃうところが外国人自身にあったりすると思うんですけど。
▷過去は実際ありましたよね。
川島:今も存在してるところはあると思うんですよ。だけどみんな壁を崩そうとして頑張ってるんです。アメリカで生まれたインド人だけじゃなくて、インドで生まれたインド人も同じ考えだと思う。
みんな英語もインド訛りなんですよ。でもどうしてこんなにインド人って英語喋るんだろうって思ったんですよね。いろんな理由があって、歴史的な背景とか、もちろんイギリスの影響もあるし。さまざまな背景の中で面白かったのは、学校は英語で勉強してる。理由の1つはインドってすごくたくさんの言語でみんな喋ってるので、英語が共通言語化してる。
ただ先生が英語で喋るといっても、「インドではどうやって先生がみんな英語で喋って授業ができるようになったの?」って聞いたんですよ。そしたら驚いたことに「先生の英語はめちゃくちゃだよ」と。
▷(笑)。
川島:おじいさんの先生なんてもう何を言ってるかわからない。だけど、みんな英語でやってるんだっていうのを聞いて、ああなるほどなと。きっと大変なんですよね。そうすると子どもの世代っていうのは、少しずつそれが当たり前になって、ついにはアメリカで人種の壁も越えて、社長を生み出すところまでたどり着いたわけですよね。
日本で振り返ると、英語で授業すると日本語の文化が失われるとか、そういうこと言われる方もいますけど、僕なんかは「いやいやいや、失われるはずないよ」と。家では日本語だし、学校だって国語もあるし、友達同士では日本語喋るだろうし。それで授業を英語でやったっていいじゃんってすごく思うんですよね。それくらいやったらちょっと日本変わるかもしれないって思ったりしますね。
外に出ないで楽させる方向に世の中のテクノロジーは進んでいないか?

▷日本が成功してるタイミングって、2回あると思うんですよ。明治維新以降の明治時代と、第二次世界大戦後の高度成長期。共通するのは、日本人が海外に目を向けてる時代だったことなんですよね。喋れないけど侍が咸臨丸乗ってサンフランシスコ行きましたみたいな。そこで、「大統領制度とかあるんだ、面白いな」とか「こういう機械があるんだ」って勉強してくる。高度成長期のタイミングも、「トランジスタあるんだ」とか「車ってこう作ればいいんだ」とか。気がつけばめちゃくちゃちっちゃいカセットを持ち運べる製品を作れたり、めちゃくちゃ燃費のいい乗りやすい車を作れたりしてきた。僕は、今の日本がなんでダメになってるかって考えた時、もちろん不景気になったっていうのもあるけど、単純に言うとiモードが悪者だと思ってるんですよね。
川島:なるほどなるほど。それすごい面白いですね。根っこの話になってきましたね。
▷docomoさんごめんないみたいな話になっちゃうんだけど。iモードっていうインターネットを使ってるのに、イントラネットみたいなものを作っちゃったっていう。
川島:独自の世界ですよね。
▷iモードの日本語の中の世界だけで止まってしまった。
川島:中国のグレートファイアウォールをバカにしてるけど、それがもともとあったみたいな感じですよね。
▷そうそう。自分たちで鎖国の道を選んじゃった。iモードがまた良くできてたじゃないですか。iPhoneがFacetimeできるようになりましたってアップルが云っても、そんなの日本が10年前からやってるわ!みたいな。ただ、どんなに技術が良くても中身が無いとダメ。そういったところで外に出なくなるきっかけを作っちゃったのかって。
川島:よく言われるじゃないですか、今の日本は外に出ることがいらないくらいだって。日本の中は何の不満もないから、みんな平均的に幸せで豊かで、外に出る必要なんて感じない。
僕が思うのは、そのきっかけをまた作ればいいじゃないかって。『Ingress』とか『ポケモンGO』とかをやってて、すごく印象深かったのが、車椅子の人の話なんですよ。自分は車椅子だから、街を移動する時もできるだけ短時間で行きたいと思ってたし、そもそも外に出ることが億劫だったと。だけど『Ingress』をプレイし始めて、どんどん遠くまで行くようになったと。
遠くまで行くだけじゃなくて、イベントに参加するために違う都市に行ったり、しまいには日本に来てしまったことを言うわけですよ(笑)。それで日本に来て、共通のゲームを通じてどんどん友達ができる。日本という外国で、一緒にどこかへ行ってくれる友達ができた。それってすごいなって。
