メアリー・J. ブライジやレディオヘッドのジョニーも参戦! 第90回アカデミー賞ノミネート作品発表

最多の13部門でノミネーションを獲得したのは、ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』。
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2018.01.25 03:00

映画祭シーズン真っ盛り。すでにゴールデン・グローブ賞やSAG賞(全米映画俳優組合賞)が発表されて話題になっているが、ついに今週、アカデミー賞のノミネート作品が紹介された。日本では公開前の作品も多いが、ここでは主要部門や気になる部門を中心に見てみよう。


ノミネーションの数:

『シェイプ・オブ・ウォーター』 13部門

『ダンケルク』 8部門

『スリー・ビルボード』 7部門

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』 6部門

『ファントム・スレッド』 6部門

『ブレードランナー2049』 5部門

『レディ・バード』 5部門

『君の名前で僕を呼んで』 4部門

『ゲット・アウト』 4部門

『マッドバウンド 哀しき友情』 4部門

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 4部門


まずは作品毎のノミネーション数を確認。最多は『パンズ・ラビリンス』、『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』で、作品賞、主演男優賞、主演女優賞を含む13部門に名を連ねた。昨年8月のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞して早くも話題を呼んだ同作は、ひとりの孤独な女性と水の中で生きる不思議な生物との言葉を超えた“愛”を描いたファンタジー。ゴールデン・グローブ賞では監督賞と作曲賞に輝いている。



『シェイプ・オブ・ウォーター』© 2017 Twentieth Century Fox


作品賞/Best Picture:

『君の名前で僕を呼んで』 (日本公開: 2018年4月)

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』 (日本公開: 2018年3月30日)

ダンケルク』 (日本公開: 2017年9月9日/ブルーレイ&DVD発売中)

ゲット・アウト』 (日本公開: 2017年10月27日/ブルーレイ&DVD: 2018年4月11日発売)

『レディ・バード』 (日本公開: 2018年6月)

『ファントム・スレッド』 (日本公開: 2018年5月)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 (日本公開: 2018年3月30日)

シェイプ・オブ・ウォーター』 (日本公開: 2018年3月1日)

スリー・ビルボード』 (日本公開: 2018年2月1日)


注目すべくは、アカデミー賞の前哨戦とされるSAG賞で最多の3部門に輝いたほか、ゴールデン・グローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を獲得した『スリー・ビルボード』。ミズーリ州の田舎町で娘を殺された母親が、依然解決しない事件への抗議のために巨大な広告看板を設置するところから展開するクライムドラマだ。同じくゴールデン・グローブ賞で作品賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞し、映画レビューサイト“ロッテン・トマト”では批評家164人から100%大絶賛された『レディ・バード』も見逃せない。比較的保守的なアカデミー賞だが、想定外の展開に世界中が震撼したホラー映画『ゲット・アウト』もノミネートされている。



『スリー・ビルボード』 ©2017 Twentieth Century Fox


主演男優賞/Best Actor:

ティモシー・シャラメ 『君の名前で僕を呼んで』

ダニエル・デイ=ルイス 『ファントム・スレッド』

ダニエル・カルーヤ 『ゲット・アウト』

ゲイリー・オールドマン 『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

デンゼル・ワシントン 「Roman J. Isreal, Esq.」


『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でチャーチル役を演じたゲイリー・オールドマンは、ゴールデン・グローブ賞やSAG賞を含む数々の主演男優賞を受賞しており、アカデミー賞でも最有力候補の呼び声が高い。オスカー史上唯一、同部門を過去に3度受賞しているダニエル・デイ=ルイスは、『ファントム・スレッド』が最後の映画出演となることを公言しているそうだ。


主演女優賞/Best Actress:

サリー・ホーキンス 『シェイプ・オブ・ウォーター』

フランシス・マクドーマンド 『スリー・ビルボード』

マーゴット・ロビー 『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

シアーシャ・ローナン 『レディ・バード』

メリル・ストリープ 『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』


有力視されているのは、すでにゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)とSAG賞を含む、多数の主演女優賞を受賞している『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド。同じくゴールデン・グローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)に輝いた、『レディ・バード』のシアーシャ・ローナンが演じたこじらせ女子高生も最高だった。そして、もはやオスカーの風物詩的存在となったメリル・ストリープも、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で安定のノミネート。通算21回目!