自分の人生が変わったってことですよね。でも、家から1歩も外に出なくてもいいようにするためにはどうしたらいいだろうと考える方向に世の中のテクノロジーが向いている感じがすごくするんですよ。Amazonでポチればあらゆるものが届いて家から一歩も出なくても生活できるし。
▷実際僕も使っちゃいます(笑)。
川島:僕も使っちゃうんですよ。VRのヘッドセットをかぶれば、引きこもっていても世界どこへでも行けるみたいに、そういう方向にどんどん向かってるんですよね。だけど、本当にそれでいいのかなと考えます。
人間ってどういうふうにデザインされてるのか、もっと考えたほうがいいんじゃないかな。他の生物と比べた時に、唯一直立二足歩行ができる動物がヒトなんですよ。人間は、二足歩行ができたことで、脳がすごく発達してクリエイティブになっていった。その結果、今があるわけです。直立で歩くことで、ちゃんとすべてのことが廻るようにデザインされてきたんだなってすごく思ってるんですよね。
だけど現代人は、歩くっていうことを捨ててしまった。できれば、歩かずに生活できたら最高みたいな感じ(笑)。たぶん、それがいろんな問題の原因になってるんじゃないかなって思っていて。
『Ingress』とか『ポケモンGO』がどうしてこんなに世界に受け入れられたか。たぶん、「外って楽しいじゃん」と感じてくれたんだと思うんですよね。外で、何かを探したり発見したりするのがすごくいいなって感じて、習慣化したからだと思うんですよ。今もずっと続けてくれるおじいちゃんおばあちゃんがいます。1日30分でも外に出て太陽の下で全然違う世代の子どもたちと話をするきっかけになったりすれば、こんな良いことはないなって思っている。そこから、歩く習慣とか、ライフスタイルになってくるとさらに良いと思う。
だから、外に出る、動くきっかけは意識してデザインしていかなきゃいけない。ゲームにはそういう力がすごくあるんだなって作ってて実感しているんですよね。だから、あらゆるものが便利で何でも考えなくても構わないって感じ方は、音楽でもそういう方向へ行ってるんじゃなかなって気がする時あります。特に日本の音楽とか、ランキングとか見ててもびっくりしますよねー。
▷安易というか、安全な方向に行っちゃうんですよね。そこはまた話すと長いですよ、いろいろありますよ(笑)。今日は、ありがとうございました。
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川島優志 | Niantic, Inc. エグゼクティブプロデューサー兼アジア統括本部長
2015年10月にNiantic, Inc.(ナイアンティック社)の設立と同時に、アジア統括本部長に就任。2013年、Googleの社内スタートアップとして発足したNiantic Labsの UX/Visual Designerとして参画、Ingressのビジュアル及びユーザーエクスペリエンスデザインを担当。また、プレイヤーが現実世界でポケモンを探し、集める、スマートフォンゲーム『ポケモンGO』では、開発プロジェクトの立ち上げを担当しました。
早稲田大学を中退後、2000年に渡米。ロサンゼルスでの起業、デザインプロダクション勤務を経て、2007年にGoogle へ入社。アジア太平洋のウェブデザインチームを統括、日本人としては世界で初めて「Doodle(祝日や記念日に変更されるGoogleのトップページロゴ)」をデザインしました。東日本大震災時はクライシスレスポンスウェブチームを立ち上げ、その経験をTED x Tohoku などで講演。2011年より、米Google本社に移籍し、コンシューマープロダクトウェブデザインのグローバルチームの統括に従事しました。
Top image:(左)川島優志 | ナイアンティック社エグゼクティブプロデューサー兼アジア統括本部長、☆Taku Takahashi | m-flo、block.fm
Interview by ☆Taku Takahashi
Edit by ☆Taku Takahashi & block.fm編集チーム