『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 ©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.


助演女優賞/Best Supporting Actress:

メアリー・J. ブライジ 『マッドバウンド 哀しき友情

アリソン・ジャニー 『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

レスリー・マンヴィル 『ファントム・スレッド』

ローリー・メトカーフ 『レディ・バード』

オクタヴィア・スペンサー 『シェイプ・オブ・ウォーター』


母親役を演じた女優が多いことから、“ママの闘い”と称したメディアも見受けられる助演女優賞。クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウルことメアリー・J. ブライジは、第二次世界大戦中のミシシッピ州の片田舎を舞台にしたヒューマンドラマ『マッドバウンド 哀しき友情』で演じた母親役でノミネートされた。同作はNetflixで配信中なので、ぜひ授賞式までにチェックしておきたい。元フィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングの波乱万丈な半生を描いた『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』でトーニャの母親役を演じたアリソン・ジャニーは、オスカー初ノミネートとなった。

『マッドバウンド 哀しき友情』


助演男優賞/Best Supporting Actor:

ウィレム・デフォー 「The Florida Project」

ウディ・ハレルソン 『スリー・ビルボード』

リチャード・ジェンキンス 『シェイプ・オブ・ウォーター』

クリストファー・プラマー 「All the Money in the World」

サム・ロックウェル 『スリー・ビルボード』


助演男優賞では、ゴールデン・グローブ賞やSAG賞を受賞した『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェルが最有力候補とされている。劇中ではミズーリ州の田舎町の人種差別的な警察官を演じた。また、2011年にマイク・ミルズ監督の『人生はビギナーズ』で助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマーにも注目。撮影が終了していたリドリー・スコット監督の「All the Money in the World」で、セクハラ被害を訴えられて降板したケヴィン・スペイシーの代役を務めた。


監督賞/Best Director:

クリストファー・ノーラン 『ダンケルク』

ジョーダン・ピール 『ゲット・アウト』

グレタ・ガーウィグ 『レディ・バード』

ポール・トーマス・アンダーソン 『ファントム・スレッド』

ギレルモ・デル・トロ 『シェイプ・オブ・ウォーター』


ゴールデン・グローブ賞では、監督賞のプレゼンターを務めた女優ナタリー・ポートマンが「すべて男性の候補者の皆さんです」と皮肉を込めて紹介したことが大きな話題に。アカデミー賞では、グレタ・ガーウィグが単独監督デビュー作品『レディ・バード』で紅一点ノミネートされた。彼女が脚本も手掛けた自伝的な作品で、サクラメントで暮らす女子高生が大学に進学するまでの1年間をユーモアたっぷりに描いた。女性監督がノミネートされるのは史上5人目だという。『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールは、黒人の監督として史上5人目のノミネートを獲得した。



『レディ・バード』©Merie Wallace, courtesy of A24


歌曲賞/Best Original Song:

“Mighty River” from 『マッドバウンド 哀しき友情』 (作詞作曲:メアリー・J. ブライジ、ラファエル・サディーク、トーラ・スティンソン)

“Mystery of Love” from 『君の名前で僕を呼んで』 (作詞作曲:スフィアン・スティーヴンス)

“Remember Me” from 『リメンバー・ミー』 (作詞作曲:クリスティン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペス)

“Stand Up For Something” from 「Marshall」 (作詞:ロニー・R・リン、ダイアン・ウォレン/作曲:ダイアン・ウォレン)

“This Is Me” from 『グレイテスト・ショーマン』 (作詞作曲:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール)


助演女優賞にもノミネートされているメアリー・J. ブライジが、『マッドバウンド 哀しき友情』に提供した“Mighty River”で歌曲賞でもノミネーションを獲得。ラファエル・サディークとトーラ・スティンソンと共に手掛けた名曲だ。USインディーシーンを代表するシンガーソングライター、スフィアン・スティーヴンスは、『君の名前で僕を呼んで』の世界観にマッチした美しいバラード“Mystery of Love”でノミネートされた。




作曲賞/Best Original Score:

ハンス・ジマー 『ダンケルク』

ジョニー・グリーンウッド 『ファントム・スレッド』

アレクサンドル・デスプラ 『シェイプ・オブ・ウォーター』

ジョン・ウィリアムズ 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ

カーター・バーウェル 『スリー・ビルボード』


映画音楽界を代表する重鎮ジョン・ウィリアムズとハンス・ジマーが、今年もそろってノミネートされた作曲賞。レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドは、ポール・トーマス・アンダーソン監督、ダニエル・デイ=ルイス主演の『ファントム・スレッド』で初のオスカー候補となった。ちなみにゴールデン・グローブ賞の作曲賞は、『シェイプ・オブ・ウォーター』のアレクサンドル・デスプラが受賞している。





その他の部門のノミネート作品は以下のとおり。短編アニメーション賞には「Negative Space」で共同監督を務めた桑畑かほる、メイクアップ&ヘアスタイリング賞には『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で特殊メイクを手掛けた辻一弘と、2人の日本人もノミネートされている。第90回アカデミー賞授賞式は、現地時間3月4日にロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催される。


脚本賞/Original Screenplay:

エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ 『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

ジョーダン・ピール 『ゲット・アウト』

グレタ・ガーウィグ 『レディ・バード』

ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー 『シェイプ・オブ・ウォーター』

マーティン・マクドナー 『スリー・ビルボード』


脚色賞/Best Adapted Screenplay:

ジェームズ・アイヴォリー 『君の名前で僕を呼んで』

スコット・ノイスタッター、 マイケル・H・ウェバー 「The Disaster Artist」

マイケル・グリーン、スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド 『LOGAN/ローガン

アーロン・ソーキン 『モリーズ・ゲーム

ヴァージル・ウィリアムズ、ディー・リース 『マッドバウンド 哀しき友情』


外国語映画賞/Best Foreign Language Film:

ナチュラルウーマン』 (チリ)

「The Insult」 (レバノン)

ラブレス』 (ロシア)

心と体と』 (ハンガリー)

ザ・スクエア 思いやりの聖域』 (スウェーデン)


長編ドキュメンタリー賞/Best Documentary Feature:

「Abacus: Small Enough to Jail」

「Faces Places」

イカロス

『アレッポ 最後の男たち』

ストロング・アイランド


短編ドキュメンタリー賞/Best Documentary Short Subject:

「Edith+Eddie」

「Heaven is a Traffic Jam on the 405」

ヘロイン×ヒロイン

「Knife Skills」

「Traffic Stop」


撮影賞/Best Cinematography:

ブレードランナー2049

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

『ダンケルク』

『マッドバウンド 哀しき友情』

『シェイプ・オブ・ウォーター』


美術賞/Best Production Design:

美女と野獣

『ブレードランナー2049』

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

『ダンケルク』

『シェイプ・オブ・ウォーター』


編集賞/Best Film Editing:

ベイビー・ドライバー

『ダンケルク』

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

『スリー・ビルボード』


視覚効果賞/Best Visual Effects:

『ブレードランナー2049』

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

キングコング:髑髏島の巨神

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)


衣装デザイン賞/Best Costume Design:

『美女と野獣』

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

『ファントム・スレッド』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

「Victoria & Abdul」


音響編集賞/Best Sound Editing:

『ベイビー・ドライバー』

『ブレードランナー2049』

『ダンケルク』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』


録音賞/Best Sound Mixing:

『ベイビー・ドライバー』

『ブレードランナー2049』

『ダンケルク』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』


長編アニメーション賞/Best Animated Feature Film:

『ボス・ベイビー』

「The Breadwinner」

『リメンバー・ミー』

「Ferdinand」

『ゴッホ 最期の手紙』


短編アニメーション賞/Best Animated Short Film:

「Dear Basketball」

「Garden Party」

『LOU』

「Negative Space」

「Revolting Rhymes」


短編実写映画賞/Best Live Action Short:

「DeKalb Elementary」

「The Eleven O’Clock」

「My Nephew Emmett」

「The Silent Child」

「Watu Wote/All of Us」


メイクアップ&ヘアスタイリング賞/Best Makeup and Hairstyling:

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

「Victoria & Abdul」

「Wonder」



公式サイト:

http://www.oscars.org/oscars/


Written by Thumper Jones


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